1,800円以上の注文で送料無料

彼女の名前は の商品レビュー

3.9

48件のお客様レビュー

  1. 5つ

    9

  2. 4つ

    21

  3. 3つ

    10

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2021/01/11

ベストセラーとなった「82年生まれ、キム・ジヨン」の著者の短編集。 今回も数々の女性を取り上げている。 作者が9歳の女の子から69歳のおばあさんまで60人余りの女性たちにインタビューをした、とある。 主人公は、母親の介護を一人押し付けられている女性、 セクハラにあって、勇気を出...

ベストセラーとなった「82年生まれ、キム・ジヨン」の著者の短編集。 今回も数々の女性を取り上げている。 作者が9歳の女の子から69歳のおばあさんまで60人余りの女性たちにインタビューをした、とある。 主人公は、母親の介護を一人押し付けられている女性、 セクハラにあって、勇気を出して声を上げたOL。 女性アイドル歌手の追っかけをしている女子。 結婚する前から婚家の考えを押し付けられてきた花嫁。 朝から夜まで、孫たちの世話をするおばあちゃん。などなど。 特に印象深かった話の主人公をあげたが、日本の女性たちも ♯me tooと声をあげそうなことや、日本じゃそこまではないかもなどと比べてみたりするが、 そういう女性たちの背後には、朴槿惠大統領に対する不信感や、セウォル号事故の政府介入に対する不信感など、時代背景も関係していて、そのあたりの考え方も日本とは少し違うかもしれない。 それでもこういう本が共感を持って読まれるということは、まだまだ問題山積みということの表れであると思う。

Posted byブクログ

2020/12/31

この本に出てくる女性たちの物語を読んで、いかに自分が恵まれた環境にいるかが身に沁みた。現代の日本より韓国の方が遅れているというか生きていくのに厳しい社会なんだなと思った。読むと苦しい。苦しいけど目を背けてはいけない現実・ストーリーがここにある。

Posted byブクログ

2020/12/26

「九歳の子から六十九歳のおばあさんまで、六十人余りの女性がみずからの物語を語ってくれました。その声が、この小説のはじまりでした。」(P9)ではじまるように、一人ひとりの日常がわかるうえに掘り下げられていくので、ときどき痛みを共感します。カムバックしたアイドルにTV番組お決まり愛嬌...

「九歳の子から六十九歳のおばあさんまで、六十人余りの女性がみずからの物語を語ってくれました。その声が、この小説のはじまりでした。」(P9)ではじまるように、一人ひとりの日常がわかるうえに掘り下げられていくので、ときどき痛みを共感します。カムバックしたアイドルにTV番組お決まり愛嬌ポーズをしないでと行動を起こすファンの話や、自分のような専業主婦にならないよう育てた娘の子どもの世話に疲れたおばあさんの話が印象に残りました。

Posted byブクログ

2020/12/01

さまざまな年代の韓国人女性の物語。言葉も文化も違うため理解できない部分はあるものの、あるよねぇとうなづいてしまうのは場面も複数あった。 韓国の人はストライキやデモなど行動を起こす民族だなぁと驚いた。にも関わらずこのよう現状なのかと落胆もする。日本も韓国も昔に比べれば前進しているの...

さまざまな年代の韓国人女性の物語。言葉も文化も違うため理解できない部分はあるものの、あるよねぇとうなづいてしまうのは場面も複数あった。 韓国の人はストライキやデモなど行動を起こす民族だなぁと驚いた。にも関わらずこのよう現状なのかと落胆もする。日本も韓国も昔に比べれば前進しているのだと思うのだが、それはこの物語に登場してくるような人々のおかげなのだろう。 最終話。四十を過ぎたら自分の顔に責任を持て、また顔だけでなく取り巻く社会にも責任を持つべきという一文に思わず背筋が伸びた。 この本を読んで勇気づられる多くの人がいるのだろうなと感じた。私もやるぞ!となんだか元気が出た。

Posted byブクログ

2020/11/23

個人的に短編集が得意じゃないので☆は少なめ。しかし内容は良かった。バラバラな世代の女性たちなのに同じように耐えている姿には思うところがある。 あと日本にもフラワーデモ等で行動を起こす方ももちろんいらっしゃるが韓国ではデモやストを起こすだけ国をまだ信じている、というより自分達を信...

