どうしてわたしはあの子じゃないの の商品レビュー
田舎の中学生の30歳の自分に向けて書いた手紙の話。みんな誰かになりたいと憧れ、理想の大人にはなれないながらも、それでも自分の生きる道を進んでいく。変わっていくものと変わらないもの。他人を想えるその気持ちはとても、尊い。じんわり胸が熱くなる素敵な作品でした。
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いい意味で想像とちょっと違う感じだった。人のことを羨ましく思うことはよくあるけど、その人にはなれないし、自分は自分でしかない。
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閉塞的な村で中学時代を共に過ごした天とミナと藤生。大人になった天はミナから連絡をもらう。 中学の頃に3人お互いに向けて書いた手紙を30才になった今開封しようと。 自分が思う自分と、相手が思う自分ってこんなにも違う。言葉にしたって伝わらないこともあるのに、言葉にしないとわかんないも...
閉塞的な村で中学時代を共に過ごした天とミナと藤生。大人になった天はミナから連絡をもらう。 中学の頃に3人お互いに向けて書いた手紙を30才になった今開封しようと。 自分が思う自分と、相手が思う自分ってこんなにも違う。言葉にしたって伝わらないこともあるのに、言葉にしないとわかんないもんだな。人生っていろいろだ。みんな抱えていることがある。「今じゃない」が響く。大人になるって、時間が経つって悪くない。
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また1人、好きな作家さんが増えました。 個性的な天、天に想いを寄せる藤生、その藤生に想いを寄せるミナ。 誰もが『あの子が羨ましい。あの子になりたい』と思う事があるだろうけど、その『あの子』にしかわからない悩みがある。 当たり前のことだけど、その感情の描写にとても吸い寄せられた。それぞれが抱える妬みや辛さに読んでいる間共感した。 以下、良いなと思ったフレーズ。 神社から家に帰ってきても、ずっとその祈りは続いとると思うっちゃん。自分が叶えたいことのためにむかって行動する時間もぜんぶ『祈り』やないかと思うとよ なにを言葉にして伝えるか。あるいは、伝えないか。わたしたちはいつもその選択をせまられる。そうしてたいていの場合、まちがった方を選ぶ。
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直接話はしない、彼らの家庭事情や湧き出る感情や、互いへの想いが本当に三者三様で、三者それぞれからの視点がおもしろかった。彼らを取り巻くとても閉鎖的な村も独特で、家族の様子や彼らが抱える思いも緻密に表現されていて、距離が近いからこそ絡みに絡まった謎が解きほぐされている様はとくにすっ...
直接話はしない、彼らの家庭事情や湧き出る感情や、互いへの想いが本当に三者三様で、三者それぞれからの視点がおもしろかった。彼らを取り巻くとても閉鎖的な村も独特で、家族の様子や彼らが抱える思いも緻密に表現されていて、距離が近いからこそ絡みに絡まった謎が解きほぐされている様はとくにすっきりした。手紙になんと書いてあったのかも気になっていたので、最後に読めてよかった。 p.216 「いちおう、大人なので」 大人なので、わかっているつもりだった。それから、人生の複雑さ、というべきもの。わかっていたから、今日まで誰にも話さなかった。 今の告白で、すこしは楽になれただろうか。そうだったらいい。誰にも言えないことを抱えて生きていくのは、苦しいものだから。 p.254 「藤生。他人にしっかりしなきゃだめだよとかこの歳になってなにやってるのとか言うのは、すごく気持ちいいことなんだよ。手軽な優越感に浸るのが趣味の人もいるんだから邪魔しちゃだめだよ」 p.257 他人に「しっかりしないとね」って言えるような生き方の方が、たぶん正解なのだ、そして人生は正解に沿って生きる方がきっと楽だ、自分の頭で考えなくて済むから。天はそんな言葉をゆっくりと連ねていく。一つひとつ、手に取って確かめるようにして。 「どうしてわたしはあの子じゃないんだろう、っていつも誰かを羨ましがってた。でもわたしはやっぱり他人の必死さを笑ったり、心配するふりして気持ちよくなったりする側より、笑われる側にいる方がずっといい」 天の瞳の奥で、ちかちかと光が瞬いているように見えた。 「藤生。わたしたちのままで、落とし前をつけようよ」 星をあげる。いつだったかそんなことを考えていた。きらめく星を天に差し出せる男になる。そう思っていた俺は、ちっとも天のことをわかっていなかった。星を受け取っていたのは、いつだって自分の方だった。 わかった、と頷いたら、天も大きく頷く。 いくつもの星をありがとう。あとで、そう伝えよう。 強い風が吹いて、天の前髪を持ち上げる。同じく風に吹き煽られた自分の髪を手で押さえようとしたが、時期にあきらめて乱れるに任せた。今さらかっこつけてどうなるというのか。
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今や彼方に去ったアオハルを懐かしく甘酸っぱくほろ苦く思い返せる年齢になって、とっても腑に落ちるし頷けるし共感も出来る作品でした♪ 佐賀の辺鄙な山奥の過疎の村で三者三様の環境にあった三島天(テン)吉塚藤生(フジオ)小湊雛子(ミナ)の友達三人、中学時代と三十路になったそれぞれの独...
