臨床の砦 の商品レビュー
スーパーマーケットやコンビニで消毒をしないで買い物をする人が増えたなぁ~。 と感じ始めたのは、いつ頃だったかしら? 4回目の接種券が届き、この本を読み、あの頃を思い出しました。 夜、近づく救急車のサイレンが家の前で止まり、アレ?と思い外を見たらぐるぐる回るライトが。 出てき...
スーパーマーケットやコンビニで消毒をしないで買い物をする人が増えたなぁ~。 と感じ始めたのは、いつ頃だったかしら? 4回目の接種券が届き、この本を読み、あの頃を思い出しました。 夜、近づく救急車のサイレンが家の前で止まり、アレ?と思い外を見たらぐるぐる回るライトが。 出てきた人達は、白い防護服姿でした。 そうよね。 30分が過ぎ1時間が過ぎ、アレ?まだいる アレー?2時間もたったのに!まだ居るの? どうして?メディカルも医療センターも東京女子もあるここで⁉️ まさしく、医療拒否だったのね。 戦国時代、本城を守る為に潰された幾多の砦 小さな砦が、思いもよらない働きで大軍を足止めし、戦の均衡を保っている姿が思い浮かびます。 大軍の兵糧を断つために、もう一度、ゆるんだ気を引き締めなければ!と思いました。
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三章からなり、初出は小学館宣伝誌「STORY BOX2021年3月号」。つまりコロナ第三波が少し落ち着いた頃だ。二章三章は書き下ろしで、4月に発行だから、ホントに急いで書いたのだ。鬼気迫るドキュメンタリー的な小説。現役医師の著者は、刊行後おそらく更に酷い第四波、そして最悪だった第...
三章からなり、初出は小学館宣伝誌「STORY BOX2021年3月号」。つまりコロナ第三波が少し落ち着いた頃だ。二章三章は書き下ろしで、4月に発行だから、ホントに急いで書いたのだ。鬼気迫るドキュメンタリー的な小説。現役医師の著者は、刊行後おそらく更に酷い第四波、そして最悪だった第五波をモロに受けたのだと想像する。著者や同僚たちの健康が心配だ。 忘れやすい日本人は、去年のことさえもはや忘れつつあるのではないか? ひとつの病院の検査で、陽性者が数人出ていた状態から日々倍々で増えてゆき、(県内で唯一の)感染症指定病院ではあるが、6床だった病床は直ぐに満杯、20床に増やして直ぐに満杯、最終的に36床に増やす。 あの頃テレビでは、煮え切らない政治家たちに対して医療関係者が「医療崩壊寸前です」と語っていた。病床占有率が50%を超えたと報道された。寸前でもなければ、現実的に5割でもない。ということを四波五波の辺りで我々は聞くことになるのだが、既に三波の時に「医療崩壊」が起きていたことを、私は愕然ととして読んだ。 酸素飽和度が90%を切った。医者は「危ないです。直ぐに入院します」という。けれどもケロッとしていた自宅待機者をテレビで見たことがある。主人公の敷島は、この症状を「Happy Hypoxia(幸福な低酸素血症)」とよぶ。こんなに早くから医者の間では知られていたのだと、私は初めて知った。四波五波のときに自宅待機中に急変して亡くなった、ということを我々は何度も聞いた。このひとつとっても、未知の感染症に取り組む医師の心労はどんなだったろう。そして我々の危機意識は、あまりにも低かったのではないか? 「肺炎があるのに、ホテルで本当に大丈夫なんでしょうか?」 この自宅待機基準が、政府の方針として出た時に、私は耳を疑い、つい笑ってしまったことを覚えている。敷島もなんの根拠もなく「大丈夫、責任もって対応する」と答えざるを得ない。 こんなことにならないように、一波ニ波とのきにやるべきことはなかったか? もちろん、誰も責任を取らない。もちろん、最善のことを毎日やっていた医師たちに責任を取らせられるわけがない。三波四波五波の前に、十分な臨戦態勢をとらなかった、世界的な行事にうつつを抜かしていた行政が、1番の責任者だったろうし、未だに総括文書を出す指示はおろか、反省の弁ひとつも語らない政治家にこそ責任を取らせるべきだと思う。 「何を怒っているのですか?先生」 突然の三笠の大きな声と、文脈の読めない問いかけに、室内のざわめきが、潮を引くように遠のいてゆく。(略) 「私は怒っていますか?」 「怒っているように見えました。気のせいですか?」(略) 「もしかしたら、怒っているのかもしれません」(174p) 主人公敷島は常に冷静沈着が周囲の評価である。