旅する練習 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
はじめは2人が旅する現在進行形の旅行記なのかと思って読んでいた。少し引っ掛かる言い回しがあっても、そういう文体なんだろうと済ませていた。ただところどころに死が感じられ、私こと叔父がもしかしたら余命宣告されていたりして等と検討違いな予感を感じたが、読み進めるうちにあの結末に繋がっていった。言われてみれば、日記についての描写も見逃していた。馬頭観音の説明がなぜあんなに丁寧だったのかも引っ掛かりながらも読み取れていなかった。ラストが衝撃なのではなく、この小説はそもそもが現在ではなく過去の旅をなぞったものだった。「人が消えても、石が、言葉がそれを留める」彼女が生きた紙碑だったんだなぁ。そう思って読み返すと、彼女の瑞々しく生き生きした様が余計に悲しかった。
Posted by
スケッチをするように丹念で静かな描写がいつの間にか心地よく 登場人物の輪郭が少しづつはっきりしてきます それだけに残酷な終焉が作品にあっていないような読後感です
Posted by
高橋源一郎と文学youtuberベルの推しで三島賞も獲得ということで読んでみた。このコロナ下の真っ只中の同時代小説である。最近では珍しいくらいの爽やか小説で一気に読み進められた、だがラストのグダグダは何だ、あまりにも少女趣味過ぎた内容に作者の照れ隠しなのだろうか、それにしてはちょ...
高橋源一郎と文学youtuberベルの推しで三島賞も獲得ということで読んでみた。このコロナ下の真っ只中の同時代小説である。最近では珍しいくらいの爽やか小説で一気に読み進められた、だがラストのグダグダは何だ、あまりにも少女趣味過ぎた内容に作者の照れ隠しなのだろうか、それにしてはちょっと酷いではないか、ここまで読者を喜ばせといてこれは裏切りだちょっと許せないラストは変更して欲しい。何度も「おジャ魔女どれみ」が出てきたが最近そのスピンオフ的な映画も上映されて、リバイバルも期待できるのかな。
Posted by
難しい言葉と馴染みのない言葉が多く、一つ一つの情景を思い浮かべるのに久々に苦労した。純文学読んでいるなぁとひしひしと感じる。そして純文学を楽しんでいると思いきや、これなんかあるなと終盤からわかってくるところに面白みがあった。でも難しかった。楽しんで読んでいたが、難しさもあって最後...
難しい言葉と馴染みのない言葉が多く、一つ一つの情景を思い浮かべるのに久々に苦労した。純文学読んでいるなぁとひしひしと感じる。そして純文学を楽しんでいると思いきや、これなんかあるなと終盤からわかってくるところに面白みがあった。でも難しかった。楽しんで読んでいたが、難しさもあって最後まで物語に入り込む感覚がなかった。でも「大切なことをみつけて、それに自分を合わせて生きる」というのは心に響いた。亜美がそれをすごく楽しいと言うところも、本当にそうなんだろうと実感した。おジャ魔女カーニバルの歌詞を自分に写して解釈するところが純粋で素直でとても素敵。私も、自分にとって大切なことってなんだろう?と考えずにはいられなかった。そんな風に生きれたら本当に楽しいのだろう。
Posted by
難しい言葉が散らばっており、言葉を検索しながら読み進めました。 小説の中で、 「今まで私、自分から逃げ出したことすらなかったんだって気付いたの。家でも学校でも、嫌なことは我慢してやり過ごすばっかりだったって。(略)」 その言葉に私もハッとさせられた。たしかに我慢してやり過ごして...
