批評の教室 の商品レビュー
著者のツイートをよく見かけて、相手が理解し、または理解を放棄するまで議論を尽くす姿勢がすごいと思ってた そんな時に本書が評判になり、実は「批評」が何かを理解せずに、「議論をうまくできるようになるかもしれない」という動機で読み始めた 批評は映画、演劇、小説などの作品を解釈し、価値...
著者のツイートをよく見かけて、相手が理解し、または理解を放棄するまで議論を尽くす姿勢がすごいと思ってた そんな時に本書が評判になり、実は「批評」が何かを理解せずに、「議論をうまくできるようになるかもしれない」という動機で読み始めた 批評は映画、演劇、小説などの作品を解釈し、価値づけすることで、本書ではその「批評」の方法論が丁寧に説明されている さらにその批評の書き方も解説があり、作成された批評を素にしたコミュニケーションがシュミレートされている 今まで読んだ読書法の本と比べてアウトプットをより意識した方法になるので、今までとは違う視点で本が読めるようになるかもしれない 「議論がうまくできるようになれるかもれない」という本書の趣旨から外れた目的を達成することは出来なかっけど、得られたものはあった 映画や演劇に疎いので、本書で一番面白いはずの批評を素材としたコミュニケーションのシュミレーションがピンと来なかったのが残念だった
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初心者向けに、批評の基本的なことを整理してわかりやすく書いてあり、読みやすく、親切。時系列を書いてみるとか、図解してみるとか、人物表とか、ネットワーキングとか、「分析って何?」という初心者にも取り掛かりやすいのではないだろうか。逆に少し勉強したことのある人にとっては、既に知ってる...
初心者向けに、批評の基本的なことを整理してわかりやすく書いてあり、読みやすく、親切。時系列を書いてみるとか、図解してみるとか、人物表とか、ネットワーキングとか、「分析って何?」という初心者にも取り掛かりやすいのではないだろうか。逆に少し勉強したことのある人にとっては、既に知ってるよってことが多いかも。プロップなんて懐かしい名前も出てきた。後半は実際に書いてみるためのヒント、参考になることも多い。しかし全体に課題や引用が(ご本人も書いているし、意図的と思われるが)確かに偏ってるね。
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非常にこなれた文学批評の入門書。 とても読みやすくて、びっくりした。 ついでに言うと、私は本書で分析例として挙げられている映画やポップソングをほとんど知らないが、それでも内容はわかりやすい。 手順は3ステップ。 精読→分析→文章化。 それぞれのステップでの注意点が開陳される。 ...
非常にこなれた文学批評の入門書。 とても読みやすくて、びっくりした。 ついでに言うと、私は本書で分析例として挙げられている映画やポップソングをほとんど知らないが、それでも内容はわかりやすい。 手順は3ステップ。 精読→分析→文章化。 それぞれのステップでの注意点が開陳される。 精読はこんな感じ。 作品内の事実を認定し、しかし語り手を含めた人物を100パーセント信用しないこと。 作者には死んでもらうが、歴史的背景は殺さないこと。 その上での分析。 具体的な方法論を示し、実際に分析例もつけられているので、とても分かりやすい。 自分の観点を持つために、「巨人の肩の上に立つ」=批評理論の助けを借りる。 タイムライン、人物相関図に書き起こす。 物語を要素に分解する(構造分析)。 「仲間」の作品を見つけ、ネットワーキングする(インターテクスト化)。 このあたりの作業、楽しそうでわくわくする。 そう思わせるように書いているところがすごい。 書く作業は、少し抽象度が上がる。 分析の切り口を決め、読者対象を想定する。 書く時には、内容が正確に伝わるように。 ここら辺、いわゆる文章読本にも重なる内容。 ただ、「誰からも好かれようと思うな」という注意を与えるあたりは、この本ならではか? 個別の文学批評理論は本書で扱われない。 もちろん、本書のあちこちに、批評理論を前提とした部分がある。 もしかしたら、批評理論を全く知らない読者には、やや受け入れにくいところがあるかもしれない。 実は批評理論の解説書かと思って読み始めたので、最初少し肩透かしを食らった感があった。 が、読み終わってみると、別建てで正解と思える。 まずはここから。 ここに書かれていることがしっかりできていれば、それなりの批評になると思われる。 では、この文章は批評か? いいや、とんでもない。 単なる感想であることを急いで書き添えておく。
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それを専門としていない読者を対象に「批評」をレクチャーする入門書。 ①精読し、②分析し、③書き、④他者と意見を交わしブラッシュアップ それぞれのステップで具体的な作品やセンテンスを用いて説明してくれるので非常に親切でわかりやすい。 精読においてはまず「間違っていない」レベルを...
