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すみれ荘ファミリア の商品レビュー

4.1

354件のお客様レビュー

  1. 5つ

    111

  2. 4つ

    154

  3. 3つ

    63

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

    2

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2023/02/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

すみれ荘で下宿する住人達が個々にとらわれていたり、引きずっていることの苦悩をうったえ、自分なりの生き方を貫いていく。といった流れからの、中盤からいきなりのサイコ展開へ。 題名からひとつ屋根の下に住む人々が助け合っていくハートフルな話と思っていたので予想外でした。 自分が必要とされるため和久井に毒を盛り続ける青子さん、三上さんの母に固執する愛情、義父達の事件後娘を守るため和久井に対して手のひら返し、娘に逢うためそれを受け入れる和久井、みんな自分に都合の良い偏った歪な表現も印象的でした。 また美寿々さんの振り切った人生観も格好良く感じました。 凪良ゆうさんの作品は2作目でしたが、今作でも生き方を問われているように感じました。視野を拡げていきたいものです。

Posted byブクログ

2023/02/06

下宿を舞台にした「家族」の物語 トイレ、風呂、台所共有、朝食夕食付きのおんぼろ下宿すみれ荘。大家代理兼管理人をしている一悟は、古株の青子、TV制作マンの隼人、OLの美寿々ら下宿人と家族のように暮らしていた そこに、一悟が自転車でぶつかってしまい腕を怪我した作家の芥一二三が舞い...

下宿を舞台にした「家族」の物語 トイレ、風呂、台所共有、朝食夕食付きのおんぼろ下宿すみれ荘。大家代理兼管理人をしている一悟は、古株の青子、TV制作マンの隼人、OLの美寿々ら下宿人と家族のように暮らしていた そこに、一悟が自転車でぶつかってしまい腕を怪我した作家の芥一二三が舞い込む 芥は愛想がなく、思ったことを遠慮なくいう さらに、彼は幼いころに生き別れた弟のようだが、なぜか正体を明かさない 平穏に暮らしていた住人たちの生活に芥が加わることで、周囲の人の秘密や新たな面が顕になっていく 後日談の「表面張力」が文庫では加わっている 読み始めは「下宿を舞台にした群像劇?もしかしてほのぼの系?」と思ってたけど 途中から、著者が凪良ゆうというのを思い知らされる 美寿々の事はまぁわかる 人がどれだけ辛いのかなんて本人にしかわからない それを世間一般や自分基準で決めつけてしまう乱暴さは無神経すぎる 隼人の事も現代社会にはよくあるもの SNSで不特定多数の人と比べてしまう現代において 自己顕示欲のために盛ったりする事はそんなに悪いことではないと思う 一応、ちゃんと相手を正しく評価しようとしているところは、ツンデレのようでむしろ好感が持てる ただ、青子さんのはヤベェ 恐怖だよ 笑顔で人を害してくる存在はとにかく怖い さらに、考え方がとてもサイコパス さらに央二、母親、さらに……と続く展開が人間の業の闇の部分が描かれて、読んでいてとても恐ろしかった 世の中、「愛」というものが存在するが故に、愛の分配による争いが起こるというのに気付かされる 「こんなに苦しいのなら悲しいのなら………… 愛などいらぬ!!」といい切ったサウザー様とは方向性が違うけど 元々愛がなかったら欲しがることもないし、失うこともないんですよね まぁ、だからといって芥の感情の欠落した状態がよいとは思えないですけど 愛は与える量や状況によっては毒にもなり得るという事ですね 一悟の母親も冷静に考えればとても残酷 一悟が一番大事という一貫した態度ではあるが故に、芥に対しての気遣いが一切ないところが怖い 色々と怖い展開の中、一悟が一種の清涼剤に思える 「罪は罪で、悪は悪で、愛は愛で、単純であってくれれば楽なのに」と考えても、やはり一悟は愛で優先する人ですからね まぁ、その愛も見方によっては毒になり得るというのがこの物語ですけど…… ミステリとして見ても 伏線が色々と張られている 芥からぽろぽろとこぼれてくる言葉 宗教施設を思わせるようなものからうどんまで あと、居酒屋の店長や母親の恋人でアヴァンギャルドな三上が昔の価値観を押し付けてくる存在として描かれているところもちゃんと繋がってるんだよなぁ…… 追加されている短編「表面張力」 これも結構人の闇が描かれていて怖い やはり、凪良ゆうは読むときにちゃんと心構えが必要な作家さんというのを思い知らされた

Posted byブクログ

2023/02/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

面白くて一気読みした。ほのぼの系かと思いきや刺激的な展開もある。実はいろんな伏線があるので読み直したくなる。

Posted byブクログ

2023/01/29

愛は薬にも毒にもなりうる、ということ。 適度な愛は生活を豊かに幸せにしてくれると思うが、行き過ぎた愛は、独占欲になり、最終的に憎しみを生む。 伏線が細部に張り巡らされており、序盤から中盤にかけては不穏な空気が流れ込む。それが回収されていく後半は、今自分はホラー小説を読んでいるのか...

