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推し、燃ゆ の商品レビュー

3.3

1898件のお客様レビュー

  1. 5つ

    218

  2. 4つ

    553

  3. 3つ

    688

  4. 2つ

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  5. 1つ

    69

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2024/06/16

熱中するほどの推しがいた事がないので、主人公の行動に共感することが少なかった。ただ、持っている特性やそれに付随する生きづらさに息が詰まるような気持ちになった。

Posted byブクログ

2024/06/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

すごかった...めちゃくちゃ良かった。 命削って推してる人は推しが居なくなったらどうなるんだろうってこととか、 社会の普通からドロップアウトしてしまうこととかの苦しみを描いた上で、 人の世界観が変わる(=生まれ直す)様子を描写できてるのがすごいと思った。 特に好きだったシーンの感想と、読後に考えた所感を長めに記載しておく。 ------------ 【感想】 主人公の身の上に起こるストーリー自体はシンプルで、アイドルを熱狂的に推す令和の女子高生が、社会の「普通」の生活について行けず高校を中退し、亡くなった祖母の家で一人暮らしを始めるまでの一年半の時系列だった。 その中で主人公は、推しの不祥事→結婚・引退という出来事を受けて、「推しを推す」ことで確かめていた自己の生と世界(観)を完膚なきまでに壊される。 とどめを刺したのは、住所特定された推しのマンションを外から眺めに行ったシーンだった。 推しに関する全ての情報を余すことなく収集・吸収し、推しを解釈しようとすることが「わたしの業のはずだった」のに、 ベランダに出て来た女性が洗濯物を干すなんでもない日常を見て、その生活感から「自分はもう推しの人生を見られない」ことと、「そもそも外から人の人生など知ることも解釈することも出来るわけがなかった」ことを知る。 それまで生きて来た自分の生きがい、大切なもの、信じていたことが打ち砕かれる、すなわち絶望を味わう主人公は、帰宅した汚部屋で「自分の人生への怒り、悲しみ」から衝動的に手近にあった綿棒をケースごと床に叩きつける。これは人生への否定、自殺に通じる雰囲気がある。 しかし自分はまだ生きていて、目の前にはゴミと腐ったゴミで散らかった部屋がある。 このどうしようもない目の前の状況を受け入れるしかないという諦めは、 無理にでも社会の「普通」に合わせなければならないと思っていた苦しい世界観も同時に捨てさせてくれたようだった。 「這いつくばりながら、これがあたしの生きる姿勢だと思う。二足歩行は向いてなかったみたいだし、当分はこれで生きようと思った。」 葬式で骨を拾うように、散らばった白い細い綿棒を這いつくばりながら拾うこの最後の描写は、とても傷つき疲れ切った主人公を救う生まれ変わりの瞬間だと思った。 ------------ 【所感】 この物語には、特に魅力的なところが3つあると思った。 ①アイドルを推すという、現代の独特な趣味の人達を詳しく描写していること ②社会の「普通」についていけない人(とりわけ、若者)の心理を表していること ③絶望のプロセスと、その最後に生まれ直しの可能性を示唆する物語に仕上げていること 特に③を詳しく書きたい。 常識や価値観によって作られる世界観は、私達の精神と肉体に想像以上に深く根付いている。 それはしばしば自分の実際の感覚との違和感を生じさせるが、世界観を疑うことは困難なため、苦しみは続き深まっていく。 それが行き着くところまで行き着くと、本当にどうしようもないのだという絶望を味わう。 その時に命を捨てる代わりに世界観を捨てることで、赤子のようにまっさらな心で、改めて目の前の現実を捉え直していくことが出来るのかもしれない。 その生まれ直しの試みが、そうする前よりも柔軟に自分を生かしてくれるだろう。 抽象化するとこんな考え方に通じるように感じた。 こうした考え方は、言葉だけで理解するのは簡単だが、実感として腹落ちするのは難しい。 自分の体験と体感で痛いほどそれを味わった時にようやく納得するものだろう。 それでもなお、テーマが現代の社会現象・社会病理に関係している物語として、 この物語を読んで少しなりとも自分の生きづらさに気づいた読者が、実際に絶望に至る前にこの救いの可能性に触れられることは、単なるバッドエンドよりも物語の魅力を高めているように思った。 ------------

