1,800円以上の注文で送料無料

おれたちの歌をうたえ の商品レビュー

3.6

68件のお客様レビュー

  1. 5つ

    9

  2. 4つ

    26

  3. 3つ

    25

  4. 2つ

    5

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2022/02/13

幼馴染の欣太はちゃんと生きているのだろうか。 主人公河辺に『顔を見られたくない』と言って抱きついたあの時の欣太は、40年前と何も変わっていなかった。仲間を信じていた。それは河辺も佐登志も同じだった。 生きていてほしい。と思った。 欣太は仲間を信じていたし、すごく好きで大切だった...

幼馴染の欣太はちゃんと生きているのだろうか。 主人公河辺に『顔を見られたくない』と言って抱きついたあの時の欣太は、40年前と何も変わっていなかった。仲間を信じていた。それは河辺も佐登志も同じだった。 生きていてほしい。と思った。 欣太は仲間を信じていたし、すごく好きで大切だったんじゃないだろうか。仲間内で欣太だけちょっと雰囲気が違うもんな。そして、欣太は河辺に対して、それだけじゃない特別な感情があったのかもしんないな。 40年前の様々な偶然による悲劇を全員が触れないようにやり過ごしていることに、欣太は責任を感じていたんじゃないだろうか。 あの頃、『栄光の5人組』と呼ばれた頃のようになりたかったんじゃないだろうか。

Posted byブクログ

2022/01/25

昭和51年に小学生だった5人組が経験した事件で、その少年少女を含む周りの人間の人生が大きく変わる。人生は思った通りにはならない。金塊の場所を示すという詩を解読し、真相にたどり着く。それまでに多くの不幸があった。そして令和元年になり、当時小学生の子供は年齢を重ねた。誰が誰を殺し、ど...

昭和51年に小学生だった5人組が経験した事件で、その少年少女を含む周りの人間の人生が大きく変わる。人生は思った通りにはならない。金塊の場所を示すという詩を解読し、真相にたどり着く。それまでに多くの不幸があった。そして令和元年になり、当時小学生の子供は年齢を重ねた。誰が誰を殺し、どのような思いで殺し、死んでいったのか・・・。雪や台風の描写があり、自分の心にも冷たい風が吹く。過去はやり直せないが、未来は思うようにならない。やるせなさが心を過ぎていく。ミステリの範疇にある作品だと思うが、5人組の何かに翻弄された人生の物語だった。

Posted byブクログ

2023/04/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

いや〜〜読み応えひゃくてん! 栄光の5人組が別々で生きていても、変わらずそれぞれがそうであってくれて本当に良かった...とホッとしたしラストの再会に救われた気がする。「おれたちの歌をうたえ」、読後に思う、タイトルいいね

Posted byブクログ

2021/11/15

1981年生まれの著者による1959年生まれの世代の主人公(たち)の過去・現在・未来とつなぐ、という大きな野望を持って書かれた小説。連合赤軍事件に大きな衝撃を受けたローティーン、上京後のバブル時代の欲望の噴出、自分の人生がままならないことにどうしようもない時代、そして還暦を迎え終...

1981年生まれの著者による1959年生まれの世代の主人公(たち)の過去・現在・未来とつなぐ、という大きな野望を持って書かれた小説。連合赤軍事件に大きな衝撃を受けたローティーン、上京後のバブル時代の欲望の噴出、自分の人生がままならないことにどうしようもない時代、そして還暦を迎え終わりとはじまりを整理できない日々、昭和47年、51年、平成11年、令和元年を章にして時代を行き来しつつ物語が展開します。まさに同じ世代としてタイムラインを過ごしてきたので、完全シンクロできるか?と期待したのですが、なかなか難しかったです。理由は、それぞれの時代の空気とか出来事がパターン化された部品に思え、後付けに思えたこと。主人公の皮肉な言い回しがハードボイルド小説のパロディのように感じてしまったこと。というわけで、全然ジャンル違いますが、映画「三丁目の夕日」のノスタルジーが人工甘味料的な感じなのと同じように、人工で作られたホロ苦フレーバー臭を感じました。たぶん、先の映画と同じように自分たちがターゲットなのではなく、令和の若い人に昭和や平成を楽しんでもらうエンターティメントなのかもしれませんね。社会の空気だけじゃなく文学、音楽、詰め込みまくっているのもサービス精神か…。しかし、この本の想定読者じゃないとしても令和二年という最終章の未来につながるほのかな明るさは、この本からの頂き物です。やっぱりこの小説はここかな?過去と向き合えば明日がくるというメーッセージ。そう思うといろいろ盛り沢山なトッピングのビジーな感じも気になるなくなるかもしれません。

Posted byブクログ

2021/11/14

元刑事の河辺はかつての友の死をチンピラの若者、茂田から知らされた。彼が残した、遺産の在処を示す暗号。だがそれは、少年時代の5人が関わり悲劇を生んだ殺人事件を掘り起こすきっかけとなる。昭和、平成、令和と彼らの運命を狂わせ続けていたその真相は、40年前に見ていたものと全くかけ離れたも...

