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心はどこへ消えた? の商品レビュー

3.9

96件のお客様レビュー

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2021/10/29

ユーモアのある文章で楽しく読める。そして難しいことを、易しく表現してくれるので分かったような気になる。ただ読み終わってみて、これからの生きる指針が得られたかと言えば、霧の中にいるような感じもする。▼<下級動物霊の夜>心理学者も人の子。環境が変われば人格が変わる。誰かの人格を変えた...

ユーモアのある文章で楽しく読める。そして難しいことを、易しく表現してくれるので分かったような気になる。ただ読み終わってみて、これからの生きる指針が得られたかと言えば、霧の中にいるような感じもする。▼<下級動物霊の夜>心理学者も人の子。環境が変われば人格が変わる。誰かの人格を変えたければ、優しくしてあげるほかない。▼<仮病は心の風邪>心は炎症を起こし発熱している。仮病の演技に乗ってあげるべきだ。▼<ハルマゲドンの後で>全国の劣等生を抱えた保護者と教師の皆様に言っておきたい。劣等生に「勉強しろ」と発破をかけても、「なんで勉強しないのだ」と怒っても無駄だ。劣等生は勉強しなくちゃいけないのは重々承知で、そうできない自分を既に深刻に責めているからだ。劣等生は自滅している。その心は自己破壊的になっていて、ぐるぐると悪循環をなしている。心理士になった今、あの謎は解ける。あれはやはり「うつ」だった。▼<未来を冷遇する>未来を生きるために不可欠なのは、希望だ。現在の自分に希望を抱けるからこそ、人は未来を想像し、アクションを起こすことができる。ありきたりな言葉にすると「自己肯定感」となるかもしれない。しかし、本来自己を肯定するのは自己ではなく、他者だ。もっと言えば、社会にもその義務がある。

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2021/10/28

臨床心理士である著者のもとを訪れる人たちのエピソードをフィクションに構成し直して交えつつ、著者の別人格バジー東畑のエピソードが語られる。 バジー東畑のエピソードも含め全体的にリアルよりは色付けされているように感じた。依頼者のエピソードを開示できないのは理解するが、個人的な物語が消...

臨床心理士である著者のもとを訪れる人たちのエピソードをフィクションに構成し直して交えつつ、著者の別人格バジー東畑のエピソードが語られる。 バジー東畑のエピソードも含め全体的にリアルよりは色付けされているように感じた。依頼者のエピソードを開示できないのは理解するが、個人的な物語が消えつつある、、と本の中にあるように、さまざまなエピソードを構成し直すことはそこに生きている人がいるという個人性が感じらず、その人にしか語れない物語性から離れてしまうのだなと思った。

Posted byブクログ

2021/10/23

臨床心理士ならではの目線や解釈になるほどなぁと思いつつ、軽快な語り口で心地よく楽しく読めました。 難しいビジネス本でもなく、小説でもなく、今このコロナ禍を生きる人々とのリアルな接点を客観的に読めることは、みんないろいろあるんだよなと実感できて癒されました。

Posted byブクログ

2021/10/11

すごく心に沁みた…。 心は物語を求めている。 人の物語で癒される自分を発見。 筆者のカウンセリング受けたくなる。そして続編を期待したい。

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2021/10/09

孤独の形は様々 感傷的になる人もいれば被害妄想的になる人もいる。何事もなかったかの様にやり過ごす人もいる。そこに人の心が垣間見える。

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2021/09/28

以前読んだデイケア本が面白すぎてびっくりし、こちらも手に取りました。臨床経験や自身の体験から考えたことを紹介されている中、 「根源的なことを問い続ける姿勢」が今とてもしっくりしました。 学問ではなく仕事での支援のことだけれど、長く続けていると「そもそもどうして」と立ち止まり振り返...

以前読んだデイケア本が面白すぎてびっくりし、こちらも手に取りました。臨床経験や自身の体験から考えたことを紹介されている中、 「根源的なことを問い続ける姿勢」が今とてもしっくりしました。 学問ではなく仕事での支援のことだけれど、長く続けていると「そもそもどうして」と立ち止まり振り返ることが減ってしまいよくないな、と感じていた折でもあり、意識的に考える機会を持ちたいと思いました。

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2021/09/26

さすが東畑先生、という感じがしました。 ユーモアあふれる中にも、いまの社会の課題の本質を突いていると思います。 通して読んで、最後はじわっと泣けました。 自分自身や、すべての人の中にある心の傷を、優しく引き受けてくれる本です。

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2021/09/24

全編を通して短いコラムで構成されている。東畑さんの本は言葉の使い方が面白くて、なんだかいつもクスリと笑ってしまう。 人にはそれぞれの日常があり、それぞれのやり方で生活しているが、誰しも考え何かを感じながら生きている。自分の感情の動きやその理由についてより深く知ることのできる内容だ...

