ははのれんあい の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
窪美澄さんは、ダメな男を描くのが本当に上手い。 その分、第一部の印象が強くなって、第二部が少しぼやけてしまった。 第一部は、純粋で無知な女の子が、強くたくましい母になっていくまでの物語。 第二部は、智晴がいい子の一言に尽きる感じ。いい子すぎて、将来父親と同じことをしてしまうのではなんて心配もしてしまう。 タイトルでもある「ははのれんあい」は話の主軸になることはほとんどなく、むしろ脇役なのがとてもよかった。
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家族の形が変わっても家族。あたたかい物語だった。 母視点から息子視点への転換が良かった。 タイトルについての内容は薄かったのでもう少し違うタイトルの方があうのでは?と思った。
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人は弱い。 時に間違えるしダメな事だと分かっていてもそっちへ進んだりする。 三人の男児の育児、家事に仕事にと奮闘する由紀子。 そんな由紀子を傍で見ながら他の女性に安らぎを求める夫の智久に呆れ不甲斐なさを感じる。 夢を絶たれた夫の気持ちも分からなくはないがあまりにも由紀子が不憫...
人は弱い。 時に間違えるしダメな事だと分かっていてもそっちへ進んだりする。 三人の男児の育児、家事に仕事にと奮闘する由紀子。 そんな由紀子を傍で見ながら他の女性に安らぎを求める夫の智久に呆れ不甲斐なさを感じる。 夢を絶たれた夫の気持ちも分からなくはないがあまりにも由紀子が不憫だ。 離婚を経て変わり行く家族の形態。 母を支えたいと「はは」になる15歳の智晴が健気過ぎて辛い。 人の感情はままならないが家族の形は変わっても人と人は繋がれる。 喜びや悲しみ、憎しみ、許し、感情を揺さぶられながら様々な家族の形を肯定したいと思った。
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タイトルのイメージに惹かれなくて、今まで手に取ることがたかったけど読み始めたらぐーっと引き込まれました。 赤ん坊の智晴を保育園に預け、家事と仕事に息つく間もない由紀子。いたいけな智晴と、智晴のことが愛おしくてたまらない由紀子の様子に、自分の子育て期が重なってあの頃の子どもの匂いや...
タイトルのイメージに惹かれなくて、今まで手に取ることがたかったけど読み始めたらぐーっと引き込まれました。 赤ん坊の智晴を保育園に預け、家事と仕事に息つく間もない由紀子。いたいけな智晴と、智晴のことが愛おしくてたまらない由紀子の様子に、自分の子育て期が重なってあの頃の子どもの匂いや、保育園の別れ際の切なさを思い起こし心の柔らかさを取り戻しました。 双子の弟たちが無邪気に別れた父を慕うけど、父を許せない智晴の気持ち。家族を守りたい智晴に「もっと楽にしても大丈夫なんだよ」ってつたえたくなる。 暖かい居心地がずっと変わらない なんてことはないけど、みんなそれぞれ前に進むしかなくて、生きていく大切な人だと感じさせてくれる暖かな一冊です。
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今まで読んだ窪美澄の作品の中で1番面白かった。他の人のレビューにもあるが、タイトルと内容があまり一致せず良さが伝わりづらい。「はは」は息子のことも指しているのだと途中で分かるが、「ははのれんあい」というと不穏な雰囲気もあるので、もっと爽やかなタイトルだったらなと思う。(その点では...
今まで読んだ窪美澄の作品の中で1番面白かった。他の人のレビューにもあるが、タイトルと内容があまり一致せず良さが伝わりづらい。「はは」は息子のことも指しているのだと途中で分かるが、「ははのれんあい」というと不穏な雰囲気もあるので、もっと爽やかなタイトルだったらなと思う。(その点では、窪美澄の「やめるときも、すこやかなるときも」はタイトルがとても良かったな…) 家族3世代に渡り、死別、離婚、再婚などを経て変わっていく家族の形が描かれている。父の再婚相手の子と同じ学校になったり、母が恋愛していることがなんとなく分かったりと、息子の微妙な心情が描かれる第2部が好きだった。 離婚の原因になった、浮気をした父と新しい子供を憎む気持ちや、憎むことが苦しいこと、父を好きと言う弟が理解できないことなど、さまざまな感情を経て、精神的に成長していく息子が頼もしい。最終的に、父の再婚相手やその子供も家族だと思っていると語る姿を見て心を動かされた。実際にそのような家庭はあるし、色々言われることもあるだろうが、少なくとも自分は表面だけ見て憶測を語りたくはないなと思った。
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第一部は家事、育児、仕事に追われる由紀子視点で描かれている。夫(智久)の家業の裁縫業で夫婦と舅姑で仲睦まじくミシン仕事をしていた。裁縫業が上手くいかなくなり、妻の由紀子が駅の売店のパートで勤め、智久はタクシーの運転手に転職。 長男(智晴)と双子の男の子の育児と家事や 仕事に忙殺さ...
