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密やかな結晶 新装版 の商品レビュー

4

218件のお客様レビュー

  1. 5つ

    64

  2. 4つ

    79

  3. 3つ

    48

  4. 2つ

    9

  5. 1つ

    1

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2026/04/21

小川洋子〜って感じの話だった。 不思議で美しくて何処かとても耽美。 この読了感をどんな言葉で表したらよいのだろう。  奪われること奪うこと、でも心の中は目に見えないから奪えない。記憶は自分のもの、思いも自分のもの。それなのに、年月日と共に薄れていく。思い出すためにはきっかけが必...

小川洋子〜って感じの話だった。 不思議で美しくて何処かとても耽美。 この読了感をどんな言葉で表したらよいのだろう。  奪われること奪うこと、でも心の中は目に見えないから奪えない。記憶は自分のもの、思いも自分のもの。それなのに、年月日と共に薄れていく。思い出すためにはきっかけが必要だし、人は常にずっと何かを抱え続けることも出来ない。

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2026/04/17

途中までは物語がただ進んでいるかのように読んでしまったけれどラスト100ページぐらいは消失がどんどん進んでいってその中で主人公が自分の心迄を失わせないように必死になっている姿を見て、今の自分と重ね合わせてしまった。 自分が空気の存在の様に孤独感を感じているが、座っていれば給金が...

途中までは物語がただ進んでいるかのように読んでしまったけれどラスト100ページぐらいは消失がどんどん進んでいってその中で主人公が自分の心迄を失わせないように必死になっている姿を見て、今の自分と重ね合わせてしまった。 自分が空気の存在の様に孤独感を感じているが、座っていれば給金が得られるので会社に行っている、、ぐらい仕事に行きたくないのが現状。元凶は上司。多分権力が蔓延っているからだと思う。駒使い、人を経営資源としか見做さず、人の心が分からない、エンゲージを下げるだけの役職者。誰が何を考えて仕事しているのか、考えようともしない。嫌味しか言わなくなる性格悪いオジサン。 多分一般的に嫌われるタイプ、人は付いてこない。 心までは奪われない、頭の中だけはいつも自分のもの。 この小説の中の出来事を読んで、北朝鮮などの共産主義国家の影響を想像できた。 企業は人で出来ているのに人格否定の様に否定発言を吹き込まれる。 人は働けなくなるはず。意識がどんどんなくなる、自分の意見も思っても出せなくて、考える事もしなくなる。独裁政権。 会社は資本主義経済の中で回っているのに、 きっとそのやり方だとマイナスにしかならない。 ただ、目の上のたんこぶのために、 この小説の感想で愚痴を吐いてしまうほど 精神衛生が良くないというのは とても悲しい事だと、今更思っている。

Posted byブクログ

2026/04/17

小川洋子さんの小説には、静謐という言葉がよく似合うと思う。本作は静謐ながらハラハラするような展開もあり、不思議な世界に浸りながら飽きることなく読み進められた。作中の小説とともに、危ういバランスの上で成り立っていた世界が徐々に壊れていくのを見届け、同時に新しい世界が始まる予感のする...

小川洋子さんの小説には、静謐という言葉がよく似合うと思う。本作は静謐ながらハラハラするような展開もあり、不思議な世界に浸りながら飽きることなく読み進められた。作中の小説とともに、危ういバランスの上で成り立っていた世界が徐々に壊れていくのを見届け、同時に新しい世界が始まる予感のする読後感も良かった。

Posted byブクログ

2026/04/17

記憶が消滅していく話。どんな内容なのか気になったけど、読み進むにつれて設定に無理があるように感じてあまり没入できなかった。 現実と切り離して『こういう世界があったら…』と読める人にはいいかも。

Posted byブクログ

2026/04/04

舞台は記憶が消失していく島。消失はある日突然訪れ、それを島の人々は淡々と受け入れて生活している。しかし中には「記憶を失わない人々」も存在し、その人々を連行する秘密警察が蔓延る。小説家の「わたし」は秘密警察から匿うため、自宅の隠し部屋に担当者のR氏を匿うことにするが、ついに「小説」...

舞台は記憶が消失していく島。消失はある日突然訪れ、それを島の人々は淡々と受け入れて生活している。しかし中には「記憶を失わない人々」も存在し、その人々を連行する秘密警察が蔓延る。小説家の「わたし」は秘密警察から匿うため、自宅の隠し部屋に担当者のR氏を匿うことにするが、ついに「小説」までもが島から消失してしまう。 舞台は日本のような日本じゃないような、不思議な世界。 この物語、とんでもなくホラーだ。小説が消滅してしまったあと、主人公が自分の書いた小説を読んで、文字を読むことはできるが、書いてある意味が理解できない、というシーンが特に怖いと思った。「鳥」が消失したあと、飼っていたインコやカナリアを空に放つ人々のシーンがあったけど、愛した記憶さえ消えてしまうなんて、こんな残酷なことはない。でも、失う側はその記憶さえ消えてしまうのだから、ある意味それは消失の恐怖に対する救いでもあるのかな。そう考えると、心や体がどんどん空洞になっていくことを認識している主人公は、半分は「失わない人」の側なのかなと思う。主人公をこの世に繋ぎ止めようと必死になっていたR氏と、R氏の気持ちに応えたいけど消失に抗えない主人公が切なかった。そして最期まで献身的に主人公を支えたおじいさんの優しさには涙が出た。 秘密警察が突然家に乗り込んできたシーンや図書館が燃やされるシーンなど、起こる出来事はドラマチックなのに、物語はあくまで静か。儚くて美しい滅びの物語だった。

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2026/03/31

読みながら読んだ文字がポロポロと落ちていく感覚 まさしく物語の中どおりの消滅のような感じがして面白かった 主人公の名前も、おじいさんも、結局名前が出てるはずのR氏もはっきりとした名前が分からずにこの物語は進んでいってこうやって文章って書けるんだ…と圧倒された 天然石や鉱石を見てい...

