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嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか の商品レビュー

4.6

283件のお客様レビュー

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2021/11/04

落合監督はシンプルだ。 合理的なものを詰め込んだ野球。 その場限りの感動ではなく日々積み上げてきた地道な期待値から生まれる勝利。 ただその勝利が世間や野球界から求められているものではなかったのかもしれない。 多くの人がお涙頂戴の感動野球を求める。 その中、プロとは何か突き詰めた野...

落合監督はシンプルだ。 合理的なものを詰め込んだ野球。 その場限りの感動ではなく日々積み上げてきた地道な期待値から生まれる勝利。 ただその勝利が世間や野球界から求められているものではなかったのかもしれない。 多くの人がお涙頂戴の感動野球を求める。 その中、プロとは何か突き詰めた野球が落合野球なのではないか。

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2021/10/31

落合がいなくなって中日は元に戻った。偉大な監督でも恒久的に変えるのは難しいのね。打ち上げ花火に終わったのは残念、巨人ファンとしては楽になったけど。原は落合の前では蛇に睨まれたカエルだった。落合には巨人の監督もやってもらいたかった。

Posted byブクログ

2021/10/31

【はじめに】 著者は新卒の日刊スポーツ記者時代に落合付きになったフリースポーツライターの鈴木忠平。現在は単行本にもなっている、Numberに掲載された『清原和博への告白 甲子園13本塁打の真実』の著者だ。今も最多記録として残る甲子園での通算本塁打数。その本塁打を打たれた側にインタ...

【はじめに】 著者は新卒の日刊スポーツ記者時代に落合付きになったフリースポーツライターの鈴木忠平。現在は単行本にもなっている、Numberに掲載された『清原和博への告白 甲子園13本塁打の真実』の著者だ。今も最多記録として残る甲子園での通算本塁打数。その本塁打を打たれた側にインタビューをしてまとめた記事だが、覚醒剤の問題を起こしていた清原をあえて取り上げたことと、その記事を読んだ清原から著者にお礼の電話がかけられたというエピソードが印象に残るスポーツノンフィクションの名著だった。 既成の記者と監督という関係を無視し、選手との距離も取り、勝負に徹する落合。古参の記者が距離を置くところをそれまでの蓄積もしがらみもなかった著者は落合との距離を逆に詰めることができた。中日を去る落合は、「お前がこの先行く場所で、俺の話はしない方がいい。するな」と著者に告げた。落合のことをよく思わない人が多いであろうということともに、「この人間がいなければ記事が書けないというような、そういう記者にはなるな」という忠告でもあった。 Number専属記者となり、そしてフリーとなり、『清原和博への告白』も世に出した今、ようやく落合に迫る著作を出せたというところなのかもしれない。 【概要】 各章は、落合監督時代の年代期のようになっているのだが、ドラゴンズに在籍したそれぞれの選手や球団関係者に着目をしてそれぞれの章が進んでいき、とても読みやすい。取上げられた人物は、川崎、 森野、福留、宇野、岡本、 中田スカウト部長、吉見、和田、小林、井出球団取締役編成担当、トニ・ブランコ、荒木の12人。 監督就任初年度、高額FAで中日に移籍したものの怪我で成績を残せず、またその怪我も癒えない川崎を開幕投手に選んだところから始まる。正確に言えば、キャンプ初日に紅白戦を実戦形式で行うと宣言したところから始まる。その二つの選択の意図は後に明かされるのだが、物語の始まりとして相応しく、また落合の他人と迎合することのない人となりを示すものだ。 有名な日本シリーズで八回まで完全試合を続ける山井を最終回に岩瀬に代えた試合。その顛末が書かれた章は、山井でもなく岩瀬でもなく、その三年前の初の日本シリーズで谷繁と立浪の進言を受けて続投し、そして打たれた岡本の名前が付された章となっている。 そのミスター・ドラゴンズ立浪は落合監督時代の2009年に引退しているが、森野を引き上げることでアンタッチャブルともなっていた立浪に引導を渡すこととなった。これを立浪の目線ではなく、森野の目線から描いているのも印象的である。 来年度は、その立浪が中日ドラゴンズの指揮を執ることとなった。落合を是とするのか、星野を是とするのか、興味をそそるところでもある。 【所感】 選手時代から監督時代を通して、周りには全く迎合することなく結果を出し続けてきた落合博満。『嫌われた監督』とのタイトルの通り、落合は選手にも球団にも記者にもファンにも好かれることはなかった。勝つためには好かれる必要がないからだし、嫌われることが勝つことにつながるのであれば常に好かれることよりも嫌われることを選んだ。器用であるように見えて、ずいぶんと不器用である。それはビジネスにもつながるものなのかもしれない。最終的に受け入れる結果も含めて。 落合は著者にずっと同じところからグラウンドを見ておけと言った。そうすると選手には見えない違いが見えるので、皆が聞きに来るというのだ。果たしてそういうことが起きたのかどうかはわからないが、定点観測から逆に自分を知ることでもあり、また自分の軸を持つということでもあり、著者の心にも残る深く鋭いアドバイスだった。実際に落合は、荒井を井端に代えてショートにコンバートしたのもベンチの同じ場所から見たときにはじめてわかる井端の守備の衰えを感じ取ったからだという。 途中にそっと置かれた御守り紛失事件は中日ドラゴンズ監督としての戦記としては不要ではあるが、落合の物語としては必要なパートだ。特にこのエピソードも含めて信子夫人にも好感を持つようになった。 スポーツノンフィクションとして、構成も内容も一級品。とても楽しめたとともに、「嫌われた監督」落合博満のことを好きになった。お薦め。 ---- 『清原和博への告白 甲子園13本塁打の真実』(鈴木忠平)のレビュー https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4163905782

