千年の読書 の商品レビュー
またまた素敵な本に出逢ってしまった。 三砂さんのことは全然知らなかったのだが、本の語りが優しくて素敵。 上からの目線ではなく、私たちと等身大のところから、一緒に考えていく中で様々な本を紹介してくれる。 生きている中で私たちが経験する試練や疑問を それぞれのテーマごとに一緒に考えて...
またまた素敵な本に出逢ってしまった。 三砂さんのことは全然知らなかったのだが、本の語りが優しくて素敵。 上からの目線ではなく、私たちと等身大のところから、一緒に考えていく中で様々な本を紹介してくれる。 生きている中で私たちが経験する試練や疑問を それぞれのテーマごとに一緒に考えてくれる感じが素敵。 テーマは「人生を変える本」「働き方」「生きづらさ」「お金」「食事」「瞑想と脳」「死」。 どのテーマもおもしろいのだが、私は特に「死」のテーマが印象的だった。 「死」という言葉が存在する以上、「死」は存在のひとつの状態をさし示すことになる。 つまり「死」は存在形態のひとつとして、「在る」ものなのである。 ではどういう状態で「在る」のか、というところから死後の世界の概念が生まれてくる。 これは言語がもたらしたそもそもの錯覚なのではないだろうか。 厳密に考えるのなら「生きている」の反対概念は「死」ではなくて、 「生きていない」でなければならない。「生」というものが「在る」ものならば 「生きていない」という言葉は「無」を意味するはずである。「生きている」か「生きていないか」か この2つのありようのどちらかなのであって、「死」という状態は想像力によってのみ想定され得る概念でしかない。 今の自分自身にすっと寄り添ってくれるような視点、自分の中でまた一つ新しい視点が増えていく。 いろいろな視点を知るのが本当にうれしい。 この本は時間をあけずに再読する。 久しぶりに日常生活の何よりも優先して読みたい本だった。 読みたい本がものすごい増えてしまった。これもうれしくて素敵なこと。 以下、印象に残った部分(私の感想も一部入っている)。 傑作というのは、それのみで、孤独の中で誕生するわけではありません。 何年もかけてみんなで考えた結果、人々が一体となって考えた結果として誕生します。 ゆえに1つの声の背後には集団の経験があります。 私たちが本屋で手に取る一冊が、実は人類の歴史と地下水脈のようにつながっているのです。 書物の一冊一冊には、時の流れのなかで、 我々が加えた解釈がこびりついています。我々はシェイクスピアをシェイクスピアが書いたようには読みません。 したがって、我々のシェイクスピアは、書かれた当時に読まれたシェイクスピアよりもずっと豊かなんです。 書物は読まれるために変容します。それは我々が経験してゆく出来事と同じです。 偉大な書物はいつまでも生きていて、成長し、我々とともに手を取りますが、 決して死にません。時と共に作品は肥沃になり、その一方で、 面白みのない作品は歴史の傍らを滑りぬけ、消えてゆきます。 傑作は、初めから傑作なのではなく、読まれることで傑作になっていくのです。 悪気がなくて、想像力も欠如した人が一番おそろしいんですよ。 僕は常日頃思っているんです。世界には冷たい雨が降り続いていて、僕達にはそれを止めるすべはない。 でも想像力という傘があれば ― それが小さければ自分だけだけど、 大きく広がる傘なら たくさんの人を 雨に濡らさずすむかもしれない 「幸せのイメージ」がときに「それらを得られない人々への暴力になる」 子どもの写真が印刷された年賀状が、送る相手によって人を傷つけてしまうことに、 どうしてこれほど多くの人が思い至らないのか。 貨幣はいくらかエネルギーに似ており、時間軸に沿って移動できる。 このエネルギーはたいへん役にたつと同時にきわめて危険でもある。 貨幣のタイムトラベルが可能なのは、まさに利子があるからだ。 貨幣のこの性質のおかげで将来のエネルギーを今日の利益のために移転することができる。 債務が未来から現在にエネルギーを転移できるのに対し、 貯蓄は過去から今日にエネルギーを移転することができる。
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こんな本書けたら良いな、と思うくらいよく纏まった書評本。 紹介される本の充実度、博覧強記な著者、扱うテーマも哲学、瞑想、料理、経済、旅…と守備範囲広く、気合いも十分。読みたいなと思う本がまた沢山増えた事と、何より読んだ本の感想をブクログにダラダラ書いている自分自身との質の違いを...