読みながら読んだ文字がポロポロと落ちていく感覚 まさしく物語の中どおりの消滅のような感じがして面白かった 主人公の名前も、おじいさんも、結局名前が出てるはずのR氏もはっきりとした名前が分からずにこの物語は進んでいってこうやって文章って書けるんだ…と圧倒された 天然石や鉱石を見ているような透明なでも角度を変えると見方が変わるようなそんな物語だった

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2026/03/23

全てを語らないラストに想像力が膨らまされた 集団的に何かを一つずつ失っていくという表現はファンタジーの中のものでフィクションではあるけど、 そう遠くない未来に、歳をとった自分がこの小説にあるように、一つずつ何かを忘れて認識できなくなる日が来るのかもしれないと思った 優しいおじ...

全てを語らないラストに想像力が膨らまされた 集団的に何かを一つずつ失っていくという表現はファンタジーの中のものでフィクションではあるけど、 そう遠くない未来に、歳をとった自分がこの小説にあるように、一つずつ何かを忘れて認識できなくなる日が来るのかもしれないと思った 優しいおじいさんが大好きになった

Posted byブクログ

2026/03/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

文章が美しい 主人公が、書いている小説の男と同じ立場になってしまっていってるのでは…と思えて怖かった  R氏は、妻や子供のことは気にならなかったのだろうか。。

Posted byブクログ

2026/03/19

すごい。すごすぎる。こんなに美しい文章に出会ったことはないんじゃないかな。 途中から、完全に作者の虜になってしまった。 理不尽に消滅していく世界、受け入れる主人公と拒むR氏。 受け入れちゃいけない、と頭では分かっていても、心が追いつかない。 主人公の心がゆっくり消滅していくのと...

すごい。すごすぎる。こんなに美しい文章に出会ったことはないんじゃないかな。 途中から、完全に作者の虜になってしまった。 理不尽に消滅していく世界、受け入れる主人公と拒むR氏。 受け入れちゃいけない、と頭では分かっていても、心が追いつかない。 主人公の心がゆっくり消滅していくのと同時に、読んでいる私も理不尽を受け入れているように感じた。 消滅の前に書き上げたタイプライターの小説。途中までは分からない事もあったけれど、最後が見事だった。消滅してゆく著者が、消滅を受け入れる小説を書き残したこと、悲しかったな。 おじいさん……。優しくて大好き。

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2026/03/29

その世界では、突然、ある物についての感覚や感情が失われ、一つ一つ物が消滅していく。人々は消滅したものを廃棄して、その事実を受け入れ、適応していく。秘密警察が真に消滅を受け入れない人々を狩り出していても、なおも消滅を受け入れられない人々も存在する。主人公の女性小説家は、編集担当だっ...

その世界では、突然、ある物についての感覚や感情が失われ、一つ一つ物が消滅していく。人々は消滅したものを廃棄して、その事実を受け入れ、適応していく。秘密警察が真に消滅を受け入れない人々を狩り出していても、なおも消滅を受け入れられない人々も存在する。主人公の女性小説家は、編集担当だった消滅を受け入れることのできない男性R氏を自分の家にかくまう。 全編から圧迫感を伴う怖さが漂う。その怖さに耐えながら最後まで読み通した。だけど、小説を読み終わったというより、咀嚼しきれない、とてつもなく大きなものの一端に触れたという感覚が残った。 いつ、秘密警察に連行されるかも知れないという恐怖が、読者でしかないはずの私からさえも、じわじわと何かを奪っていく。主人公をお嬢さまと呼ぶおじいさんの暖かさがなければ、私はこのお話を最後まで読めなかったかも知れない。 おじいさんは、主人公がR氏を匿うのの協力者となり、実質的にも精神的にも二人の支えとなる。だけど、おじいさんは、元フェリーの整備士で、そのフェリーは既に消滅しており、消滅を受け入れ粛々と生きている側の人間でもある。 人から何かを奪うこと、奪われること。とりわけ、声を奪うこと、奪われること。奪われることを受け入れること。奪われることと失うこと。奪うことにより支配すること。 物語中盤で、主人公は、R氏について、もう外の世界で生きてはいけないと語るが、犠牲を伴う真の愛情と思えるものの中にさえ、誰かを屈服させ支配する甘い香りを感じる。 かくまわれる人は、秘密警察からみても、助けようとする主人公からみても、弱者に見える。だけど、消滅を受け入れる人たちの心が、次第にやせ衰えていくさまを知ってからは、逆だったのではないかと思い当たる。 消滅は、ついには左足というような人体の一部に及んでいく。しかし、多くの人々が、粛々とそれを受け入れていく。その姿は、死を受け入れていく感覚に近いようにも感じた。

Posted byブクログ