二人の嘘 の商品レビュー
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映画か二時間ドラマ的なお話。内容もさほど新鮮な印象ではなかったが、なんか面白かったな。一気に読めた。 美人で優秀な女性がヒロインとくれば、周りの男性陣の思考は大抵クズ。このヒロインの周りにも、何人もクズ男が登場。故にヒロインの心を掴む男性とのコントラストが鮮やか。結末も納得はいく。しかし話しの中で一番印象に残ったのは、政界進出に興味のない彼女を、進出させたい議員が説得をした場面。議員の帰り際のセリフ「君が政治に興味がないという発言はありえない。何故なら君は東大を奨学金制度を用いて卒業している。その制度を作ったのは我々政治家だ。下々が生意気言うんじゃないよ」クズの極みここにあり。
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蛭間の様に強くて優しい嘘をつける男になりたい。 キャラ設定、構成、文章の表現全てに「間違いのない」作品だと思う。奇抜な面白さは無い。 生い立ちは似通えど歩んだ道がかけ離れている男女が、それぞれの障壁を超え時には忘れて、惹かれ合う様が描かれる。 恋愛脳の自分(想い人がいる時は仕事が手につかない)はハッとなる作品でもありました。
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都合の良すぎる展開。いちいち礼子の美しさを何度も描写すること。礼子が夫の絵に描いたような横暴さに諾々と従う様子に嫌悪感を抱きながら読み進めました。何より激務の中、睡眠も削って家事を完璧にこなすなんて、昭和男の願望かよ!と不快。 でも、だけど二人が金沢へ行き、最期に向かっていく様が美しく切なく、最後の方は引き込まれてしまった。
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一行目:ひらひらと鳥は舞い落ちていった。 昔の自分だったら感動したかもしれない。けど、今は残念ながらそこまで響かないなぁ。 家庭も職場も、違和感があるなら向き合うしかないのでは。目をそらすなら、淡々とこなすしかないのでは。他に逃げることなく。 「わたしはただ、愛を知り、覚え...
一行目:ひらひらと鳥は舞い落ちていった。 昔の自分だったら感動したかもしれない。けど、今は残念ながらそこまで響かないなぁ。 家庭も職場も、違和感があるなら向き合うしかないのでは。目をそらすなら、淡々とこなすしかないのでは。他に逃げることなく。 「わたしはただ、愛を知り、覚え、またひとりになっただけだ。」 は?はぁ… 初めからそこに運命的な愛がころがっているわけではない。みんな怒ったり、泣いたりぶつかり合って、時には相手を憎み、自分を嫌いになったりして、なんとか他者との関係を作っていく。努力もしたくない、そんなエネルギーも使いたくないなら、相手にも失礼だし、元々ひとりで生きていけばよかったのでは。 どうしようもなく惹かれてしまう、という相手もいるんだろうけど、その後の生活はその人とだけ関わるわけにはいかないし。霞食って生きていくわけには。
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夢中で読んだ、感動した! タイトルは二人の嘘。一人はエリート街道を歩む女性判事、片陵(かたおか)礼子。もう一人は片陵判事から実刑判決を受けた元受刑者、蛭間(ひるま)隆也。片陵はシングルマザーの母に育てられながら、小3のとき突然母が失踪した過去をもつ。蛭間は養護施設で7才年下の妹と...
夢中で読んだ、感動した! タイトルは二人の嘘。一人はエリート街道を歩む女性判事、片陵(かたおか)礼子。もう一人は片陵判事から実刑判決を受けた元受刑者、蛭間(ひるま)隆也。片陵はシングルマザーの母に育てられながら、小3のとき突然母が失踪した過去をもつ。蛭間は養護施設で7才年下の妹と1年間だけともに過ごし、18才で施設を出て時計職人として自活する。 事件はこの時計職場で発生、店主が殺され、蛭間が自首する。蛭間は深い傷を負い、状況から正当防衛か過剰防衛による情状酌量付きの判決かと思われたが、片陵の鋭い指摘による実刑判決を受ける。 物語はこの判決を軸に、裁く者と裁かれる者の視点から複雑な様相を醸し出す。蛭間は刑期を終え出所後、片陵判事がいる裁判所を黙って見つめる姿が目撃される。判決が正しかったのか自問する片陵、裁判所をじっと見つめる蛭間、この二人の過去から現在へと歯車はまわり、行間から溢れる切なさを感じながら、北陸の最果ての地へと収斂する。思わず涙を誘われる結末だ。
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容姿端麗かつ10年に一人の逸材と謳われる気鋭の判事、片陵礼子。幼い頃に母に突然捨てられてから本能や感情に蓋がされ、間違わないように生きていく事で傍目には順風満帆な人生を送っていた。ある日、以前に有罪判決を下した男、蛭間と邂逅し、彼の判決に間違いがなかったかどうしても気になり再度調...
