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密やかな結晶 新装版 の商品レビュー

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170件のお客様レビュー

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    47

  2. 4つ

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  3. 3つ

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    4

  5. 1つ

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2024/04/24

繊細な美しい話ではあったが、あまりに暗く絶望感の漂う話でもあった。ただひたすらに失い続けるお話。 正直なところ、気持ちが滅入ってしまった。今読むべきではなかったかな、、

Posted byブクログ

2024/04/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

消滅のある島での出来事。 小川洋子ワールドという感じ、設定に入り込めないとぜんぜん意味がわからないと思う。静かな世界観。 どう終わるのかと思ったら体の消滅から、目、最後に声。そして自分が消えて、R氏が解き放たれる。 言葉の美しさとか、心の静かな炎を感じるよね、小川洋子の小説は。 ここで好きな綺麗な言葉たちを。 p55 重苦しい地下室の中で、彼の手袋だけ平和な匂いがした。 p56 そう言い終わると、奥さんの目から涙がこぼれた。でも彼女は泣いているわけではなかった。涙を流しているのに泣いていないなんて、おかしな話だけれど、わたしにはそう思えた。彼女はただ、泣くこともできないくらい深く哀しんで、透明な体液を一粒あふれさせただけだ。 p390 わたしとR氏を包んでいる世界の材質は、あまりにも違いすぎる。庭に転がっている石ころを、糊で折紙にくっつけようとしているようなものだ。 1月から読んでたから3ヶ月もかかったな。 一気読みするものじゃないんだよなあ、小川洋子。 結晶の意味は、誰にでも、小さな誰にも奪うことのできない結晶がある、というニュアンスらしい。あとがきより。

Posted byブクログ

2024/04/18

小川洋子さんのユニークで素敵な世界観が詰まっている本! この島に生きる人々はある朝「何か」を失くしてしまう。 例えば香水、宝石、鳥…それに纏わる思い出や、愛情や感情が全て薄れてゆき、数日もたてば忘れてしまったことも忘れてしまう。 そんな「消滅」が少しずつ進み、人々の心の空白が増...

小川洋子さんのユニークで素敵な世界観が詰まっている本! この島に生きる人々はある朝「何か」を失くしてしまう。 例えば香水、宝石、鳥…それに纏わる思い出や、愛情や感情が全て薄れてゆき、数日もたてば忘れてしまったことも忘れてしまう。 そんな「消滅」が少しずつ進み、人々の心の空白が増えていく世界の話。 小川洋子さんの風味豊かな表現がゆっくり楽しめてとてもよかった。 登場人物の感性が素敵だな〜。

Posted byブクログ

2024/04/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

美しい文章で描かれる、静かで淡々とした「消滅」の物語。 こちらが期待するようなどんでん返しは起こらず、いつまでも降り止まない雪とともに、ただ静かに物事が進んでいく。 現在、自分自身が育児と仕事に追われ、自分が大切にしてきたものを後回しにするしかない状況下にいるため、どこか共感を覚える部分もあった。 大切だったものを忘れてしまっても、毎日は進み、「どうにかやっていく」ことができるのだ。 しかし読んでいるうちに、『なぜこんなに従順に「消滅」を受け入れてしまうんだろう?なぜ抵抗しないんだろう?』とモヤモヤした気持ちにもなる。 けれど、そういう思いを抱かせることも狙いなのかもしれない、と気付く。 声を上げなければ、権力を持った者にどんどん奪われてしまう……そういうことはいまこの瞬間も身の回りで起こっているのでは?と。 読み進めていくうちに、自分の身体のあちこちがじわじわと重くなっていく感覚を覚えた。 同じように自由を奪われていく劇中小説が示唆的だった。 「わたし」が消えてしまった後、R氏は外の世界に出て行った。 従順な人々が「消滅」した後、他にもR氏のような記憶を持った人々が外に出ただろうが、その後の「島」はいったいどうなるんだろうか。

Posted byブクログ

2024/10/20

不倫関係にモヤりとしつつも、儚く切ない結末が好みでした。 小川洋子さんの書く男性の穏やかな話し方がとても好きです。 表現があたたかくて文章に品があり、読んだあとに残るもの寂しさも含めて、好きな一冊。

