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わたしのいないテーブルで デフ・ヴォイス の商品レビュー

4.3

62件のお客様レビュー

  1. 5つ

    27

  2. 4つ

    24

  3. 3つ

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2022/08/25

今作ではコロナ禍でのろう者の生活というのもテーマのひとつだったように思います たいへんなんだろうな〜とはなんとなく思いつつ そうは言ってもたいへんなのはこちらも一緒と一緒のはずがないのに思ってしまったりもして デフ・ヴォイスシリーズを読むことで少しでもそういった方たちを慮る気持...

今作ではコロナ禍でのろう者の生活というのもテーマのひとつだったように思います たいへんなんだろうな〜とはなんとなく思いつつ そうは言ってもたいへんなのはこちらも一緒と一緒のはずがないのに思ってしまったりもして デフ・ヴォイスシリーズを読むことで少しでもそういった方たちを慮る気持ちを思い出せて良かったなと思うと同時にカエルのように扱っていないよな(どういうことかは本編を読むとわかります)と自分の頭の中を点検しています そして今作で一番ハッとしたのはろう者の老人トキ子さんのいう「自尊心」という言葉です ウィッキーさんによると〜「自尊心」とは自分が有能であるといういわゆる自信と、自分に価値があるという自尊の2つの要素から成り立っている〜とのこと 日本でも過去にろう者の方たちからこの「自尊心」を取り上げるようなまたは最初から育たないようにする政策が取られていたり 家庭の中、特にろう者が聴者の中で一人きりの場合などにそういったことを強要していることがあるのではと指摘しているように思います こういった指摘に対しいろいろな考えがあるとは思いますが、まずは知ることがとても大事だと思いますのでこのシリーズはこの先も続いてほしいなぁと思うのでした

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2022/08/04

デフ・ヴォイス、いよいよ第四作。 真夏のミステリー祭り!とばかりに図書館から 何冊か借りてきたけれど、 やっぱりこちらを最初に手に取ってしまった。 最新作は現在のコロナ禍を通して描かれているため、 よりリアルなろう者の苦しみや憤りを感じられた。 多くのろう者が自身の家族との生...

デフ・ヴォイス、いよいよ第四作。 真夏のミステリー祭り!とばかりに図書館から 何冊か借りてきたけれど、 やっぱりこちらを最初に手に取ってしまった。 最新作は現在のコロナ禍を通して描かれているため、 よりリアルなろう者の苦しみや憤りを感じられた。 多くのろう者が自身の家族との生活で感じる孤独感、疎外感やコミュニケーションの取りづらさ。 そこから発展して起こってしまった家族間の事件は 閉塞されたこの状況だからこそ、一層現実味を帯びて 伝わってくる。 今回、ふとしたことから主人公の過去の出来事が 明らかになるのだけど、そのシーンはとても良かった。 ずっと心の奥深くに刺さっていたかたい氷のトゲのようなものが、ようやく溶けたような。。 でもこの先も新しい家族との問題は山積みで… 丸山さん、次作もぜひ書いてくださいね!

Posted byブクログ

2022/08/04

2020年1月年明けと共にコロナの感染が始まった。 わたしの住む愛知県も感染者の多い地域だが、やはり中心部名古屋から離れていると、最初の頃は実感もなくニュースを見ていたと思う。 さて今作デフ・ヴォイス第四弾 コロナが蔓延していく状況の中、荒井家と取り巻く環境も変わっていく。 ...

2020年1月年明けと共にコロナの感染が始まった。 わたしの住む愛知県も感染者の多い地域だが、やはり中心部名古屋から離れていると、最初の頃は実感もなくニュースを見ていたと思う。 さて今作デフ・ヴォイス第四弾 コロナが蔓延していく状況の中、荒井家と取り巻く環境も変わっていく。 幸い感染することなく毎日読書してますが、コロナが小説に出ている作品は一つもなかったなぁ…と この状況下の障害者の方々がいかに大変なのかと またまたこのシリーズに気付かされた_φ(・_・ 荒井は仕事激減、みゆきは警察官…警察官にソーシャルディスタンスはありません。 我が家にも警察官2人…家族も発熱は許されない笑 いやいや大変です(u_u) 荒井家も色々問題を抱えて解決まで行かない所で物語は終わりでした。 今回「ディナーテーブル症候群」を知りました。 荒井家でただ一人聞こえない瞳美の成長、それによる数々の問題… 次回作は読者の支持があれば…って! 丸山正樹に清き一票お願いしますm(_ _)m

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2022/07/09

2020年のコロナ禍の中、刑事のみゆきは仕事を休む事が出来ないので自宅学習に切り替わった娘達の面倒をみるためなかなか手話通訳の仕事が出来ない荒井。リアルに起きた問題が荒井家の事情を通して語られるのであーそんな事あったな、と妙だけど懐かしい感じになる。そんな中ろう者の娘が聴者の母を...

