おもろい以外いらんねん の商品レビュー

大前粟生(著者)

2021/01/06

文藝にて

笑いと人間と世界と
全部繋がってる

笑いって
実はとても暴力的で自己欺瞞に満ちていて
誰かにとっての笑いは誰かにとっての涙で
それでもやっている人たちは血が滲むほど真剣で

からっぽを埋めたくて
自分から逃げたくて
世界から逃げたくて
笑いをやってた？
誰かを傷つけながら？
“おもろ”かったらいいのか？
それって本当に”おもろい”のか？

違う
そんな理由とか世界とか差別とか
人間とかコロナとかアクリル板とか全部取っ払って
“おもろい以外いらんねん”

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圧巻だ
息づかいまで聞こえてくるような漫才と
言葉にならない魂の叫びが、小説から溢れ出している
それは痛みでもあり喜びでもあって
とにかくこの作品には嘘がない
これは彼らの話であり、僕の話であり、なにより世界の話であるのだ

とにかく僕はずっと、こんな作品を切実に待っていたのだと確信している