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2021/10/27

電子書籍。『オレ流』と言われ、世間からは理解されなかった落合。最近、YouTubeで前田や和田が『落合さんのバッティングは天才』と言っているのを見て、やっぱりそうなんだな…と再度、落合という人物に興味を持ちました。で、この本。中日の番記者であった著者のフィルターがかかっているのを...

電子書籍。『オレ流』と言われ、世間からは理解されなかった落合。最近、YouTubeで前田や和田が『落合さんのバッティングは天才』と言っているのを見て、やっぱりそうなんだな…と再度、落合という人物に興味を持ちました。で、この本。中日の番記者であった著者のフィルターがかかっているのを除いても落合という人がどんな考えであったか?が非常によくわかります。捉え方は人それぞれだと思うけど、自分には割とスッーと入ってきました。結局は、監督としてもプロを貫いた男。約束した目標に向かって最善策をとる…これがなかなか普通はできない。が、この男はやると決めたらやる。立浪への森野の挑戦、山井の交代劇、アライバのコンバート…普通であれば逡巡してしまうことをやる。その物差しで見ると、たしかにそうだ!と納得できる。たぶん本質的な人間性は極めてウェットな人のような気がするが、プロとしてそこは表に出さない。とにかく、野球好きなら読んで損は全くないと言えると思います。

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2021/10/24

<目次> プロローグ 第1章川崎憲次郎 第2章森野将彦 第3章福留孝介 第4章宇野勝 第5章岡本真也 第6章中田宗男 第7章吉見一起 第8章和田一浩 第9章小林正人 第10章井出峻 第11章トニ・ブランコ 第12章荒木雅博  エピローグ清冽な青 あとがき 本屋で積んであ...

<目次> プロローグ 第1章川崎憲次郎 第2章森野将彦 第3章福留孝介 第4章宇野勝 第5章岡本真也 第6章中田宗男 第7章吉見一起 第8章和田一浩 第9章小林正人 第10章井出峻 第11章トニ・ブランコ 第12章荒木雅博  エピローグ清冽な青 あとがき 本屋で積んであったのを見つけて購入、即日読了。 今のドラゴンズは、なぜ弱いのか。 選手はラクだが、勝てない理由は、この本の中にある。 来年からは、黒い噂のあるT氏が監督になるが どこまでやれるのだろうか。

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2021/10/24

p54 監督の仕事ってのは、選手のクビを切ることだ p97 別に嫌われたっていいさ。俺のことを何か言う奴がいたとしても、俺はそいつのことを知らないんだ p122 福留は直感的にわかっていた。落合は好きだとか嫌いだとか、そうした物差しの埒外で生きている人間だ。感情を持ち込んでも...