元刑事の河辺はかつての友の死をチンピラの若者、茂田から知らされた。彼が残した、遺産の在処を示す暗号。だがそれは、少年時代の5人が関わり悲劇を生んだ殺人事件を掘り起こすきっかけとなる。昭和、平成、令和と彼らの運命を狂わせ続けていたその真相は、40年前に見ていたものと全くかけ離れたものだった…。話が進むにつれ、河辺と茂田との間に生まれた奇妙な絆(?)も良かった。彼らの生き様が重くのしかかる濃厚なミステリー。

Posted byブクログ

2021/11/02

11月-01。2.5点。 長野で過ごした主人公、5人の仲良し。そのうちの一人が、死んだと同居人から連絡が。。 長い。亡くなった幼馴染みが残した「詩」の謎解きをしていくが、なにしろ進みが遅く長いため、焦点がぼけた感じ。筆力がある作家なので読了したものの、もう少しコンパクトにまとめ...

11月-01。2.5点。 長野で過ごした主人公、5人の仲良し。そのうちの一人が、死んだと同居人から連絡が。。 長い。亡くなった幼馴染みが残した「詩」の謎解きをしていくが、なにしろ進みが遅く長いため、焦点がぼけた感じ。筆力がある作家なので読了したものの、もう少しコンパクトにまとめた方が、集中できた気がする。

Posted byブクログ

2021/11/02

久しぶりに読む、がっつりしっかりなハードボイルド。 ニヒルな主人公は、松田優作のそれ。 胃にずっしりと重い。 面白かった。

Posted byブクログ

2022/01/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

あらすじを読むと毎回読みたくなる呉勝浩先生の本。 今回は特に昭和の革命運動が話にかかわることや村上龍や永井荷風の作品など多数の引用を用いながら話を運ぶ手法が好みだったので楽しめました。 物語としての呉先生の作品は大好きですが、小説としては文体に時折ちぐはぐなニヒルさを感じてしまったり、ファンでも好みが分かれる箇所は正直あります。 それにしてもセイさんというキャラクターは序盤から魅力的でした。和山やま先生がセイさんを描いたらカッコいいんだろうなー。 学が無いことを否定したまま終わらず、学ぶことで人生を得たことは救いでした。それで更なる悲劇に繋がるわけですが…話の絡みかたがすごい。 この作品のアイデアがわっと踊るように湧いた瞬間はきっと興奮しただろうなあ。 次回作も楽しみです

Posted byブクログ

2021/10/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

堂々たる大河ミステリー。重い。深い。「栄光の五人組」それぞれの、犯人の、死んでいったもの達の人生と昭和平成令和。人の人生と後悔と諦念と絶望と希望と時代の中で生きるということを考えさせられる。よくぞ書き切った。

Posted byブクログ

2021/10/15

4.5 何という読み応え! 小説丸々二冊分なのだから然もありなん。 現在と過去の事件が、同時進行で起きているかの様に仄暗い不気味さを持って進んで行く。 掛け値無しに傑作です! 還暦を間近に控え、すでに廃人のようになっていた男・五味佐登志の死から物語は蓋を開ける。 佐登志...

4.5 何という読み応え! 小説丸々二冊分なのだから然もありなん。 現在と過去の事件が、同時進行で起きているかの様に仄暗い不気味さを持って進んで行く。 掛け値無しに傑作です! 還暦を間近に控え、すでに廃人のようになっていた男・五味佐登志の死から物語は蓋を開ける。 佐登志の古き友人で元刑事の河辺久則の元に、その死を看取った茂田と名乗るチンピラから連絡が入り、佐登志からの伝言があるという。 山の様に積まれた本以外は全てゴミクズの中、二十数年ぶりに物言わぬ友と再会した久則。 そして… 茂田が河辺の連絡先と共に託されたという「来訪者」の最初のページに書かれた手書きの五行詩が、長い間目を背け封印して来た過去へと誘う。 1972年、時まさに学生運動の最盛期。二人の指名手配中の活動家が小学生らの機転によって逮捕される。  だが、手柄の小学生達・栄光の5人組にとって、事件は更なる悲劇への単なる序章に過ぎなかった。 その4年後、 一人の朝鮮人少女が数人の高校生に暴行される。少女を可愛がっていた栄光の5人組が報復を果たすが、思いの外大事へと発展してしまう。 そしてその冬、5人組の一人・風花の、美しく優しい姉・千百合が失踪し、後に遺体で発見される。 それはやがて凄惨な殺戮へと繋がって行く。 昭和、平成、令和と三つの時代に跨り、目に見えない闇の底で連綿と続く負の連鎖。 茂田の金塊探しの名目で関わった河辺が、友の残したメッセージに導かれ、過去と現在の真実に迫って行く。 千百合殺しの犯人は? 佐登志を殺したのは? その動機は一体なんだったのか。 五行詩が導くゴールとは…

Posted byブクログ