彼岸花が咲く島 の商品レビュー
生きている世界には、まだ自分の知らないことがある 鈍感に生きていくか、もっと視野を広げていくか、どちらが幸せだろう
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架空の島(与那国をイメージしているらしい)に流れ着いた宇実は記憶喪失で自分がどこから来たのか覚えていない。助けてくれたヨナの家で暮らすようになる。 その島では女が主権を握っている。ノロという権力を持ち尊敬される役職に就くことは女の特権だ。ノロにならなければ島の歴史も学べず女語を話してもいけない。 決められた掟に男である拓慈は反発している。 ノロとなったら掟を変えればいいと言っていたヨナと宇実は、歴史を知り真実を伝えるかどうか苦悩する。 大ノロが亡くなり新しい日々が始まる。同時にヨナと宇実も新しい島を作っていくことに希望を感じている。約束通り拓慈に歴史を教えようとしている。 何か起きた時はその時に考えよう、楽観的に思える思考を持つことで島に明るい兆しが見える。 幼い2人が抗えない運命の中で奮闘し成長を遂げていく、心温まる一冊。
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中国語と日本語の入り混じった作中の「ニホン語」が面白いが、本来日本語というのは漢語という「外国語」と不可分に融合した、そういう言語なんだと実感を持たせてくれる。漢字や漢語を廃しながら英語を多用する作中の「やまとことば」の滑稽さ。東アジアへの嫌悪と蔑視から来る「純粋なニッポン」とや...
中国語と日本語の入り混じった作中の「ニホン語」が面白いが、本来日本語というのは漢語という「外国語」と不可分に融合した、そういう言語なんだと実感を持たせてくれる。漢字や漢語を廃しながら英語を多用する作中の「やまとことば」の滑稽さ。東アジアへの嫌悪と蔑視から来る「純粋なニッポン」とやらの主張がどんなに馬鹿らしいか。私自身、アジアの複数の国にルーツを持つ者として、作者の意図に共鳴するところも多かった。ただ「島」の政治はこれはこれで駄目だと思う。
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コロナ媧、アジア情勢、性差などの風刺が込められたファンタジーなのかな、と浅く理解した。その後の拓慈の存在が危ういので、歴史を知った拓慈が狂って暴れてバッドエンド、まで想像した。 あとジェンダーの観念が異なる世界観での宇美と游娜の、親愛の延長のような百合描写がちょっとえっちで良かった。
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なんとなく、この本の世界に引き込まれ、一気に読んだ。実話のように感じられたし、実在する島のように感じられた。なんだか不思議な感じ。
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第165回芥川賞受賞作。 著者の李琴美さんは台湾出身の方。 日本への眼差しが、決して敵対的ではない突き放し方、というか、ちょうどよい客観性がある。 この小説の舞台は沖縄を彷彿させる架空の島。島外から流れ着いた少女・宇美と島で育った少女游娜が、島のまつりごとを司る〈ノロ〉へと成...
第165回芥川賞受賞作。 著者の李琴美さんは台湾出身の方。 日本への眼差しが、決して敵対的ではない突き放し方、というか、ちょうどよい客観性がある。 この小説の舞台は沖縄を彷彿させる架空の島。島外から流れ着いた少女・宇美と島で育った少女游娜が、島のまつりごとを司る〈ノロ〉へと成長していく物語。 ノロに男性はなれない。つまり男は島のまつりごとに参加できない、歴史も知ることができない。 小説の終盤でその理由が明らかになるが、納得。 やっぱり、政治は女性にお願いした方がいいのだ。 人によっては少し読みづらい部分があるかもしれないけど、日本語のおもしろさに気づかせてくれる小説です。
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外国人は日本をこんな風に感じるのだろうか。排他的な国。徹底的な排除。ニホンと男の存在が重なる。抗えない存在。力でねじ伏せてくる。それでも彼女たちの選択が「排除」ではなく「共有」でよかった。私自身も、共有・協力を選択していきたい。
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第165回芥川賞受賞作。そろそろ今年の芥川賞が話題になってきたので、積読から読了。 〈二ホン語〉と〈女語〉、そして〈ひのもとことば〉。おかしな言葉が続くので最初は躊躇う。特に〈二ホン語〉が中国語と日本語が混ざったルー大柴みたいで。まあ、中国語うまくない日本人駐在員の言葉にも似てる...
第165回芥川賞受賞作。そろそろ今年の芥川賞が話題になってきたので、積読から読了。 〈二ホン語〉と〈女語〉、そして〈ひのもとことば〉。おかしな言葉が続くので最初は躊躇う。特に〈二ホン語〉が中国語と日本語が混ざったルー大柴みたいで。まあ、中国語うまくない日本人駐在員の言葉にも似てるので余計違和感。 最初、どこの島?と思う。作者が台湾出身ということで、台湾か沖縄かなと思ったら、巻末の参考資料に並ぶ与那国島の資料。言われてみたら、巻頭の地図も与那国島そっくりだ。 島と宇実の未来がどうなるのかだけど、〈ニホン〉もどうなるのかが心配。
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世界観や描写の美しさにとても引き込まれた。 女が統治している島、婚姻関係の縛りがなく自由に恋愛する島、何もかもが新鮮だった。 最後に島の歴史を知った時、ああここは未来の世界を表しているのかなと思った。 コロナ禍かつ戦争も起きている今、この話が現実感を伴って迫ってきた。 そして、現実世界を生きている私にとって、ちょっとこの島に逃げ込んでみたくもなった。 今だからこそ、色んな人に読んでほしい一冊。
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昔の話?なのか?と思ったら、現代に近い感覚のお話。 女が男のものになるということも、血のつながりを大事にする考えもやめ、(どちらも争いのもとになる。)、独自の文化を作りあげた島のお話。 男が歴史を思い出すことでまた争いが起こるかもしれないと考える、宇実とヨナだったが、最終的には、拓慈に歴史を教えることを決心した。 みんな島に住んでいるのに、男だからとノロになれないのはおかしい。 過去に自分たち女がされてきたことを、今自分たちがしているという気づき。 この島の人々は、争いなどない平和な生活を送ってほしいと心から思う。
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