Posted byブクログ

2024/04/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ある日気がつけば、何かが失われてしまう島。 それが何に使われていたのか、どんな価値があったのか、思い出すら失われる。それを覚えている人々は犯罪者扱いされ、連れ去られる。 組織の人間については、ミヒャエル・エンデの『モモ』における時間泥棒も思わせたし、解説のとおり、ナチスのゲシュタポも連想させた。 本来なら、匿っているR氏が希望の光にもなりそうなのに、主人公は結局忘れる側でしかなく、どんな希望を抱くこともない。R氏と親密な関係であるはずなのに、心の距離はどこまでも埋まらない。 忘れない、失わない人々を主観とした方が、きっと物語は劇的になるだろうにそうはしない。 いかにも作者らしい、淡々とした虚ろな物語だ。読み終わったあとに覚える、埋まりそうにない心の隙間が味わい深かった。

Posted byブクログ

2024/02/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

この本で初めて小川洋子さんの作品を読みました。 子供の頃の憧れのような、キラキラした言葉で紡がれていて、大事に読みたくなるような文章だなと思いました。 しかし物語が進むにつれて、分かり合えない壁や閉塞感に惹き込まれていきました。

Posted byブクログ

2024/03/06

左足が失くなるところはゾッとした〜。 読んでて自然と地下室などのイメージが頭に浮かんできて、本当に物語の世界に入り込んでいた。そのくらい面白かった! 読み終わった後、なんかどっしりず〜んとした重みみたいなものが残り、すっきりする内容ではないけど大切なことに気づかせてくれる本で...

左足が失くなるところはゾッとした〜。 読んでて自然と地下室などのイメージが頭に浮かんできて、本当に物語の世界に入り込んでいた。そのくらい面白かった! 読み終わった後、なんかどっしりず〜んとした重みみたいなものが残り、すっきりする内容ではないけど大切なことに気づかせてくれる本です。

Posted byブクログ

2024/02/05

一つずつ物が消えていく島のお話。 ミステリー小説やSFなどではありませんので、謎を残したまま物語が終わります。 登場人物のその後はどうなったのか、島は、住民は……そういったことは、ある意味では「ご想像にお任せします」というところなのでしょうね。 小川洋子さんの作品は ・薬指の...

一つずつ物が消えていく島のお話。 ミステリー小説やSFなどではありませんので、謎を残したまま物語が終わります。 登場人物のその後はどうなったのか、島は、住民は……そういったことは、ある意味では「ご想像にお任せします」というところなのでしょうね。 小川洋子さんの作品は ・薬指の標本 ・博士の愛した数式 ・猫を抱いて象と泳ぐ ・妊娠カレンダー ・琥珀のまたたき に引き続いての読破です。 私は『薬指の標本』が上記の中では最も好きで、今回読んだ『密やかな結晶』はどちらかというと、想像とは違ったなという印象でした。 理由としては、 私がミステリーを読むことが多いというのもあって、「謎が解き明かされないまま終わってしまうことにモヤモヤした」というところが大きいのだと思います。 ・秘密警察とは何だったのか ・R氏はどうなったのか ・そもそもなぜあの島は謎の現象が起こるのか といったようなことは、一切秘密の明かされないまま終わってしまいます。 謎を明らかにしたい読者にとっては、モヤモヤしたまま終わってしまってスッキリしない展開だと思います。 しかし、裏を返せば、抽象的な事柄を通して様々なことを我々読者に考えさせる小説です。 「消滅」「秘密警察」といった要素から、我々の心の中に起こる化学反応を感じることそのものが、小説の価値ですよ、と著者が言っているようにも思えます。 また、この作品には、イヤというほど擬人化表現が登場します。物体が俯いたり、しょんぼりしたり、悲しんだりします。それは小川洋子という作家が擬人化を好んでいるからというよりも(好んでいるとは思いますが)、「モノにはモノの記憶がある」ということを表すためではないかな? と感じました。 徹底抗戦することもなく、人々は唯唯諾諾と消失に従っていく世界(行ってみればディストピア)が描かれています。 これは小川洋子版の1984年だな~、と感じました。

Posted byブクログ

2024/02/04

一つずつ消えていく記憶 けれど、人間の心や感情まで、誰も奪うことは出来ない。 素晴らしい本です。一気に読んでしまいました。 全ての言葉に無駄がなく、完成されていると感じました。 生きる事、誰かを想い大切にすること、今の時代にこそ読むべき本だと思います。

Posted byブクログ