母の待つ里 の商品レビュー
浅田次郎作品には期待しすぎのためか、いまいちだった。老後の寂しさを表現しているが、自分にはまだ実感がないので、面白さが半減したのかもしれない。少し作りすぎている感じもした。
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おもてなしサービスの形としてこういうのも実現する時代が来るのかな?高校を卒業して愛知の実家から東京に出て○○年ですが、故郷はいつも身近にある自分にとって故郷の良さは、借り物では実感できないだろうと思いました。60歳定年を機にいろいろ変化が起こるんだろうという事は身につまされました...
おもてなしサービスの形としてこういうのも実現する時代が来るのかな?高校を卒業して愛知の実家から東京に出て○○年ですが、故郷はいつも身近にある自分にとって故郷の良さは、借り物では実感できないだろうと思いました。60歳定年を機にいろいろ変化が起こるんだろうという事は身につまされました。
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石川啄木の歌集『一握の砂』の「ふるさとの訛なつかし停車場の人ごみの中にそを聴きにゆく」をイメージしたが… 読み進めていくと、それなりに地位があるが、故郷がない人々たちだった。 物語のラストで「人口の偏在や地域格差などという社会問題とはさほどかかわりなく、繁栄すなわち幸...
石川啄木の歌集『一握の砂』の「ふるさとの訛なつかし停車場の人ごみの中にそを聴きにゆく」をイメージしたが… 読み進めていくと、それなりに地位があるが、故郷がない人々たちだった。 物語のラストで「人口の偏在や地域格差などという社会問題とはさほどかかわりなく、繁栄すなわち幸福と規定した原理的な過誤によって、多くの人々が自然を失い、不自然な生活をしなければならなくなった」と語る女医の言葉が、心に残る。
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こういう発想ができる浅田次郎さんってどれだけ引き出しを持ってるんだろう!って感心してしまう。結構お年も召されているはずなのに、今時のこんなビジネスの仕組みも違和感を感じさせることなく書けてしまうのはすごい。 人の思いをビジネスにすると、どうしてもそこには情が芽生えてしまうもの。...
こういう発想ができる浅田次郎さんってどれだけ引き出しを持ってるんだろう!って感心してしまう。結構お年も召されているはずなのに、今時のこんなビジネスの仕組みも違和感を感じさせることなく書けてしまうのはすごい。 人の思いをビジネスにすると、どうしてもそこには情が芽生えてしまうもの。その辺りの機微もうっすらと匂わせている。 王妃の館のようなコメディタッチで、ふるさと側の物語も執筆してくれないかなぁと思う。 ひとつ前に読んだ作品もたまたま浅田次郎さんだったのだけど、故郷への想いを馳せる哀愁感は通じるものがあった。
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「泣かせの浅田」さんらしい人情小説です。 家庭も故郷も持たない人々の元に舞い込んだ「理想のふるさと」への招待。訪れてみればそこには自然豊かな田舎に建つ古い曲がり屋があり、母なる老婆が迎えてくれた。 読みながら、この物語をどう終わらせるのだろう?と考えていました。最後、そう来ました...
「泣かせの浅田」さんらしい人情小説です。 家庭も故郷も持たない人々の元に舞い込んだ「理想のふるさと」への招待。訪れてみればそこには自然豊かな田舎に建つ古い曲がり屋があり、母なる老婆が迎えてくれた。 読みながら、この物語をどう終わらせるのだろう?と考えていました。最後、そう来ましたか。極端な意外性は無く同じ方向性の延長上で悪くはありません。というか良かったと思います。充分に読ませます。でも「刺さる」ところまで行きませんでした。 私の住んでいるのがその中間地帯と言うべき場所のせいか、世知辛い都会vs大らかで暖かい田舎という単純な対比に素直に納得でき無かったというのもあります。さらにもう一つは母の出来過ぎ感です。様々な来訪者に余りに臨機応変に対応できる。それを可能にしたバックグラウンドでも書かれていればもう少し納得できたかもしれません。 とはいえ、なかなか良い話でした。
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三つの視線からみた郷里の母。都会の喧騒に疲れ求めた幻想。やはり浅田次郎さんの言葉と表現に引き込まれます。盆暮れにしか帰らない郷里の母にあらためて不義理を感じて気がつけば涙がこぼれていました。
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予想していた展開とは全く違う話であったが、この設定のおかげと3人の息子娘のそれぞれのストーリーから故郷、人生観、死への向き合い方…何か色々考えさせられた。個人的には感動ではなく何か現代の問題点もはらんだ、作中にあるこのようなサービスがあるのかないのかわからないファンタジーからの現...