愛は薬にも毒にもなりうる、ということ。 適度な愛は生活を豊かに幸せにしてくれると思うが、行き過ぎた愛は、独占欲になり、最終的に憎しみを生む。 伏線が細部に張り巡らされており、序盤から中盤にかけては不穏な空気が流れ込む。それが回収されていく後半は、今自分はホラー小説を読んでいるのか?と錯覚させられるほどの怖さ。笑 でもそこがこの本の面白いポイントだと思う。読者を引き込む工夫。 「わたしは最低な人間だけど、自己憐憫はしない」と「気づかず通り過ぎ、気づいて振り返り、慌てて戻る。間に合わないことのほうが多いが、間に合うこともいくつかある。そうして今日という日が流れ、過ぎ去り、また明日がくる。」の締めくくりが最高に好き!

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2023/01/28

ほんの少しだけ現実離れしてるかな?とも思ったが、日々の事件報道を見てると、イヤ現実だと思う内容だった。 人はいろいろ家族に言えないことを考え、全てに裏表がないことはあり得ないと再認識した。 主人公のこれまでの人生を無念に思うと共に、今後好転するよう願うばかりだった。 またまた面白...

ほんの少しだけ現実離れしてるかな?とも思ったが、日々の事件報道を見てると、イヤ現実だと思う内容だった。 人はいろいろ家族に言えないことを考え、全てに裏表がないことはあり得ないと再認識した。 主人公のこれまでの人生を無念に思うと共に、今後好転するよう願うばかりだった。 またまた面白かった

Posted byブクログ

2023/01/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

序盤から現れる謎のキーパーソンと脇を固めるすみれ荘の同居人達、主人公の気弱そうだけど優しげな雰囲気がどれも心地よく、特に謎のキーパーソンが一体何者なのか先が知りたくスイスイと読んでしまいました。 序盤のワクワク感は満点で、少しずつ住民のパーソナルデータが解き明かされながらストーリーが進みます。 このまま優しげな雰囲気のまま謎も解き明かされるのだろうと予測していましたが、意外にも割と腹黒い犯行がいくつか展開されたので意表をつかれました。 最後もささやかな幸せで締めくくられよかったと思います。 全体的に細かい伏線が散りばめられ回収に至り、雰囲気も古めかしい寮生活かと思いきや現代的なストーリーにもメスを入れていたりとバランスの取れた作品と感じました。

Posted byブクログ

2023/01/24

凪良さんのストーリーは一筋縄ではいかなくて暗い事も多いのだが、この本は自分の琴線に触れるフレーズがあったり、色々感情が巡ってかなり好きな本だった。

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2023/01/21

いろんな思いや事情を抱えながらすみれ荘で生きる人々の話。 なかなか重い話もあったけど、綺麗な終わり方だったと思う。

Posted byブクログ

2023/01/21

登場人物が全員特徴的で、すごく人間味があって、、 今まで出会ったことが無いタイプがほとんどだけど、共感できる部分もあって、物語自体も面白くて引き込まれた。 愛ゆえに、人は。トラブルを起こし続けるのだなと。その愛は本当に救いなのか、それとも毒なのか…。 目の前の、この人は「何用」の...

登場人物が全員特徴的で、すごく人間味があって、、 今まで出会ったことが無いタイプがほとんどだけど、共感できる部分もあって、物語自体も面白くて引き込まれた。 愛ゆえに、人は。トラブルを起こし続けるのだなと。その愛は本当に救いなのか、それとも毒なのか…。 目の前の、この人は「何用」の「この人」か。 そして、自分はこの人の前で「何用」の「自分」なのか…誰しもが裏表って少なからずあると思ってるので考えさせられた。 個人的には月経とPMSで、月の半分死んでる美寿々の生き方が強くて好きで、男性にわかって欲しいことズバズバ書かれてたのも何かスッキリしました。笑

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2023/01/16

今、目の前にいる「この人」は何用の「この人」 だろう。 仕事用、知人用、友人用、恋人用、身内用、 自分専用。 同じひとりの中に、いろんな「この人」がいるんだろうな、とつい想像してしまう             作者 あとがき より 正にこの小説は、ひとりの人間のいろいろな 「こ...

今、目の前にいる「この人」は何用の「この人」 だろう。 仕事用、知人用、友人用、恋人用、身内用、 自分専用。 同じひとりの中に、いろんな「この人」がいるんだろうな、とつい想像してしまう             作者 あとがき より 正にこの小説は、ひとりの人間のいろいろな 「この人」を書いていて、それがまた突拍子もない 「この人」ばかりでありながら、あるあるな人たち 誰かにとってはどれも表で、誰かにとっては裏で。 ちょっと毒もある。 そんな「すみれ荘」の物語

Posted byブクログ