1,800円以上の注文で送料無料

ミシンと金魚 の商品レビュー

4.1

230件のお客様レビュー

  1. 5つ

    82

  2. 4つ

    86

  3. 3つ

    43

  4. 2つ

    5

  5. 1つ

    2

レビューを投稿

2023/12/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

物語が語り口調で進んでいくので、しかも方言のような独特な口調が読みづらい感じもあるけど、後半その語りがリアルで、お話に力強さが加わったように感じた。 認知症の人の語りは、つらくて背けたくなり、 こんなふうに周りを見ているのかな。と感じた。 主人公のカケイさん、最後に思った言葉 『わるいことがおこっても、なんしらいいことがかならず、ある。同じ分量、かならず、ある。』 玄関に転げ落ちて起き上がれなくなったれど、その体制でいたからこそ、無くした子供の手形をみつけることが出来、自分の手を重ねる。 なんと言って良いのかこの読後感。

Posted byブクログ

2023/12/19

あぁー、ボケるとはこう言うことか! 新聞で日付を確認し、亡くなったことを忘れて、亡くなったと言う事実にまた悲しみを上書きする。 最後にリヤカーで迎えに来てもらえたら、笑える。そんな最期もいいかも。

Posted byブクログ

2023/12/12

とても良かった。 カケイさんの人生はあまりにも壮絶で目を背けたくなるようなことばかり。 だけど、ミシンがあって、道子と過ごした時があって、兄貴と広瀬のばーさんがいて、みっちゃん達がいて、本当に良かった。

Posted byブクログ

2023/12/12

壮絶な人生を送った認知症主人公のひとり語り。ずっしり重く、心が詰まる作品。私は救いを見出せなかったので、とても辛い読後感でした。

Posted byブクログ

2024/02/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

著者がケアマネということで、認知症高齢者も取り巻く人々もリアルに思えた。 今日のことが分からなくても、その場の人の感情には敏感で、優しく接してくれる人には、それなりに行動で示そうとするところが健気で、愛されるおばあちゃんなんだろうなぁと思う。喋り方も可愛いし。 とはいえ、語られる人生は壮絶で、厳しい生活の中、手に職つけて子ども育てて生きてきた女性の強さも感じられる。 人生の終盤、思いがけず、大事にされていたことを知る。辛い記憶の中にも、幸せを見つける。そして、もしかしたら助かるかもしれない最後の蜘蛛の糸を登ることを選択せず、自然に身を任せ、死を感じる。過程はどうあれ、美しい最期だと思った。

Posted byブクログ

2023/12/03

認知症を患う高齢女性が主人公で、一人称の語りで書かれている。細かく認知症の人の内面を表現していると思ったら、著者はケアマネさんだと、読み終えてから知った。 主人公の心の中の表現は秀逸で、「ああ、認知症の人からは、こんなふうに見えてるのだ」と納得してしまう。見方が少し違うし、時間軸...

認知症を患う高齢女性が主人公で、一人称の語りで書かれている。細かく認知症の人の内面を表現していると思ったら、著者はケアマネさんだと、読み終えてから知った。 主人公の心の中の表現は秀逸で、「ああ、認知症の人からは、こんなふうに見えてるのだ」と納得してしまう。見方が少し違うし、時間軸も少し違う。そして、読み進むうちに主人公の人生をたどり、悲しみや誇りや優しさ、やるせなさなどの主人公の感情の追体験をしたような、なんとも言えない読後感だった。

Posted byブクログ

2023/11/25

 時間を漂う心許なさが、こちらに伝わってくる一方、易々と共感することは許されないだろうと思う感情が入り乱れた。  いずれ、カケイさんと同年代になった時、自分はどうやって、今日は何月何日何曜日かを知るのだろうか。 風は季節を教えてくれるのか。 そんなことをぼんやり思う。

Posted byブクログ

2023/11/20

最初は認知症の表現がなんだかリアルと感じる程度だったが、主人公とその周りの壮絶な人生がみえるにつれて、夢中になって読み進めた。 壮絶な人生も認知症になって振り返ると残っているものは少ない、そんなものかもしれない… 寂しいが孤独ではないだけいいのかもしれないよなぁとも思う。 1人語...

最初は認知症の表現がなんだかリアルと感じる程度だったが、主人公とその周りの壮絶な人生がみえるにつれて、夢中になって読み進めた。 壮絶な人生も認知症になって振り返ると残っているものは少ない、そんなものかもしれない… 寂しいが孤独ではないだけいいのかもしれないよなぁとも思う。 1人語りの形だからこそ、本人の感情は語られるが、周りの人たちの感情などは自分で考えてしまい、考えるうちに入り込んでいった部分もあるのかなと思う。 周りにいる昭和を生き抜いた方の人生の話も聞いてみたくなった。 何年、何十年後かに再読したい作品。

Posted byブクログ

2023/11/20

昭和を生き抜いてきた今の高齢者の方たちの生きざま 辛いことも全てまとめて背負って、それでも生きる そして老いて死ぬ サラリと書いてはあるが、なかなかどうして骨太な本だった

Posted byブクログ

2023/11/19

花はきれいで、今日は死ぬ日だ。 自然に死を迎えることが許されたなら、誰しもがその人生の最後に向き合う「私は幸せだっただろうか」という問いに、愛憎と悔恨に満ちた人生を終えようとする、彼女の渾身の答えとは。 認知症を患う「あたし」による語りで綴られた本作は、優しく読みやすい文体とは...

花はきれいで、今日は死ぬ日だ。 自然に死を迎えることが許されたなら、誰しもがその人生の最後に向き合う「私は幸せだっただろうか」という問いに、愛憎と悔恨に満ちた人生を終えようとする、彼女の渾身の答えとは。 認知症を患う「あたし」による語りで綴られた本作は、優しく読みやすい文体とは反対に、胸が苦しくなるような孤独と悲哀が表れていて、読み進めるのがとても辛かった。それでも、悲しみや苦しみだけでなく、美しい思い出もあるのが人生で、その人生の悲喜交々のなかで見つけた一瞬のきらめきのようなものが「答え」であり「全て」なのかもしれない。 彼女に自分を重ねると、とても耐えられないような重く切ない内容なのに、どうしてかポジティブで穏やかな読後感のある作品でした。 壮絶な人生にピリオドを打つ一人の女性の追憶の中に想いを馳せる、心洗われる一冊。 人に勧められるような楽しい本ではないけれど、私はこの小説に出会えてよかった。 この小説に心を震わせる感性が私の中にあったことが、私は嬉しい。

Posted byブクログ