それを専門としていない読者を対象に「批評」をレクチャーする入門書。 ①精読し、②分析し、③書き、④他者と意見を交わしブラッシュアップ それぞれのステップで具体的な作品やセンテンスを用いて説明してくれるので非常に親切でわかりやすい。 精読においてはまず「間違っていない」レベルを目指すこと。繰り返し/長い時間をかけて/自然では無い形で描写されるものには意図があると考えること。文脈やコンテキストを踏まえて(作者ではなく)作品を語ること。 分析においては批評理論を基にするのも良い。そのほか、図に起こす/タイムチャートを作る/他作品との比較のためのネットワーク図を利用する/早見表で作家性を見つける等で深掘る。作品が何を達成したか、何に自分は心を動かされたか、言語化する。 書く際には必ず対象を想定する。批評は一種のコミュニケーションである。切り口を決め、それをタイトルで示せれば初心者でもぶれにくい。
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作品の読み方なら批評の書き方まで全体が読みやすくのっている。 作品と呼ぶかテクストと呼ぶかや批評での価値付けについての部分は、特に批評の中核についての話のように思う。 実例部分によくできた批評ではなくリアルな批評が掲載されているのは特徴的。
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批評の教室 程々に専門的でありながら初心者にも分かりやすい、まさにタイトルの「批評の教室」に相応しい内容だった。 扱っている映画作品も有名どころばかりで、たとえ見たことがなくても配信サイトやレンタルで簡単に見つかるし、批評に必要な知識の集め方は書いてあるので、自分でも書いてみた...
批評の教室 程々に専門的でありながら初心者にも分かりやすい、まさにタイトルの「批評の教室」に相応しい内容だった。 扱っている映画作品も有名どころばかりで、たとえ見たことがなくても配信サイトやレンタルで簡単に見つかるし、批評に必要な知識の集め方は書いてあるので、自分でも書いてみたいと思えばすぐに実行できるところがいい。 見る楽しさに加えて、作品の背景や隠されたメッセージを知る楽しさ、他の作品との共通点を見つける楽しさ、問題点や不足している部分を見つけて更に良いものにできる可能性を見つける楽しさを与えてくれる批評という行為は、ある種のゲームだと思う。ルールを守って批評すれば、作品の可能性はどんどん広がる。 本の後半で著者の北村さんと教え子の飯島さんがお互いの批評について議論する短いコーナーがあり、それを読んだだけでも、褒めるだけでは可能性を広げることは難しく、疑問点や問題点を指摘して初めて改善できる可能性が生まれるんだなと感じた。 せっかくSNSやブログで気軽に作品の感想が書ける時代に生きているので、この本で得た知識を自分の鑑賞ライフに活かしたい。
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批評にあたっての実践的な技法や姿勢のレクチャーを冒頭にジャブとして配し、 随所に近年の動画配信サービス等によりアプローチが容易な映画や音楽へのコメンタリー(終盤のラッシュ)も配し入門書を求める読者へのフックとして機能している。また、実際の映画批評とそれへのコメントの実例や本書自体...
批評にあたっての実践的な技法や姿勢のレクチャーを冒頭にジャブとして配し、 随所に近年の動画配信サービス等によりアプローチが容易な映画や音楽へのコメンタリー(終盤のラッシュ)も配し入門書を求める読者へのフックとして機能している。また、実際の映画批評とそれへのコメントの実例や本書自体への再帰的な批評なども仕掛けとして折り込みながら、批評という営みの愉悦へと誘惑するテクニカルで企みに満ちた良書。
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せっかく時間を費やして読んだり観たりしたものについて、自分が何を感じたか、何を得たのかを、時間が経った後でも思い出せるようにしたい。そのよすがとしてのメモを残しておきたい、そういうときに、何を記述しておくか、のヒントを提示してくれる易しいガイド。
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良質な入門書。 文学畑出身で、批評理論を多少齧ってる人間には内容的に物足りないかもしれない。あるいは物足りないのであれば、巻末の読書案内から批評の世界へ羽ばたけばいい。 著者の食欲同然の知識欲、芸術への欲求が全編を貫いている。あまりの貪欲さに、ちゃんと寝てるんでしょうかと心配にな...
良質な入門書。 文学畑出身で、批評理論を多少齧ってる人間には内容的に物足りないかもしれない。あるいは物足りないのであれば、巻末の読書案内から批評の世界へ羽ばたけばいい。 著者の食欲同然の知識欲、芸術への欲求が全編を貫いている。あまりの貪欲さに、ちゃんと寝てるんでしょうかと心配になる。偶然にも引用されるモノの嗜好が著者と被り、好感を抱かざるを得なかった。 一方で、語るべき言葉を持つべくたえず学ぶことは、批評する対象への礼儀だとも暗に示しているような。著者は、批評は誰にでも開かれていると説くが、どんな世界にも最低限のマナーやルールはあるもの。 さて、勉強せねば‥。と思い知らされた。
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いつも何かを読んで(/見て)も知らない事を特に調べず 次、さらに次!と数だけ増やしている自分には発見であり耳が痛い内容だった。ということは裏を返せばまた新しい楽しみ方の方法が増えた!と自分を甘やかして逃げたいと感じている ただここで精読する重要性を一旦覚えたという事実に嘘はないし...
いつも何かを読んで(/見て)も知らない事を特に調べず 次、さらに次!と数だけ増やしている自分には発見であり耳が痛い内容だった。ということは裏を返せばまた新しい楽しみ方の方法が増えた!と自分を甘やかして逃げたいと感じている ただここで精読する重要性を一旦覚えたという事実に嘘はないし、なんとなくの記憶で話を進めずしっかりと出典元を確認するクセづけができれば自信をもって自説を言いきれるようになるのだろう 批評はコミュニケーションという感覚があれば他の分野でも意見の違いを冷静に受け止めて、分断ではなく対話し、それを受け入れることで自らの考えをさらにアップデートできるのはいいなと感じた
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