全編を通して短いコラムで構成されている。東畑さんの本は言葉の使い方が面白くて、なんだかいつもクスリと笑ってしまう。 人にはそれぞれの日常があり、それぞれのやり方で生活しているが、誰しも考え何かを感じながら生きている。自分の感情の動きやその理由についてより深く知ることのできる内容だった。 人の心を感じる理由や人に心を開くのはどんな時なのか。 なぜ今を安心して生きることが出来るのか。 序盤からユーモアのある端的な言葉で語られていて、心に染みてくるような本だった。 「トイレ侍とウンコ男」「補欠の品格」「補欠の人格」が特に良かった。

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2021/09/20

本当の自分とはなにか? 生きる意味とは何か? 私とは何か? という問いには魅力があって人々は外界とはまた別の価値を内面に探し求めた。なにより臨床心理士は人気があった。 おおきすぎる問題は心をかき消す。それは抗えしがたい。 政府のことや、グローバル資本のことではなかった。もちろん...

本当の自分とはなにか? 生きる意味とは何か? 私とは何か? という問いには魅力があって人々は外界とはまた別の価値を内面に探し求めた。なにより臨床心理士は人気があった。 おおきすぎる問題は心をかき消す。それは抗えしがたい。 政府のことや、グローバル資本のことではなかった。もちろん、そういう大きすぎる物語も彼らの小さすぎる物語の遠景にはあった。だけど結局のところクライアントたちが語り続けたのは身の回りの小さなことであった。 自分で自分を責めることを超自我という。 多くの場合、現実は超自我よりマイルドなのだ同僚と顔をあわせない日々が続くとだんだん超自我の声が強くなってくる。心の中の上司が投影されるから学校や職場に行くのが億劫になるのはそのせいだ。 あいつが怖い、あいつがむかつくと考えぐるぐるかんがえるうちに心の中のあいつが肥大化していく。戦争を終らせるには直接会うしかない。 心の回復には時間が止まるフェイズがある。もちろんその前に環境を整えなければならない。経済的支援が必要な人危険な環境から離れるために一人暮らしが必要な人もいる。 そうやって暴風が収まると凪の時間が訪れる。そのとき私たちはふと我に返りぽつんと一人になるするとようやく、内省が可能になる。落ち着いて自分を考えることができるのだ。 必要なのは自分でなんとかすることではなく、人になんとかしてもらうことだ。不器用の頼れない娘と、不器用にケアすることしかできない母の間には何度も摩擦ができた。だけど摩擦とは二人が一緒にいられるように、互いの形を研磨することである。 金で済むことは金で済ませる。これはこれで人生の深淵を感じさせる名言 他者にもましてコントロール不能なのが自分の心、心は自分の所有物であるはずなのになかなか自分で止めることが難しい。こういうときは外在化と呼ばれる心理学の技法を使ってトリセツを作るとよい。 自分自身がまだちゃんと人生をいきていない。

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2021/09/17

一つ一つは読みやすいエッセイなのだけれど、全体を通して見た時、カウンセリングとはこういうものか、と感じることができた。 というのは、自分が受けているカウンセリングに照らし合わせたから思う感想。 カウンセリングにおけるクライエントとして、自分の中では先が見えない闇の中で彷徨っている...

一つ一つは読みやすいエッセイなのだけれど、全体を通して見た時、カウンセリングとはこういうものか、と感じることができた。 というのは、自分が受けているカウンセリングに照らし合わせたから思う感想。 カウンセリングにおけるクライエントとして、自分の中では先が見えない闇の中で彷徨っているイメージだけど、おそらくカウンセラーからはこう見えていて、こういう気持ちでこういう反応をしてくれていたのか、と納得できる箇所が多くあった。 「心が一つ存在するために、心は必ず二ついる。」と本文中にあるが、本当にその通りで、もう一つの心が感じ、受け止めることで初めて心の形がわかる。そのもう一つの心役は多くの場合他者となると思うが、相手も人間なので心の形を教えてくれるだけでは済まず、傷つけたり変化させようとしたりすることも多々ある。そこを、純粋に心の形だけを教えてくれる、本人自身の変化を見つけてくれるのが、カウンセラーなのだと思う。

Posted byブクログ