これは著者自身への周りの評価なのかとずっと思っていたら、「神様のカルテ2」に匹敵する、最終盤の見事な会話劇の伏線だった。小説を読む限りでは、こんなにも忙しいのに、ちゃんと小説としても成り立つように構成しているのが凄い。 「大学病院でも、一部の内科系の医局が、動き出してくれているようです。消化器系の教授が、かなり積極的に動いてくれているという話も出ていました」(183p) という一言は、おそらく近い将来「神様のカルテ」とのコラボを意識しているとしか思えない。あの一止が既に「教授」になっているとは思えないけれども。
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コロナと戦う医師と看護士のヒリヒリした空気が胸にしみる。もう少し、間を開けてから読めばよかった。とても辛かった。
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1.この本を選んだ理由 一時期よく目にしていた作品なので、いつか読みたいと思っていました。 読み始めたのが2022年5月なので、コロナに対する危機感はかなり薄れている状態。 私の子どももコロナに感染しており、その症状は、発熱、腹痛、喉の痛みと、つらそうではありしたが、2日目には...
1.この本を選んだ理由 一時期よく目にしていた作品なので、いつか読みたいと思っていました。 読み始めたのが2022年5月なので、コロナに対する危機感はかなり薄れている状態。 私の子どももコロナに感染しており、その症状は、発熱、腹痛、喉の痛みと、つらそうではありしたが、2日目には症状は緩和されてきて、3日目には何事もなかってかのような感じでした。私自身は2週間程度ずっと子どもと過ごしていましたが、感染することなく(無症状というだけかとしれませんが)、普通に過ごしていました。そんな経験もあり、さらにコロナに対しては、危機感は低い状態でした。 そんな中、この本が読めたことはよかったと思いました。 2.あらすじ コロナと戦った医師や看護師たちのお話。2021年の1月が舞台の中心になっている。 地方病院の信濃山病院は、その地域で唯一コロナ診療に携わる病院だった。その病院での医師たちの戦いの姿が、とてもリアルに描かれている。 3.感想 物語はノンフィクションを思わせる内容で、相模原論文とか、実在するものが登場するので、リアルに物語に入っていくことができます。 コロナ感染者は減ったり、増えたりを繰り返しており、ゼロになることはないことが予測できる今日この頃。コロナに対して、果敢に戦っているであろう人たちの姿が、目の前に浮かんできました。 この作品を読んで、しっかり3回目の予防接種も受けないとだめだなと、あらためて感じました。 最後まで三笠先生がかっこいい。 完全な脇役でありながら、「一度も他者を攻撃するような軽薄な発言をしてこなかった。」「自分だけが辛いと思えば、人を攻撃するようになる。自分だけが辛いのではないと思えば、踏みとどまる力が生まれる。」などなど、その取り組みや、セリフは、素晴らしいリーダー像でした。 登場人物たちがかっこよく、こういう人たちが実在して、日本を支えてくれたことに、あらためて感謝するきっかけとなる作品でした。 4.心に残ったこと 知らない用語が出てきたので、調べてます。 アビガン レムデシビル 相模原論文 5.登場人物 (信濃山病院) 敷島寛治 内科医 42歳 龍田 たつた 外科医 三笠 内科部長 千歳 外科医 龍田上司 日進 肝臓内科 48歳 音羽 内科医 女性 富士 循環内科 62歳 春日 神経内科 千早 情報部長 南郷 外科医 院長 敷島美希 敷島桐子 敷島空汰 (筑摩野中央医療センター) 朝日遼太郎 呼吸器内科責任者 (患者) 平岡大悟 62歳 根津九蔵 70歳 山村富雄 山村静江
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医療従事者として働く中で正直どうして私達だけと思う夜がたくさんあった。負の感情に負けそうなときこの先何度も読み返すと思う。「過酷な状況にあるからと言って過激な発言をしていいわけではない」「大切なのは負の感情に飲み込まれないこと、怒りに怒りで、不安に不安で応じないこと」敷島先生の言...
