1,800円以上の注文で送料無料

嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか の商品レビュー

4.6

281件のお客様レビュー

  1. 5つ

    185

  2. 4つ

    67

  3. 3つ

    15

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2021/10/11

Cool head、Warm Heart ■概要 勝負に徹して嫌われた落合。リーダーとして当然のことであり、プロフェッショナルである。 一方でそれが本当に正解なのか?落合自身にも葛藤があったのではないか?落合とはどういう人間なのか?最後まで真相は分からず、それが嫌で落合を遠ざけ...

Cool head、Warm Heart ■概要 勝負に徹して嫌われた落合。リーダーとして当然のことであり、プロフェッショナルである。 一方でそれが本当に正解なのか?落合自身にも葛藤があったのではないか?落合とはどういう人間なのか?最後まで真相は分からず、それが嫌で落合を遠ざける人は多い。それに対し、落合政権8年間の密な取材を通し、落合の考えや言動そのものと、それが組織に与えた影響を解き明かしていく。 (抜粋) 04年日本シリーズの情と失敗 07年日本シリーズの完全リレー 11年のアライバコンバート… 実は情に厚い落合が徐々に徹底的に合理的な判断をする経緯が分かる。 06年リーグ優勝と涙 11年ヘッスラ荒木への声かけ 一方で、勝負所や最後には情が残っていることも分かる。 ■所感 人生の師から贈られたこの言葉。 くしくも私が師と過ごしたころ、落合がそれを最も体現していた時期だったとは。 中日ファンにとっては、黄金期の回顧録やドキュメンタリーとして読んでも面白い。しかし、それ以上に得るものというか伝わってくる何かがあった。落合だけでなく、当時の選手の心情を深く取材し、編成担当やスカウトの声もあり、当時のチーム状況と個々の心理がよく伝わってきた。

Posted byブクログ

2021/10/10

入手後に暫く置いて在って、何となく紐解き始めてみれば、頁を繰る手が全然停まらないという感じになってしまう。非常に魅力的な一冊になっていると思った。 本書の『嫌われた監督-落合博満は中日をどう変えたのか』という題名自体、何やら苦笑いが洩れるような感じである… 北海道内に在って、(主...

入手後に暫く置いて在って、何となく紐解き始めてみれば、頁を繰る手が全然停まらないという感じになってしまう。非常に魅力的な一冊になっていると思った。 本書の『嫌われた監督-落合博満は中日をどう変えたのか』という題名自体、何やら苦笑いが洩れるような感じである… 北海道内に在って、(主にテレビ中継ながら)プロ野球観戦も時々愉しむ個人の目線では「ファイターズと<日本シリーズ>で対戦した経過の在るドラゴンズ」という記憶が在って、そのドラゴンズを率いる監督であった落合というイメージは酷く強い。そして、落合監督の指揮下で毎年のようにリーグ優勝を争って、<日本シリーズ>への進出も何回か果たしている。「監督が辞める」という理由が見当たらないような感の中で、落合監督は去った。そういうのは少々「謎」でもある… 落合は選手としては、「華々しい主流」を歩むのでもないキャリアを重ねながら、プロ野球界で打者としての確固たる実績を残し、キャリアの後半は「バットを持って、優勝請負人のように幾つかのチームを渡り歩いた」というようなイメージも在る。自身の確かな技術を駆使した実績を有する他方、プロとして他選手のプレーや試合の状況等を見詰める確かな眼も備えていたのかもしれない。 そういう落合は8シーズンの間、ドラゴンズの監督を務め続けて、その8シーズンの間には全て3位以上、リーグ優勝は4回、日本シリーズ出場は5回、“クライマックスシリーズ”で勝ち上がって日本シリーズに出場した2007年には「日本一」を掴み取った。これは凄い実績であろう。これだけの実績を上げた監督は、御本人の個人的な事情でも無ければ、解任ということにはなり悪い筈だ。が、それでも2011年の日本シリーズで敗れてしまった後、時季以降の契約をしないことになったのだった。そうなると“嫌われた監督”ということになるのだろうか? 本書は、名古屋に拠点を有するスポーツ新聞で、ドラゴンズの話題を綴る記者として活動した経過が在るライターが、落合監督自身や、落合監督がドラゴンズの指揮を執った時期に活動した選手や球団関係者の同時代の、または後年に振り返っての証言も挟みながら、更に筆者自身の当時の記者としての活動の事も加えながら「“嫌われた監督”たる落合が目指したモノは?落合が生きた価値観は如何いうモノだった?」ということを綴っている内容だ。雑誌に連載した内容を、単行本として世に送り出す際に、少し手が入っているようではあるのだが、一寸だけ夢中にしてくれる何かが秘められている一冊だった… 本書は、落合がドラゴンズの監督を務めていた期間の出来事を、ドラゴンズの取材をしていた立場で、色々な人達の挿話を多く織り込みながら綴っていて、「一つの時代を綴る一つの物語」として巧く纏まっていて、そういう辺りに引き込まれて素早く読了に至った。 「強いチームというより勝てるチーム」、「勝つ試合を観たいのがファンではないか」というような考え方が一貫、徹底していたのが落合がドラゴンズの監督を務めていた時代だ。それを“嫌う”というような人達は確かに在ったのであろう。が、本書で描かれる「落合監督」、本書に出て来る様々な関係者が語る落合が率いたチームの人達の様子は、何か魅力的であるような気もする。 少し面白い出遭いを経験する一冊ということになった。

