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密やかな結晶 新装版 の商品レビュー

4

154件のお客様レビュー

  1. 5つ

    44

  2. 4つ

    54

  3. 3つ

    37

  4. 2つ

    3

  5. 1つ

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2024/11/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

寂しい小説だった。 この島では記憶の中から少しずつ消えていく。切手だったりカレンダーだったり。主人公は小説家だったのにあるとき小説もなくなってしまう。でも消えたものに対し、大方の人はなにも思わずない世界に順応してしまう。 全員が忘れてしまうのであればよかったけれど、一部には記憶がなくならない人もいる。記憶がなくならない人がいると、記憶からなくしてしまう人にどうにかできないものかと思ってしまう。主人公はどうにかしようとするけれどどうにもできなくて、記憶をどんどんなくしていく。 悲しみもなく、記憶からなくなってしまうことが悲しかった。

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2024/11/01

読んだ人皆んなが口にしているように、文章が美しすぎる。 どんどんと何かが消え去っていくという設定も面白いと思ったけど、展開が結構ずっとゆったり同じだなあとも感じた。読んでいる間は、島に流れる独特な緊張感とか、ずっと肌寒いような感覚とかがまとわりついてるような気がした。

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2024/10/03

自分の語彙力の無さが原因なのか、あまり入り込む事が出来なかった。 あと、気分が落ち込んでる時に読んだらさらに陰鬱が加速します。

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2024/09/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

どんなに美しい宝石やオルゴールや薔薇もその人の記憶と思い出が無ければ、その人にとって何の意味もない、、。読み手は消滅しない側の人間だからこそ自然とR氏側の視点に感情移入して、薔薇が川に流れていく場面や本を燃やす場面、足の消失等々、着々と進んでいく消失にどこかやるせない気持ちになりました。 作中のタイピストの物語ももっと考察しがいがありそう。 R氏は優しくてわたしに思いやりのある良い人という風に描写されている反面、タイピングの先生は暴力的で支配的に描写されているから、途中までは二人を被せて読んではいなかったけれど、ラストわたしが全てを消失した時に、地上に出ていくR氏の姿はどこかタイピングの先生と被る物がありゾワッとした。 読めばすぐにわかるが、ナチスのユダヤ人迫害と重なるところが沢山あり、ナチスが散った後それらが今度は殺されていく展開にも似て、秘密警察が消滅し、身を隠していた消滅を経験しない人々が台頭していく展開は面白かった。

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2024/09/28

#54奈良県立図書情報館ビブリオバトル「次回の読書会で読みたい本」で紹介された本です。 チャンプ本。 大阪ブックフェスタ連動企画として2部制で、1部は、まちライブラリー読書会、2部がビブリオバトルでした。 2015.5.16 https://m.facebook.com/even...

#54奈良県立図書情報館ビブリオバトル「次回の読書会で読みたい本」で紹介された本です。 チャンプ本。 大阪ブックフェスタ連動企画として2部制で、1部は、まちライブラリー読書会、2部がビブリオバトルでした。 2015.5.16 https://m.facebook.com/events/1562996537316299?view=permalink&id=1591034237845862

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2024/08/28

言葉の消滅 言葉、その品物が持つ各人(わたし)の記憶や感情が奪われる。 言葉が奪われることによってスッポリと心の空洞が出来、 それは各々が大切に保持してきた密やかな結晶 が抜き取られるのだ。 あなだが独自に持っているその密やかな結晶を反故に奪われるな。 身の回りの愛している人と大...

言葉の消滅 言葉、その品物が持つ各人(わたし)の記憶や感情が奪われる。 言葉が奪われることによってスッポリと心の空洞が出来、 それは各々が大切に保持してきた密やかな結晶 が抜き取られるのだ。 あなだが独自に持っているその密やかな結晶を反故に奪われるな。 身の回りの愛している人と大切に共有しよう。

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2024/08/24

かなりSFチックで、小川洋子さんの小説の中でもかなり幻想性と虚構性の高い小説だった。なにかが消滅するたび、その物がなくなるというより、その言葉もなくなっていくこと、それにまつわる記憶がなくなっていくことから、物と言葉と記憶との関係性についてあれこれ考えたりした。 薔薇が消滅して...

