改良 の商品レビュー
図書館の新刊案内にあったので借りてきた。平野啓一郎の解説読んであぁあぁそう言う風に読むのねとなって。やっぱり小説読むのって苦手だなと。
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規範と納得と服従 物語構造は実質的には破局と同じで、より直截的であるとも言えるくらい。 平野啓一郎評がまさしくこの作品の本質を捉えている この規範の理不尽さをとことん突き詰めてみたのが教育であり、遠野遥は徹底してこのテーマを描き続けてるんだなあと改めて
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登場する女性の言葉一つ一つが生々しくて、 この作者は女性ではないの?嘘でしょ?ってきもちに。 どんな出来事であっても、 それがどれほど理不尽だったとしても、 どこかに落とし所を見つけて、 自分を納得させることで生きてきた主人公が 唯一譲れなかった、女装、という行為が、 なぜかとて...
登場する女性の言葉一つ一つが生々しくて、 この作者は女性ではないの?嘘でしょ?ってきもちに。 どんな出来事であっても、 それがどれほど理不尽だったとしても、 どこかに落とし所を見つけて、 自分を納得させることで生きてきた主人公が 唯一譲れなかった、女装、という行為が、 なぜかとても神聖なものに見えました 文庫本に関しては平野啓一郎さんの解説がつきますが、静かに熱く語っていらして、 解説だけでも読む価値あるなと思いました 個人的にはドンピシャでした、 うまく感想を文にできないのがもどかしい
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美しさのためには、自己の身体を拠点としつつ、それを装うことで同時に他者へと飛躍すること。生身の身体は「男」としてあって、それは衣服で、化粧で、はたまた偽名によって装われる必要があるけれど、あくまでも飛躍のための拠点としては死守しなければならない。そうして身体は他者の眼差し、鏡によ...
美しさのためには、自己の身体を拠点としつつ、それを装うことで同時に他者へと飛躍すること。生身の身体は「男」としてあって、それは衣服で、化粧で、はたまた偽名によって装われる必要があるけれど、あくまでも飛躍のための拠点としては死守しなければならない。そうして身体は他者の眼差し、鏡によって、自己でありながら自己を抜け出すような在り方に移行する。この小説はそれ自体が鏡のような構造になっていて、終盤では性暴力が反復されるものの、今度は主人公がたしかな抵抗を示す、ように見える。しかし男から逃れてつくねのもとに向かう主人公の頭にはなによりも衣服のことが浮かんでいて、結局は縛られたまま。おおよそこんな感じで読んだのだけれど、平野啓一郎の解説を読み、「納得」の視点がはいったことで急激に世界がひらけて、テクストに真摯に向き合うってこういうことだよなあと思った。さらりと読めてしまうけれどものすごい緻密な企みに満ちた、読む側の視点を問う小説。
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『つまり、ブスだから何かほかのことで頑張らなくちゃっていう、そういう意識があったような気が、最近するのね』 『自分の意思だと思ってやっていたことが、実はブスだったことによってやらざるを得なかったことなんじゃないかっていう、つまりわたしが本当にやりたかったことではなかったんじゃな...
『つまり、ブスだから何かほかのことで頑張らなくちゃっていう、そういう意識があったような気が、最近するのね』 『自分の意思だと思ってやっていたことが、実はブスだったことによってやらざるを得なかったことなんじゃないかっていう、つまりわたしが本当にやりたかったことではなかったんじゃないかっていう、そういう気もするの。』 この若い作家にしか書けない作品だと思った。 容姿至上主義やルッキズムを批判しながらも、美しさを持て囃し消費していく社会。 みんなどうやってルッキズムへの批判に納得してるのかな???この作品を読んでわからなくなった。 ルッキズムが蔓延する社会でただ自分の美しさを追求する主人公は、歪んでいてもいっそ清々しいように感じた。 だって橋本環奈の完璧にシンメトリーな容姿はため息が出ちゃうし、吉沢亮の顔の造形は神様の作品だと思うし、木村拓哉や石田ゆり子は歳取って衰えないし、矢沢永吉のカッコよさが枯れるなんて70歳超えても考えられないじゃないか? そして私たちはそれらを愛してしまうし求めてしまう。 自分だってなれるならそうなりたいって思うし、生まれ変わったとしてもブスやブサイクには生まれたくないってなんとなく自然に思ってしまうよね? でも生まれ変われないから今の自分で生きていくしかないのだけど、容姿で存在意義がぐらついちゃう社会。生きづらいったら仕方ない。 ルッキズム批判の薄っぺらさに見事に肉薄してみせる作品。 ちなみに、村上龍の芥川賞受賞作品くらいエログロバイオレンスあるので苦手な方は注意です。
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