Posted byブクログ

2021/10/10

文章のリズムが最高。 観察により、数字に現れない真実をつかむ。 自分で考えさせる。そのきっかけを作る。 契約と、自分がその履行をすることが最優先。でも、自分の判断とチームの勝利が重なったときに一番強いことを知ってる。

Posted byブクログ

2021/10/09

落合監督時代に何が起こっていたかを知ることができた。プロフェッショナリズムとは契約であり、技術であり、自分のことは自分で考える姿勢であり、小さな変化を見逃さない観察であり、勝つためのある意味非情な戦略のことでもあろう。極めて高いレベルの集団での戦い続けることの真摯さを学ぶことがで...

落合監督時代に何が起こっていたかを知ることができた。プロフェッショナリズムとは契約であり、技術であり、自分のことは自分で考える姿勢であり、小さな変化を見逃さない観察であり、勝つためのある意味非情な戦略のことでもあろう。極めて高いレベルの集団での戦い続けることの真摯さを学ぶことができた。落合監督の見せてくれたことがどのくらい継承されているのであろうか?

Posted byブクログ

2021/10/06

中日ドラゴンズで監督を務めた8年間、ペナントレースですべてAクラスに入り、日本シリーズには5度進出、2007年には日本一にも輝いた。それでもなぜ、落合博満はフロントや野球ファン、マスコミから厳しい目線を浴び続けたのか。秘密主義的な取材ルールを設け、マスコミには黙して語らず、そして...

中日ドラゴンズで監督を務めた8年間、ペナントレースですべてAクラスに入り、日本シリーズには5度進出、2007年には日本一にも輝いた。それでもなぜ、落合博満はフロントや野球ファン、マスコミから厳しい目線を浴び続けたのか。秘密主義的な取材ルールを設け、マスコミには黙して語らず、そして日本シリーズで完全試合達成目前の投手を替える非情な采配……。そこに込められた深謀遠慮に影響を受け、真のプロフェッショナルへと変貌を遂げていった12人の男たちの証言から、異端の名将の実像に迫る。 ただ、自分自身のポリシーを貫いた8年間だったことが分かる。力作であった。

Posted byブクログ

2021/10/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

野球にはあまり興味がなかった、ドラゴンズには関心もなかった。 谷繁のことを「たにしげる」という氏名だと思っていたくらいの無知さだ。 この本の主役落合博満がドラゴンズの監督だったことはなんとなく覚えているし、多分テレビで見たこともあるだろう。でもその頃のことはほとんど知らないし、この本に出てくる12人の男たちのことも全く知らなかった。 それが、この本を読んだ誰も彼もが大声で「面白い!」というものだから、つい買ってしまったのである。 そして、分厚いなぁ、タイトルからして不穏だなぁ、と思いながら読み始めたら、これがもう、なんなんだこれ面白いの面白くないのって面白すぎるじゃないかってんだ。 スポーツマンたちのさわやかな汗や、チームのための自己犠牲や、晴れやかでカッコいい魅せるプレーは、落合のチームには必要ない。確かな理とゆるぎない個、そして勝利とその為の技術だけがそこにはあった。 球団のため、監督のため、そのために自分を殺し、今ではないもっと先の勝利のために闘う、そんな野球は求められなかったのだ。びっくりだ。私が知っていく「スポーツ」ではない、これはいったい何なんだ。 その答えが知りたくて次へ次へとページをめくる。 最後の最後まで答えは見えなかった。落合が求めたもの、ドラゴンズが求めたもの、その乖離。汗と涙とさわやかな笑顔を心地よいと感じてきたスポーツウォッチャーを叩きのめすほどの冷徹さ。 嫌われた監督が、8年間で作り上げたもの。 凍える熱さとまぶしいほどの闇。 一時期よくテレビで目にしたド派手な衣装の落合夫人だけが知っている落合博満の長い長い戦いの果て。 読み終わった後のこのドキドキは何だろう。あこがれか、あこがれなのか。そうかあこがれなのか。

Posted byブクログ

2021/10/03

落合監督を軸に、様々なチーム関係者の視点を交えてのエピソードはどれも濃いものでした。 文中で筆者が「落合のことを好きでも嫌いでもない」と当時感じていたと言うように中立的な目線で、チームや落合監督を定点観測していたスポーツ新聞番記者の方だからこその、8年間の変化が感じ取られるよう...