p54 監督の仕事ってのは、選手のクビを切ることだ p97 別に嫌われたっていいさ。俺のことを何か言う奴がいたとしても、俺はそいつのことを知らないんだ p122 福留は直感的にわかっていた。落合は好きだとか嫌いだとか、そうした物差しの埒外で生きている人間だ。感情を持ち込んでも意味がないのだ。その割り切りが落合の言葉に耳を傾けさせ、技術追求への純度を高めた p123 落合が影響を受けたバッター 土肥健ニ p128 この世界、好きとか嫌いを持ち込んだら、損をするだけだよ p139 福留は落合を鏡にしているのだ。日々、自分のバッティングに起こる変化を正確に映し出してくれる2つの眼 そこに情はない。あれば鏡は曇るだけだ p151 スポーツは強いものが勝つんじゃない。勝った者が強いんだ p167 お前がテストで答案用紙の答えを書くだろう?もし、それが間違っていたとしても、正解だと思うからかくんだろ?それと同じだ p180 ただ球界には、伏兵の挙げた点では勝負は決まらないという言葉がある p202 勝つために、その他一切を捨て去る。森は落合の下で、そういう野球をやってきた。だからここまで辿り着けた、とも言える p228 でもな、負けてわかったよ。それまでどれだけ尽くしてきた選手でも、ある意味切り捨てる非常さが必要だったんんだ p229 監督っていうのはな、選手もスタッフもその家族も、全員がのっている船を目指す港に到着させなきゃならないんだ。誰か一人のために、その船を鎮めるわけにはいかないんだ。そういえば、わかるだろ p246 落合はいつも、正義と決めれたことと、悪とみなされていることの狭間に石を投げ込み、波紋を広げるからだ p320 スクープをものにできるのは、疑り深い奴だけだ p427 人は自分が理解できない物事を怖れ、遠ざけるものだ p433 心配するな。俺はお前が好きだから試合に使っているわけじゃない。俺は好き嫌いで選手を見ていない p438 落合はリスクや不確実性をゲームから取り除いた。それが勝つために最も合理的な方法だと考えたからだ p441 監督はさ、心は技術で補えるっていうんだよ。不安になるっっていうことは技術が足りないんだって。それはつまり、俺にもとの一にもどれって言っているのかな 千利休の言葉 一より習い十を知り、十からかえるともとのその一っていうのがある

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2021/10/21

 期待にたがわず素晴らしい内容でした。  落合さんは、真っ当な論理を持った人だと思います。真っ当な論理を当てはめなければならない場面では、そのように判断・行動されます。でも、選手への思いやりもしっかりと持っている監督だろうと感じます。選手が独り立ちしてものを考える人間になるように...

 期待にたがわず素晴らしい内容でした。  落合さんは、真っ当な論理を持った人だと思います。真っ当な論理を当てはめなければならない場面では、そのように判断・行動されます。でも、選手への思いやりもしっかりと持っている監督だろうと感じます。選手が独り立ちしてものを考える人間になるようにと願って、でもあまり口に出さずに、監督をしていらしように、この本を読んで感じました。  以前読んだ本の中で、ワールドベースボールクラッシックに要請されたのに出なかった選手たちにとって、出なかったことの理由を説明する義務はないということの理由(落合監督の考え)が書いてありました。出ることが義務でない場合に、それに出ないという返事をするときに理由を添える必要はない、という趣旨でした。それを読んで、落合さんは、至極まっとうな人だと感心しました。  グラウンドで、落合監督が何を見ているのか、というのも書いてあります。すごいなぁと感じます。  値打ちのある本でした。

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2021/10/21

 プロ野球中日ドラゴンズの黄金期を築いた監督・落合博満氏に迫る話題のノンフィクション。描かれる落合氏の人物像は、戦い続けなければならない現代人に刺さるのではないか。  落合氏の言葉はどれも印象深いが、とくにこれだ。 「球団のため、監督のため、そんなことのために野球をやるな。自分の...

