ムーンライト・イン の商品レビュー
自転車で一人旅をしていた青年・拓海は悪天候に見舞われ元はペンションだった建物【ムーンライト・イン】を訪れる。そこには家主の老人・虹之助と3人の女性が様々な事情を抱えながら暮らしていた。成り行きで彼等と同居することになったが…。登場人物の視点が移り変わっては、日々の暮らしを営みなが...
自転車で一人旅をしていた青年・拓海は悪天候に見舞われ元はペンションだった建物【ムーンライト・イン】を訪れる。そこには家主の老人・虹之助と3人の女性が様々な事情を抱えながら暮らしていた。成り行きで彼等と同居することになったが…。登場人物の視点が移り変わっては、日々の暮らしを営みながら各々の事情が明らかになっていく展開が面白い。終盤でかおるのした選択に驚いたが、その後の虹之助の言葉でまあ、こんなものだよなと変に納得させられた。先の事を考えたら最善なのかもしれないし。空港での2人がすごく可愛かった。
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久々の中島京子さん。 職を失い自転車旅行に出た栗田拓海は、とある高原エリアで豪雨に見舞われてしまい、泊めてもらう為に一軒の建物を訪れます。 件の建物・・元ペンションだった〈ムーンライト・イン〉にはオーナーの老人・虹サンこと中林虹之助の他に、車いすの老女・かおると元介護士の塔子、...
久々の中島京子さん。 職を失い自転車旅行に出た栗田拓海は、とある高原エリアで豪雨に見舞われてしまい、泊めてもらう為に一軒の建物を訪れます。 件の建物・・元ペンションだった〈ムーンライト・イン〉にはオーナーの老人・虹サンこと中林虹之助の他に、車いすの老女・かおると元介護士の塔子、フィリピン人で看護師のマリー・ジョイという、年代もバラバラな3人の訳アリ女性達が暮らしていました。 拓海は頼まれた屋根の修理中に足を怪我してしまい、治るまでそこに滞在することになりますが・・・。 一応、拓海がメインキャラではあるのですが、登場人物5人の視点がくるくる変わって展開する、群像劇のような構成となっております。 語り口が軽く、読みやすいのでスラスラ進みますが、3人の女性達が抱える事情はそれなりに重い物があったりします。 空気や食べ物がおいしくて、緑あふれる環境も最高で住人同志の距離感もほどよい〈ムーンライト・イン〉は、“避難場所”としては居心地が良すぎて、ずっとこの場所でぬくぬくしていたいと思わせる桃源郷みたいな素敵なところなんですよね。 ですが、やはり各々が抱える“解決しなくてはいけない”問題と向き合わなくてはいけない時がやってくる訳で、最初は息をひそめるように暮らしていた女性達や根無し草だった拓海にも徐々に変化が訪れます。 とりわけ印象的なのが、キャラとしても好きだったマリー・ジョイですね。 彼女の真っ直ぐな心が眩しくて、絶妙に拙い日本語もいい味出ていました。 なので、マリーさんが外国人ということで受けた様々なハラスメントもにも心が痛みますが、せっかく勇気を出して連絡をとった(拓海も尽力して)、彼女の“実父“と“その嫁”の仕打ちには、本当にやるせない気持ちになりました。 マリー・ジョイには幸せになってほしいな・・できれば日本に戻ってきて、この“クソみたいな国”も悪くないかも・・って思ってほしいです。 で、それは拓海にかかっているので失望させないでほしいですね。 それから、終盤のかおるさんの決断には驚きましたが、息子に言いたかったことをぶちまけることができたので、一度きちんと話し合う為にも良かったのかもと思います。 マリー・ジョイも予想していましたが、多分息子の嫁の“協力”で結局〈ムーンライト・イン〉に戻ってきそうですしね。 余談ですが、話の中で登場人物が「アップルサイダー」を飲む場面があるのですが、ずいぶん前にスターバックスでも冬季限定でこのドリンクがあって、すごく好きだったのを思い出しました。 温かい「アップルサイダー」を飲みながら、本を読む時間は間違いなく天国タイムでしたね。 また復活してほしいな~・・と、本書の内容と関係ない話で締めたいと思います~。
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読みやすくて、先がいい意味で読めなくて、一気読みした。 ここに住む人皆少し寂しくて、優しくて魅力的な人たちだった。皆ここでずっと心地よく住めるのでは、と思ったけど… 最後はそれぞれきっといい方向に進むんだろうなと思わせるような終わり方だったけど、もう少し先を読んでいたかった。
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〇〇ハラスメントという言葉が次々に量産されては、〇〇ハラと略されてなんだかカジュアルに呼ばれていることには違和感があるものの、それだけ世の中のあらゆるいろいろな場面で、社会的身体的経済的その他もろもろ的に弱い立ち位置に身を置かざるを得ないがために、理不尽であってもハラスメントを向...
