オオルリ流星群 の商品レビュー
登場する同級生たちは45歳。それぞれが大きな挫折を経験し、もしくは理想と現実との乖離に目を背けている。ただ彼らが無心で天文台造りに取り組むことで、自分はまだやれると自信を取り戻したのではないかと思う。私は昨年60歳になり、何度目かの人生のターニングポイントに来ている。この本を読ん...
登場する同級生たちは45歳。それぞれが大きな挫折を経験し、もしくは理想と現実との乖離に目を背けている。ただ彼らが無心で天文台造りに取り組むことで、自分はまだやれると自信を取り戻したのではないかと思う。私は昨年60歳になり、何度目かの人生のターニングポイントに来ている。この本を読んで、ささやかなことでいいので何か新しいことに挑戦してみようと思えたことはこの本を読んだ収穫だった。それぞれの人物設定が絶妙で、最後の数ページはぐっと来るものがあった。秦野にはゴルフで時々行くが、秦野の山から相模湾にかけてオオルリが舞い、また満天の星が輝く秦野の夜空が鮮やかに目に浮かぶ。
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人生の2回目の思春期“思秋期“を迎えたアラフィフの元同級生たちのドラマがとてもリアル。同世代は共感必至。 ロマンチックでもあり最先端科学でもある天文学をバランスよく日常にまとめていて、秀逸。
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3冊目の伊与原さん。『八月の銀の雪』も『月まで三キロ』もとても良かったので、初めて読む伊与原さんの長編に期待大でした。 家業の薬屋を継いだ45歳の種村久志は高校3年生の夏、文化祭のために空き缶を集めて巨大なタペストリーを作った。その時の主要メンバーだったスイ子こと彗子が、地元に...
3冊目の伊与原さん。『八月の銀の雪』も『月まで三キロ』もとても良かったので、初めて読む伊与原さんの長編に期待大でした。 家業の薬屋を継いだ45歳の種村久志は高校3年生の夏、文化祭のために空き缶を集めて巨大なタペストリーを作った。その時の主要メンバーだったスイ子こと彗子が、地元に戻って来ているという噂を耳にする。久志の同級生である修と千佳と…彗子が太陽系の果てを観測するために手作りで天文台を建てるというのを手伝うことに。 4月から10月までの半年間を、久志と千佳の二人の視点から交互に描いています。45歳という屈託多き年齢…実はみんな、それぞれに何かしらか抱えているんですが、それぞれの思いや28年前の真相が、徐々に明らかになっていきます。 今作は私も結構好きな天文がテーマ。太陽系の果てにあるというエッジワース・カイパーベルトや星食、流星と電波の関係などなど、とても興味深かったです。 ままならない人生、劇的な奇跡は起きないけれど、それぞれが踏み出した小さな一歩に希望が感じられます。大切な仲間と過ごしたひと夏の大人の青春…ラストは胸がいっぱいになりました。
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中年の青春物語?恵介若くして亡くなる意味あったのか?“奔流”に続き天体望遠鏡。3年ご無沙汰の丹沢、バカ尾根下向いて歩いていたが、衝突・隆起で“日本のヒマラヤ”とは⁈ “ミドルエイジクライシス”気がつけば40代、俺の人生これでいいのか?“45歳定年制”70までの中間点というだけでな...
中年の青春物語?恵介若くして亡くなる意味あったのか?“奔流”に続き天体望遠鏡。3年ご無沙汰の丹沢、バカ尾根下向いて歩いていたが、衝突・隆起で“日本のヒマラヤ”とは⁈ “ミドルエイジクライシス”気がつけば40代、俺の人生これでいいのか?“45歳定年制”70までの中間点というだけでなく、ある程度歳とったからできる事はある。無知だと常識に縛られるしかないが、歳取れば、物事はいろんなやり方あるって事知る。幸せの総量もいいが、足るを知るが肝要。考えさせられる言葉いっぱい。でもなんかズレてない?
