線は、僕を描く の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
【2024年177冊目】 「飾り付けをするだけの簡単なお仕事」そう言われ、僕こと青山想介がやってきたのは水墨画の展示会場だった。謎の老人に声をかけられ、なぜか一緒に水墨画を鑑賞することになった僕だったが、白と黒で構成される世界観に興味をもつ。それは喪失を経験してからの初めての感情で――ふとした偶然の出会いから始まる僕が僕を描くための物語。 刺さらなかった〜申し訳ないくらい刺さらなかったので、途中からずっと「なんでこんなに話が入ってこないのか」と悩みながら読んでました。読み終わってから水墨画を改めて検索してみたんですけど、読む前に見といたら良かったなこれ。想像だけの水墨画が頭に浮かべながら読むには、描写される絵を頭の中で上手く描けなかったのが第一の敗北です。 あとは、細かなところのストーリーに疑問ばかりが生じてしまい…なんというか、物語に余白がないというか余裕がないというか。斉藤さんが止めちゃった理由も、「西澤さんと湖山先生は関係ない」みたいな話も、それまでにそんな話出てましたっけ?ってなったし、そもそも主人公に感情移入が全然できなかった。両親が死んで打ちひしがれているのはわかったけれど、両親とどう過ごしたのかとかの描写が一切ないので、ただ肉親が死んで悲しいしか受け取れなくて、それ以上の心のうちがわからなかった。 あとは、見ただけで悲しさがわかるか?というのもあるし、会って間もない人間を弟子にしようと思うのがあまりにもご都合主義ではとも思うし(創作だからと言われてしまえばそれまでですが)水墨画をほとんど知らなくて、でも習い始めて、いうてもそんなに頑張ってる描写あったか…?水墨画の基礎についても調べずに先生のところに習いに行く…?すごい先生だってわかって、やってみようって思うなら2回目以降何かしらの知識入れて行かないの?わからん、主人公がずっとわからん。 あと、紙を立てた状態で絵を描いたら、墨が下に垂れないのだろうか、絶妙な力加減?垂れをも計算した絵を描いてる?空気感だけですごさを描写していたような気がする…。 描写とかは多分美しいんですけど、なにぶん、全く頭に入ってこなかったので、楽しめなかった…賞を取ったりをしている作品なので、私の読書の仕方がこの作品とあってなかったんだと思うんですけど、ここまでピンと来ない作品も珍しくて、好きな方には大変申し訳ない。 映画とか漫画の方が、一つ一つの描写に間を持たせてるかもしれない、見てないのでわかりませんが。なんというか、呼吸がしずらい作品でした。
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知らない世界を感じることができる一冊。 色や香りが広がる感覚。右脳を刺激され続けました。 自分の内側を深く見つめる事ができ、また周りのあらゆるものから命を感じ取ることができるる主人公、絵師たち。命を感じで命を吹き込む。美術や書画の世界はわからないと敬遠してましたが、ちょっと違う目...
知らない世界を感じることができる一冊。 色や香りが広がる感覚。右脳を刺激され続けました。 自分の内側を深く見つめる事ができ、また周りのあらゆるものから命を感じ取ることができるる主人公、絵師たち。命を感じで命を吹き込む。美術や書画の世界はわからないと敬遠してましたが、ちょっと違う目線で鑑賞してみたくなりました。
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喪失感が一杯の彼の元に水墨画が生きる意味をもたらしてくれたことを丁寧に描いた作品。繊細な青山君が前を向く姿に感動した。
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2020年本屋大賞第3位。 主人公が水墨画と向き合う中で、様々な人と出逢い、立ち止まっていた人生を再生させていく。 主人公の内側が中々見えない分、出てくる登場人物が皆、個性的で、いい味が出ていた。 タイトルが美しく、内容もまさにその名の通り。全く知らない「水墨画」の世界に魅...
2020年本屋大賞第3位。 主人公が水墨画と向き合う中で、様々な人と出逢い、立ち止まっていた人生を再生させていく。 主人公の内側が中々見えない分、出てくる登場人物が皆、個性的で、いい味が出ていた。 タイトルが美しく、内容もまさにその名の通り。全く知らない「水墨画」の世界に魅了されました。 最後の一言も美しく締めくくられている。綺麗な余韻。 早く先が知りたくなる、、との感覚はなく、ゆっくりと読み進めました。
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すごくよかった。水墨画の世界に圧倒された。水墨画を描く描写に、息を飲んだ。水墨画を通して、青山くんがいろんなことに気づき、成長していく姿は素晴らしかった。線は生き方そのもの。水墨画を知って、外側の世界が美しくみえた。―心の内側に宇宙はないのか?
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白黒の世界と思っていた水墨画で、花の色が判るって、水墨画って凄いんだなあと思いました 一度、しっかり鑑賞したいです
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水墨画の話。 水墨画ってどんなものかネットで調べて、その絵をイメージするとより内容が頭に入ってきておもしろい。 人物が皆あたたかくて、嫌味がある人は出てこない。 その分読みやすいのがこの本のいいところ。 本の内容としては、両親を亡くした主人公が何も手につかず虚無感の状況から、...