医療従事者として働く中で正直どうして私達だけと思う夜がたくさんあった。負の感情に負けそうなときこの先何度も読み返すと思う。「過酷な状況にあるからと言って過激な発言をしていいわけではない」「大切なのは負の感情に飲み込まれないこと、怒りに怒りで、不安に不安で応じないこと」敷島先生の言葉を何度も繰り返す。
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「正解とは言えなくても、最善の道を選んだ」 新型コロナウイルスと最前線で奮闘する医療者たちの物語。自分はこんなにコロナやコロナによって引き起こされる様々なことを知らなかったんだとショックを受けた。 「正解とは言えなくても、最善の道を選んだ」 正解がわからないことはたくさんある...
「正解とは言えなくても、最善の道を選んだ」 新型コロナウイルスと最前線で奮闘する医療者たちの物語。自分はこんなにコロナやコロナによって引き起こされる様々なことを知らなかったんだとショックを受けた。 「正解とは言えなくても、最善の道を選んだ」 正解がわからないことはたくさんあるけれど、この言葉のように生きていきたいと思った。
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ニュースやドキュメンタリーで 垣間見る、コロナ禍の医療機関の リアリティが伝わる小説。 コロナ禍が過去のものになったとき、 「ペスト」のように古典として 読み継がれるべき本かも。 一方で、極限状態の人間崇高さも 描き出した名著だと思う。 星もう2つくらい追加したい。
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小説ではあるが、コロナ治療の病院最前線は、大変なご苦労があるのだなと思った。 しかし、同じ病院でも耳鼻科、眼科医師などは、かえって暇になり、街の開業医も熱のある患者は門前払い。お医者さんの間でも、忙しさに格差がありすぎるのは、どうにかならないものか?
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コロナと戦う医療現場の声そのもので、医療現場の様子が良くわかります。 鼻だしマスクをしていたり、数人で固まって大声で話したり…そんな人達を見るたびに、なんか、情け無くなってきます。 「マスクをキチンとする様に注意をして欲しい」と、保護者に言ったところ、「マスクぐらいなんやった...
コロナと戦う医療現場の声そのもので、医療現場の様子が良くわかります。 鼻だしマスクをしていたり、数人で固まって大声で話したり…そんな人達を見るたびに、なんか、情け無くなってきます。 「マスクをキチンとする様に注意をして欲しい」と、保護者に言ったところ、「マスクぐらいなんやったって言うがよ」と…。(実話です) まだまだコロナが続く中、いかに医療現場が大変なのか、多くの人に読んで欲しい本です。
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コロナ患者を受け入れている病院が舞台。 内科医の敷島を通してコロナ患者病棟の実情が描かれている。 私は感染しないように最善の努力をしているつもりだ。 しかし、最前線にいる医療従事者からしたらまだまだ生ぬるいのかもしれない。 報道などからいかにコロナウイルス感染患者を受け入れている...
コロナ患者を受け入れている病院が舞台。 内科医の敷島を通してコロナ患者病棟の実情が描かれている。 私は感染しないように最善の努力をしているつもりだ。 しかし、最前線にいる医療従事者からしたらまだまだ生ぬるいのかもしれない。 報道などからいかにコロナウイルス感染患者を受け入れている病院が過酷かということは知っていたつもりだ。だが現場は想像以上だ。 敷島が家族が感染者と知らずに立話をして、その事で同僚からも避けられるようなことがあったり、家族とは接触出来ないため車で寝泊まりする場面など読んでいてとても辛かった。 病院関係者の家族が苛められるということ等聞いたことはある。 何とも情けない話だ。 この感染症を軽く考えている人にも改めて腹が立った。 自分だけが良ければ、という世の中の風潮に本当に腹が立った。 著者が医師だからこそ描けた話かもしれない。だから余計にずっしりと重い内容だ。 医療崩壊という点に為政者も市民ももっとそこに目を向けなければならないと思った。 その場しのぎでは太刀打ち出来ない状況だと思う。 気を緩めるな、と釘を刺されたような話だった。 専門的な言葉も多く、中々読むのは大変だったけど多くの人に読んで欲しい。 今日も十分な感染対策をして過ごそう❗
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