〇〇ハラスメントという言葉が次々に量産されては、〇〇ハラと略されてなんだかカジュアルに呼ばれていることには違和感があるものの、それだけ世の中のあらゆるいろいろな場面で、社会的身体的経済的その他もろもろ的に弱い立ち位置に身を置かざるを得ないがために、理不尽であってもハラスメントを向けられやすい人たち が居る。多くは男性からハラスメントを受けて苦悩している女性で、その姿をリアルに描きつつ、家族という、きれいごとでは済まされないややこしい関係とどう折り合いをつけるていくのか、ということをテーマにした作品だと思いました。もちろん強者対弱者だとか、まして男性対女性というような単純な構図になるような話ではないし、苦悩を抱える女性に寄り添い理解し共に歩こうとする男性たちも出てきます。出てくる人たちがみんな個性が際立っていて、会話が多く、それぞれ「らしい」言葉遣いが読んでいて気持ちが良かったです。
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人生は、人それぞれの考え方や感じ方捉え方が縦横に絡み合ってどんな方向にも向かう可能性がある。同じ方向を見ながら歩める人に出会えた人は幸せ。 軽いタッチの文章のようでいて胸に切なく響く物語でした。
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ムーンライト・インと言うタイトルを見て私が思ったのはIN。月の光の中かと思ったらINN(宿)だった。 自転車で旅に出ている拓海が、雨に降られてたどり着いたのはムーンライト・イン。 そこに住んでいたのはオーナーの虹之助と3人の女性。かおるさんと塔子さん、そしてフィリピン人のマリー...
ムーンライト・インと言うタイトルを見て私が思ったのはIN。月の光の中かと思ったらINN(宿)だった。 自転車で旅に出ている拓海が、雨に降られてたどり着いたのはムーンライト・イン。 そこに住んでいたのはオーナーの虹之助と3人の女性。かおるさんと塔子さん、そしてフィリピン人のマリー・ジョイ。 泊めてもらったお礼に屋根の修理を引き受けたが、拓海は転落して骨折してしまう。 一泊のつもりが出ていけなくなって、そこに住むことになる。 みんな、そこに住んでいる理由は色々ある。 マリー・ジョイの発する日本語がこの本の魅力の一つになっている。
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訳ありの人たちが住む家、ムーンライトイン。 拓海の成長はもちろん、高齢者の生き方とかすごく良かった。親子と言えど別人格があって、それぞれの人生がある。 で、ここで終わり? 虹さんとかおるさん、拓海とマリーさん、今後が気になる! 拓海の兄嫁のサイドストーリーもあれば嬉しい。
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ほのぼの小説と思いきや 後半なぞ解きになってストンと終わっちゃった 誰のオススメ本だったかなぁ? どの辺りがオススメだったっんだろう? シニアの夢みたいなところかな
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みんな様々な事を抱えて生きていて、途中ハラハラしたりもどかしく思ったりしながら読み終えた。 今後のかおるさんと虹さん、マリー・ジョイと拓海が気になる。幸せになって欲しい。
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関東近郊の高原にある仕舞屋ペンション(?)が舞台の群像劇。12章からなる。 * * * * * やはりうまいなあと思いました。 その古びた建物の名は「ムーンライト・イン」。かつてペンションだったそこは現在シェアハウスになっています。 家主は善良そうな老...
関東近郊の高原にある仕舞屋ペンション(?)が舞台の群像劇。12章からなる。 * * * * * やはりうまいなあと思いました。 その古びた建物の名は「ムーンライト・イン」。かつてペンションだったそこは現在シェアハウスになっています。 家主は善良そうな老紳士ですが、入居者の3人は皆いわくありげ。老・中・若と年齢がバラバラの女性たち。 そこに紛れ込んできたのがバックパッカーの男。もう35歳にもなって根無し草人生を送る、いわくがありそうで人物です。 ということで、つかみはバッチリの幕開けです。 結局、全員が逃亡人生で「ムーンライト フリット」(夜逃げ) となって「ムーンライト・イン」に集結したというよくできた設定の物語。 それぞれが抱える事情はミステリー小説のような深刻極まるものではないのだけれど、それが却って身近に感じられるところも、物語の魅力のひとつになっています。 逃亡人生には必ず終わりが来るもので、この4人の住人にも清算の日がやってきます。そのクライマックスへの持って行き方も絶妙でした。ミステリー小説でもないのに何かドキドキします。 クライマックスでかおるさんが虹さんのもとを去り長年にわたる純愛が潰えたかと見せておきながら、エピローグでマリー・ジョイにさり気なく謎解きをさせ、さらにそのマリー・ジョイと拓海の仲を成就させてしまうというエンディング。いやまったく最高のデザートでした。 個人的にはすごく好みの作品です。
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