1,800円以上の注文で送料無料

赤と青とエスキース の商品レビュー

4.3

1221件のお客様レビュー

  1. 5つ

    560

  2. 4つ

    436

  3. 3つ

    153

  4. 2つ

    18

  5. 1つ

    6

レビューを投稿

2022/01/26

 私の大好物の連作短編集。 ①金魚とカワセミ  交換留学生としてメルボルンに来ていたレイは、期間限定と割り切ってブーと付き合っている。現地に住むブーは日本人だ。  まもなく日本に帰るという頃、ブーに絵のモデルになってくれないか?と頼まれる。描くのはジャック・ジャクソン。ブーの友...

 私の大好物の連作短編集。 ①金魚とカワセミ  交換留学生としてメルボルンに来ていたレイは、期間限定と割り切ってブーと付き合っている。現地に住むブーは日本人だ。  まもなく日本に帰るという頃、ブーに絵のモデルになってくれないか?と頼まれる。描くのはジャック・ジャクソン。ブーの友達の西洋人だ。  モデルとして描かれているレイを見つめながらブーの目から涙が溢れてきて。 ②東京タワーとアーツ・センター  額縁を制作するアルブル工房で働く空知は、初めて額縁を1人で最後まで手掛けることを任された。  その絵は『エスキース』。10年前大学生だった空知が出会ったジャック・ジャクソンの絵だった。  当時、ジャックは額縁に満足していないようだった。『僕の絵が、ずっと居心地よく過ごせるようなフレームと出会えたら・・・。』ジャックが望む額縁を作るため、試行錯誤していく。 ③トマトジュースとバタフライピー  ウルトラ・マンガ大賞を受賞した砂川凌は、漫画家のタカシマ剣の弟子だった。  『青は藍より出でて藍より青し』  などと言われ、鬱々としていたが、タカシマ剣は純粋な愛弟子の成功を喜んでいた。  雑誌の企画で砂川凌と対談することになったタカシマ。対談先は喫茶店『カドル』。顎髭豊かな店主と感じの悪い女で経営している。  対談後、自嘲気味に自分の鬱屈した気持ちを吐き出したタカシマは砂川に思いがけない言葉をかけられる。 ④赤鬼と青鬼  彼氏と別れ、輸入雑貨店で働く茜は1人でイギリスに買い付けに行くことを提案される。しかし、パスポートを彼氏と住んでた家に置き忘れていたことを思い出す。  元カレに連絡を取り、パスポートを取りに行く茜に元カレの蒼は、しばらく京都に行く間、泊まり込みで猫を見ていてくれないかと提案する。 ⑤エピローグ  ジャック・ジャクソン眼線で語られるブーこと蒼とレイこと茜の物語。    金魚とカワセミの可愛らしいブーとレイがずっと気になっていた。あの愛らしい2人はどうしているんだろう?  でも、2人はずっと私たちの近くにいたことを知る。ある時は画商。ある時は喫茶店のマスターと感じの悪い女。ある時はもどかしい中年カップルとして。  全てが綺麗に繋がっていて、読後感は爽やか。ブーとレイの物語を思う存分堪能できた。

Posted byブクログ

2022/01/29

うまく出来たお話だし、オシャレだし、とんとんと物語が上手くいく軽さが時代に合っているんだろうなとも思った。 ただ、うーん、時間の経過が文章から感じられない。この物語は時間軸をもっと壮大に感じさせて欲しかったなぁ。登場人物の語りから、年齢や人生が浮かび上がってこなかったり、考え方や...

うまく出来たお話だし、オシャレだし、とんとんと物語が上手くいく軽さが時代に合っているんだろうなとも思った。 ただ、うーん、時間の経過が文章から感じられない。この物語は時間軸をもっと壮大に感じさせて欲しかったなぁ。登場人物の語りから、年齢や人生が浮かび上がってこなかったり、考え方や話し方がみんな似たり寄ったりで、どんな役を演じても同じに見える俳優さんを思い出したりした。 伏線はりまくって上手く繋げて綺麗な物語なのに、あっさりしすぎてて勿体なかった。 エスキースという絵の題名は、すごく好きだった。絵に対する考え方はハッとさせられ、その後共感できた。

Posted byブクログ

2022/01/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

自分にとっては、一周目と二周目で見え方が変わる作品だった。きっと誰が読むか、いつ読むかでもかなり感じ方の変わる作品だろうと思った。 それは絵画も同じことなのかもしれない。どうやって生まれて、誰の手を渡り歩いて、どこに辿り着くのか。その絵画だけが見た景色があって、それは常に更新され続ける。絵画は1つの姿形を持っているっていうところに、小説よりも人間との近さを感じる。

Posted byブクログ

2023/03/14

う〜〜ん♡めっちゃ良かった!! 青山さんの新境地と言われてるこの作品♪ お得意の連作短編集だけど、どう違うのかな?と興味津々でした。 エスキースとは「下絵」の事だそうです。 本番を描く前の下書き。 1枚のエスキースを巡る5つの愛の物語\♡/" 正直、第1章、第2章...