第一部は家事、育児、仕事に追われる由紀子視点で描かれている。夫(智久)の家業の裁縫業で夫婦と舅姑で仲睦まじくミシン仕事をしていた。裁縫業が上手くいかなくなり、妻の由紀子が駅の売店のパートで勤め、智久はタクシーの運転手に転職。 長男(智晴)と双子の男の子の育児と家事や 仕事に忙殺される毎日である。 そんな中の夫(智久)と向き合う余裕すらない。 家族の変化が少しずつ良くない方向へ向かう。 第二部は高校生になった長男の智晴視点で家族の在り方葛藤を描かれている。 少しずつ変化する家族の形に、読み手である私に自分は本当に家族の事を思い過ごしているのか考えさせられてしまった。 そう、ミシンを踏んでる仲睦まじい家族の時間は戻らない事を。 家族の良き思い出に胸が締めつけられる。 生きとし生けるもの。みんな幸せで安穏に暮らして欲しい。蓮の花の開花にを目の当たりにした智晴の未来を応援したくなる。それが大切な自分の家族の様にだ。
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面白く読めたが、嫁ぎ先で義両親とミシンの仕事に励む由紀子。妊娠、出産、会社が傾き廃業し、夫婦ともに慣れないながらも働き出す。夫の浮気で離婚する。3人の男の子を育てながらのフルタイム。恐ろしい程に忙しいことだろう。 その母を支えたいと家事や弟達の世話をする智晴だが、ここまでする高...
面白く読めたが、嫁ぎ先で義両親とミシンの仕事に励む由紀子。妊娠、出産、会社が傾き廃業し、夫婦ともに慣れないながらも働き出す。夫の浮気で離婚する。3人の男の子を育てながらのフルタイム。恐ろしい程に忙しいことだろう。 その母を支えたいと家事や弟達の世話をする智晴だが、ここまでする高校生果たしている?勝手なことをして家を出ていった父を恋しく思う中学生の双子の息子っている?と思った。また、芯はしっかりしつつ女性らしかった由紀子がバリバリ正社員で働くのは頭が下がるが、時折智晴を「あんた」と呼ぶのはとても違和感を感じた。それを気にしなければ、いろいろな登場人物が出てきて面白かった。 「離婚をしても、家族であることに違いはないの。少し形が変わるだけなの」という言葉が、心に残った。
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大好きな作家さんである窪さんの作品の中でも 最高傑作ではないかと 自信を持っておすすめ出来る一冊です。 星5つでは足りないくらいです… 第一章では自分の未来が描かれているようで 不安と腹立たしさと焦りと 暗い感情に包まれた。 でも物語の進捗と共に家族の変化と成長が 描かれ、視点...
大好きな作家さんである窪さんの作品の中でも 最高傑作ではないかと 自信を持っておすすめ出来る一冊です。 星5つでは足りないくらいです… 第一章では自分の未来が描かれているようで 不安と腹立たしさと焦りと 暗い感情に包まれた。 でも物語の進捗と共に家族の変化と成長が 描かれ、視点が智晴に変わって 人生の大切なものや思春期の重苦しい思考など 全てにおいて共感できる物語だった。 本当に沢山の人たちに読んでほしい一冊。
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前半は、母の目線、後半は長男の目線から、変わりゆく家族の物語。家族のかたちが変わっても、切り離しきれない関係の下、それぞれがお互いを思い、前に進んでいく。 母が父に恋をし、産まれた息子にコイをし、新しい男性に恋することを踏み出すような、家族と時の流れに伴う、コイの話しかな。と、私...
前半は、母の目線、後半は長男の目線から、変わりゆく家族の物語。家族のかたちが変わっても、切り離しきれない関係の下、それぞれがお互いを思い、前に進んでいく。 母が父に恋をし、産まれた息子にコイをし、新しい男性に恋することを踏み出すような、家族と時の流れに伴う、コイの話しかな。と、私は思った。 読了して、長男が素晴らしいな。と感じると同時に、母として、私は子供の迷いや戸惑いに気付いてあげれるだろうかと、不安と楽しみを同時に感じた。
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初・窪美澄。というか、実は「ふがいない僕は空を見た」は何度か挑戦したのですが完読ならず。つまみ読みを繰り返し、大体ストーリーは判っているのだけど通しで読んだことがないのです。 実は今回も出だしで苦戦。登場人物の心理が右往左往してなかなか前に進まず、ついつい飛ばして先を読みたくなり...
初・窪美澄。というか、実は「ふがいない僕は空を見た」は何度か挑戦したのですが完読ならず。つまみ読みを繰り返し、大体ストーリーは判っているのだけど通しで読んだことがないのです。 実は今回も出だしで苦戦。登場人物の心理が右往左往してなかなか前に進まず、ついつい飛ばして先を読みたくなりましたがなんとか完読しました。 「形を変えていく家族」を描いた作品。全体に「良い人」の物語で、悪意のある人は登場しないのだけれど、その中でも葛藤とか逡巡があって素直に前に進まない。風景とか背景描写が少なく、ひたすら人の心を描いた作品でした。そういえば、父親の再婚相手のカンヤラットは面白いキャラクターなのにほとんど描かれませんでしたね。なぜだろう? 今風に言えば(個人的にはこの言い方は嫌いですが)ヤングケアラーともいうべき智晴。余りに出来が良過ぎて少々戸惑ってしまいますが、彼が主人公になって話が盛り上がったのも確かで、やや格好良過ぎるけど心地良いエンディングでした。 しかし、窪美澄さんてこんな作風なのかな?
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