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彼女の名前は の商品レビュー

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48件のお客様レビュー

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2021/09/14

勉強や就職など、少し日本とはちがう環境ではあると思うけど、どの人たちも自分がそうならないとは限らないな、という感じ。ストライキやデモなどてあきらめないで向かい合おうとする人たちの強さは、あまり日本にはないかもしれないなと思った。

Posted byブクログ

2021/09/09

 さまざまな年代の女性たちのインタビューから成り立つ小説。お国柄の違いはあれど、女性として感じたことのある、共感できる物語でもあり、社会格差で苦しめられている人がいることにも気づかせてくれた物語たちだった。たくさんあるが、特に印象に残ったのは調理師の話、国会の清掃員の話、図書室に...

 さまざまな年代の女性たちのインタビューから成り立つ小説。お国柄の違いはあれど、女性として感じたことのある、共感できる物語でもあり、社会格差で苦しめられている人がいることにも気づかせてくれた物語たちだった。たくさんあるが、特に印象に残ったのは調理師の話、国会の清掃員の話、図書室に通う少女の話だった。  成川彩さんの解説もよかった。日本と韓国の違いは、声をあげないこと。その通りだなとこの本を読んでいて思った。彼女たちはいつも声をあげている。ストライキ、デモ、集会で。時には暴力に立ち向かいながらも。その一方で私たちは、何かのために戦えるか?戦い続けることができるか?長い一歩一歩の積み重ねで世界を変えようとしているか?未来のために何ができるか。従順に当たり障りなく生きることを教えられ続け、牙を抜かれてしまった私たちには何ができるんだろう。

Posted byブクログ

2021/08/25

「キムジヨン」はまだ読んで無いけど同じ著書の作品。 自分のために、誰かのために闘う女性たちがたくさん出てくる。 1番心に残ったのは「調理師のお弁当」 わたしにも娘がいるし、その娘が毎日学校給食を食べているからかな… そのまま日本にもあるエピソードが多いが半面、韓国ではこん...

「キムジヨン」はまだ読んで無いけど同じ著書の作品。 自分のために、誰かのために闘う女性たちがたくさん出てくる。 1番心に残ったのは「調理師のお弁当」 わたしにも娘がいるし、その娘が毎日学校給食を食べているからかな… そのまま日本にもあるエピソードが多いが半面、韓国ではこんなにストライキが行われているのか、とか地下3階まで住居があるのか、とか、違いに驚く事もあった。

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2021/06/09

もともとは2017年の1年間、京郷新聞に連載された記事だったが、ノンフィクションの色合いの強いそれらの掌編を小説に再構成したそうだ。 実際に訳者あとがきで、元の記事と小説の同じ部分が比較されているが、小説の方がグッと言葉や情景が読者に迫ってくる。 一番最初の短編が、セクシャル...

もともとは2017年の1年間、京郷新聞に連載された記事だったが、ノンフィクションの色合いの強いそれらの掌編を小説に再構成したそうだ。 実際に訳者あとがきで、元の記事と小説の同じ部分が比較されているが、小説の方がグッと言葉や情景が読者に迫ってくる。 一番最初の短編が、セクシャルハラスメントを訴えた女性の話でとても重い内容だが、それは作者がこの本が直視するのが辛いほどの現実が目の前に広がる本なのだ、ということを伝えたかったからだという。 しかし、韓国でこの本が出版された2018年を境に、当地ではMe,too運動が盛んになり、女性の地位向上が促進された。だから、現在の韓国の状況とこの本に出てくる状況は少しタイムラグを感じさせるものかもしれない。 「82年生まれキムジヨン」がベストセラーとなった日本でも、同じような苛立ちや不条理を抱えている女性は多いだろうが、Me,too運動は国民に広がることはなく、部分的なもので終わった。 それはこの本を読むと感じることだが、家長制度や、世代間の価値観の違い、ソウル周辺の驚くほどの地価高騰…などのようなことが日本では、あからさまな社会問題となっていないこと…多くの人にとってなんとなくやり過ごせてしまう程度のものであるか、若しくは、被害者となっている人は声を上げることもできないほど疲弊しているか、孤独であるかなのだと思う。 お隣の国のジェンダーギャップに激する声たちに、私たちは声なく肯首するだけなのだろうか…と思っていたが、最近はコロナの影響でネット署名などが盛んになり、少しずつ動いているのかな…と感じられる。 2021.5.15

Posted byブクログ

2021/06/01

心の中で小さくガッツポーズをとった。毎日どこかで起きている濃厚でリアルな物語の数々。歴史も文化もぜーんぶ背負って、たんに女性問題というだけでは済まない話だらけ。中では「母の日記」がとくに好き。

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2021/05/29

短編集で様々なエピソードが繰り広げられるが、これほどフィクションであってほしいと思うものも少ないですね。 もちろんノワールやクライムノベルとかは別ですけど。 一部連作になっているものもあります。それぞれの登場人物のそれぞれの目線が面白い。 どれも短編で終わらせるのはもったいな...

