おもろい以外いらんねん の商品レビュー
最初は、お笑いをモチーフにした青春小説かと思った。コンビが結成して方向性の違いにより別れるまでの、青春時代の人間関係や心のうつり変わりを描いたストーリー。けど、読んでみたら、そうだけどそうじゃなくて、そうじゃない部分にしてやられた。この小説におけるお笑いは青春を描くためのただの手...
最初は、お笑いをモチーフにした青春小説かと思った。コンビが結成して方向性の違いにより別れるまでの、青春時代の人間関係や心のうつり変わりを描いたストーリー。けど、読んでみたら、そうだけどそうじゃなくて、そうじゃない部分にしてやられた。この小説におけるお笑いは青春を描くためのただの手段ではなく、お笑いそのものも正面から描き出している。お笑いの持つ嫌な面からも逃げていない。クライマックスのアクリル板を挟んだ漫才の部分なんて、おもしろすぎてニヤニヤしてしまった。そして辿りついた結末に拍手喝采!あ〜おもろかった!
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お笑いを始めた高校生が芸人になり、大人になっていく軌跡。タイトル”おもろい以外いらんねん”が何回か異なる意味でリフレインされます。
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意外にもハッピーエンドの物語だった (最近ハッピーエンド読んでない) 同級生3人組、芸人世界との向き合い方の話 もともと滝場、ユウタくんで芸人やってるけど、 最終的に咲太含め3人で芸名決めてトリオになるみたい タイトルの「おもろいこと以外」というのは、 お客さんにとっておもろくないネタ ルッキズム、倫理観かな←お客さんに見せるネタとネタの倫理観の間で、滝場が葛藤しているシーンが印象的 咲太はおとなになってから、主体的になってかっこよかった 心情の部分、3人で話す場面は、誰がどのセリフを言っているか混乱する 咲太の推測で、滝場は、何もない容器であって主体的ではない。一見クラスの中心的存在に見えて、役割に憑依することで、その場しのぎしてる。 「面白い人」を演じて、やっつけしている (自分と重なる部分もあって、感情移入して読めた。)
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学生の頃から始まったお笑いコンビの話。 コロナ禍をどのようにお笑い芸人さんが乗り越えたか、ストーリーの流れがわかりやすかった。 笑いをとる人間性、他人をイジるのは自分あまり経験がないので、滝場のあり方には感情移入できなかった。
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高校生の時に結成したお笑いコンビがプロになるまでの青春物語。他人の容姿や性別をイジってでも結果的に面白ければよいというスタンスと、「傷つけない笑い」を時代と共にアップデートしていくやり方の狭間でネタを考えていく芸人さんの葛藤は見ていて心を掴まれた。 見過ごされてしまうような小さな...
高校生の時に結成したお笑いコンビがプロになるまでの青春物語。他人の容姿や性別をイジってでも結果的に面白ければよいというスタンスと、「傷つけない笑い」を時代と共にアップデートしていくやり方の狭間でネタを考えていく芸人さんの葛藤は見ていて心を掴まれた。 見過ごされてしまうような小さな違和感をしっかり掬い取る著者の繊細な感受性にどこか安心感を感じる一冊。
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コロナ禍っていう今までのあたりまえが あたりまえじゃなくなったこの状況。 そして「傷つけない笑い」が推奨されるような 新しい流れ。 そんな中で笑いを生み出し、 届け続ける芸人さんたちの苦悩と葛藤、 そしてお笑いへの愛が綴られた一冊 . ひとりのお笑いファンとしては 正直共感できな...
