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人新世の「資本論」 の商品レビュー

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450件のお客様レビュー

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2023/03/18

哲学科出身の経済学者。今どきマルクス?と思いながら読み進む。 有限な地球上で、(演算速度とかは別にして)指数関数的な(そこまで行かずとも、直線的な、であれ)成長を続けることなどできる筈がない、という直感から、「脱成長」が正解なのは? という感覚は子供の頃からあり、我が息子も「ゼ...

哲学科出身の経済学者。今どきマルクス?と思いながら読み進む。 有限な地球上で、(演算速度とかは別にして)指数関数的な(そこまで行かずとも、直線的な、であれ)成長を続けることなどできる筈がない、という直感から、「脱成長」が正解なのは? という感覚は子供の頃からあり、我が息子も「ゼロ成長のなにがいけないの?」と聞いてくるくらいなので、本書の主題には、共感するが、資本主義を終わらせることは、多分無理なのだろう。 資本の収益率は経済成長率を常に上回るため、格差は拡大していく、というトマ•ピケティの主張通り、巨大化していく一方の資本が既得権を手放すはずはなく、著者は、グローバルサウスからの変革の梃子に期待している点が意外だった。 国際連帯の一例として挙げてある、国際農民組織ヴィア・カンペシーナ(スペイン語で「農民の道」)には二億人もの会員がいるらしいのに、名前すら知らなかった。 P362 しかし、ここに「3.5%」という数字がある。なんの数字かわかるだろうか。ハーヴァード大学の政治学者エリカ•チェノウェスらの研究によると、「3.5%」の人々が非暴力的な方法で、本気で立ち上がると、社会が大きく変わるというのである。

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2023/03/12

技術では環境保護と経済成長を両立できないと言っている理由があまり理解できなかった。リチウムイオン電池もリサイクルの技術開発が進んでいるし、CCSもアミン水溶液からの吸収以外の方法や有効活用の研究も進んでいる。 理想は環境保護と経済成長の両立だが、技術によってこれを実現するには時間...

技術では環境保護と経済成長を両立できないと言っている理由があまり理解できなかった。リチウムイオン電池もリサイクルの技術開発が進んでいるし、CCSもアミン水溶液からの吸収以外の方法や有効活用の研究も進んでいる。 理想は環境保護と経済成長の両立だが、技術によってこれを実現するには時間がかかり過ぎて温暖化抑止が間に合わないから、暫定的に脱成長コミュニズムを目指すということか?

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2023/03/12

晩年のマルクスの到達点まで辿り、現在の人新世とも呼べる、人間活動が地球環境に大きな影響を与えている現状を変え、脱成長コミュニズムを目指すべきとする本。 資本主義のもと技術等が進歩したら環境への負荷を小さくできる、という楽観論は完全に否定している。確かに先進国は帝国的生活様式で収奪...

晩年のマルクスの到達点まで辿り、現在の人新世とも呼べる、人間活動が地球環境に大きな影響を与えている現状を変え、脱成長コミュニズムを目指すべきとする本。 資本主義のもと技術等が進歩したら環境への負荷を小さくできる、という楽観論は完全に否定している。確かに先進国は帝国的生活様式で収奪や代償を転嫁しているだけで、それが先進国に住んでいると気付きにくいのは犠牲を不可視化する外部化社会だから。 気候ケインズ主義やSDGsでは気候変動は止められず、資本主義のもとでは脱成長も実現できないので、人類が生き延びようと思えば脱成長コミュニズムを実現するしかない。資本主義は価値が絶対なので使用価値の観点から言えば窮乏を生み出している。ワーカーズコープといったアソシエーションを活発化しコモンを再建しなければならない。そんなことは現実的ではないと思うようになっていたが、バルセロナの実例とかを読みもしかしたらあり得るのかも、と思えた。

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2023/03/05

 論旨の節々を補填するロジックや一冊を通したストーリーはかなり納得感のある一方、「脱成長」という人間の根源的欲求と反するような社会を実現するには想像を絶するハードルがあるに違いない。希少性を人工的に生み出す資本主義の側面を批判する一方、現に貧困地域のマイノリティが使用価値以上の「...

 論旨の節々を補填するロジックや一冊を通したストーリーはかなり納得感のある一方、「脱成長」という人間の根源的欲求と反するような社会を実現するには想像を絶するハードルがあるに違いない。希少性を人工的に生み出す資本主義の側面を批判する一方、現に貧困地域のマイノリティが使用価値以上の「価値」を上手く生み出して貧困を脱する事例もある。筆者も脱成長コミュニズムの実現の困難さにあとがきで触れていたが、実際に実社会にこの思想を定着させるイメージまではまだ湧きづらいと感じた。 ____________________________  晩年のマルクスは、自然科学研究と共同体研究を経て、進歩史観と完全に決別し、無限の経済成長ではなく地球を“コモン”として持続可能に管理することを求めた脱成長コミュニズムを掲げていると捉えなすことができる。  資本主義は、相対的な希少性を人工的に生み出すことで、本来コモンが持つ使用価値に付加価値を付けて利益を追求している。そうして発展してきた先進国社会の“豊かさ”は、その代償をグローバルサウスといった外部に転嫁することで生まれたものであり、気候変動の観点で外部化による成長は限界を迎えている。  際限なく利潤を追求する資本主義が困窮をもたらす悪循環から脱する解決策こそ、消費主義や物質主義と決別した脱成長コミュニズムであり晩年のマルクスが提唱した社会である。

