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悪の芽 の商品レビュー

3.6

87件のお客様レビュー

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2021/04/18

小学校時代から優等生で、その後もエリートコースを歩み、結婚して2児をもうけ、都市銀行に勤務する安達。 ある日、大勢の人が集まるイベント会場で、大量殺人事件が起こる。 犯人もその後焼身自殺で亡くなってしまうが、その犯人は小学校時代の同級生だった。 さらに安達は、あるきっかけでその同...

小学校時代から優等生で、その後もエリートコースを歩み、結婚して2児をもうけ、都市銀行に勤務する安達。 ある日、大勢の人が集まるイベント会場で、大量殺人事件が起こる。 犯人もその後焼身自殺で亡くなってしまうが、その犯人は小学校時代の同級生だった。 さらに安達は、あるきっかけでその同級生を疎ましく思うようになり、いじめのきっかけとなる出来事を起こしてしまう。 彼はいじめがきっかけで不登校となり、その後の人生も芳しいものではなかっただろう。 安達は彼の人生のつまづきが小学生時代のいじめが発端であり、さらに今回の事件の動機も突き詰めればいじめが原因なのではないかと悩む。 しかし本人が亡くなってしまい、その動機も原因も究明されないままだが、世間がいつ彼の過去のいじめに行きつくか、自分の名前が浮上するか安達は苦悩のあまり体調を崩してしまう。 しかしやっぱり、彼の動機を知りたい、いじめが事件の発端となったわけでは無かったと究明したい。そんな一心で一人調べることにしたのだ。 まあ、言ってみれば自分の保身のためだけで動くんだけど、わかったことはやっぱりこの世の中の不条理ということ。 人間は動物をやめて、社会を作ってきたのにそこに強者、弱者がいるのはおかしい。 生物の進化には何万年もかかる、人間がすべて優しい人になるためには何万年もかかる・・・・ すべては絶望から始まった。

Posted byブクログ

2021/04/17
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無差別殺人を中心にその波紋のように、いくつもの人間の業を描いている。にもかかわらず、読みやすい。 救いのない話かと思って読み進めていたが、希望が残っててちょっと驚いた。 いくつもの親子が出てきて、関係性や影響力、親の責任の範疇などが様々提示されている。 読みながら人の親としての自分を振り返らされる。

Posted byブクログ

2021/04/15

誰にでも潜む悪の芽、その奥にある善の芽を見つける。 また、多くのことを想像し行動することが大切。 この世の中少しでもSNSに情報を晒すとすぐに広まるし、残る。使い方には十分気をつけないと。

Posted byブクログ

2021/04/08
  • ネタバレ

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一気読みだった。 自らの後悔とともに悪の芽を探す安達。絶望の先に善の芽を見るようなラスト。進化途中の私の中には、どちらの芽が育っているのか…。 想像してみること、そして行動すること。日々意識していこうと思う。

Posted byブクログ

2021/04/05
  • ネタバレ

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アニメイベントで無差別殺人発生 総合商社マン(本社課長)が小学生時代に虐めた級友だと気がつく  実家を訪ねて両親に謝罪 フリースクールに通って大検とるが大学は 中退。就職氷河期、41才でバイト生活 アニメオタクではない アニコンを襲った理由が不明 ネットでバイト先が判明、同僚に質問 探偵事務所に依頼 シングルマザーのキャバ嬢の娘の心臓移植 手術費用をネットで集めていた 母がキャバ嬢と晒される失敗 全てに絶望 娘が死んだ日にアニメイベントが開催されていた アニメグッズを高額で買う人達が憎しみのターゲット キャバ嬢の自転車のチェーンを外れる 通りかかって修理 キャバには二回行っただけ 娘を殺された主婦が犯人を虐めた商社マンを見つけて隠し撮り 写真をブログに掲載 遺族会が被害者の親から慰謝料請求するのに不参加、ブログも消した 無差別殺人の現場にいた大学生が動画をアップ。大学で有名になる。兄がキャバ嬢のスカウトしている学生から錦糸町のキャバに通っていたと教えられる 盗撮カメラを購入し店内を撮影 駅から見せてまでの道のりをアップ コスプレをする同級生から指摘され削除した 商社マンは自分の虐めが原因だと思って 体調不良。休職して調べる。社内結婚の妻に結果報告。

Posted byブクログ

2021/04/04

+++ 犯人は自殺。無差別大量殺人はなぜ起こったのか? 世間を震撼させた無差別大量殺傷事件。事件後、犯人は自らに火をつけ、絶叫しながら死んでいった――。元同級生が辿り着いた、衝撃の真実とは。現代の“悪”を活写した、貫井ミステリの最高峰。 +++ アニメコンベンション・通称アニコ...

+++ 犯人は自殺。無差別大量殺人はなぜ起こったのか? 世間を震撼させた無差別大量殺傷事件。事件後、犯人は自らに火をつけ、絶叫しながら死んでいった――。元同級生が辿り着いた、衝撃の真実とは。現代の“悪”を活写した、貫井ミステリの最高峰。 +++ アニメコンベンション・通称アニコンの会場で火炎瓶や刃物による無差別殺人事件が起こり、犯人はその場で焼身自殺した。ニュースを見た安達は、犯人が小学校の同級生ではないかと思う。しかも、自分が身勝手な意趣返しで、悪意のあるあだ名をつけたばかりに、その後虐められて不登校になった同級生である。悔恨の念と罪悪感から逃れたい思いがせめぎ合うなかで、安達はパニック障害を起こし休職することになる。そして、犯人・斉木のことを調べ始める。斉木のしたことは、どんな理由があっても許されることではないが、安達の行動も、どちらかといえば保身のようにも見えてしまい、もやもやした思いは拭い去れない。登場人物それぞれが、結局は自分のことしか考えていないようで、(人間なんてそんなものかもしれないが)誰にも感情移入はできない。斉木を犯行に駆り立てたものの正体を、突き止めたようでありながら、本当のところはたぶん本人にもはっきり判ってはいなかったのではないだろうか。悪の芽がいつ芽生えたかよりも、その芽をどう育ててしまったかを考えなければならないような気がする。最後には小さな善の芽も芽生える兆しを見せたが、それですべて良しとはならない一冊である。