う〜〜ん♡めっちゃ良かった!! 青山さんの新境地と言われてるこの作品♪ お得意の連作短編集だけど、どう違うのかな?と興味津々でした。 エスキースとは「下絵」の事だそうです。 本番を描く前の下書き。 1枚のエスキースを巡る5つの愛の物語\♡/" 正直、第1章、第2章はそこまで引き込まれず、ちょっと期待しすぎたかな〜?とか、いつもより洗練されたイメージではあるけど新境地って言うほどかな??なんて思っちゃってました(>_<) だけど第3章でちょっとウッときて、第4章であ〜好きだ〜からのハッ( ☉_☉) パチクリ。 そしてエピローグで鳥肌。完全に心奪われた〜! これ終わり方、最高か!!! 凄く余韻が残りました。 散りばめられた伏線の数々、、 そしてこの仕掛け。 たしかにこれは青山さんの新境地だな〜 連作短編というより一つの物語でした。 好き度☆4にしちゃったけど、(最初入り込めなかったのと、レイにそこまで惹かれなかった)でも、この作品じわじわくる。。 またゆっくり読み返したいです。 今出てる青山さんの小説はこれでコンプリート♬ 今のところ好きなのは 1、猫のお告げは樹の下で 2、鎌倉うずまき案内所 3、月曜日の抹茶カフェと赤と青とエスキースが同じくらい な順で好きです♡♡  

Posted byブクログ

2022/01/24

絵画の下書き的なエスキース。 その1枚のエスキースを巡り、連作短編になっているこの本。 最後まで読んだ時そういう事だったのか!となりまた最初から読みたくなる。 ここぞという見せ場の場面描写がどれも素敵で、情熱的な映画を見ているかのように惹き込まれた。 読後とても満ち足りた気持ちに...

絵画の下書き的なエスキース。 その1枚のエスキースを巡り、連作短編になっているこの本。 最後まで読んだ時そういう事だったのか!となりまた最初から読みたくなる。 ここぞという見せ場の場面描写がどれも素敵で、情熱的な映画を見ているかのように惹き込まれた。 読後とても満ち足りた気持ちになる1冊。

Posted byブクログ

2022/01/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

読了後、すごく心が暖かくなった。 読み初めは繋がってそうで繋がらない短篇を読んでる気分だった。 散りばめられてる伏線は、伏線と思っていなかったのでどんどん回収されていくのが気持ちよかった。 ミステリーの伏線回収とは違く、回収された時のワクワクと心がぽわわわんとなるのが止まらなかった。 もう一回読もうと思う。

Posted byブクログ

2022/01/23

短編連作の爽やかな物語 どんどん繋がっていく感じ、短編連作ならではの気持ちよさがある 人の悪い部分をテーマにした本を選ぶ傾向にあるので心が浄化されました 『エスキース』は多くを語り出す。 わたしだけにわかる言葉で。 わたしは愛おしいその姿と向き合い、ほほえみかける。ああ、いい絵...

短編連作の爽やかな物語 どんどん繋がっていく感じ、短編連作ならではの気持ちよさがある 人の悪い部分をテーマにした本を選ぶ傾向にあるので心が浄化されました 『エスキース』は多くを語り出す。 わたしだけにわかる言葉で。 わたしは愛おしいその姿と向き合い、ほほえみかける。ああ、いい絵だ。_φ(・_・ 2022/01/23 ★3.5

Posted byブクログ

2022/01/22

青山さんの作品はいつも、うっ…爽やかすぎる…てなるけど、でもやめられない。 デトックス作用があるんだな、きっと。 伏線の嵐!!

Posted byブクログ

2022/01/22

キレイ。とてもキレイだった。 はじめての作家さんで緊張したけど、止まらなかった。すごい。 この方の本を読み漁りたいと思った。

Posted byブクログ

2022/01/22

なんて優しくて、ピュアで、あったか~い物語! 留学生の “レイ” が、メルボルンで知り合ったのは 両親が現地で画商を営んでいる 日本人の青年、”ブー”。 「一緒にいたい」と言うブーに、レイは返答できません。 「期限付きっていうのは、どう?」とブー。 おっと、危ないよこの人…と、...

なんて優しくて、ピュアで、あったか~い物語! 留学生の “レイ” が、メルボルンで知り合ったのは 両親が現地で画商を営んでいる 日本人の青年、”ブー”。 「一緒にいたい」と言うブーに、レイは返答できません。 「期限付きっていうのは、どう?」とブー。 おっと、危ないよこの人…と、私は警戒心満載! 帰国が迫る中、レイの肖像画を描いてもらうことになります。 筆を執るのは、ブーの友人で画家の卵のジャック・ジャクソン。 時間がないので、取り合えずエスキースだけということになります。 初めて知ったのですが、エスキースとは下絵のことで、 表現したいものを自由に描きとめる作業なのだそうです。 本番は、別のキャンバスを使って描くのだとか。 第一章だけでは、よくある話?と、ピンとこなかったのですが 章が進むにつれて、ぐんぐん惹きつけられました。 あちこちで見えない糸が繋がっている感じがしてきたのです。 額縁職人の青年とジャック・ジャクソンの出会いが二章で描かれ 『エスキース』という題の “あの絵” が飾られた喫茶店が三章で登場。 四章では、愛に満ちた優しい関係で繋がる人々が描かれ、つい ほろっと…。 エピローグの語り手は、画家になったジャック・ジャクソン。 レイのエスキースを描いた時の記憶が、きらりと美しく蘇ります。 彼女の髪の輝きを表現するために閃いた独自の画法は、天啓だったと。 そして、目の前で繰り広げられた、目のくらむような美しい情景。 「あんな瞬間に立ち会えたなんて、無上の喜びだった」と語ります。 ジャックはその作品を『エスキース』のまま残すことにしたのです。 もう一度読みたい衝動に駆られ、さっと二度読みしました。 優しく、深く、慈愛に満ちた美しい物語。 ジャックさんは「ああ、いい絵だ」で話を締めくくりました。 私の締めくくりは、「ああ、いい物語だ」!

Posted byブクログ