落合監督を軸に、様々なチーム関係者の視点を交えてのエピソードはどれも濃いものでした。 文中で筆者が「落合のことを好きでも嫌いでもない」と当時感じていたと言うように中立的な目線で、チームや落合監督を定点観測していたスポーツ新聞番記者の方だからこその、8年間の変化が感じ取られるような作品でした。 筆者は8年間で落合監督ではなく周りが変化したと言っていますが、筆者が直接取材した落合監督の言葉からは自身が変化しているというか、揺れ動いている様子が伝わると思いました。戦いから感情などの不確実性を排そうとしていても、漏れ出てくる感情の揺らぎが見えるようでした。 自分は2018年のお正月に太地町の記念館のカフェで、同じように訪れていたファンの方4人程と一緒に落合さんとお話しさせてもらいました。現役時代や監督時代のこと、野球と関係ない話も気さくに話してくれて忘れられない時間だったので、今はコロナ禍で難しいかもしれないですがまたいつか行きたいなあと改めて思いました。そういえばそこにいたファンの方もみんな1人で来ていたなあと思い出しました。

Posted byブクログ

2021/10/04

素晴らしい本。紙の本で購入。装丁もなんとも言えず雰囲気出ている。 異形 アンチテーゼ 理解出来ない 文中での落合博満を形容する言葉。 人は理解できないものを、怖がり、遠ざけようとする。 日本人初の一億円プレイヤー、3度の三冠王、選手としては歴代トップクラス。イチローと並び称...

素晴らしい本。紙の本で購入。装丁もなんとも言えず雰囲気出ている。 異形 アンチテーゼ 理解出来ない 文中での落合博満を形容する言葉。 人は理解できないものを、怖がり、遠ざけようとする。 日本人初の一億円プレイヤー、3度の三冠王、選手としては歴代トップクラス。イチローと並び称される素晴らしいバッターだった落合博満が中日ドラゴンズの監督になる。 期待されてもいいはずなのに、ざわつく周囲。 選手時代に番記者だったデスクは、オチアイと呼び捨てにし、開幕投手を当日まで教えてもらえないピッチングコーチ。生え抜きのスラッガー福留を中日に行きたいと思わせた球団職員をアッサリとクビにする。 優勝したのに解任されるコーチ。    落合博満に関わった選手、フロントを一章づつ描いていく中で、多面的に落合を見せるのだが、ほとんど綻びが無い。言葉や表情での表現が少なく、何を考えているのかを読ませない。感情のゆらぎがないのだ。  人間関係構築、やる気をみせる。一般的に組織では必要とされるスキルを全く評価しない落合。 心配するな、好きとか嫌いでレギュラーを決めない。監督に嫌われても使わざるを得ない選手になれ。 私自身はテレビや文章ででしゃばる落合夫人に好感を持っていなかったが、とこへ行っても孤独になってしまう落合博満にとって、夫人の明るさがとても重要なのだと知った。 最終年もペナントレースは逆転でものにするのだが、読者である私も落合監督に感化されており、そこまで感動しない。やる事をやったら勝つのは当たり前だろと、ボソッと呟いてしまいそうだった。

Posted byブクログ

2021/11/21

落合博満を深く知るのに最適な本。中日ドラゴンズの黄金時代を作ったにもかかわらず、辞任することになったのは、西武ライオンズの森祇晶と似ていると感じた。強い大人の本当意味でのプロ集団のチームを作ったのに、客が入らない、試合が面白くないとケチをつけられてしまう。川崎憲次郎の章では思わず...

落合博満を深く知るのに最適な本。中日ドラゴンズの黄金時代を作ったにもかかわらず、辞任することになったのは、西武ライオンズの森祇晶と似ていると感じた。強い大人の本当意味でのプロ集団のチームを作ったのに、客が入らない、試合が面白くないとケチをつけられてしまう。川崎憲次郎の章では思わずうるっときてしまいました。森野将彦、宇野勝、和田一浩、小林正人などそれぞれの人と落合の関係も興味深かった。たぶん、再度プロ野球の監督になる可能性は低いのだろうが、もう一度見てみたいと思う。当時のコーチであった森繁和氏の本なども再読したいと思う。

Posted byブクログ

2021/09/27

森野と立浪のエピソードに心震える。独学で(独学なればこそ)余人の及ばない観察眼を身につけた監督のエピソードは心に残るが、 なればこそなぜ解任されたか、の部分からセンチメンタルになってしまう所が惜しい。親会社の主流争いに巻き込まれて、新主流に嫌われたから解任されたかだけなのか、もし...

森野と立浪のエピソードに心震える。独学で(独学なればこそ)余人の及ばない観察眼を身につけた監督のエピソードは心に残るが、 なればこそなぜ解任されたか、の部分からセンチメンタルになってしまう所が惜しい。親会社の主流争いに巻き込まれて、新主流に嫌われたから解任されたかだけなのか、もしそうだとしたらこれほどの実績を残した監督を解任するに足る新しいビジョンが(それが絵に描いた餅の様なビジョンだったとしても)、そことのせめぎ合いの部分をもっと掘り下げて欲しかった(そうなるともはやスポーツノンフィクションではなくなってしまうが)。

Posted byブクログ