かなりSFチックで、小川洋子さんの小説の中でもかなり幻想性と虚構性の高い小説だった。なにかが消滅するたび、その物がなくなるというより、その言葉もなくなっていくこと、それにまつわる記憶がなくなっていくことから、物と言葉と記憶との関係性についてあれこれ考えたりした。 薔薇が消滅して圧倒的な量の花びらが川を流れていく描写、最高にだいすき。消滅というのは恐ろしいもののはずなのに、美しく見せてしまうのが、美しいと思ってしまうのがこわい。 レイ・ブラッドベリの『華氏451度』とアンネ・フランクの『アンネの日記』を読んでから、また読んでみようと思った。

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2024/06/23

滅多に読まないタイプの本。楽しく読めました。 推理小説やサスペンスのような、ドキドキした感じはなくても、この先どうなるのかな?」というふわっとした興味はちゃんとあり、サラサラ読めました。 帽子とフェリーについては、なぜ消滅してるのに単語を理解してるのか? など、細かい点では辻褄が...

滅多に読まないタイプの本。楽しく読めました。 推理小説やサスペンスのような、ドキドキした感じはなくても、この先どうなるのかな?」というふわっとした興味はちゃんとあり、サラサラ読めました。 帽子とフェリーについては、なぜ消滅してるのに単語を理解してるのか? など、細かい点では辻褄が合わないところ、少し気になりました。

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2024/06/16

鳥、フェリー、あらゆるものが一つ一つ消滅して人々の記憶からも消えていく島。彫刻家だった母親と小説家の女性、R氏、フェリーに住むおじいさん。記憶に残る人を取り締まる秘密警察。ミヒャエルエンデの『モモ』のような世界観だった。小説家の書く声を失った女の子の物語と不思議にリンクする。 小...

鳥、フェリー、あらゆるものが一つ一つ消滅して人々の記憶からも消えていく島。彫刻家だった母親と小説家の女性、R氏、フェリーに住むおじいさん。記憶に残る人を取り締まる秘密警察。ミヒャエルエンデの『モモ』のような世界観だった。小説家の書く声を失った女の子の物語と不思議にリンクする。 小川さんらしい不思議で静かで切ない物語だった。

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2024/06/10

初めの数十ページのうちは少しずつ読んでいく本になるかなと思ってたけど、思ってたより読みやすいし続きが気になるしで中盤以降はかなりの勢いで読み進めてしまった〜。 次々と何かが消えていく島、という設定が本当に面白かった。例えば香水が消えるとき、香水という存在がなくなるだけじゃなくて...

初めの数十ページのうちは少しずつ読んでいく本になるかなと思ってたけど、思ってたより読みやすいし続きが気になるしで中盤以降はかなりの勢いで読み進めてしまった〜。 次々と何かが消えていく島、という設定が本当に面白かった。例えば香水が消えるとき、香水という存在がなくなるだけじゃなくて、その香りをよいと感じる感覚や香水に対する思い入れとか思い出も失くしてしまう。何かの消滅が起きたことは島民はわかっていて、香水をなくしたときはみんなで川に香水を捨てたり、消滅を完全なものにする過程が存在するのだけど、それがお葬式とか、消滅を悼むものに思えるのに、本当に取り返しがつかないほど消滅が絶対的で、心を失っていくようなのに、失くした側は思い入れごと失くしているからその喪失感の大きさを自覚できることもない。 島の中には消滅が起きても記憶を失わない人がいて、そういう人と消滅への耐性がない人とのどうしようもない感覚の差が読んでいて恐ろしかったし苦しかった。 喪失することの恐ろしさ、管理社会というディストピアの恐ろしさ、でも欠片だけ希望も示されていて、だけど欠片だけだからとても切なくなった。 終わり方をわかっていて読み返したらまた違う読み方になりそう。読めてよかったしまたいつか読み返したい〜。

Posted byブクログ