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2023/03/05

資本主義の限界、気候変動を解決するのは、脱成長コミュニズムしかない。マルクスの思想を深く研究し、従来の解釈とは異なるコミュニズムを持ち出して、現在の行きすぎた資本主義を是正し、地球を救う。総論賛成だが、さて、個々人がどう動けば良いのか、イメージがしにくい。

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2023/03/02

細かい点が引っかかって、入ってこなかった。 抽象的なロジックは本人の中で完結しているんでしょうが ・具体の話になると急に弱くなる アクションの部分は正直何もできません、現場のこと何も分かってません、と言っているのに等しい。一例として、地方自治体が本当に市民の民意を個別に反映できる...

細かい点が引っかかって、入ってこなかった。 抽象的なロジックは本人の中で完結しているんでしょうが ・具体の話になると急に弱くなる アクションの部分は正直何もできません、現場のこと何も分かってません、と言っているのに等しい。一例として、地方自治体が本当に市民の民意を個別に反映できるシステムになっているとは思えません。これは日本特有の話と思われるので本書のスコープ外なのかも知れませんが 地方自治体が資本主義に取り込まれていない前提での論理展開も気になった。結局地方自治体の運営には金が必要で、その金は主に税収になる。もっといえば、多くの自治体は国からの地方財政措置により成り立っている。 資本主義から離れるということは税収が下がり、小さな政府に切り替えることになるが、それを市民は望まないだろう。特に弱者は。 結局脱成長コミュニズムは弱者を切り捨てることにならざるを得ないのではないだろうか。それとも「共助の精神でこれまで資本主義の経済拡大による金で補助されていた人たちは引き続き同じ補助が与えられるはず」ということなんでしょうか。 ・環境問題の問題提起の論拠不足 科学的な問題を取り扱う割には、感覚論やロジック、推論で論理展開が進む。論文ではないので割り切りなのだろうが、正直腹落ちしなかった。 総じて納得感に乏しく、唯一の絶対解が脱成長コミュニズムであるという結論には「あなたの頭の中ではそうなのですね」以上の感想はなかった。 今の資本主義OSから筆者の理想へは到達し得ず、しかし妥協すれば環境問題は解決しないと感じた。 ここから更に論を展開して、具体のアクションへ落とし込んだ本をまた書いてください。 マルクスの晩年の思想転換は面白かった。こちらもまとまった書籍が出るのを待ちたい

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2023/02/28

脱成長コミュニズムこそが、地球を破壊する資本主義からの脱却を図る唯一の方法という、「崇高な理論」が書かれた本 マルクスの話しすぎ、マルクスのメモは絶対じゃないし コミュニティに委ねるというが、フリーライダーの存在や、人間の欲望が考慮されていないと思う 技術は必要というがインセンテ...

脱成長コミュニズムこそが、地球を破壊する資本主義からの脱却を図る唯一の方法という、「崇高な理論」が書かれた本 マルクスの話しすぎ、マルクスのメモは絶対じゃないし コミュニティに委ねるというが、フリーライダーの存在や、人間の欲望が考慮されていないと思う 技術は必要というがインセンティブがないと開発されないのでは? グローバルな移動やつながりはやめて、ムラ社会になると感じた

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2023/02/23

▼福岡県立大学附属図書館の所蔵はこちらです https://library.fukuoka-pu.ac.jp/opac/volume/322128

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2023/02/12

初めて書店で本書を見た時、地球の歴史を描いた本かと思ってました。もちろんその後本を買う時には勘違いと言うことには気づきましたが。 マルクスのことはよく知らないし、まして「資本論」は読んだこともないので、本書の中身を理解するのには苦労したが、筆者の主張には概ね賛同できる様に感じた...

初めて書店で本書を見た時、地球の歴史を描いた本かと思ってました。もちろんその後本を買う時には勘違いと言うことには気づきましたが。 マルクスのことはよく知らないし、まして「資本論」は読んだこともないので、本書の中身を理解するのには苦労したが、筆者の主張には概ね賛同できる様に感じた。 特に政治には期待できない点(特に日本の政治)には激しく同意します。 はたして、日本の政治家に長期的展望を持って政治活動をしている人はいるのだろうか。皆次の選挙の事しか頭にない。故に次世代にツケを残す事しかやらない様に思えてならない。 かと言って、筆者の言う様にコープ等の市民レベルの組織の拡がりによる新しいコミュニズムなど実現可能なのだろうか。欲深い人間の本質に関わる問題なので、脱成長脱資本主義を達成するのは容易でないと思われる。政治を巻き込んだ大きなうねりを作らないと、到底社会システムが大きく変わるとは思えない。 「資本論」がこう言った形で復活したのには驚きを禁じ得ない。いずれにしても、若い筆者にはこれから注目していきたい。

Posted byブクログ

2023/01/29

成長を目指す資本主義と地球環境の保全は両立しない。必ずどこかに皺寄せがいき破滅への道を辿ることになる。成長を目指す社会で一般人が環境配慮活動を行うとグリーンウォッシュになりがち(エコバッグを買う、作るなど)、成長を目指さないコミュニズムの概念理解と促進が唯一の解。

Posted byブクログ