コロナ禍っていう今までのあたりまえが あたりまえじゃなくなったこの状況。 そして「傷つけない笑い」が推奨されるような 新しい流れ。 そんな中で笑いを生み出し、 届け続ける芸人さんたちの苦悩と葛藤、 そしてお笑いへの愛が綴られた一冊 . ひとりのお笑いファンとしては 正直共感できないところや 納得できない考え方もあったけど、 それはそれで新しい見方を知れて新鮮 そういうところを含めて「おもろい」本でした
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芸人さんの不安、人間味のある部分の描写について、自分が当事者だと思ったら、本当に恐いと思った。 2人の漫才より3人の漫才の方が面白かったのが、素敵だった。
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- ネタバレ
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最近、奇奇怪怪というポッドキャストを聞き始めてそこで紹介されていたので読んだ。発売当時も気になっていたのだけど、お笑い、漫才に関する小説といえば『火花』という圧倒的傑作が脳裏をよぎってしまい躊躇していた。しかし実際読んでみると著者はそこも承知の上で小説を通じて今のお笑いを批評する形になっておりとてもオモシロかった。 高校時代の同級生2人がコンビを結成してプロのお笑い芸人として売れることを目指す。このど直球のプロットに対して主人公を2人の友人である第三者としている時点でお笑いについて距離を置いて描こうとする姿勢が分かる。お笑いを始めた人、始めなかった人のそれぞれの人生が交錯していくのだが、特徴はコロナ禍真っ只中の話だという点。今となっては完全に過去の出来事で一体どうやって過ごしていたかも記憶の彼方になりつつある中で改めて創作物で読むのは非常に新鮮だった。特にお笑いは密が一つの売りの商売がゆえに距離を取ることによる価値観の転換(コンビ間の思想も含め)が如実に表現されていて興味深かった。 2人のお笑いコンビの片方がバラエティで重宝されて、ネタ原理主義者であるその相方はテレビに出られない。そして前者をカラッポと表現している点から昔のハライチを想起して読んだ。お笑い芸人としてどんな形で笑いを取っていくか、その形にこだわる人間とこだわらない人間のギャップについての考察が物語を通じて行われる。後者のこだわらない人間による容姿いじりや女性へのセクハラが近年は問題視されるようになりつつあり、その過渡期の物語としてこれほど自覚的なエンタメは読んだことがなかった。 特に最近は松本人志の騒動についてどうしても考えざるを得ない。彼を経典とするお笑いを長年見てきた身からすると、どういう気持ちになればいいのか本当に難しい。彼の及んだ行為を嫌悪する気持ちはあるし、それに由来するであろうホモソーシャルなノリ、近年のニュースバラエティでの権力側への擦り寄りなどは結構しんどくてここ数年は敬遠していた。しかし、彼が構築してきたお笑いの価値観で育った身だし、過去に死ぬほど笑わせてもらったのも間違いなく、すべてを否定するのも苦しい。その狭間で揺れる気持ちが正直ある。 本著はそんな揺れる気持ちに対して「おもろい以外いらんねん」と優しく諭してくる。物語の力を駆使して全力で「傷つかないお笑い」を肯定しようと思えばできるはずのところを敢えて結論を迂回させつつ終盤にタイトルをダブルミーニングで使った展開となる点が白眉だった。現状維持ではなく変わりゆく社会に順応していくのもお笑いでありカルチャーだよなと思わされる。ネタ原理主義者の彼が放つ以下のラインが今一番グッとくる言葉。 *笑いが傷つかない漫才がしたい。*
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壊れて、壊して、再構築。形を変えながらただただおもろいをつくっていく。 長い青春の疾走感が心地よい!
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稼げる笑いと理想の笑いと言えばイイのかわからないけど、それらの間で葛藤する姿がストレートに描かれている。笑いのことはよく分からないけど、クリエイティブな活動をする人たちには、理想を求めてこんなふうに悩んだりするのかな、と思いながら読み進めた。最後の最後、主人公を中心とする3人が語...
稼げる笑いと理想の笑いと言えばイイのかわからないけど、それらの間で葛藤する姿がストレートに描かれている。笑いのことはよく分からないけど、クリエイティブな活動をする人たちには、理想を求めてこんなふうに悩んだりするのかな、と思いながら読み進めた。最後の最後、主人公を中心とする3人が語り合うシーンはとても良かった。「風景のなかには未来があって、もうやってきてんねん。」という言葉が印象深かった。
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