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母の待つ里 の商品レビュー

3.9

79件のお客様レビュー

  1. 5つ

    18

  2. 4つ

    40

  3. 3つ

    14

  4. 2つ

    5

  5. 1つ

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2022/11/08

「泣かせの浅田」さんらしい人情小説です。 家庭も故郷も持たない人々の元に舞い込んだ「理想のふるさと」への招待。訪れてみればそこには自然豊かな田舎に建つ古い曲がり屋があり、母なる老婆が迎えてくれた。 読みながら、この物語をどう終わらせるのだろう?と考えていました。最後、そう来ました...

「泣かせの浅田」さんらしい人情小説です。 家庭も故郷も持たない人々の元に舞い込んだ「理想のふるさと」への招待。訪れてみればそこには自然豊かな田舎に建つ古い曲がり屋があり、母なる老婆が迎えてくれた。 読みながら、この物語をどう終わらせるのだろう?と考えていました。最後、そう来ましたか。極端な意外性は無く同じ方向性の延長上で悪くはありません。というか良かったと思います。充分に読ませます。でも「刺さる」ところまで行きませんでした。 私の住んでいるのがその中間地帯と言うべき場所のせいか、世知辛い都会vs大らかで暖かい田舎という単純な対比に素直に納得でき無かったというのもあります。さらにもう一つは母の出来過ぎ感です。様々な来訪者に余りに臨機応変に対応できる。それを可能にしたバックグラウンドでも書かれていればもう少し納得できたかもしれません。 とはいえ、なかなか良い話でした。

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2022/11/06

三つの視線からみた郷里の母。都会の喧騒に疲れ求めた幻想。やはり浅田次郎さんの言葉と表現に引き込まれます。盆暮れにしか帰らない郷里の母にあらためて不義理を感じて気がつけば涙がこぼれていました。

Posted byブクログ

2022/10/15

予想していた展開とは全く違う話であったが、この設定のおかげと3人の息子娘のそれぞれのストーリーから故郷、人生観、死への向き合い方…何か色々考えさせられた。個人的には感動ではなく何か現代の問題点もはらんだ、作中にあるこのようなサービスがあるのかないのかわからないファンタジーからの現...

予想していた展開とは全く違う話であったが、この設定のおかげと3人の息子娘のそれぞれのストーリーから故郷、人生観、死への向き合い方…何か色々考えさせられた。個人的には感動ではなく何か現代の問題点もはらんだ、作中にあるこのようなサービスがあるのかないのかわからないファンタジーからの現実を突きつけられた感じがあった。

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2022/10/15

なんの予備知識もなく読んでみた。 題名からはもっとほのぼのとした田舎の風景だけ物語だと思っていた。 でも最初から違っていた。 プレミアムカードなる、都会的な仕組みの中の話だった。 三人の「子」らはそれぞれ偽りの田舎に癒されていく。高額な宿泊にも関わらず、田舎の魅力に取り憑かれてい...

なんの予備知識もなく読んでみた。 題名からはもっとほのぼのとした田舎の風景だけ物語だと思っていた。 でも最初から違っていた。 プレミアムカードなる、都会的な仕組みの中の話だった。 三人の「子」らはそれぞれ偽りの田舎に癒されていく。高額な宿泊にも関わらず、田舎の魅力に取り憑かれていく。 田舎って、そこに縛られることを運命づけられているとその途端に嫌になっていく。でもそれを知らない人には、その縛りが心地よいのかもしれない。 私はそこまでの田舎はないが、田舎については大体わかる。 住むとなると近所付きあいの煩わしさ、いいこと悪いことが筒抜けなところ。自慢のしあい、虫がいるところなど。狭いコミュニティだからこそ、古臭い関わり合いが濃く深くある。 現実の田舎暮らしの厳しさを知らない都会人たちの贅沢。 カード会社に仕組まれた、上べのいいところだけをみた主人公達。 全体的にシュールな物語 朝ドラを見ているせいか、ちよさんと高畑淳子さんが重なる。ドラマ化するなら、キーパーソンのちよさんは高畑さんに決まり。味のある田舎のおばあちゃんを味わい深く演じてくれるはず。

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2022/10/07

レンタル家族がひと頃話題になったが、ちょっと違和感を感じた。この「母の待つ里」言ってみればレンタル古里だ。だがレンタル古里の存在は嬉しく安心する。気持ちが通じ合って家族となっていく様子が、自然で微笑ましい。考えてみれば、妻も元は他人であるが今はかけがえのない家族である。 今しっと...