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面白かった。 天文台を作りたい、という一本のストーリーが真ん中にあり、ぶれがないことに安心感があった。 個人の問題が解決していないのも、いい。 日常は、そうそう劇的に変化するものではない。 ただ、ほんの少しだけ上向きになっていると、その積み重ねは大きい。最後、そのほんの少しの...
面白かった。 天文台を作りたい、という一本のストーリーが真ん中にあり、ぶれがないことに安心感があった。 個人の問題が解決していないのも、いい。 日常は、そうそう劇的に変化するものではない。 ただ、ほんの少しだけ上向きになっていると、その積み重ねは大きい。最後、そのほんの少しの上向き加減が感じられるのも、またいい。
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今でも感じることや考えさせられる言葉などはあったが、もっと年月を重ねて読むとさらに深く、些細な感情の機敏のことまで自分にしみこんでくるような話になるだろうと思った。
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誰でも「こんなはずではなかった。なんでこうなってしまったのか」という思いを少なからず抱きながら今を生きている。 でも、手の届くところから始めないと、手と足を動かしてみないと。
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秦野市、文化祭で協力した高校の同級生の28年後。親の跡を継いで薬局経営する久志は幸福な気分になれない。中学教師は千佳、仕事の情熱が湧いてこない。修は仕事を辞めて、司法試験にチャレンジ。和也は引きこもり。恵介は死んだ。国立天文台に努めていた彗子が地元に戻ってきた。天文台を作りたいと...
秦野市、文化祭で協力した高校の同級生の28年後。親の跡を継いで薬局経営する久志は幸福な気分になれない。中学教師は千佳、仕事の情熱が湧いてこない。修は仕事を辞めて、司法試験にチャレンジ。和也は引きこもり。恵介は死んだ。国立天文台に努めていた彗子が地元に戻ってきた。天文台を作りたいと言う・・・ 良かった。天文のことはさっぱり分からないけど問題なし。 それぞれの登場人物の鬱屈とした内面に共感してしまう。いわゆるミッドライフ・クライシスを迎えた者たちが、彗子の夢に乗っかる。そのスムーズな流れやラストも良かった。
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40~50代を生きている人には特に染みる内容。多くの中年は高校で何か一つ彼らのように熱くなって取り組んだこともなければ、友人の手伝いで天文台を作り上げることもない。ただ、淡々と生きている。だからこそ、この話のような小説などで達成感を分けて貰うのだ。 読み始めは共感しかない中年停滞...
40~50代を生きている人には特に染みる内容。多くの中年は高校で何か一つ彼らのように熱くなって取り組んだこともなければ、友人の手伝いで天文台を作り上げることもない。ただ、淡々と生きている。だからこそ、この話のような小説などで達成感を分けて貰うのだ。 読み始めは共感しかない中年停滞感を感じてつまらなかったが、彗子のプレゼンにやられ、科学部なのに好きな天文がなくてつまらなく感じていた高校生渡辺君の、星に興味ないのに皆さんがこんなこと手伝っているのが謎発言に「四十五歳になったらわかるよ」に深くうなずき、さいごに思わず落涙して終わる本です。
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伊与原さんは、松任谷由実「ジャコビニ彗星の日」からインスピレーションを受けて、この小説を書いたのでは? この曲のことは知らなかったが、小説の中に出てきたので、Youtubeで聴いてみたら、歌詞にこの小説を思わせる部分が。小説の舞台は、神奈川県秦野市。高3の文化祭で、空き缶を使った...
伊与原さんは、松任谷由実「ジャコビニ彗星の日」からインスピレーションを受けて、この小説を書いたのでは? この曲のことは知らなかったが、小説の中に出てきたので、Youtubeで聴いてみたら、歌詞にこの小説を思わせる部分が。小説の舞台は、神奈川県秦野市。高3の文化祭で、空き缶を使った巨大なタペストリーを作った級友たちの26年後。秦野にずっと住んでいた者、久し振りに帰ってきた者が、久し振りに集まって、天文台作りに力を合わせる。不惑、惑わないはずの40代が、惑ってばかり。そんな彼らの天文台開きの夜がとても感動的。
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