認知症世界の歩き方 の商品レビュー
「そうか、そういうことなんだ」の連続。 私が福祉の仕事に就き始めたころに比べ、認知症という言葉を日常生活で聞くことも多くなったし、「『認知症』ってこういうことだよ」「認知症の人とはこう接すればいいよ」ということもさまざまな場面で話されているようになった。 でも、その情報に沿って認...
「そうか、そういうことなんだ」の連続。 私が福祉の仕事に就き始めたころに比べ、認知症という言葉を日常生活で聞くことも多くなったし、「『認知症』ってこういうことだよ」「認知症の人とはこう接すればいいよ」ということもさまざまな場面で話されているようになった。 でも、その情報に沿って認知症の人と接してみても「何か違う」と感じることも多く、どうしたらいいのか悩んだこともあった。 この本を読み終えて、認知症の人が日々の生活をどのように感じ、その中でどのような困りごとが生じているのか、一度にすべてとまではいかないが理解できるようになった。これで少しずつでも私自身が認知症の人との接し方を考えながら実践できるかなと思っている。
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「認知症』とはまさに、「認知』の働きが低下することによって起こる状態なのだなぁと納得がいった。「買い物カートをうまく押せない」「トイレが間に合わない」「階段を降りるのが怖い」等等、子育てをしていく中で小さな子どもができるようになっていったことが、加齢によって再びできなくなっていく...
「認知症』とはまさに、「認知』の働きが低下することによって起こる状態なのだなぁと納得がいった。「買い物カートをうまく押せない」「トイレが間に合わない」「階段を降りるのが怖い」等等、子育てをしていく中で小さな子どもができるようになっていったことが、加齢によって再びできなくなっていく。生き物の自然なあり方であり、自分もそうなっていくのなら、筆者のいうように「認知症フレンドリーな社会」を目指していくべきだと思う。
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認知症のある人が生きている世界を本人たちの視点からみるとどうなっているのか、実際の経験談を元に旅行記のようにユニークなイラスト付きで解説されている。 バスに乗ってどこに行くか忘れる等自分の今しようとしたことが全くわからなくなる「ミステリーバス」、時間経過の感覚がなくなる「トキ...
認知症のある人が生きている世界を本人たちの視点からみるとどうなっているのか、実際の経験談を元に旅行記のようにユニークなイラスト付きで解説されている。 バスに乗ってどこに行くか忘れる等自分の今しようとしたことが全くわからなくなる「ミステリーバス」、時間経過の感覚がなくなる「トキシラズ宮殿」、人の顔を識別できなくなる「顔なし族の村」といったように認知症世界の不思議な旅は続く。後半にはそういった旅路をどうしたら楽しめるようになるのかアドバイスが書かれており認知症当事者にも介護をする側にもわかりやすい内容となっている。 認知症に対して感情的にショックを受けるのではなく、なぜこういう状態が起こっているのかを冷静に捉えて知ることができると気持ちが少し楽になるかもしれない。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
認知症の当事者がどのように周囲を捉えているか、に主眼を置いた本。 認知のネットワークのどこかに故障が生じたため、当事者は周囲の環境や知覚をこのように捉えてしまい、その捉え方が認知症を発症していない人には奇異に見られる行動を取ってしまうという説明がされている。 この本でも触れられているけれど、認知症の当事者の知覚に主眼を置いた本はこれまで少なかったように思う。また、この本が良いなと思うのは決して認知症になっても絶望的、というわけではない、という書き方がされているところ。以前とは同じようには出来ないけれど、自分はこのように捉えてしまうから、このようにアプローチしていこう、という書き方がされている。 だからといって、認知症になっても大丈夫、とは思えないが、認知症になったら絶望、生きている意味がない、そんな気持ちは持つ必要がない、という気にはなれる。うまく出来ないことも、他の人の手助けを借りれば出来る、「次に会ったときには、あなたのことを覚えていないかもしれませんが、声をかけてください」と言う、そういう心持ちの人は、きっと介護する人も気持ちが楽なのじゃないか、などと考えてしまう。人柄がよい、というのは何にしてもいいことだなあ、と当たり前のことを思った。 ピアサポート(当事者同士の支え合い)が認知症にもあるという。きっと心強いのではないだろうか。発達障害、精神障害、行為障害もピアサポートが充実する世の中になると孤独や不安で押しつぶされる人は少しは減っていくのではないだろうか。
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何かで見かけて気になったので読んでみました。 読み始めた時点では、家族などの当事者向けという印象で読んでいましたが、認知症の症状の中には、程度の差はあれど、認知症でない(と思っている)私でも当てはまるような症状もあり、こういう不便さが積み重なって大変な思いをするんだなと感じました...
