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香君(下) の商品レビュー

4.5

225件のお客様レビュー

  1. 5つ

    122

  2. 4つ

    69

  3. 3つ

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2024/08/12

上橋菜穂子の作品となったら、面白いことは分かりきっていた。 ファンタジーでありながらも、自然現象は我々の世界でも起こりうるような話であり、現実を垣間見ながら物語を読み進めることができた。 この作品は、他の上橋さんのファンタジーと比べて、地味であり、話の流れも想像ができるものであっ...

上橋菜穂子の作品となったら、面白いことは分かりきっていた。 ファンタジーでありながらも、自然現象は我々の世界でも起こりうるような話であり、現実を垣間見ながら物語を読み進めることができた。 この作品は、他の上橋さんのファンタジーと比べて、地味であり、話の流れも想像ができるものであったので、正直少し拍子抜けだとも思った。しかし、豊かな内容であることには間違いがない。読み終わった時、じんわり感動に浸ることもできる。

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2024/07/27

めちゃくちゃ良かった。 いろんな人の利害が交錯して、何が一番正しいかわからない中、どう決断するかを判断しなくてはいけない時、自分よりも優れた誰かに決断を委ねたくなる様子を見てしまった。 選択の責任からも逃れられるもんね。 専門家たちや領主たちの様々な主張が描かれていて、複雑に...

めちゃくちゃ良かった。 いろんな人の利害が交錯して、何が一番正しいかわからない中、どう決断するかを判断しなくてはいけない時、自分よりも優れた誰かに決断を委ねたくなる様子を見てしまった。 選択の責任からも逃れられるもんね。 専門家たちや領主たちの様々な主張が描かれていて、複雑に絡み合った状況の中で、何が一番良いのか、私も一緒になって考えた気持ちです。 虫の専門家たちがカッコよかった。日の当たらない職業だけど、好きで研究を続けていた方達のおかげでヒシャの生態がわかり、不必要に恐れることがなくなった、というとこ、めちゃくちゃ感動しました。 誰かが真剣にしてきたことが、誰かを救って支えることがある。 世界ってすごく複雑で美しいな〜 あとがきにあったオススメの本たち、読みたいなと思いました。

Posted byブクログ

2024/06/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

絶対の下限よりさらに少ない比率で作られた強いオアレ稲がとうとう生み出されてしまい、大マヨが変異するのか新たな虫が飛んでくるのではとハラハラしているとヒシャがやってきた…。ヒシャの生態の描写、特に産卵、孵化、咀嚼、飛翔の流れが本当にあっという間で身近にこの虫がいたら…と思うとゾワゾワしました。作中ではこの虫、オアレ稲だけでは飽き足らず周囲の草木をもぺろりんちょと平らげていく脅威の腹ぺこ虫具合ですが、底なしの腹へり故に人の衣や、保存してる食べ物、人自身まで食い尽くしてしまうのでは…と戦々恐々の思い出読み進めていました。物語のクライマックスの手前イールによるオリエの暗殺未遂!!君ならそういうことするよね!とワクワク半分も今まで利用してきた香君にこの仕打ち!?と怒り半分。皇帝と藩王国民、貴族全ての民を介して話し合いの場が設けられた場でも横槍を入れるイール!!!マシュウこの人を何とかして!!!と祈りながらの時に意を決したアイシャの強い言葉に胸撃たれました。ラストのユーラさんとアイシャの語らいの情景描写は何故か目に浮かぶほどの周囲の景色と空気感で作中で一番好きなところです。今年は、大雨続き、猛暑と異常気象の年(毎年のような気がします)、すでに野菜も不作がちらほら。こんな天気が数年、数十年続いたら季節の虫、花、草木も適応するように姿かたちから生態まで変わってしまうのかしらとふと気になりました。何が出来るというのかと冷めてしまうも、この物語を読んでしまったからにはきっとずっと季節が変わる度に、思い出すのでしょう。

