コロナと潜水服 の商品レビュー

奥田英朗(著者)

2021/08/02

長編小説かと思っていたら、５つの短編集でした。

・海の家
・ファイトクラブ
・占い師
・コロナと潜水服
・パンダに乗って

どの話も、最後はスッキリ、ほっこり、人の成長を感じられて前向きになれる、素敵なお話でした。
特に、ファイトクラブとパンダに乗ってが好きです。

どのお話も、オカルト的というか、科学では説明しにくい現象(心霊現象や予知能力)が出てきますが、
主人公達の生活に自然に馴染んでいました。

ほぼ霊を信じていないのですが、こういうことってあるのかもしれないなぁと自然に思えてしまうようなお話ばかりでした。

2021/08/01

読書記録です。まだの人は読まないでね。

「海の家」妻に浮気された作家が2ヶ月間だけ過ごした海に近い取り壊し予定の日本家屋。タケシ君が家が壊される前に写真から消えるというのが、怖さよりも良かったねと思わせる。
「ファイトクラブ」40第後半の早期退職勧告に抗う５人の社員が、倉庫でほこりをかぶっていたサンドバッグとグローブを見つけて、コーチから特訓を受ける。くたびれた社員が自分自身のなかから変わっていく表現がぐっときます。
「占い師」主人公みたいな女性はあまり好きじゃない。でも、そういう女性の中にも葛藤はあって、見栄と本音を鏡子を通してでないとぶつけられない、向き合えないっていうのはおんなじなのかな～とも思う。
「コロナと潜水服」海彦くんを信じて、奥さんを守るために潜水服を来て外出できるパパはすごい。でも、超現実主義のママはもっと早くに実はね…ってパパに話してあげて欲しかった。パパ、良い人すぎ。
「パンダに乗って」行きたいところへは案内してくれないナビに、キレることもなく従っていく主人公がすごーくイイ人。遠く離れた場所で買った車を、乗って東京に戻りたいのに彼はナビに付き合っていく。お花屋さんには自分から会いに行こうよ、とナビに話しかけるぐらいまで…富田君もパンダ（車）も幸せだよね。

2021/07/24

びっくりなことに初読みでした、奥田さん。あれー、絶対読んだことあると思ってたんだけどな。。
タイトルからどうなの？とおもいきや、もう全部の短編がやさしくて。なんだろ、優しい気持ちになれる話ってすごくすごく好き。
表題作もいいんだけど、最後のパンダに乗ってで涙がポロポロ。赤いパンダ、いいなぁ。不思議な話いいなー。夢があって好き

2021/07/21

久しぶりの奥田作品。

様々な作家さんがコロナを取り上げる中、奥田さんが描く表題作はコロナに侵される心のリアルと逆にとぼけたユーモアと家族の絆が表現されて楽しめた。
新型コロナウイルスが騒がれ始めた頃の混乱振りと何としても家族を守らねばと奮闘する主人公と、不思議な能力を持つ幼い息子、そして何故か落ち着き払っている妻。
わずか一年前のことなのに懐かしく思う部分もあり、奮闘のあまりに滑稽な方向に暴走しているのを笑えないように感じる部分もあり、そして性格も考え方も違う三人家族がとても良いトライアングルになっていてホッとする。

他に
妻の不貞に狼狽え怒り(短期間だが)別居しようと借りた海辺の家で少年と出会う作家の話
リストラに応じない社員たちが集められる工場で始まったボクシング教室とボクシングコーチの話
交際中のプロ野球選手の活躍に一喜一憂するあまり振り回されるフリーアナウンサーと怪しげな占い師の話
念願だった初代フィアットパンダを入手しいざ帰ろうとするとナビに思わぬ寄り道ばかり案内される話
の四話が収録されている。

いわゆる怪異系の話なのだが怖さは全くない。むしろピンチや迷路に迷い込んでいる主人公たちを救ったり背中を押してくれたり、最終話のように不思議な相棒とのロードノベルのようになっていたり楽しく読める。
逆に彼らもまた主人公たちに背中を押してもらって一歩踏み出したのかも知れない。それを成仏と呼んで良いのかは分からないけれど。

短編集でテンポ良くあっという間に読めたが、中身は結構詰まっている。日本だけでなく世界中がギスギスしている中、ホッと出来るひとときを過ごせた。

2021/07/11

短編集。良かった。

どのストーリーも心が温かくなる。
悲しみの中にも。

特に『ファイトクラブ』『パンダに乗って』が良かった。

主人公は全ておじさん。
一回もののドラマにしてもいい感じ。

ファイトクラブは、デヴィッド・フィンチャーの映画『ファイト・クラブ』を思い出した。
ストーリーは違うけど、その映画をまた観たくなった。
この映画も印象に残ってる。

2021/07/10

図書館の予約で半年待って、借りてきた翌朝に読了した。一気読み。
5編の短編。「海の家」「ファイトクラブ」「占い師」「コロナと潜水服」「パンダに乗って」どれも大人のファンタジックな物語。作者は同年代なので、色々懐かしい話が出て来て思い出してしまう。最後の「パンダに乗って」は不覚ながら涙が出てしまった。

Amazonより---------
小さな救世主現る! 五歳の息子は、新型コロナウイルスが感知できる? パパの取った究極の対応策とは――「コロナと潜水服」(表題作)ほか全五編。コロナ禍の世界に贈る、愛と奇想の奥田マジックが光るファンタジー短編集。

2021/07/08

あら？奥田作品だけど毒はないぞ。この著者は『オリンピックの身代金』や『罪の轍』など硬派なものも、この短編集のように心あたたまるユニークなものも書けて、うまい❗感動させてやろうという過剰演出もなく程よく読者の心を揺らすのだ。改めてその実力を感じる。最終エピソード『パンダに乗って』がとてもいい。中年以上の人なら作中登場の音楽リストも嬉しくなるでしょう。2021.06.29

2021/07/07

5篇の短編集
*海の家
*ファイトクラブ
*占い師
*コロナと潜水服
*パンダに乗って

奥田ワールド楽しかったです。
個人的に｢海の家｣｢パンダに乗って｣が好き♪
ちょっと不思議なストーリーで優しい気持ちになりました♪

｢コロナと潜水服｣は、新型コロナの世の中をユーモアとともに描いた作品。お父さんの危機感には共感しながら読みました。

2021/07/05

表題作の最初のページに記載の新型コロナの発生についての一文は、私は賛成できず、星の数をマイナス1しました。
それ以外の部分や他の作品はとても良かったのに残念です。
他の作品は霊的な話ですが怖くないです。

2021/07/01

コロナがどう絡むのか興味があったが、この親子素敵すぎる。子供の訴えを受け入れる父親もいいし、潜水服を買う母親のセンスもいい。全体に不思議なことをすんなり受け入れるのが共通点。気持ちの良い短編集だった。