2020年のコロナ禍の中、刑事のみゆきは仕事を休む事が出来ないので自宅学習に切り替わった娘達の面倒をみるためなかなか手話通訳の仕事が出来ない荒井。リアルに起きた問題が荒井家の事情を通して語られるのであーそんな事あったな、と妙だけど懐かしい感じになる。そんな中ろう者の娘が聴者の母を包丁で刺した障害事件への協力の依頼が入る。黙秘を続ける娘の背景を追ううちに聴者の家族の中で孤立するろう者の孤独が浮かび上がるが、これが反転した立場の荒井が自分を見つめる道に続いているのが相変わらず秀逸。言わなきゃ判らない、を安易に言えない難しさが胸に落ちてくる。IT音痴でガラケーだった荒井をオンライン対応出来るまで導いてくれたり美和ちゃんが相変わらずいい娘、いいお姉ちゃんだけどもっと自分本位でもいいんだよ、と心配になった。ろう者の瞳美に聴者の世界が見えてきたタイミングでのみゆきの母としての最後の言葉も怖い。

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2022/07/02

5冊目の丸山正樹さん。コーダ(耳の聞こえない両親から生まれた耳の聞こえる子ども)であり、手話通訳士である荒井尚人を主人公とする「圧倒的な多数の前にあってその声が社会に届きにくい社会的少数者の声」を届けてくれる社会派ミステリ(最近ミステリ要素は少なめですが)の第四弾です。 今作は...

5冊目の丸山正樹さん。コーダ(耳の聞こえない両親から生まれた耳の聞こえる子ども)であり、手話通訳士である荒井尚人を主人公とする「圧倒的な多数の前にあってその声が社会に届きにくい社会的少数者の声」を届けてくれる社会派ミステリ(最近ミステリ要素は少なめですが)の第四弾です。 今作は2020年春、まさにコロナ禍でさまざまな影響を受ける荒井家を軸に、ろう者社会の「家庭でのろう者の孤独」をテーマに描かれています。荒井の妻・みゆきの連れ子である美和は中学3年生となり、二人の娘でろう児である瞳美は4歳となりました。 聴者である母を刺してしまったろう者の女性も、荒井の母の昔馴染みであるろう者のトキ子も、耳の聞こえない娘の瞳美を育てるみゆきも、思春期の美和も、そしてコーダである荒井も、みんなみんなそれぞれの葛藤を抱えて生きています。今回、荒井が母からの愛を知ることができて、本当によかった。 今回も、タイトルにも通じる「ディナーテーブル症候群」など初めて知ることも多く、またろう者にとっての手話の重要性や家族だからこそ難しい愛情の伝え方などなど、いろいろなことを考えさせられました。最後の法廷でのシーンは本当に胸にきました。 やはりこのシリーズ、とても好きです。ぜひぜひ第五弾も期待してます。あとがきで紹介されている五十嵐大さんの著作も読んでみたいですね。

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2022/05/31
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※このレビューにはネタバレを含みます

図書館で借りる私が唯一買って並べて置きたい作家さん。何度も読みたいから。是非是非続きもよろしく。荒井家のその後を知りたい。トキ子さん、遺産は貰ったらよかったな。

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2022/05/09

このシリーズは いつも 大切なコトを教えてくれる 私たちには 知らないコトがたくさんあって 知らずに通り過ぎてきた中には きっと こんな人達もいたんだろう 追体験 読書の醍醐味を存分に感じさせてくれるシリーズだと思う ゆっくりでいいから 長く続けて欲しい

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2022/05/07

ずっと大好きなシリーズですが、今回もまた、コロナ禍というなかで、聾唖者のおかれた立場が炙り出されていて、居た堪れない思いをしました。 また『声』についても考えさせられた。 彼らにとって、幸せになるには、どう育てられるのが理想的なのか、まだまだ見えない。

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2022/04/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

シリーズを通して、ろう者を取り巻く実情について伝えてもらい、考えさせてもらった。今回はコロナ禍の状況下で展開される物語ということで、迫真性が強い。第八章応援で、母道代がかつて寄稿した文章を読んで涙する尚人。彼の幼きころの気持ちも分かるし、今となって母の胸の内を知り悔いる気持ちも分かる。血縁の有無を問わず、意思疎通ができなければ扶助もかなわないか。それどころか嫌悪、憎悪にまで通じるならばあまりに悲しい。相手を理解できないことより、まず自分を理解してもらえないことに憤りを感じるんだろう。いやはや学ぶこと多し。

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2022/03/23

デフ・ヴォイスシリーズ4作目。 コーダの手話通訳士荒井の、妻みゆきとの間に生まれた瞳美は4歳になった。 手話で授業を行う幼稚園に通うようになった、ろう児である瞳美をとりまく家族の愛情と葛藤がリアルに描かれていて、これからの瞳美ちゃんをずっと見守っていきたいと自然に感じる。 今...

デフ・ヴォイスシリーズ4作目。 コーダの手話通訳士荒井の、妻みゆきとの間に生まれた瞳美は4歳になった。 手話で授業を行う幼稚園に通うようになった、ろう児である瞳美をとりまく家族の愛情と葛藤がリアルに描かれていて、これからの瞳美ちゃんをずっと見守っていきたいと自然に感じる。 今作では、女性ろう者が母親を刺してしまう事件が起きるが、そこで「ディナーテーブル症候群」についても取り上げられている。 ろう者が食卓で感じる孤独…そこにいるのに思いが届かない辛さが痛い。 また、ろう者として厳しい人生を過ごしてきたトキ子が、人として生きていくのに一番必要なものは「自尊心」だと言うのは心に残る。 以前読んだ『自閉症の僕が跳びはねる理由』にも「本当の優しさとはいうのは、相手の自尊心を傷つけないことだと思うのです」とあったのを思い出す。 介護においても、子育てにおいても、障害のある無しに関わらず、人としての自尊心を大切にしたいと改めて思う。

Posted byブクログ