予想していた展開とは全く違う話であったが、この設定のおかげと3人の息子娘のそれぞれのストーリーから故郷、人生観、死への向き合い方…何か色々考えさせられた。個人的には感動ではなく何か現代の問題点もはらんだ、作中にあるこのようなサービスがあるのかないのかわからないファンタジーからの現実を突きつけられた感じがあった。
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なんの予備知識もなく読んでみた。 題名からはもっとほのぼのとした田舎の風景だけ物語だと思っていた。 でも最初から違っていた。 プレミアムカードなる、都会的な仕組みの中の話だった。 三人の「子」らはそれぞれ偽りの田舎に癒されていく。高額な宿泊にも関わらず、田舎の魅力に取り憑かれてい...
なんの予備知識もなく読んでみた。 題名からはもっとほのぼのとした田舎の風景だけ物語だと思っていた。 でも最初から違っていた。 プレミアムカードなる、都会的な仕組みの中の話だった。 三人の「子」らはそれぞれ偽りの田舎に癒されていく。高額な宿泊にも関わらず、田舎の魅力に取り憑かれていく。 田舎って、そこに縛られることを運命づけられているとその途端に嫌になっていく。でもそれを知らない人には、その縛りが心地よいのかもしれない。 私はそこまでの田舎はないが、田舎については大体わかる。 住むとなると近所付きあいの煩わしさ、いいこと悪いことが筒抜けなところ。自慢のしあい、虫がいるところなど。狭いコミュニティだからこそ、古臭い関わり合いが濃く深くある。 現実の田舎暮らしの厳しさを知らない都会人たちの贅沢。 カード会社に仕組まれた、上べのいいところだけをみた主人公達。 全体的にシュールな物語 朝ドラを見ているせいか、ちよさんと高畑淳子さんが重なる。ドラマ化するなら、キーパーソンのちよさんは高畑さんに決まり。味のある田舎のおばあちゃんを味わい深く演じてくれるはず。
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レンタル家族がひと頃話題になったが、ちょっと違和感を感じた。この「母の待つ里」言ってみればレンタル古里だ。だがレンタル古里の存在は嬉しく安心する。気持ちが通じ合って家族となっていく様子が、自然で微笑ましい。考えてみれば、妻も元は他人であるが今はかけがえのない家族である。 今しっと...
レンタル家族がひと頃話題になったが、ちょっと違和感を感じた。この「母の待つ里」言ってみればレンタル古里だ。だがレンタル古里の存在は嬉しく安心する。気持ちが通じ合って家族となっていく様子が、自然で微笑ましい。考えてみれば、妻も元は他人であるが今はかけがえのない家族である。 今しっとりとこの作品の読後感に浸っている。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「家庭も故郷もない還暦世代3人の男女のもとに舞い込んだ〈理想のふるさと〉への招待。奇妙だけど魅力的な誘いに半信半疑で向かった先には、かけがえのない〈母〉との出会いが待っていた。彼らが見出す人生の道しるべとは。 あなたを迎えてくれる場所がここにある」 (出版社より) 人生の仕上げの数十年をどう生きるかに戸惑うアラカン達にささげる作品。 「飯さ食(け)るのは生ぎでる間だけすけ、横着しねでの、手ェかげてこしぇねばならぬのす。仏さんに飯上げるてば、食でくなんせではなぐて、おらはちゃんと飯こしぇて食でるはで、安心すてくなんせやァて言(へ)ってるんだわ。えがか、精一。飯さ食るのは生ぎでるうちだどえ」 母はとても大雪なことを教えてくれた。人間は生きるために食べているのではない。食べることは命そのものなのだ。 亡き夫を思い出したのか、母は綿入れの袖で瞼を拭い、「おもさげね」と頭を下げた。(236頁)
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