すみれ荘ファミリア の商品レビュー
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読み応え抜群!めっちゃ好き!という凄く個人的な感想から。 人間のままならない葛藤と苦しみと執着がソフトに胸に押し付けられる感じがした。特に青子さんの話は読んでてずっと「あ゛ーー………」ってなった。 だって人を愛して求めるのも結局自己愛になってしまうし、そんな人間は人を見下しながら選ぶのだし。和久井さんもそんな酷い青子さんを見限ってしまえばいいし、奪われたものはあまりに大きすぎるし、どれだけ憎んだって許されるのだろうに、それでも記憶に残る優しい思い出はなかったことにはならないんだよなぁ。「それなら少しでも良い方に」っていうのが、案外結構人生の真理かもしれない。 にしても、本編では触れられなかったけど、入院した人に植木鉢の花を贈るのは、「そこに根付く」って意味で忌避されるって聞いたことがあったから、「う、うわぁーーっ!」ってちょっとにやついてしまった。出てるでてる。 和久井さんのお母さんを見て、分け隔てない母親の平等な愛って幻想が、悲しいけれど確かに幻想なのがすごく身に染みた。肯定するわけじゃないけど、多分きっと私も同じ感情を抱いてしまうんだろうなぁ。あの子よりこの子を、私が愛さないとって。それはない方がいい事だけど、有り得ない事じゃない。むしろ絶対にそうならないって言うのが、有り得ないというか…。難しいね。ままならないね。 最後のさ、「もういいだろう?」って、花が咲くように手を開く和久井さんを見たら、胸がぎゅっとした。好きな小説のひとつになったなぁ。
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なんだかんだ言いながらも人はいつも脆く欠陥品で、どうしようもなく愛に溢れているいびつな生き物だと思う。 完璧になんてできないのに、それにすがりつくしか知らない自分の頭を、馬鹿デカいハリセンで叩かれた気分だった。 凪良作品はいつだって自分の愚かさや汚さを浮き彫りにして、最後に希望を...
なんだかんだ言いながらも人はいつも脆く欠陥品で、どうしようもなく愛に溢れているいびつな生き物だと思う。 完璧になんてできないのに、それにすがりつくしか知らない自分の頭を、馬鹿デカいハリセンで叩かれた気分だった。 凪良作品はいつだって自分の愚かさや汚さを浮き彫りにして、最後に希望を残してくれる。
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愛は欠陥品でもあるが、 骨董品(antique)でもある。 結局最期に考えるのは愛しかないのだから。 この物語でも、 いくつかの事件を乗り越えた先には 兄弟愛が実っている。 凪良ゆうさんが伝えたかったのは、 愛が巻きおこす様々な問題のsolutionは1つ。 愛しかない。
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人との距離の取り方は難しく、心が壊れてしまうのは紙一重なのだろうか。血の繋がりと愛情に翻弄される兄弟を優しく見守るつもりだったのに、ミステリーの要素も往々にして怖さ倍増。ホラーといっても過言ではないような。表面張力も短いお話のなかに複雑な要素が盛り込まれぱんぱん。決壊する寸前のと...
人との距離の取り方は難しく、心が壊れてしまうのは紙一重なのだろうか。血の繋がりと愛情に翻弄される兄弟を優しく見守るつもりだったのに、ミステリーの要素も往々にして怖さ倍増。ホラーといっても過言ではないような。表面張力も短いお話のなかに複雑な要素が盛り込まれぱんぱん。決壊する寸前のところでみんな均衡を保っているというか、まさにこれこそが表面張力なのだなぁ。
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文庫版。 短編「表面張力」収録。著者曰く、普通の人たちのお話。平和な日常生活の裏のお話。 一悟と芥、登場。すみれ荘解体工事中に出てきたお札と、それに関係するお寺の住職家族のお話。
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「すみれ荘」に下宿している人たちの、ほっこりしたお話かと思いきや、途中からの展開に驚きました! 青子さん…怖かったなぁ…
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色んな意味で怖い話。「ん?」と思ったので放火犯と殺人未遂の方は当たってしまった。愛情は本当にややこしいものだなと思う。ハラハラしながら一気に読んだ。すずらんとリンドウの花言葉を調べたけどやっぱり怖い。
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人との距離感って近過ぎてもダメだし、遠すぎると寂しいよね。 p86「世界は面倒ごとであふれている。けれどあらゆる面倒な仕事や面倒な人間関係のしがらみこそが、自分を支えていたりもする。それらがなければ、しんどい思いをして面倒ごとに立ち向かう理由がどこにあるだろう。」
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すみれ荘に住む PMSがとても重い女の子 番組プロディーザーの男の子 ずっと好きな人と一緒にいたい人 好きな人を手に入れるために罪を犯した人 虐待されていた人 大切なものを大切にできたなかった人 別にかわいそうとかじゃないよ。無駄な努力はしない、あたしはあたしのままで生きていくしかないってだけだから。高望みさえしなきゃ楽になる。 想像力の欠如って、あらゆるところで無神経の形になって表れるんですよね。 でもあたし、かわいそうじゃないからね あたしは最低な人間で、こんな自分が嫌いだけど、自己憐憫はしないから だから、憐れむくらいなら軽蔑してね おまえのためにって言葉は美しくない 守られる前提で約束するから傷つくんだよ。世の中の約束の八割はやぶられる。それをわかった上で、瞬間の心を結ぶのが約束の本質だ でも死ぬって簡単なことじゃなかった。 だったら、もう抱えて生きていくしかないじゃない。 後戻りできないなら、決めたことをまっとうしていくしかないじゃない。
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愛とは繋がりとは。を問う本だなぁと思いました。 シェアハウスではなく、下宿屋だから店子とは等距離で接する役割の管理人を置くことができ、この物語が成立できるのだなと思いました。 章毎に主役となる人物が変わり、だんだんと核心にせまる構成は好みです。 けっこうドキドキしながら読みま...
愛とは繋がりとは。を問う本だなぁと思いました。 シェアハウスではなく、下宿屋だから店子とは等距離で接する役割の管理人を置くことができ、この物語が成立できるのだなと思いました。 章毎に主役となる人物が変わり、だんだんと核心にせまる構成は好みです。 けっこうドキドキしながら読みました。
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