何かで見かけて気になったので読んでみました。 読み始めた時点では、家族などの当事者向けという印象で読んでいましたが、認知症の症状の中には、程度の差はあれど、認知症でない(と思っている)私でも当てはまるような症状もあり、こういう不便さが積み重なって大変な思いをするんだなと感じました。 例えば、冷蔵庫の中身が分からなくなる、はめちゃくちゃ心当たりがあります。そこまでひどくないけど、床の模様がでこぼこして見える、ちょっとした段差や隙間で電車やバスに乗れない(そういう意味でエスカレーターが苦手です)、も経験あります。 こう見える、こう感じるという理由と、物によっては対策も書かれていて、認知症が始まったと感じ始めた本人には、すごく助かる本じゃないかと思います。 家族にとっては、助けの一部にはなりそうだけど、一つ一つはあっさりした記載なので、そこまで深い助けではなさそうです。 こういう本がある、ということを覚えておこうと思います。
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カラーイラストやわかりやすい表記デザインで、認知症を理解するには良本である。 将来の自分のためにも、もしくは身近な人のためにも、いちどは手にとることをお勧めする。
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昔から人の顔を一瞬で判別できない。 街を歩いていて知人から声をかけられることはあっても、自分から声をかけることは絶対ない。 声をかけられて一瞬、誰だっけ?と間があってから、あ~久しぶり~という流れ。 ほかにも30代になってから、階段を下っているときに、次に足を置く段が急...
昔から人の顔を一瞬で判別できない。 街を歩いていて知人から声をかけられることはあっても、自分から声をかけることは絶対ない。 声をかけられて一瞬、誰だっけ?と間があってから、あ~久しぶり~という流れ。 ほかにも30代になってから、階段を下っているときに、次に足を置く段が急に低くなって見えたりする。 頭がボーっとしているときには、新宿駅で昔の職場に向かう改札を通ったりする。 あとは、職場のカードキーに自宅のカギを差し込もうとしたり。 何やってんだ俺は?とふと我に返るが、我に返らずになんでどうしてと陥ってしまうのが認知症なのだろうなぁ。 さて、本書は認知症を知るため、ツアーに出かけるといったていで認知症を体験できる。 認知症の人だって、何か理由があってその行動をしている。 その行動の理由を理解する一助になれば。 いつか認知症になった時、その時はARとかVRが技術革新していて、俺を終わらない旅の世界に閉じ込めていただきたい。
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自分にも自分の身の回りの家族にも近い将来訪れるであろうと思われることを、この段階で少しばかりでも触れることが出来てよかった。
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はからずも映画「ファーザー」の試聴後に読むことができた、認知症の人が直面する困り事を、なぜそうなるか当事者の視点から描いた本。 これを読んで気づくのは、日常生活、特に機械化された生活が日々複雑になっているということ。支払い、チャージ、通勤…健常者は意識せずにやっているが、そのプ...
はからずも映画「ファーザー」の試聴後に読むことができた、認知症の人が直面する困り事を、なぜそうなるか当事者の視点から描いた本。 これを読んで気づくのは、日常生活、特に機械化された生活が日々複雑になっているということ。支払い、チャージ、通勤…健常者は意識せずにやっているが、そのプロセスを分解すると様々な認知、知識・記憶との結びつけ、行動への結びつけから成り立っていることがわかる。 また、ぼーっとしている、徘徊、風呂に入りたがらないといった行動は、どういう困難から派生した結果なのかということが、とてもわかりやすく書いている。これを介護当事者に押し付ける気は全くないが、認知症の人の行動を少しでも理解することに近づける気がするし、自分が介護する立場になった時に、この本の内容と優しい視点を思い出したいと思った。 社会のデザインを認知症の人に優しくすることで、認知症でなくとも高齢者や弱者に優しい社会になれる予感がした。
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これは良書だと思います! 架空の島、dimentia島(認知症の島)を旅しながら認知症患者がどういう世界で生きているのかを漫画と共に分かりやすく紹介しています。dimentia島の形は脳の記憶を司る海馬の形をしています。 認知症といえば物忘れや徘徊などが取り沙汰されますが、これを...
これは良書だと思います! 架空の島、dimentia島(認知症の島)を旅しながら認知症患者がどういう世界で生きているのかを漫画と共に分かりやすく紹介しています。dimentia島の形は脳の記憶を司る海馬の形をしています。 認知症といえば物忘れや徘徊などが取り沙汰されますが、これを読むと五感の機能全てが色々綻び、それが組み合わさって症状がでるみたい。しかも個人でその頻出度は違うから症状は個人個人全部違うと言ってもいいかもしれません。 認知症の人の行動は一見すると??なんですが、本人にはそれが実際に起こっている(と感じられる)ので、ただ徘徊したりしてるのではなく、全ての行動に理由があるのだと理解出来た事が私の前進でした。 そして身の回りの環境配備や回りのサポートがあれば普通通りに生活して行くことも可能な人は沢山居るのではとも思えました。 実際の認知症の方の生の声も沢山紹介されていて、それがとても興味深いです。これを読むと勤労世代でも認知症になる方はいるのだと分かります。 良いと思った点は、巻末にスマホでこの本のサイトに関連するQRコードが付いてて、そこにアクセスすると音声付きの動画や、検定など認知症の理解を助ける工夫が沢山ついていたことです。サイトを色々まていくと参加型オンラインゲームなども開催されてるようで、私が確認した時は全ての日程が満員御礼でした! 高齢化社会の日本、認知症も明日は我が身。共生していくヒントが沢山ありました! 私設図書にて。
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