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2024/05/28

香りが物を言う。大発生のヒシャに対し、どう立ち向かうか、領民をどう守り、どのように納得させるか、ハラハラしながら、読みました。おもしろい。

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2024/05/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ストーリー自体は文句なしに面白い! 世界観がしっかりしてて、どっぷりのめり込めた。 ただひとつ。 弟とじいやの出番は序盤で終わり?? もっと絡んでくるかと思ったら、時々近況だけサラッと出てくる程度で。 なんだかもったいないなぁと。 特にマシューにとっては弟くんもアイシャと同じいとこでしょ? アイシャにはあんなに至れり尽くせりなのに弟に対してはあっさり。 能力がなければ用がない? それも描かれていたマシューの人物像と一致しなくて。 そこだけなんだかモヤモヤ。

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2024/05/16

すべての生物は存在すべくして生きてる。そのつながりが如何に大切かを実感。 やっぱり上橋さんのファンタジーの世界は大好き!昔読んだ守り人シリーズをまた読みたくなった。

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2024/05/01

香君下巻。 オアレ稲の正体や香君の成り立ちなどが判明。 必要最低限の肥料の謎なども分かります。 私たちは、食物連鎖の上に成り立っている訳で。 虫がたかって植物が駄目になっていくのも理由があり。(その虫を食べる生き物もいるわけで)駄目になっていくのは悔しいけれど、虫にたか...

香君下巻。 オアレ稲の正体や香君の成り立ちなどが判明。 必要最低限の肥料の謎なども分かります。 私たちは、食物連鎖の上に成り立っている訳で。 虫がたかって植物が駄目になっていくのも理由があり。(その虫を食べる生き物もいるわけで)駄目になっていくのは悔しいけれど、虫にたかられても大丈夫な植物がむしろ異常なわけで。 そういう連鎖をいじってはいけないと言っているのではないかなぁと思いました。

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2024/04/04

とても面白かった…! 植物とともに強く生きる雰囲気がケルトの音楽と一緒に全体を流れているように感じる。 水戸黄門的スッキリ感。ああ。 大地とと共に生きる人々の暮らしの美しさを感じた。 「風に知る万象」。今私たちが生きているこの世界とこの物語の同じ部分を思って心が震えた。

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2024/03/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

上巻を読み終え、一気に読んでしまった下巻。上巻が自然の偉大さや美しさを感じるのに対し、下巻はまさしく恐怖だった。自然が一度動き始めると、私たちは本当にどうすることもできないのだなと感じた。一貫して素晴らしく読み応えがあったが、アイシャが香君にならなければならなかったラスト、オアレヅマとはいったい何なのか?疑問が残ってモヤっとし、少しの物悲しさを感じた。ただ、あえて書かなかったのは読者が考えるところなのかとも思った。もう一度読み返して、また考えてみたい。

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2024/03/29

オリエが皇帝、藩王、貴族たちに話し合いの場を作り、アイシャがバトンを受け取った場面で感極まりました。 人間は、大抵のことを自分の身に起こってから深刻に捉える生き物で、他国や他人が苦しんでいるといくら聞かされても、自分の利益を優先してしまうものだと改めて認識させられました。 最...

オリエが皇帝、藩王、貴族たちに話し合いの場を作り、アイシャがバトンを受け取った場面で感極まりました。 人間は、大抵のことを自分の身に起こってから深刻に捉える生き物で、他国や他人が苦しんでいるといくら聞かされても、自分の利益を優先してしまうものだと改めて認識させられました。 最後は皇帝がしっかりと決断できたのが良かったです。あくまでも、神のお告げではなく、人々が自分たちで未来を切り拓いたところに感動しました。 アイシャが、自分は孤独な存在であることをポジティブに受け止めて、人々と支え合って生きていこうと決意するところにも、ハッとしました。 私たち人間は皆、孤独に生きているけれど、お互いが声を掛け合い、聴き合えば幸せを感じることができると思いました。オリエにマシュウが上着を羽織らせる場面が素敵でした。

Posted byブクログ