今や彼方に去ったアオハルを懐かしく甘酸っぱくほろ苦く思い返せる年齢になって、とっても腑に落ちるし頷けるし共感も出来る作品でした♪ 佐賀の辺鄙な山奥の過疎の村で三者三様の環境にあった三島天(テン)吉塚藤生(フジオ)小湊雛子(ミナ)の友達三人、中学時代と三十路になったそれぞれの独白スタイルで物語は展開して行く。 自己主張のかたまりのようなテン イケメン過ぎて自己嫌悪さえ覚えるフジオ 周囲に合わせ過ぎる性格のミオ の三人が大変上手く描けていてその気持ちのすれ違いや思い違いがイイ感じです! 決して抜きん出た秀でた者は一人も登場しないのも好感が持てます。 やはり魅力的なのは天然だけど男前なテンの役どころ、そして短期間で村移住に失敗した五十嵐も大事な一章が任されていて これがなかなか宜しい。 どんなに他人を羨んでみても比べてみてもつまりは自分は自分である と言う結論に何時何処でどんな風に気づくのか?の命題が随所で提起されていて今更ながらに もって瞑すべし!でありました。 舞台と言い方言と言い民族伝承芸能と言い 身近なのがとても親近感を覚える一作でもありました♪
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閉塞的な村で中学生時代を過ごした3人の男女。学校という狭い世界の中で、他人が羨ましくて無いものねだりをしたり…あるよな~と思いながら読みました。別々の人生を歩んだ三人が再会する。知らぬ間に傷つけそして救われていたことを改めて噛みしめ、また三人はそれぞれの人生を進んでいく。遠い昔の...
閉塞的な村で中学生時代を過ごした3人の男女。学校という狭い世界の中で、他人が羨ましくて無いものねだりをしたり…あるよな~と思いながら読みました。別々の人生を歩んだ三人が再会する。知らぬ間に傷つけそして救われていたことを改めて噛みしめ、また三人はそれぞれの人生を進んでいく。遠い昔のほろ苦い気持ちを思い出させる作品でした。
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すごくストレートな題名が気になり手に取りました 着々と寺地さん作品を読み進めてますー! 田舎で暮らしている天、ミナ、藤夫の物語 まずは田舎の体質がすごーーーーく嫌。 ムカムカしながら読んでました 特におじさんども!! ムカつくーーー!!笑 それに対する3人の考えも ほとんど自分に向いていて みんなグルグル悩んでます 中学生のころの自分を思い出しました 誰とも違う自分になりたい 違う場所に行けば変われるはず そんな思いを私も持っていたな… でも結局 どこに行っても私は私だし 私になれるのは私しかいない それを伝えてくれる一冊でした 全体的に負の感じが続いてて まぁ後半はちょっとずつ 晴れ間が見えたような展開だったけど もうひと展開欲しかったです そうしないところも寺地さんの魅力だったりしますけどね笑 大人は泣かないと思っていたも同じ舞台なんだとか(^^) 読んでみようとおもいます!
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タイトルを見て「お、これはジェラシーを題材とした人間のドロドロとしたダークネスさを満開に描き散らしてる物語かしらん」と勝手な期待をして読み始めましたが、てんでそうじゃなかった。むしろ優しく温かい物語で、さくさくほわほわと読了できました。 私は彼女たちみたいにほろ苦くも甘酸っぱい...
タイトルを見て「お、これはジェラシーを題材とした人間のドロドロとしたダークネスさを満開に描き散らしてる物語かしらん」と勝手な期待をして読み始めましたが、てんでそうじゃなかった。むしろ優しく温かい物語で、さくさくほわほわと読了できました。 私は彼女たちみたいにほろ苦くも甘酸っぱい青春を送ってこなかったけれど、何か人とものを比べて落ち込んだ時や、心の中に妬み嫉みがジッと湧いてきた時にそっと寄り添ってくれる一冊だと思いました。歪曲した気持ちで手に取った本だけれど、少し心洗われた感じがして良かったです。あざざます。
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タイトルの「どうしてわたしはあの子じゃないの」は、長年愕然と思っていた事なんですよね。 タイトルに共感し、読んでみました。 2003年と2019年と行ったり来たりしてストーリーが進んでいきます。 他人をうらやむ気持ち、よくわかる。(自分もそうだったからね。2003年の話は過去の...
タイトルの「どうしてわたしはあの子じゃないの」は、長年愕然と思っていた事なんですよね。 タイトルに共感し、読んでみました。 2003年と2019年と行ったり来たりしてストーリーが進んでいきます。 他人をうらやむ気持ち、よくわかる。(自分もそうだったからね。2003年の話は過去の自分を見ているようだった) しかし、どんなに羨ましがられている子でも、悩みの一つや二つ持っているもんなんですよね。 見えている箇所がキラキラしていても、見えていないところもキラキラとは限らない。 (表のキラキラ度が高ければ高いほど、裏の闇は深かったりしているもんなんじゃないかな、と。勝手な判断ですが) 見えているところだけで人を判断してはいけないよなー、とつくづく思いました。 多分、羨んでいる子と自分と同じくらい良いことも悪い事も経験していると思う。そう思ったら、他人を羨む気持ちがなくなっていきました。 私は文中の下記のフレーズが心に沁みました。 ”わたしが他の誰かになれないように、他の誰かもまたわたしにはなれない。それが良いことなのかどうかはわからないけれども。”(抜粋) 結局、誰かを羨んでも、その人にはなれないんですよね。だったら、自分の嫌なところ・いいところと共存することに覚悟を決め、自分なりの生きやすい方法を見つけて生きていった方が楽なのではないか、と思いました。
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