タイムマシンに乗れないぼくたち の商品レビュー
寂しかったり、生きづらさを感じていたり… 同じような気持ちを抱えている人がきっとたくさんいる。 そんな人たちにそっと寄り添ってくれる心に沁みる物語だった。 特に最初の『コードネームは保留』が好き。 みんなが輝いて見える。 自分はそんな存在とは程遠い。 でも相手から見たら、自分も輝...
寂しかったり、生きづらさを感じていたり… 同じような気持ちを抱えている人がきっとたくさんいる。 そんな人たちにそっと寄り添ってくれる心に沁みる物語だった。 特に最初の『コードネームは保留』が好き。 みんなが輝いて見える。 自分はそんな存在とは程遠い。 でも相手から見たら、自分も輝いてみえている。 本当は距離や違いなんかなくて、色んな想いを抱えているけど、それを見せずに、みんな同じように一生懸命生きているんだよなって感じた。
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ひとつひとつがとても深くて短編にするにはもったいないと思った。 もっともっと読んでいたい、この物語の世界に浸っていたいそんな本、出てくる人は身近にいそうで感情移入しやすいです。
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【収録作品】コードネームは保留/タイムマシンに乗れないぼくたち/口笛/夢の女/深く息を吸って、/灯台/対岸の叔父 何かが解決するとかいう話ではない。 でも、疲れた心に寄り添ってくれる物語たちだ。 自分は一人だ、でも、一人じゃない。本を読むとそれがわかる。 「WEB本の雑誌」https://www.webdoku.jp/newshz/matsui/2022/03/23/184839.html
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他人と馴れ合うことが苦手で、周囲と一線を引いて生きざるを得ない不器用な人たちを描くヒューマンドラマ短編集。全7話。 * * * * * 諦念と言ってよい心境で世間と折り合いをつけ生きてきた主人公たち。そんな彼らが、ふとした出会いをきっかけにして心の世界を広げて...
他人と馴れ合うことが苦手で、周囲と一線を引いて生きざるを得ない不器用な人たちを描くヒューマンドラマ短編集。全7話。 * * * * * 諦念と言ってよい心境で世間と折り合いをつけ生きてきた主人公たち。そんな彼らが、ふとした出会いをきっかけにして心の世界を広げていく。その描写が興味深かった。 特に印象深かったのは1話目の『コードネームは保留』。 ああ何となくわかる、その感覚。まず、そう思いました。 6話目『灯台』でもそうだったのですが、感覚を共有できる人はきっといるはずです。その人との距離は遠く離れているかもしれない。それでも……。 また、表題作と5話目で描かれる、少年や少女の密やかな成長譚も胸を打ちます。さりげなさがいい。 寺地さんらしい、心にじんわり効いてくる7作品です。やっぱりいいなと感じ入りました。
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なんだか いい。短編集だが、どの作品にも語られるのは世間から見ると孤独であったり「可哀想」と括られるような人物だけど、どの作品でもそのままに居る訳ではない。そして世間なんて結局上辺だけなので捕われるな!という気になる。
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「ひとりはさびしいのでもかっこいいのでもなくて、ただのひとりだ。そのひとりの時間を存分に慈しむのも悪くないのかもしれない。」(コードネームは保留) 「しあわせとやらが一種類ではないことぐらい、わたしたちはもうちゃんと知っているはずだ、そうではないのか」(口笛) 『深く息を吸って、』の《きみ》を応援したい。
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*人知れず抱えている居心地の悪さや寂しさ。そんな感情に寄り添い、ふと心が軽くなる瞬間を鮮やかに掬い取る。注目の著者が放つ七篇* “”孤独と「戦う」わけではなく、また「乗り越える」でもなく、仲良く手を繋いでとまではいかないけれども、孤独とちょうどよい距離を保ちながらともに生きていこうとするような、そういう人びとの物語を書きました。――寺地はるな“” と言う解説そのもののお話たち。 孤独=悪いもの、怖いもの、悲しいもの、と決めがちだけど、静かに淡々と受け入れて併走していくのもまた人生なのでは。 特に好きなのは、「コードネームは保留」。 人知れず「殺し屋の設定を生きる」主人公が、全く相容れない同僚のことを「違う星で遠いけど、時々こうして交信出来たらいいな…」と思うようになる経過が自然で、その絶妙の距離感が素晴らしい。さらりと読めて、じんわり残る読後感です。
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独立した7編を収めた短編集。 寺地さんの作品は気になっていたものの読めておらず、今回がお初です。 柔らかくかわいらしく情緒的な表紙とタイトルに惹かれて。 どのお話でも、主人公たちは社会…身の回りの社会や空気に馴染めなかったり疑問を持っていたり、大事なものを失って立ち尽くしてしま...