こんな本書けたら良いな、と思うくらいよく纏まった書評本。 紹介される本の充実度、博覧強記な著者、扱うテーマも哲学、瞑想、料理、経済、旅…と守備範囲広く、気合いも十分。読みたいなと思う本がまた沢山増えた事と、何より読んだ本の感想をブクログにダラダラ書いている自分自身との質の違いを感じ(まあ、こちらは仕事じゃなくて趣味なのでダラダラで良いのだが)、「この本、自分が書いた事にならないかな」と妄想するほど。 久々に本好きのエネルギー溢れる書評本を読んだ、という満足感がある。出だしからシブい。 ー 教養は順境にあっては飾りであり、逆境にあっては避難所であると言う。古代ギリシャの哲学者、アリストテレスの言葉。アリストテレスとともにギリシャ世界は、口頭の教えより、読書の習慣へと移った。 一点だけ、本筋ではないが著者がどんな人間?と思い、読書のノイズとなった点。「自分のコートを家族に仕舞えと言われたら、家族がしまうものだと思ってイライラしていた」コレなんだろう。亭主関白?衣替えの話?こどおじ?この一文が気になり、その後の料理してます感もすんなり頭に入らず。 たまにある画竜点睛を欠く感じ。まあ、著者が人間的に完璧だなんて望みはしないが、何となく、素晴らしい本は素晴らしい作者だ、と信じ込みたい自分に気付いた。綺麗ごとを並べるなら、特に。
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本書では、社会、人生、働き方、お金、料理、死など、各テーマごとにそれを題材とした本が紹介されつつ、歴史的な議論の変遷などが紹介されます。 正直私には難しい内容もありましたが、本書の中で紹介される書籍は200冊以上にも及び、その中で、この本読んでみたいな、と思える書籍に数多く出...
本書では、社会、人生、働き方、お金、料理、死など、各テーマごとにそれを題材とした本が紹介されつつ、歴史的な議論の変遷などが紹介されます。 正直私には難しい内容もありましたが、本書の中で紹介される書籍は200冊以上にも及び、その中で、この本読んでみたいな、と思える書籍に数多く出会えます。私も気づいたら、アマゾンのカートが本で溢れていました。 私は子どものときから、読書をする人は頭が良いというイメージがあり、実際に私自身が読書好きになった後は、なぜ自分は頭が良くならないのかな、なんてお馬鹿なことを考えていました。本書で紹介される本は古い本から新しい本まで幅広いですが、小説はほぼありません。歴史を知り、社会を知り、哲学を知り、自分と向き合い、考えを深めていくためには、その時人気のタイムリーな小説だけでなく、本書で紹介されるような名著をたくさん読む必要があるのだろうなぁ、と思いました。小説ばかり読んでいた私ですが、実際、本書で紹介されている数冊を読んでみました。読書の新たな扉が開いた気がして、とても楽しいです。読書って本当にいいですね。
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『千年の読書』 三砂慶明著 ①テーマ別の選書 ★★★★★★ ※お金、死など。 ②著者の魅力 ★★★★★ ③本好きの世界 ★★★★★ ------------ 【購読動機】 読者レビューがきっかけです。 レビューのなかに「読んでみたい1冊がちりばめられている」「本を読みたく...
『千年の読書』 三砂慶明著 ①テーマ別の選書 ★★★★★★ ※お金、死など。 ②著者の魅力 ★★★★★ ③本好きの世界 ★★★★★ ------------ 【購読動機】 読者レビューがきっかけです。 レビューのなかに「読んでみたい1冊がちりばめられている」「本を読みたくなる理由がすっきり解釈できた」という内容がありました。 本だけを題材にした書籍を手にしたのは、これがはじめてです。 ------------ 【著書の魅力】 ①タイトルの魅力 「千年の読書」。 このタイトルだけで、なにかな? なんで千年なのか?という好奇心がそそられませんか? ②選書の魅力 著者がテーマ別に選書しています。 読者にとってうれしいのは、選書された書籍が、どのような背景で執筆されたものなのか?また、著者自身の読者体験がどのようなものだったのか?を知ることができることです。 ③本好きの世界の魅力 本に携わる人の書籍ははじめてでした。 印象は、言葉・日本語が綺麗、読みやすいというものでした。 著者の考え方、感じ方が、読者のわたくしに対してストレートにぶつかってくる時間の連続は心地よいものでした。 ------------ 【共感した「フレーズ」 読んでみたい『書籍』。本書より。】 「私たちは、千年前の本の作者や、それを読んだ人の想いに、本を通して触れることができます。」著者/三砂慶明 「ホモ・サピエンス」とは、知恵の人を指す。18世紀 博物学者リンネ 「本は、僕たちの内部の凍結した海を砕く斧でなければならない。そう僕は思う。」 カフカ決定版全集 『潜水服は蝶の夢を見る』ポーピー著。障害があるため、まばたきだけで執筆を完了させる。執筆完了2日後に逝去。 「本当に大切な自由というものは、(省略)無数にとるにたりない、ささやかな行いを、色気とはほど遠いところで、毎日つづけることです。」ウォレス氏 「考えるっていうことは、そうした見えない枠と戦うことでもある。見えない敵と戦う。それはとても難しい。」『はじめて考えるときのように。』野矢茂樹著 「学ぶことは選択肢を増やすことだ。」『サカナ・レッスン』 「平凡の非凡さ」。『モーリー先生との火曜日』
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書店員としての経歴のある筆者の読書にまつわるエッセイである。豊富な読書量に圧倒されるが、それよりもそれぞれの作品を自分の言葉で捉え直し、人生の中で活用していることがよく分かる。読書家として理想の姿を見せてもらった気がする。
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千年前、源氏物語の続きが読みたくて読みたくて気もそぞろ、何も手につかないくらいになり、読むことを心待ちにしていた人がいた。 読書とは第一に、読んでいる精神の駆動そのもの。 最も困難な状況でこそ読書は大きな力を発揮する。 そうそう!そうやねん!これが言いたかってん!読書の良さって...