難しい言葉が散らばっており、言葉を検索しながら読み進めました。 小説の中で、 「今まで私、自分から逃げ出したことすらなかったんだって気付いたの。家でも学校でも、嫌なことは我慢してやり過ごすばっかりだったって。(略)」 その言葉に私もハッとさせられた。たしかに我慢してやり過ごしてた日々があって、「逃げ」なんて考えたことがなかったと言うことに。
Posted by
久しぶりに辞書を引きながらの読書。 いままで読んだ本の中で 一番ラストの展開に驚かされた。 "自分"を生きることを大切にしたい。
Posted by
中学受験を乗り切った亜美(アビ)とその伯父が鹿島まで歩いて旅をする。亜美はサッカーエリートといってもよい女の子。サッカーボールを蹴りながら鹿島へ向かう。途中でみどりという大学生と出会い、3人で旅をすることになった。みどりはジーコの著書の影響で鹿島を目指す。亜美はサッカーの合宿所で...
中学受験を乗り切った亜美(アビ)とその伯父が鹿島まで歩いて旅をする。亜美はサッカーエリートといってもよい女の子。サッカーボールを蹴りながら鹿島へ向かう。途中でみどりという大学生と出会い、3人で旅をすることになった。みどりはジーコの著書の影響で鹿島を目指す。亜美はサッカーの合宿所でこっそり持ち出してしまった本を返却するためだ。目的が異なるので途中でみどりと亜美は別々の道を歩いていく。そして、亜美は...。楽しそうな旅路を描写しているが、なぜ切ないというか悲しみを感じる。それは最後のページで明らかなる。そういうことかとズキンと胸を穿つ。出会いと別れ。
Posted by
サッカー(姪)と紀行文(叔父)を練習する旅なのだけれどタイトルは『旅する練習』と言い換えられているのは唐突な結末を受けたその後を想っているのだろうか。ラストシーンには賛否両論があるが、芥川賞はともかくとしてサッカー本大賞をめざすのであれば逆の方が好ましかったかな。(笑) 閑話休題...
サッカー(姪)と紀行文(叔父)を練習する旅なのだけれどタイトルは『旅する練習』と言い換えられているのは唐突な結末を受けたその後を想っているのだろうか。ラストシーンには賛否両論があるが、芥川賞はともかくとしてサッカー本大賞をめざすのであれば逆の方が好ましかったかな。(笑) 閑話休題。旅をして写真を撮ったり絵を描くのではなく紀行文を書く(それは日本古来の趣味の世界なのだけれども)という発想に今更ながら目を開かされた。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
中学入学前の姪と小説家の叔父の二人旅。 サッカーに夢中でサッカーボールさえ蹴っていれば機嫌のいい天真爛漫な姪の頼みで、コロナで世間が騒がれ始める2020年3月、鹿島アントラーズの本拠地を目指して「歩く、書く、蹴る」をひたすら繰り返す旅物語。 姪がリフティングをすれば叔父は旅先の風景を描写し共に歩き…。二人の仲の良さと春の長閑さが相まって穏やかな雰囲気に包まれる。 物語の途中で挿まれる、過去を振り返る叔父の文章がとても意味深で、読み進めるにつれソワソワしてしまった。この後の展開に不安がよぎる。 春の二人旅を終えた後、二人で辿った道程を再び一人で歩く叔父。 あの穏やかだった貴重な時間を思い出しながら、ひたすらに記録を続ける叔父の悲壮感はいかばかりか。 二人でした約束が約束のまま果たせなかった後悔ばかりが後に残る。 いつか本番を迎えるための練習のはずが、練習のままで終わってしまった無念さが悲しい。 いるのが当たり前だと思っていた。 逢おうと思えばいつでも逢えると思っていた。 コロナ禍の最中、そんな当たり前が当たり前でなくなることを日々思い知らされる。 そんな世の中になってしまった現実を突きつけられたような読後感。
Posted by
新聞か何かの広告で興味を持った本作。コロナで色々なことがお休みになったこの時期だからこそ経験できた旅はある意味素敵だ。旅の仲間が増えたのは無邪気に書かれてるが、女子が加わるのはもやっとした。いい旅だったのにどうしてこのラストなんだろう。
Posted by