短編集で様々なエピソードが繰り広げられるが、これほどフィクションであってほしいと思うものも少ないですね。 もちろんノワールやクライムノベルとかは別ですけど。 一部連作になっているものもあります。それぞれの登場人物のそれぞれの目線が面白い。 どれも短編で終わらせるのはもったいないと思いますね。でも今はまだ短編として様々なケースがあることを広く知らしめる必要がある時代だってことですね。 いつか安心してしっかりとした長編を読める時代が来ることを望み、かつできることをしていきたいです。

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2021/05/27

ここに出てくる女性はそれぞれが何かしらの問題と向き合い、なかなか変えることのできないそれらを、自分自身や次の誰かのためになんとか変えていきたいと願い行動する人達です。 ここではそんな彼女達の日常の一部が切り取られています。それぞれの女性が主人公の短編小説を読み進めていくうちに、...

ここに出てくる女性はそれぞれが何かしらの問題と向き合い、なかなか変えることのできないそれらを、自分自身や次の誰かのためになんとか変えていきたいと願い行動する人達です。 ここではそんな彼女達の日常の一部が切り取られています。それぞれの女性が主人公の短編小説を読み進めていくうちに、きっとその中の誰かに自分を重ねるのではないかと思います。そうして読み終えた時には、大袈裟なことではなく何かささやかなことでも、自分にできることで身の回りの状況を変えていきたいと思わせてもらえる、そんな一冊だと思います。 ●卵達/Silence Breakers 私が特に個人的に印象に残ったのは「日本の読者の皆さんへ」で記されていた韓国のことわざについて書かれたものでした。 韓国には「卵で岩を打つ」という絶対不可能であることを意味することわざがあるそうです。そこから「卵で岩は割れなくても汚すことはできる」というジョークが生まれたのだとか。 (略) 数年前のある日、相変わらずの酷い暴力を受けていた私の目の前で、一人の勇気ある女性が声を上げました。理不尽な暴力に及ぶそのコミュニティで、どうやらその方も性的な暴力に遭ったようでした。被害者が私だけではないと知った驚きは今も鮮明に覚えています。 それはまさに私の目の前で、か弱い卵が一つ、自ら岩や壁にぶつかりにいった瞬間でした。 この本で著者は日本の読者に向けてこう続けます。 "役に立たない巨大な岩が私たちの前進を妨げているとき、そうか、と足を止めたり、引き返したりしたくありません。ここにそぐわない岩の塊が道を塞いでいるよと声を上げたいのです。一緒に悩んでみたいのです。もしかしたら、ここにある物語は巨大で堅固な岩に投げつけられ割れた、無数の卵の痕跡かもしれません。" 目の前で割れていく勇気ある卵を眺めながら、その痕跡を見て自分も卵であると理解できたのです。割れたくないと黙っているのか、岩や壁にぶつかりにいくのか。私には二つ選択肢がありましたが迷わず後者を選びました。 その選択ができたのは常に卵の側に立ってくれる人達がいたからです。私達卵の身に起きた理不尽な暴力とは無関係の場所で他人事として眺めていることもできた彼らが、常に卵の側に立ち、それが故に彼らまで暴力のターゲットにされることもありました。それでもなお、卵の側に立ち続けてくれる。彼らのおかげで私もこの著者のように「いつか岩は割れるはずだ」と信じて今日も卵を投げつけていられるのです。 (全文は https://note.com/flowercrown 本紹介にあります)

Posted byブクログ

2021/05/15

ストライキをする理由が「あとであなたたちが、おばさんみたいに生きてほしくないから」であるように、 自分の代で叶わなくても、後ろに続く人達に少しでも良いバトンを繋ぎたいって意思を一人一人から強く感じた。 きっと他人からは平凡に見える人も多いのだろうけど、各々が抱えてる血の滲むような...

ストライキをする理由が「あとであなたたちが、おばさんみたいに生きてほしくないから」であるように、 自分の代で叶わなくても、後ろに続く人達に少しでも良いバトンを繋ぎたいって意思を一人一人から強く感じた。 きっと他人からは平凡に見える人も多いのだろうけど、各々が抱えてる血の滲むような悔しさや怒り、後悔、疲労、そのほか色んなものを知ってしまったら、とても平凡とは思えない。 社会が変わるかも、って期待じゃなくて、絶対に変えてやるという意地。 そのパワーを分け与えてもらった心地がした。

Posted byブクログ

2021/05/09

21. 同じ出来事についての異なる人物からの視点や 実際のインタビューを書き起こしたような話 役柄でしか呼ばれない女性たちの話 何人もの人生を見ているよう気持ちになり 一気に読めず毎晩少しずつ読んだ 作者/訳者のあとがきや解説まで丁寧で 泣いたり驚いたり共感しながら読んだ -...

21. 同じ出来事についての異なる人物からの視点や 実際のインタビューを書き起こしたような話 役柄でしか呼ばれない女性たちの話 何人もの人生を見ているよう気持ちになり 一気に読めず毎晩少しずつ読んだ 作者/訳者のあとがきや解説まで丁寧で 泣いたり驚いたり共感しながら読んだ -なんで#metooは盛り上がらない日本で、キムジヨンは売れるの? の問いに対する答えにぐっときた

Posted byブクログ

2021/05/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

成川彩さんの解説にあるとおり、日本では#Me Tooは無風だった。 世界で、日本以外で#Me Too運動が巻き起こっていたことは知っていたけれど、どうして日本の女性は素通りしたのだろうと考えた。 満たされているわけではない。 多くの人が声を上げることもできずに苦しんで、そして諦めている。諦め、期待もしていなかったのではないだろうか。 ここにある物語に心が動かされて、無いものにしてきた物事に形を、影を与えて意識することは、次の人たちに少しの希望をもたらすだろうか。

Posted byブクログ