独立した7編を収めた短編集。 寺地さんの作品は気になっていたものの読めておらず、今回がお初です。 柔らかくかわいらしく情緒的な表紙とタイトルに惹かれて。 どのお話でも、主人公たちは社会…身の回りの社会や空気に馴染めなかったり疑問を持っていたり、大事なものを失って立ち尽くしてしまったり。 けれど小さな出会いや出来事によって新しい視点が開けたり、今まで踏み出せなかった一歩を踏み出すことができたり。 すっごく追い詰められてもう駄目だってわけじゃないけど、なんかどこか息苦しい、って思うときあるよね。 そんなあれこれを丁寧に掬い取って、はいこれ。こんな世界や考え方があるよ。もう少し楽にならない?ってやさしく見せてくれている感じ。 ざっくりした感想はそんな感じです。 主人公は小学生の男の子や中学生の女の子、主婦やOL、ホームセンターの店長やってる男性など、老若男女さまざま。いろんな世代の人にスポットが当たっていて、そこもおすすめポイントで、良いところだと思います。 収められている短編のそれぞれのタイトルは、 「コードネームは保留」「タイムマシンに乗れないぼくたち」「口笛」「夢の女」「深く息を吸って、」「灯台」「対岸の叔父」。 以下全部じゃないけどぶつぎりな雑多な感想をば… 私が一番好きなのは、表題作のタイムマシンに乗れないぼくたち。小学生の男の子の考え方も好きだし、そこからこの詩のようなタイトルになるのかぁという話の繋がりも面白くて、終わり方も好き。 夢の女は、主人公の主婦が夫に先立たれて、その気持ちを誰も、娘さえも分かってくれないよね。と思っていたら…悲しんでいたり落ち込んだりしていたら一つの視点しか見えなくて、別の視点もあることになかなか気づけない…そんな状態から主人公の視界が開ける瞬間の描写が好き。 あとは対岸の叔父も印象深い。叔父の強烈なキャラもそうだけど、やっぱり最後の疾走感がとてもいい。
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寺地はるな初読。 7編の短編集。 世間的には少し弱くて、自分にはちょっと厳しくて、他者を切り捨てることのできない優しい人たちの物語。 「ひとりはなるほど気楽で、すこしさびしい。でもさびしさを埋めるために誰かと一緒になるのは、それこそわがままではないのか。」(「コードネームは保...
寺地はるな初読。 7編の短編集。 世間的には少し弱くて、自分にはちょっと厳しくて、他者を切り捨てることのできない優しい人たちの物語。 「ひとりはなるほど気楽で、すこしさびしい。でもさびしさを埋めるために誰かと一緒になるのは、それこそわがままではないのか。」(「コードネームは保留」)p25 A型じゃないかな、この人(笑) 「世界と自分とがくっきりと隔てられている。~なんだか分厚い透明ななにかに隔てられている。~透明の仕切りごしに彼らを観察しているだけ、というポーズでどうにか顔を上げていられる。」(「タイムマシンに乗れないぼくたち」)p52 この2作品。 そうなの、わかる。私も同じ、と作者の手を取りたい気持ち。 大人になった今でも、「設定」の中で日々を生きていたり、「ポーズ」を取ることでどうにかその場に踏みとどまれたり、ということがよくある。 私もきっとタイムマシンには乗れないんだろうな。 好きだなと思う作品。 「コードネームは保留」 「口笛」
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現実に向き合わずやり過ごす方法を描く。 コードネームは保留:設定として殺し屋を生きる。 タイムマシン〜:転校先の学校に馴染めず博物館で過ごす。 夢の女:未亡人がサエリという架空の女と生活。
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