 プロ野球中日ドラゴンズの黄金期を築いた監督・落合博満氏に迫る話題のノンフィクション。描かれる落合氏の人物像は、戦い続けなければならない現代人に刺さるのではないか。  落合氏の言葉はどれも印象深いが、とくにこれだ。 「球団のため、監督のため、そんなことのために野球をやるな。自分のために野球をやれって、そう言ったんだ。勝敗の責任は俺が取る。お前らは自分の仕事の責任を取れってな」(p449)  個と集団をどう考えるか。落合氏には確固とした哲学がある。だから、ヘッドスライディングはするな、と。予想を超える力を突然出すよりも、むしろ予測可能なプレーを毎日やる方がいい、と。しかしだからこそ、監督最終年の2011年、ある選手の、選手生命を失いかねないホームへの走塁が胸を打つ。そのプレーを見て、落合氏は「何かを言う必要はないんだって、そう思ったんだ」と振り返る。  落合氏は、孤独に勝ってきた。そして、一人で来た記者には話すと言った。そういう人物を長年追い掛けたからこそ、筆者は「列に並ぶことをやめていた」。そう、周りの人間と同じことをやってちゃいけない。落合を見よ、である。

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2021/10/30

人をくったような顔で愛想の無いコメントしか言わない独特のキャラクターが私の顔が似ていると言われていたこともあっていつも気になる存在だった。週刊文春の連載が時々ネットに流れてきて、その文章を読んだりしていたが単行本になっているのを知らずにいた。アマゾンで売り切れているのを知ってから...

人をくったような顔で愛想の無いコメントしか言わない独特のキャラクターが私の顔が似ていると言われていたこともあっていつも気になる存在だった。週刊文春の連載が時々ネットに流れてきて、その文章を読んだりしていたが単行本になっているのを知らずにいた。アマゾンで売り切れているのを知ってから近くの書店で探してもらったが在庫はなかった。翌週購入することができ、早速読んだ。ものすごく面白く、時には涙を流しながら読んだ。落合は不世出の選手でかつ無二の監督だった。再読に耐える傑作だと思う。

Posted byブクログ

2021/10/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

薦めてきた家族が「面白いからすぐ読んで」というので読み始めたら、言われた通りすごく面白いのであっという間に読んでしまった。 私が野球をちゃんと見られるようになったのが2007年頃で、ちょうど落合政権真っ只中だった。贔屓チームの攻撃では塁に出ることも難しいのに、裏になればアライバのしぶといバッテイングと進塁、それを和田や森野が返し、じりじり試合を見守るうちに浅尾・岩瀬が出てきて望みはぷっつり絶たれる。敵地であるナゴヤドームは乗り込んだチームの覇気や運のようなものをすべて暗闇に吸い込んでいくような、不気味なイメージだった。でもこの本を読んでみれば、その一種絶望的な空気は相手チームのみならず中日の選手たち、そして他ならぬ落合監督を絡めとっていたのだと分かる。落合監督は攻撃では確実性だけを追い求め、守備では常に100%の完璧を課した。他人に理解されることははなから諦めきっていて、心の揺れは身の内で焼き殺し、情を捨て……。読み始めればただならぬ緊張感がずっと漂い続けていて、目を離すことができなくなる。落合監督に関わっていく中で、選手たち、コーチ、記者……みんなどこかに孤独を抱え対峙するようになる、その様子がそれぞれの視点から克明に記録されていた。おそらくインタビューなどから構成したのだろうが、こんなに緊迫感と臨場感で張りつめた文章で読ませてもらえるなんてと感動してしまった。 落合監督は最後に野球は契約が全ての世界だとして、「自分で、ひとりで生きていかなくちゃならないんだ」と語っているけど、それは野球の話だけではなくて、生きていくうえで骨身に染み付いた哲学なのが伝わる。それは物悲しくも聞こえるけれど、その孤独は開放や救いをもたらすものでもあるのだ。だからこそ夫人のような、人に寄り添う明るさも沁みるのだろう。 本人の心境が直接的に語られることはないのだが、それがかえってその孤独な存在の苦悩や哲学を浮き彫りにしていて、本当に面白い本だった。

Posted byブクログ