Posted byブクログ

2021/04/02

アニメコンベンションの入場を待つ人々の列に、火炎瓶が投げ込まれる。無差別殺人犯は自ら火を放ち果てる。この導入部は京アニ事件に触発されたのだろうか。小説の中のこととはいえ、あまりにも酷い事件に心が痛む。本作は犯人の心の闇の原因となった小学生時代の出来事や、ネット社会に生きる人々の姿...

アニメコンベンションの入場を待つ人々の列に、火炎瓶が投げ込まれる。無差別殺人犯は自ら火を放ち果てる。この導入部は京アニ事件に触発されたのだろうか。小説の中のこととはいえ、あまりにも酷い事件に心が痛む。本作は犯人の心の闇の原因となった小学生時代の出来事や、ネット社会に生きる人々の姿を通じ問題提起する。読み応えはあったが、安達以外の登場人物はうやむやになってしまったのが少々残念だった。

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2021/04/02

アニメファンが押し寄せるイベント会場での惨劇。行列に火炎瓶を投げつけ何人も殺害、本人も自殺。犯人は斎木、41歳、小学校時代にいじめられていたと報道された。動揺するのは安達。斎木をいじめていたのだ。物語は、なぜそんなことをしたのか探ろうとする安達、犯行を録画していた大学生、娘が被害...

アニメファンが押し寄せるイベント会場での惨劇。行列に火炎瓶を投げつけ何人も殺害、本人も自殺。犯人は斎木、41歳、小学校時代にいじめられていたと報道された。動揺するのは安達。斎木をいじめていたのだ。物語は、なぜそんなことをしたのか探ろうとする安達、犯行を録画していた大学生、娘が被害にあった母親のその後を描く。 うーむ。あまり面白くなかった。 なぜ斎木が犯行に及んだかについては特に面白くはないので、事件後の関係者の動きが読みどころになるはず。でもそちらもそれほどでもなかった。狙いすぎて、明後日の方向に矢が飛んでいった感じ。(楽しもうとして読み方を変更すれば楽しめたのかも知れないけれど・・・)

Posted byブクログ

2021/03/31

無差別大量殺人を起こした挙句、動機を明かさないままに自らも死を選んだ犯人。それが小学生時代に自分が苛めた相手であり、しかもその苛めがきっかけで不登校になった過去があるとしたら、そのように追い込んでしまった自分もまた事件を引き起こした「犯人」たりうるのか。現在何不自由のない恵まれた...

無差別大量殺人を起こした挙句、動機を明かさないままに自らも死を選んだ犯人。それが小学生時代に自分が苛めた相手であり、しかもその苛めがきっかけで不登校になった過去があるとしたら、そのように追い込んでしまった自分もまた事件を引き起こした「犯人」たりうるのか。現在何不自由のない恵まれた生活を送る男性が、ふと自らの過去の罪を突き付けられ、事件の真相を暴こうとするミステリ。 実に「痛い」物語。言うのは簡単なのです。どれだけつらい目に遭おうが、理不尽に晒された過去があろうが、それでも無差別殺人が許されるはずはない、と。完全に犯人だけの責任であり、他の誰かに責任を求められることではないのだと。……だけど、心情としてそうはいかないよね。もっともそれで責任を感じる安達の心情は、とてもまともな人間のものであるとも思います。 過去の苛めを後悔する者、事件現場に居合わせ動画を撮影したことで脚光を浴びた者、事件で家族を奪われ怒りの矛先を探す者、さまざまな人たちがそれぞれの立場から描かれ、それぞれの苦悩やあるいは傍目から見た醜さが感じさせられますが。どの人も完全な悪人ではないし、かといって善人でもない。そして一歩踏み外してしまえば犯罪者になっていてもおかしくない部分があります。これって犯人も同じだったんでしょうね。きっかけが積み重なって事件が起こってしまったけれど、必ずしもどれかが明確な原因だったというわけでもないんだろうなあ。 昨今問題になっているネットリテラシーの問題も盛り込まれていて。本当に想像力って大事。考えなしの言動は、容易く誰かを追い込んでしまうし、逆に自分が追い込まれてしまうのかもしれません。誰もがきっと、他人事ではないはず。

Posted byブクログ

2021/03/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

犯罪者とのかかわりに悩むエリートの社会小説。 著者の描く等身大の登場人物たちがリアルっぽくて、感情移入をしては苦い思いをしてしまいました。 主人公はアニコンで無差別大量殺人を行って自殺した犯人が小学生の時にいじめられるきっかけを作ったことで、この事件の遠因が自分にあるのではないかと悩み、エリート街道を進んでいた銀行に出社できなくなり、犯人の動機を探ることで克服しようとする中、他人の痛みへの想像の欠如を思い知っていきます。 他の登場人物たち、小学生同級生でいじめ始めた人物、事件の動画を撮影して注目された学生、子供を殺された母親などが過激な行動に走りかけるもとどまることで、犯人との絶望に対する克服の差が描かれていると思います。 特に同じく息子を殺された母親の「憎しみを広げたくない」という言葉と態度には感動しました。 主人公も自分の至らなさに気づいて、病を克服するラストになっていて、いつもの読後のザワザワ感はなかったのでちょっと物足りなかったです。

Posted byブクログ