個人的に短編集が得意じゃないので☆は少なめ。しかし内容は良かった。バラバラな世代の女性たちなのに同じように耐えている姿には思うところがある。 あと日本にもフラワーデモ等で行動を起こす方ももちろんいらっしゃるが韓国ではデモやストを起こすだけ国をまだ信じている、というより自分達を信じている方達がより多くいらっしゃるのかな、という印象を受けた 『調理師のお弁当』には本当に喉がギュッと締め付けられるような思いで読んだ

Posted byブクログ

2020/11/11

果たしてわたしは今まで熾烈に生きたことがあっただろうか? ここに描かれたテーマたちを、対岸の火事ほど心穏やかには見ていられなくて、むしろ自分のからだの一部が傷つけられたみたいに、痛くて苦しい。 じゃあ何かしたのかというと何もない後ろめたさ 出来ることからやってみたい

Posted byブクログ

2020/11/06

『82年生まれ、キム・ジヨン』が大ベストセラーとなった著者の次作。前作と同様に、韓国における女性の置かれた状況に問題提起する。短編集と謳っているが収録された作品はどれもショートショートといったほうがぴったりくるような短さで、それなのに1編読むと衝撃でしばし読む手が止まる。もともと...

『82年生まれ、キム・ジヨン』が大ベストセラーとなった著者の次作。前作と同様に、韓国における女性の置かれた状況に問題提起する。短編集と謳っているが収録された作品はどれもショートショートといったほうがぴったりくるような短さで、それなのに1編読むと衝撃でしばし読む手が止まる。もともとは著者が新聞に連載したインタビューをもとにした作品で、それを小説化したものだという。装画の、布で顔を隠した女性たちの姿(1人がその布をハサミで切ろうとしている)がとても象徴的で印象深い。

Posted byブクログ

2020/09/30

『82年生まれ、キム・ジヨン』の著者、チョ・ナムジュさんの短編集。 28編の掌編が収録されている。 韓国現代社会で生きる様々な境遇の女性たちの生活を切り取る。 読み始めの印象は、『キム・ジヨン』のような抑圧された女性を描いた、実話に基づいたプロテスト小説集か?というものだった。...

『82年生まれ、キム・ジヨン』の著者、チョ・ナムジュさんの短編集。 28編の掌編が収録されている。 韓国現代社会で生きる様々な境遇の女性たちの生活を切り取る。 読み始めの印象は、『キム・ジヨン』のような抑圧された女性を描いた、実話に基づいたプロテスト小説集か?というものだった。 ”キム・ジヨンは私だ”という声が多く上がったように、チョ・ナムジュさんは今や韓国女性の代弁者のようでもあるから。 韓国内にため息のように吐き出される声の数々を拾い集めて、社会に、人々に届け伝える。そんなイメージだった。 でも、本の後半、特に第4章は、その印象が変わった。ぐっと引き込まれるお話が多くなった。 女性の多様な生き方や考え方、困難も喜びも人生への幻滅も夢へも目が向けられ、必ずしもフェミニズム文学的ではない。 このように書くと、いわゆるフェミニズム文学的な小説に興味はない、と考えているようにとられそうだが、そうではない。 むしろその逆で、男性社会の中で苦悩する女性であっても、進路、親との関係、結婚生活、就職、などなど、一人一人違った物の見方や考え方をしているはずで、そういった存在の方が生々しく読み手に迫ってくるものだ。 たとえば、社会学のテクストに書かれているフェミニズムの説明を読んで、理解はできても共感するのは難しい。 でも、このような小説の中に描かれた女性たちの声は、心に響く。 そういうものでしょ。 チョ・ナムジュさんは意図してかどうかはわからないけれども、その作品中に「義母」の存在を少し紛れ込ませる。 私は、男の子を社会的に一番「男」にする存在は母親なのではないかと考えている。 本人以上に、立派な男子であることを望んでいるのは、そしてそうあるべく嫁に役割を押し付けているのは、母=義母なのではないか。 男は実際には男らしくいたいとはそれほど考えていないものだろう。 男性社会の中で仲間外れにされずに、うまく振舞っている(振る舞おうとしている)だけだ。それが女性を抑圧する男性性を含んでいることに自覚的であるべきではあるが…。 ではなくて、息子を立派な人間=男に育てよう、そして立派に社会で活躍している姿を見せてくれることを一番期待し、そしてハラハラしているのは母親なのだ。 韓国映画やドラマなどに見られる息子を過度に溺愛する母親像は、それを大げさに描いたものだろう。

Posted byブクログ