水墨画の話。 水墨画ってどんなものかネットで調べて、その絵をイメージするとより内容が頭に入ってきておもしろい。 人物が皆あたたかくて、嫌味がある人は出てこない。 その分読みやすいのがこの本のいいところ。 本の内容としては、両親を亡くした主人公が何も手につかず虚無感の状況から、大学の手伝いをきっかけに水墨画に取り組んでいく話。なんかこれといって、名場面というか盛り上がりみたいなのはないが、主人公の真面目さというか言われたことを貫く姿勢は読んでいて気持ちいい。あと、作者の水墨画に対する知識に感服した。
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大学で特にやりたいこともなく過ごしていた青山霜介は、友人の紹介で水墨画展の設営を行っていたところ、ある老人に声をかけられる。一言二言会話したところ気に入られ、弟子になることに。その老人ははたして、水墨画の巨匠篠田湖山であった。湖山に弟子入した霜介は、湖山の孫娘の千瑛と、次年の湖山...
大学で特にやりたいこともなく過ごしていた青山霜介は、友人の紹介で水墨画展の設営を行っていたところ、ある老人に声をかけられる。一言二言会話したところ気に入られ、弟子になることに。その老人ははたして、水墨画の巨匠篠田湖山であった。湖山に弟子入した霜介は、湖山の孫娘の千瑛と、次年の湖山賞をかけて水墨画で対決することとなる。 ストーリーがわかりやすく、文句なしに面白い作品である。ろくにあらすじも読まずにタイトル買いした一冊だが、これは子供でも楽しめるエンターテインメントだ。 と大きくぶっては見たが、本作を一言で表すと「異世界に行かない異世界作品」と言い表せるだろう。なんの取り柄もない、目立たない主人公が、一言二言喋っただけで達人に見出され、自覚していなかった超強い能力を無意識に駆使して、超絶美少女でツンデレのライバルと対決を果たす。思いっきり異世界物のプロットだ。 脇役もお調子者で常時サングラスを掛けている同級生、その同級生に惚れたこちらも調子の良い事をいう小うるさい脇役ヒロイン、冷静沈着で冷たい絵を描く弟子、エモーショナルで軽い弟子と、完全にアニメの配役である。だからといって悪い意味ではなく、キャラクターが立っている。 また情景も師匠の家、自宅、学校(当初全然出てこない)と絞られているため、違和感を感じることも少ない。学園祭のときにどこでどうなったのかわからなくなるくらいだ。 アニメ世代のエンターテインメント小説。中学高校の読書感想文にちょうどいいボリュームとわかりやすさでおすすめ。 アニメ化でもしてるのかと思ったら、映画化されてたんだね。実写は大変そうな話である。
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この作品、ドラマや映画にしたら良さそう、と思って読み進めていたところ、すでに映画化されていることを知り、以降は霜介と千瑛が脳内ですっかり横浜流星と清原果耶に。内容は予定調和、ご都合主義なところもあって、なんというか霜介の出来が良すぎて非現実的だ。関西風に言うと「なワケあるかい!」...
この作品、ドラマや映画にしたら良さそう、と思って読み進めていたところ、すでに映画化されていることを知り、以降は霜介と千瑛が脳内ですっかり横浜流星と清原果耶に。内容は予定調和、ご都合主義なところもあって、なんというか霜介の出来が良すぎて非現実的だ。関西風に言うと「なワケあるかい!」。これでは天才の物語になってしまう…。心に残った言葉。「四時無形のときの流れにしたがって、ただありのままに生きようとする命に、頭を深く垂れて教えを請いなさい。私は花を描け、とは言っていない。花に教えを請え、と君に言った」「たった一輪の菊でさえ、もう二度と同じ菊に巡り合うことはないのだ。たった一瞬ここにあって二度と巡り合うこともなく、枯れて、失われていく。あるとき、ふいにそこにいて、次の瞬間には引き留めることさえできずに消えていく。命の輝きと陰りが、一輪の花の中にはそのまま現れているのだ」
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最初は、うそん?で始まる。 曲がり角で女子とぶつかって変な転び方しちゃって平手でぶたれて、で何かが始まった的な立ち上がりで。しかも孤高の美女ときたらひがむで。素で。 ただ中盤からが真骨頂で、静謐というものが作品に加わり出すと途端に別の顔を見せる。幽玄な世界がゆらゆらと立ち上ってき...
最初は、うそん?で始まる。 曲がり角で女子とぶつかって変な転び方しちゃって平手でぶたれて、で何かが始まった的な立ち上がりで。しかも孤高の美女ときたらひがむで。素で。 ただ中盤からが真骨頂で、静謐というものが作品に加わり出すと途端に別の顔を見せる。幽玄な世界がゆらゆらと立ち上ってきて、なぜだか胸を締めつけらる気持ちになった。 消えかかる美、死んでいく星みたいな。 墨を扱った作品でいうと『墨のゆらめき』(三浦しをん)しか知らないけど同じように面白かった。書の道は裾野が狭まる一方だし、とことん過去と向き合うことになる。その中でも未来志向の人間がいることが力強く目に映る。 ──ほんとうは力を抜くことこそ技術なんだ。 主人公が悟った瞬間の言葉。それよ。 ありふれた生活の中でも、この技術は役に立っている。
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