レンタル家族がひと頃話題になったが、ちょっと違和感を感じた。この「母の待つ里」言ってみればレンタル古里だ。だがレンタル古里の存在は嬉しく安心する。気持ちが通じ合って家族となっていく様子が、自然で微笑ましい。考えてみれば、妻も元は他人であるが今はかけがえのない家族である。 今しっとりとこの作品の読後感に浸っている。

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2022/10/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「家庭も故郷もない還暦世代3人の男女のもとに舞い込んだ〈理想のふるさと〉への招待。奇妙だけど魅力的な誘いに半信半疑で向かった先には、かけがえのない〈母〉との出会いが待っていた。彼らが見出す人生の道しるべとは。  あなたを迎えてくれる場所がここにある」 (出版社より)  人生の仕上げの数十年をどう生きるかに戸惑うアラカン達にささげる作品。 「飯さ食(け)るのは生ぎでる間だけすけ、横着しねでの、手ェかげてこしぇねばならぬのす。仏さんに飯上げるてば、食でくなんせではなぐて、おらはちゃんと飯こしぇて食でるはで、安心すてくなんせやァて言(へ)ってるんだわ。えがか、精一。飯さ食るのは生ぎでるうちだどえ」  母はとても大雪なことを教えてくれた。人間は生きるために食べているのではない。食べることは命そのものなのだ。  亡き夫を思い出したのか、母は綿入れの袖で瞼を拭い、「おもさげね」と頭を下げた。(236頁)

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2022/09/30

浅田次郎らしい方言をうまく使いふるさとを思い起こせるような作品だ。 大切なものは何か。嘘だとわかっていても、本当の母のように感じたのはなぜか。心と心が通い合えば、その密度が濃ければ、分かり合えれば、それは家族と同じようなものなのだろう。友達でも、濃い付き合いをすれば、それはすな...

浅田次郎らしい方言をうまく使いふるさとを思い起こせるような作品だ。 大切なものは何か。嘘だとわかっていても、本当の母のように感じたのはなぜか。心と心が通い合えば、その密度が濃ければ、分かり合えれば、それは家族と同じようなものなのだろう。友達でも、濃い付き合いをすれば、それはすなわち兄弟みたいなものであり、それが自分の母親と同じような年であれば、すなわち母なのだ。スナックのママをお母さんというように

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2022/09/27

興味深く面白いストーリーだったけど、微妙・・・方言が少し入って来なかったのと、年会費35万円のカードに1泊50万円で偽装の故郷を体験するというのが、毎月カツカツの生活をしている自分には縁遠くてかけ離れていて、この辺りがあまり入ってこなかったのかもしれないです。 だけど、このサー...

興味深く面白いストーリーだったけど、微妙・・・方言が少し入って来なかったのと、年会費35万円のカードに1泊50万円で偽装の故郷を体験するというのが、毎月カツカツの生活をしている自分には縁遠くてかけ離れていて、この辺りがあまり入ってこなかったのかもしれないです。 だけど、このサービスを受け帰郷する登場人物たちの気持ちは凄く伝わりました。自分も生まれてからずっと実家なので、物語の故郷の原風景が浮かび、こんな故郷があればって憧れます。ただ私は母が鹿児島出身で、こんなに原風景の広がった所ではありませんが、祖母や同じ敷地にいる叔父夫婦を思いました。コロナ禍でもう3年帰れていませんが、私の故郷は鹿児島だと思っています。生まれ育ったところだけが故郷ではないというところに、凄く共感できる作品てした。 私も1日も早く故郷である鹿児島に帰りたいてす。

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2022/09/25

最高の一冊。 余韻の残し方が優れている。 最後に遅れて登場する「息子」に驚かされる。そして、彼については、他の登場人物ほど、「母の日待つ里」でのエピソードが語られることはない。 これが逆にこの本全体の味わいを深めている。 サービス無しの星5つ!

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2022/09/20

浅田次郎と本のタイトルで期待して読むも、ストーリー自体に無理があるとしか思えない展開で全く浅田節の心に響く事も無い愚作かなぁ。確かにタイトル通りに違い無いがダミー母親を慕うストーリーには全く感情移入も出来ない事が原因か。。 血を分けた親のダミー展開は無理が有り過ぎ、せめて夫婦間柄...

浅田次郎と本のタイトルで期待して読むも、ストーリー自体に無理があるとしか思えない展開で全く浅田節の心に響く事も無い愚作かなぁ。確かにタイトル通りに違い無いがダミー母親を慕うストーリーには全く感情移入も出来ない事が原因か。。 血を分けた親のダミー展開は無理が有り過ぎ、せめて夫婦間柄で有ればストーリーは成り立つかも知れない。 大手食品会社社長まで上り詰めて現役で働く松永徹、循環内科女医で還暦を機に辞職を考えている古賀夏生、薬品営業部長で定年を迎え出向先で退職して熟年離婚を言い渡された室田精一この3人はとあるカードのプレミアム会員(年会費35万)で共通のトライアル運用のマイビレッジ商品(1泊50万)に申込、其々ダミー実家に訪れダミー母親と一晩過ごす。この商品はクライアントの里帰りを村ごと演じて貰えダミー母親も真の気持ちで迎えてくれ故郷を持たない3人は心に響くおもてなしで惹き込まれリピーターとなり母が待つ実家に足を運ぶ。最後は、ダミー母親が亡くなって本当の葬儀に3人は個別出席して葬儀にはもう1人チェーン居酒屋社長の田村健太郎を加えた4人が初めて顔を合わせて泣きダミー母親を偲ぶ。

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