香君(下) の商品レビュー
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上橋先生の知に対する好奇心とリスペクトの結晶のような作品だと思いました。 知るということはとても強いこと。無知は大事な場面で判断を誤ったり、迷いを生じさせてしまう。 未来のことは何もわからない。でも過去の出来事から学ぶことはできる、それを未来に託すことも。 アイシャが「旅する」香君として、広く知を分け与えていくことは確実に未来を変えていく。 現実世界でも通ずるところがあると思いました。 下巻の後半は涙ぐんでしまうところが多く、特にラーオ師がアイシャの策を皇帝に話すところなどぐっときました。 ラーオ師は経験も知識も豊富で、皇帝に策を披露すればどうなるかわかっているのに、アイシャの意思を尊重した器の大きさ、アイシャへの敬愛も感じました。 オリエが倒れ、アイシャが新しい香君として名乗りをあげたところも胸が熱くなりました。 アイシャはとても強い子です。それはアイシャのアイデンティティがそうさせている部分もあるかもしれません。 でもそれだけではなく、マシュウやオリエ、ラーオ師、アリキ師、タク夫妻…多くの素晴らしい出会いがアイシャを強い香君へと育ててくれたのは確かだと思います。 ストーリー本編もさることながら、あとがきで感動して泣いてしまいました。 本当にドキュメンタリー作ってほしかったですね。 素敵な読書体験をありがとうございました。
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先が気になって、というより自然と読み進み読了。アイシャの行動力にどきどきしました。 香君と名乗ってからはトントンと話しが進み、もっとこの世界を楽しみたかった。 自分の行動が何に繋がり、どんな結果をもたらすのか、 終盤はメッセージ性も強かったように思います。
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ニュースで見るバッタの大量発生を思い出した。 対岸の火事みたいに大変だなあと思って見ていたから、どこの国で起きていて、どんな被害があったのか全然知らない。自分で調べてちゃんと知りたいと思った。 んで、やっぱり上橋さんの描く世界に入り込むと凄く心地が良い。 走って走って緊迫感があ...
ニュースで見るバッタの大量発生を思い出した。 対岸の火事みたいに大変だなあと思って見ていたから、どこの国で起きていて、どんな被害があったのか全然知らない。自分で調べてちゃんと知りたいと思った。 んで、やっぱり上橋さんの描く世界に入り込むと凄く心地が良い。 走って走って緊迫感がある描写も、引き込まれてページめくる手が止まらなくなるけど、オリエとマシュウのほのぼのした感じもホッコリしてて好き。 バルサとタンダとはまた違った良さがあった。
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主人公のアイシャが辿る苦難の続く運命的な人生、国を滅ぼす様な出来事、オレア稲に取り付く害虫のオオマヨ、それに強い新種の救いの種を生み出すがそれにも取り付くオオマヨだが今度はそれを食い尽くすバッタが稲だけでなく野菜や牧草までも食い尽くす、さてアイシャはどうする?
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夢中で読み進めた。 オアレ稲は、オオマヨは、バッタ、そして香君という存在は、今の何を象徴しているのだろうということをぼんやり考えながら読み続けた。どんどん物語は加速して、怒涛の展開だった。 この物語のように誰かひとりが頑張るだけではダメなのだ。もう現実を生きる私たちも何かひと...
夢中で読み進めた。 オアレ稲は、オオマヨは、バッタ、そして香君という存在は、今の何を象徴しているのだろうということをぼんやり考えながら読み続けた。どんどん物語は加速して、怒涛の展開だった。 この物語のように誰かひとりが頑張るだけではダメなのだ。もう現実を生きる私たちも何かひとつのものに依存してしまうことの危なっかしさ、利便性だけを追求してきた結果、自然破壊が進んでしまったことの影響などなど、このままではいけないということは多くの人が感じている。だけど、どこかでまだ大丈夫だと現実を見つめられていない。誰かが何とかしてくれるだろうという甘え。 特効薬も救世主もいない。自分は何を選ぶかということをひとりひとりが真剣に考えていかないと。過去を軽んじず、過去に学ぶ必要性。なんてこともぐるぐる考えながら読んだ。 植物のことをもっともっと知りたくなる。 上橋さんがたくさん参考文献も載せてくれているので、気になる本も読みながら、『香君』も何度も何度も読み返していきたい。
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これからどうなるのかとワクワク読み進めてたら、あっという間に終わってしまった。 アイシャが壇上に上がってからのやりとりは圧巻。 大変な取材を経て、出来上がった最高の物語。 ファンタジーだが、現実味を帯びており、食に関して深く考えさせられた。 ハードカバーの上下巻は高かったけど、読...
これからどうなるのかとワクワク読み進めてたら、あっという間に終わってしまった。 アイシャが壇上に上がってからのやりとりは圧巻。 大変な取材を経て、出来上がった最高の物語。 ファンタジーだが、現実味を帯びており、食に関して深く考えさせられた。 ハードカバーの上下巻は高かったけど、読もうか迷うならぜひ読んでおくべき作品で、購入して損がなかったなと思えてる。
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食料自給率の低い私たちの国でもしも米が全滅したらと思うとぞっとします。隣国との関係も決して良くはなく、エネルギー資源豊富な某国の戦況にも不安を感じる中で読み、多様性の大切さが胸に迫ります。 野生のものを人工的に強めることで弱くなる部分もあるというのは「獣の奏者」との共通点を感じま...
食料自給率の低い私たちの国でもしも米が全滅したらと思うとぞっとします。隣国との関係も決して良くはなく、エネルギー資源豊富な某国の戦況にも不安を感じる中で読み、多様性の大切さが胸に迫ります。 野生のものを人工的に強めることで弱くなる部分もあるというのは「獣の奏者」との共通点を感じました。 異郷の存在がなんとなくすっきりしませんでしたが、いずれ番外編のような形で読めたりしないのかな、と小さく期待しています。
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面白かった。 これが全て。 正直なところ、上巻だけでは、そんなでしょぐらいに思っていた。 しかし、下巻に入り、ちょっと理解できないところへの巧みな説明にも感心したし、物語への巻き込み方もすごかった。。。 オリエもアイシャも尊敬すべき愛すべき人であり、小説としての伏線回収も見事であり、リーダー論としても突き刺さるものがあり、本当に素晴らしい本。
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とても読了感の良い小説でした。 主人公アイシャの生き方が、自分も明日から頑張ろうと思えました。 草木の気持ちをひたむきに理解しようとするその考え方が、読んでて応援したくなりました。読み応えあるので、腰を据えて読むことをお勧めします!
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大好きな上橋菜穂子さんの新刊がでたと、書店へ。 児童書のコーナーをうろうろしても見当たらず。 文芸書のコーナーにどっさりあった。 そうか、もはや、文芸書かあ…… やはりその世界観、構成力、文章力には圧倒される。 たくさんの登場人物を配置し、風景、食べ物、服装、 ファンタジーなのにリアリティーが半端ではない。 そして小さきものへの『愛』に心を揺さぶられる。 香り あらゆるものが発する香り それには意味があるのだ。 そして、それを感じる少女はどこまでも孤独だ。 緻密な検証に基づく深いメッセージ、 今を生きる私たちが受け取らなければならない。 たったひとつの不満、登場人物、地形が混乱してしまい、自分の老いが悲しかった。 ≪ 草も木も 香りで叫ぶ 助けてと ≫
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