容姿端麗かつ10年に一人の逸材と謳われる気鋭の判事、片陵礼子。幼い頃に母に突然捨てられてから本能や感情に蓋がされ、間違わないように生きていく事で傍目には順風満帆な人生を送っていた。ある日、以前に有罪判決を下した男、蛭間と邂逅し、彼の判決に間違いがなかったかどうしても気になり再度調べ始めた事がきっかけとなり礼子の感情が動き出す。間違いたくない礼子と間違い続けた蛭間。惹かれ合っても並んで歩いていけないと身を引く蛭間と、そんな気遣いは百も承知で彼を助けようと手を伸ばす礼子の関係が静謐に描かれているのが後半の石川の冬景色描写と相まって切なく美しい。しかし展開がめっちゃ読めるのと二人の周りの悪役達がクズ過ぎて逆に書き割り感が拭えなかった。礼子の夫と姑の嫌がらせがテンプレ過ぎるし蛭間が殺した相手も絵に描いたようなクズだし。あと礼子にやたら「美しい」という枕言葉が菊池さん家の主人公達レベルで付くんだけど手抜き感が。美の描写色々あるやろー。
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切ない 悲しい でも、美しい。 読み進めてすごく苦しくなるのに手が止められない。 映像が静かに流れてくるような作品。
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十年に一人の逸材と言われる女性判事・片陵礼子は、かつて懲役刑に処した元服役囚、蛭間隆也が裁判所の前に佇んでいるのことを知る。判決に不服があるのか、自分がミスを犯したのか、過去の公判資料を見返した礼子は、ある違和感を覚えて男のことを調べ始める。小学生の時に母に捨てられ心を殺し人と関...
十年に一人の逸材と言われる女性判事・片陵礼子は、かつて懲役刑に処した元服役囚、蛭間隆也が裁判所の前に佇んでいるのことを知る。判決に不服があるのか、自分がミスを犯したのか、過去の公判資料を見返した礼子は、ある違和感を覚えて男のことを調べ始める。小学生の時に母に捨てられ心を殺し人と関わらない生き方をしてきた礼子は、次第に控えめで優しい隆也に惹かれていく。あまりにも美しく切ない純愛物語でした。母親の真実がわかったシーンは心にひびきました。
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美しく聡明な女性裁判官礼子。過去に彼女が公判した被告人の男性との再会が、彼女の人生の歯車を狂わせていく。 脚本家でもある一雫ライオンさんの流石の手腕により、鮮明に映像が浮かび、どんどん物語に引き込まれる。 最終章のタイトルを見た瞬間、礼子とプロローグの落下する鳩が重なる。結末に...
美しく聡明な女性裁判官礼子。過去に彼女が公判した被告人の男性との再会が、彼女の人生の歯車を狂わせていく。 脚本家でもある一雫ライオンさんの流石の手腕により、鮮明に映像が浮かび、どんどん物語に引き込まれる。 最終章のタイトルを見た瞬間、礼子とプロローグの落下する鳩が重なる。結末に向かい、こちらも切なく苦しくなるがページをめくる手が止まらなかった。 切なくも美しい、今年読んだ本の中で特に印象深い作品になった。
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悲しいけどきれいに終わったな、と。 主人公の礼子は、東大卒のエリート裁判官。早々に結婚もし、自ら望んだわけではないが、裁判官としてもエリートコースを歩んでいる。しかし、彼女は小学生の時にシングルマザーの母に捨てられたという傷を抱えていた。そこに、かつて彼女が裁いた元服役囚、蛭間隆也が現れる。自分の判決に不服があるのか?自分がミスをしたのか?気になる彼女は彼について調べていき、悲しい真実を見つけてしまう。心を殺して生きてきた礼子が蛭間に惹かれていく様子と蛭間の控えめな優しさが素敵でした。反して、礼子の夫や義母の傲慢さが憎らしかったです。なんでこんな奴と結婚しちゃったんだ?と思うのですが、貧しさに疲れていたというようなことが書かれていて納得。礼子が母親との温かな記憶を思い出し、机の下に書かれた言葉を見つけたシーンは、息がつまりました。最後、夫が礼子と蛭間を追い詰めるのでは?とドキドキしましたが、そうじゃなくてよかった。でもやっぱり結末は悲しいものでした。
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