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推し、燃ゆ の商品レビュー

3.3

1991件のお客様レビュー

  1. 5つ

    228

  2. 4つ

    575

  3. 3つ

    722

  4. 2つ

    263

  5. 1つ

    76

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2025/02/25

ただただ、主人公の女の子が幸せになっていってほしいと願ってしまう本でした。 複雑な心理描写はよかったけれど、ずっと悲しかった。

Posted byブクログ

2025/02/24
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推しとは入れ込んでいるアイドルやアーティストのことを指す。人に「この人絶対いいからチェックしてね」とリコメンドする(推す)ことからきているのだろう。一時の流行語なのか、あるいは日本語の語彙として定着することになるのか、現時点ではまだわからない。しかし芥川賞受賞作品のタイトルに使用されたとなると、今後も使われ続ける可能性は高い、のかもしれない。最近はこうした新語の類があまりにも多く、新聞などの公的メディアでも割合すぐに採り入れられる傾向が強い。私のような年寄には、フォローしていくのが一苦労である。中にはすぐに消えていく語もあり、得意になって使っているといつの間にか時代遅れになっていたりするから面倒だ。 宇佐見りんがこの作品で2020年に芥川賞をとったのは21歳の時。私の娘とだいたい同世代である。高校生の主人公は、いろいろ生きづらさを抱えている。成績不振を理由に高校を中退する。居酒屋でバイトする彼女にとって唯一の生きがいは真幸くんというアイドルを「推す」ことだ。 世の中にうまく適応できない主人公が、想像上の恋人に入れ込むというパターンは古典的である。SNS世代といわれる人たちもまた、世代を超えた共通の悩みを悩んでいることに、なぜか「安心」のようなものを感じた。

Posted byブクログ

2025/02/23
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「自分」へ傷ついて、ひたすらどうしようもなくなった時に、「自分」をやめて「推し」を全てにする。 生きづらさからくるいろんな限界を「推し」で埋める。「自分」は、どんどん何者でもなくなっていく。 途中、どんどん生の気配が薄くなっていく主人公にすごく不安になった。 「推し」は人に戻り、「自分」と「推し」は明確に別の人間で、そのことに深く傷つく。 だけど、わたしには、最後の数ページは、主人公が「自分」を壊さず、最終的には「自分」を引き受けていくような描写に思えた。「推し」が主人公の中で燃え尽きたような。 これを前向きと表現するかどうかは、やっぱりわからないけど。

Posted byブクログ

2025/02/21

気持ちがズンッって感じです。 推しが炎上、引退した後のオタクのお話です。こんな人いっぱいおるんだろうなーと思いつつ、主人公はなんかしら持ってるだろなって思いました。共感はできなかったです。視野が広くなったかな、、、

Posted byブクログ

2025/02/20

あらすじ ーある日、推しが燃えた。ファンを殴ったらしいー 依存ではない、推しは私の背骨だ。推しがみているものを私も見たい。だから私は推しを『解釈』することに心血を注いだ。そんな推しが"燃えた" 感想 "やめてくれ、あたしから背骨を、奪わないでくれ&...

あらすじ ーある日、推しが燃えた。ファンを殴ったらしいー 依存ではない、推しは私の背骨だ。推しがみているものを私も見たい。だから私は推しを『解釈』することに心血を注いだ。そんな推しが"燃えた" 感想 "やめてくれ、あたしから背骨を、奪わないでくれ" 『推し』という言葉が浸透している現代社会に、一石を投じているような気がした。『アイドルとオタク』とか、そんな簡単な事じゃなくていわゆる、『社会問題』というやつに。 作中には名詞は出てきていないが、主人公には何かハンデがあり、それを抱えて生きている。それを理解してもらえない。先生から、社会から、親でさえも。推しである真幸もそうだったのかもしれない。何かを理解してもらえなかった。だから惹かれていたのかもしれない。 私は推しと呼べる存在がいないから、未知の生き方だった。しかしなんだか、『孤独感』や『寂しさ』が訴えられているような気がしてとても苦しくなった。 評価 難しい、とにかく。この作品の肝となる部分を理解するのが難しい。一見、推し活というものが問題視されているようだかきっとそうではないのだろうと思う。そこが難しいからこそ、人にオススメするのも難しい。 読んでいてなんとも言えない苦しさに見舞われ、正直再読はしないなと思った。 しかし、21歳という若さでこのような作品を生み出す宇佐見りんさん、すごい。

Posted byブクログ

2025/02/18

推しがファンに暴力をふるって、SNSなど炎上しているところから物語が始まります。 私も推し活していますが、主人公ぐらい推し活している人はたくさんいるわけで。 何が問題かというと、私は個人的に両親じゃないの?と思いました。 主人公が色々と普通じゃないのわかっていて逃げてるよ...