Posted byブクログ

2024/06/12

10代のような瑞々しい表現をいくつも感じた。実際に主人公は10代だけど…。それを理解できる、だが共感はできない、が集まっていた。

Posted byブクログ

2024/06/12

最初は比喩が多く、読みづらさを感じたが、文章の読みづらさがそのまま主人公の重たさに繋がっていると思った。 一人称視点だからこそ、人と違って上手く生活出来ない主人公の苦悩を知ることが出来てよかった。

Posted byブクログ

2024/06/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

現実がうまくいかないから、推しに傾倒するのか? 推しに傾倒しすぎて、現実がおろそかになっているのか?推しのプライベートなどに気持ちが振り回されるのは、わかる気がした。 漢字が苦手で勉強ができない描写だけど、「あたし」の一人称で語られる私語りの文章は知的で芥川賞レベルにうまいぞ。なんていうのは的はずれかもしれないけど、ブログの文章もうまいぞ。

Posted byブクログ

2024/06/08

-推しがいなくなったらあたしは本当に、生きていけなくなる。 拝啓 狂おしいほどに推している推しが居て身を削って生きてる皆様。 今すぐ読んでください。共感しかないです。 絶賛燃えてるN市の市民より。

Posted byブクログ

2024/06/08

読みやすい。 推しがいて、推しのために普段の生活や仕事を頑張れる。人生が豊かになる。一方、その推しがいなくなるとき、どうなってしまうのか。

Posted byブクログ

2024/06/07

『推し、燃ゆ』 2024年5月31日読了 自分の「推し」が炎上した。 物語はそこからスタートする。 主人公のあかりにとって「推し」は世界の中心だった。 自分の「背骨」であり、生きる手立てであり、業だった。 そんな彼女が炎上をきっかけに、ゆるやかに崩れていく。 彼女の感情が見...

『推し、燃ゆ』 2024年5月31日読了 自分の「推し」が炎上した。 物語はそこからスタートする。 主人公のあかりにとって「推し」は世界の中心だった。 自分の「背骨」であり、生きる手立てであり、業だった。 そんな彼女が炎上をきっかけに、ゆるやかに崩れていく。 彼女の感情が見えないから、物語はごく淡々と進んでいく。 周りの状況や自分の身体だけが強く反応して、自分の感情が追い付けていないとでもいうように。 だからこそ、最後のシーンが鮮やかに心に刻まれた。 あかりが自分の感情を託すように、綿棒をぶちまけるシーンだ。 自分が身を削って集めた大量のファイルや、写真や、CD以上に、一枚のシャツや靴下がその存在を色濃く感じさせる。わかりきっていたことではあるが、自分が推していたことすべてが虚構だったと、強く示されてしまったわけだ。 このシーンは今の自分との決別だと思う。 遺骨のようにばらばらになってしまったものを、再度拾い集める行為。 自分の業に自分で決着をつけているのだと思った。 「推しのいない人生は余生だった」と語る彼女には、余生を強く生きてもらいたい。

Posted byブクログ

2024/06/02

若者言葉が沢山出てきて、「推し」がいる人には刺さる小説だと思います。そしてある意味、「若者」にしか理解出来ないと自分は思います。 読み終わって、推しに対する愛がさらに深まりました!!

Posted byブクログ

2024/06/02

なんだろ、なんて表現したらいいのやら。読んでる感覚としては『むらさきのスカートの女』『コンビニ人間』みたいな感じでした。 推しがいるから頑張れる!!推しのために愛もお金も注ぐ!!視点で描かれているけど、なんか違和感というか1人の子の人間性が表現されている感じ?でした。

Posted byブクログ