千年前、源氏物語の続きが読みたくて読みたくて気もそぞろ、何も手につかないくらいになり、読むことを心待ちにしていた人がいた。 読書とは第一に、読んでいる精神の駆動そのもの。 最も困難な状況でこそ読書は大きな力を発揮する。 そうそう!そうやねん!これが言いたかってん!読書の良さってこれなのよ! 何度も頷き共感し、感動しながら夢中で読み進めました。 紹介されている本、全てが魅力的。全部読みたい笑 読書とは文字を追って読むということというより、読んだ自分の心の動きを感じること。響いた気持ちを体に染み付かせていくことの喜びなんだなと。 読書している時のあの快感は、自分で自分の心の響きに感動してるってことなんだなと。
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本を開くだけで本屋さんにいる気分になれる。 私はとある本屋さんが好きで、多い時は週に4日くらい通ってたことがある。その本屋さんに行くと、今自分にかけてほしい言葉がタイトルにあったり、今どんなことが流行っているのかが分かったり、店員さんが訪れた人のことを考えて丁寧に選書してくれて...
本を開くだけで本屋さんにいる気分になれる。 私はとある本屋さんが好きで、多い時は週に4日くらい通ってたことがある。その本屋さんに行くと、今自分にかけてほしい言葉がタイトルにあったり、今どんなことが流行っているのかが分かったり、店員さんが訪れた人のことを考えて丁寧に選書してくれているんだなぁと思う。 この本はまさに本の中の本屋さんで、今これを手に取った人がどんな言葉がほしいかを分かってくれている感じがした。 上手くまとめられないけど、、 本を読むとこんなに人生が豊かになるんだって気づかしてくれる本屋さんみたいな本でした。
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—蔦屋の書店員、三砂さんがおすすめする本の紹介— 軽い気持ちで手にした本書は 最初の印象を思い切り覆した。 これはライトなブックガイドじゃなかった。 本書は「人生を変える本との出会い」から始まり、 生、仕事、お金、食、瞑想を経て、最後は死について語られる。 おすすめされる本...
—蔦屋の書店員、三砂さんがおすすめする本の紹介— 軽い気持ちで手にした本書は 最初の印象を思い切り覆した。 これはライトなブックガイドじゃなかった。 本書は「人生を変える本との出会い」から始まり、 生、仕事、お金、食、瞑想を経て、最後は死について語られる。 おすすめされる本の中には、ふだん自分から進んで手に取ろうとしない本も並ぶ。 なぜならそれに手を出したら自分自身と向き合わないといけなくなるから。 軽いことから重めのことまで、”これはほんとはだめなことなのかも、改めないといけない”と薄々気づいてることを突きつけられ、目をつぶって考えないようにしていたことを見せつけられた感じ。 読んでいてとても苦しくなった。 でもこの本を読まなければ良かった、とは思わない。 作者は終始穏やかで平易な言葉で難解な言葉や本を紹介してくれているし、そのラインナップは多岐に渡るので、誰もが何かに興味を持てると思う。 書店に行かずして、ピカッと輝いて見える自分のための一冊が見つかるかも。 まずは最初の一冊から始めてみようと思う。
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本屋さんでたまたま手に取り、1時間ほどで斜め読みした。 元旦の能登地震があった直後に読んだが、 著者の推薦の本の中にナチスドイツの時代に、アメリカでは兵士たちに本を送ったとゆう話がでてきた。 その本を兵士たちはボロボロになるまで読み漁り、生きる力を見出したという。 北陸の人々は...
本屋さんでたまたま手に取り、1時間ほどで斜め読みした。 元旦の能登地震があった直後に読んだが、 著者の推薦の本の中にナチスドイツの時代に、アメリカでは兵士たちに本を送ったとゆう話がでてきた。 その本を兵士たちはボロボロになるまで読み漁り、生きる力を見出したという。 北陸の人々はまさにいま災害の脅威にさらされ、日々を生きている。 自分に出来ることを考えても、芸能人のように、ぼんっ!と多額の寄付ができる力は到底持ち合わせていない。 でも、本の力の偉大さを改めて感じ、今すぐ自分に出来ることはと考えると、やはりこうして、本を読み感想を書き続けることなのかな、と思う。 この本も狙って探してわけではなく、たまたま手に取った。著者の言う通り求めている本は本棚から飛び出てくるんだなあと思うと、ますます、本が好きになった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
蔦谷堂書店梅田本店でPOPを見て購入した本。本の紹介本なのかと思いきや、それだけではなく、読者の生活に沿ってテーマを分けて進めていたため、実用書から哲学的な所まで広範に至っていた。特に死を考える章では、免れられないことについて考えるきっかけとなった。三砂の本棚を案内するような紹介にいつの間にか引き込まれていたのである。
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