推しがファンに暴力をふるって、SNSなど炎上しているところから物語が始まります。 私も推し活していますが、主人公ぐらい推し活している人はたくさんいるわけで。 何が問題かというと、私は個人的に両親じゃないの?と思いました。 主人公が色々と普通じゃないのわかっていて逃げてるよね?的な。(主人公目線から色々とヒントはあるのですよ) それを推し活に熱中しすぎる主人公という話で隠しているような……。

Posted byブクログ

2025/02/18
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現代的な話だなと思いました。学校での生活もバイトも日常生活もうまくいかない、努力しているけれど失敗ばかりの主人公が推し活にのめり込んでいく話です。共感できるところも多く、苦しくなりながらも一気に読みました。主人公の人生の一部を覗き見したような感覚になる一冊でした。自分も推し方、生き方について今一度見つめ直してみようと思いました。

Posted byブクログ

2025/02/10

同じCDを130枚買ったことのある私が言うのも説得力に欠けるけど、ここまでの情念を推しに注ぐ本作の主人公あかりにはあまり共感できなかった。かといって推しを「背骨」や「業」と形容する程の彼女を、依存だとか頑張ってないなどバッサリ切り捨てることもできない。自分にとって推しとは、つまら...

同じCDを130枚買ったことのある私が言うのも説得力に欠けるけど、ここまでの情念を推しに注ぐ本作の主人公あかりにはあまり共感できなかった。かといって推しを「背骨」や「業」と形容する程の彼女を、依存だとか頑張ってないなどバッサリ切り捨てることもできない。自分にとって推しとは、つまらない人生を少しだけ彩ってくれる恋愛感情とは似て異なる憧れの存在であり、あかりにとってはそれがより切実なだけなんじゃなかろうか。 読んで真っ先に浮かんだのが『MAD MAX 怒りのデスロード』に出てくるウォーボーイズのニュークス君。ボスのイモータン・ジョーを崇拝し、ボスに命を捧げる自分に酔いしれている自己愛強めの困ったちゃん。劇中で彼は人との助け合いを通じて女性に恋をし、終盤自分のためではなく彼女のために命を投げ捨てる姿に、当時ギラギラしたオタクだった私は、いつか訪れるであろうオタクの終わりの美学を見出した。 本編の終わりも、あかりの今後の人生は余生ではない、希望の灯が灯っているように私は捉えた。アイドルとオタクのような一方通行の関係性ではない、対等で尊重し合える存在がいつかあかりの背骨に突き刺さるのではないだろうか。

Posted byブクログ

2025/02/09
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なぜかポップなストーリーの印象を持ってたから(表紙のイメージ?)想像していたのと全然違って度肝を抜かれた。 そっか芥川賞か。どうりで。 私の人生にも1人だけ推しがいる。 推しに対する気持ちは、他にハマったものに対する好きとは全然違った。 それまで「推し」って「好き」の最上級だと思ってたけどそうではなかった。 推しの事をもっと知りたい、推しを通して世界を見てみたい。 そんな執着のような気持ちは例えるなら恋愛が一番近いのかもしれないけど、この主人公と同じく、実際に推しとの距離を縮めたいわけではなくて恋愛ともやっぱり違う。 『携帯やテレビ画面には、あるいはステージと客席には、そのへだたりぶんの優しさがあると思う。相手と話して距離が近づくこともない、あたしが何かをすることで関係性が壊れることもない、一定のへだたりがある場所で誰かの存在を感じ続けられることが、安らぎ与えてくれるということがあるように思う。』(p62) ここ特にわかる。 会ったこともない、喋ったこともない人の事をこんなに好きだって思えるってすごいし、自分でも異常だなと感じた。 推しに対する憧れ、共感、愛おしさなんかがごちゃまぜになって、解釈したいという気持ちになる。 解釈したものを通して世界を見るようになって、それは自分の価値観の中心になる。 そんな感覚を私も持っているから、主人公の事を他人事に思えないし、よくぞここまで言語化してくれたという気持ち。 自分が知ってる推しは、推しという人間のほんの一部分なんだってわかっているけど、「人を殴った」みたいに全く理解できない部分が出てきたら、自分の価値観も一瞬で揺らぐだろう。 だって日常生活のすべてに少しずつ推しが関係していて、推しというフィルターを1回通して世界と関わっているんだから。 何かしら信じるものがあって、それに従って日々を生きることで自分の芯を形成していくという意味では、恋愛というより宗教でいう信仰みたいなものなのかもしれない。 一つのものに依存するってリスキーではあるけれど、その不健康な切実さに一種の快感みたいな物も感じるんだろうな。 私の推しに対する気持ちは徐々に冷静さを取り戻して、今でも特別な人ではあるけど、かなり健康的な「好き」になった。 異常な状態から抜け出せて良かったという思いもあるけど、推しのことを愛おしい!と感じる気持ちをガソリンに生活していた時期を思い出すと若干の寂しさもある。 「推す」ってなんだ?と、問いながら読んだ小説。

Posted byブクログ

2025/02/06

現代の純文学とはこういうものか、と。 今を生きる若者の生き辛さと、そこに差し込む一筋の光。それにすがってどうにか生きているのに、理不尽にそれを取り上げ踏みつけられてしまう。ぶつける先のない悲しみや怒りを抱えてそれでも生きなければならない苦しみ。 いつの時代でも純文学が書いてい...

現代の純文学とはこういうものか、と。 今を生きる若者の生き辛さと、そこに差し込む一筋の光。それにすがってどうにか生きているのに、理不尽にそれを取り上げ踏みつけられてしまう。ぶつける先のない悲しみや怒りを抱えてそれでも生きなければならない苦しみ。 いつの時代でも純文学が書いている人生の苦しみは変わらない。 令和の今の若者の感性で苦しみと哀しみを表現した良作でした。 そりゃ、賞取るわ。

Posted byブクログ