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推し、燃ゆ の商品レビュー

3.3

1908件のお客様レビュー

  1. 5つ

    220

  2. 4つ

    554

  3. 3つ

    692

  4. 2つ

    249

  5. 1つ

    71

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2020/12/01

ひりひりする。この子を知っている気がする。ライブに来ていたあの子かもしれない。Twitterで見かけるあの子かもしれない。生きづらさを抱える生活の中で、ただただ推しの存在を感じ続けることだけを求めている彼女。 推しが推しではなく人になってしまったことに気づ...

ひりひりする。この子を知っている気がする。ライブに来ていたあの子かもしれない。Twitterで見かけるあの子かもしれない。生きづらさを抱える生活の中で、ただただ推しの存在を感じ続けることだけを求めている彼女。 推しが推しではなく人になってしまったことに気づき、自分を振り返った時の彼女の虚無が、昏さすらない虚無で、茫然としてしまった。 身の詰まった噛み応えのある表現力、また味わいたい。

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2020/11/20

熱量がすごい。 終盤の一気に破滅に向かってく感じが痛かった。 救いのないエンディングはつらいなー、と思ったけど、よく考えたらほんのり救いあったのかなとも思ったり。 リアルすぎるフィクションは、そのあとリアルを侵食するので要注意。

Posted byブクログ

2020/11/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

一介のオタクとして身につまされる心地がした。 わたしは二次元が推しなので推しと一体化することも、推しが不祥事を起こして炎上することもないにしても、推しに対する感情、童謡七つの子の歌のような切ないと思えるかわいさを感じるのはわかる気がする。 人口の半分はなんらかのオタクになりつつあるというのを最近どこかで見た。オタクと名乗ることがライトでフラットになったのもここ最近。 誰かしらがなんらかに縋りたい現代の厳しさみたいなものが見える気がする。 健全だとされる相互的な人間関係が薄れていってる中、多分社会にうまくリンクできない人間の方がこういうオタクコンテンツにハマりやすい。 家族や友達や恋人と同じ気持ちを共有したりわかってもらうより、コンテンツを介して気持ちをわかってくれる人がいるSNSやネット上は居心地の良い。 社会に必要とされなくてどんなに自分がダメでも、それでも日々は続くし、好きなものや人は自分を裏切る日が来る。それでも好きなものを好きでいることは絶望した社会でなんとか息をする私たちの最低限で精一杯の生き方である。 主人公あかりは死なないだけで死んでるように生きていくのだろうなと暗い未来が過った。 作者の前作かかでも母という信仰対象が終わったラストが印象的だったけど、この話ではまた違った信仰の終わりが書かれている。バッドエンドでもハッピーエンドでもなく一般的に考えると主人公たちはずっとバッドな状態を生きているんだろうな。 でもこれはよくある現実で、作者と同世代の私は、私たちの生きる時代のディストピアは加速しているという実感を伴って日々暮らしている。  

Posted byブクログ

2020/11/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

本作をある種の「天皇小説」と評価する意見に同意したい。推しの誕生日、あるメンバーの名前、そして推しが「人」になる瞬間…。推しを通じて人間と繋がり、推しと一体化して全能感を得る主人公の在り方は、大江健三郎『セヴンティーン』で描かれる少年の姿と多分に重なって見える。 宇佐見りんが「推し」と「天皇」の関係をどの程度意図して本作を描いたのかはわからない。しかし、この作品を解釈したいと思った時点で、彼女は私の「推し」になったのだと思う。

Posted byブクログ

2020/11/15

若い子が書く文章だな。というのが第一印象。 読んでいて、苦しくなる本。何やっても、うまくいかない現実と、推しのためにいる、SNSのなかの世界。 推しにたいして注がれるエネルギーが想像を超えていた。 肉体が重いという言葉が印象的だった。

Posted byブクログ

2020/11/09

宇佐見りん『推し、燃ゆ』はけっこう刺さる。特別に推しがいるわけじゃないワタシでも刺さった。これは自分がひとりじゃないって思えたかも。推しが生きていても、二次元でもきっといいんだ。何かについて猛烈に思うこと。考えること。大切なものを見せてもらった気がする。あかりが幸せになればいいな...

宇佐見りん『推し、燃ゆ』はけっこう刺さる。特別に推しがいるわけじゃないワタシでも刺さった。これは自分がひとりじゃないって思えたかも。推しが生きていても、二次元でもきっといいんだ。何かについて猛烈に思うこと。考えること。大切なものを見せてもらった気がする。あかりが幸せになればいいなー。死なないで生きてください。

Posted byブクログ

2021/01/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

〇推しの炎上に右往左往する主人公。でもそんな表面的なことだけ感じればよいのだろうか?もっと子ども一人ひとりに目を向けないといけないのではないだろうか <あらすじ> あかりは、アイドルの真幸を追いかけているいわゆる"ガチオタ"。アイドルで作ったつながりと、"推し"を追いかけるそのエネルギーだけで生きているといっても過言ではなく、学校にアルバイト、家族との生活は荒んでいる。 そこに飛び込んできた、「真幸がファンを殴った」という情報に耳を疑う。あかりはその事実にぐらぐらしながらも、日常生活を歩んでいこうとするが、さらに追い打ちをかけるように… ***** あかりの病気は、本文では明かされない。予想を立てることは無粋ではある。なぜなら、途中までは小中と過ごし普通高校に通っているらしかったからだ。例えば、本人が気づいているか否かにかかわらず、普通学級には発達障害の学生はいるはずだ。また、評者が小学校のころ、身体障碍を抱える児童が支援学級で学んでいたことを覚えている。が、卒業は一緒にしていないはずだから、途中で支援学校へ転校したのだろう。 そして、病気があろうとなかろうと、この主人公あかりのように、"推し"を推す行為によって日常生活がままならない人は少なからずいる。本人責任論が蔓延する世の中で、ターゲットとなる分類の一つだろうと思う。 しかしこの本は、そのような見方でよいのか、咀嚼がしにくい。 父親は単身赴任、母親は比較的強権的な中にあって、姉は普通の子供、本人は幼い頃から何らかの学習障害をどうやら抱えているようだ。 ”母はよく姉のひかりとあたしとをお風呂に入れて、九九を言わせたり、アルファベットを覚えさせたりして、それができると上がれるというようなことをやった。あたしはいつまでも上がれなかった。(中略)あたしにとってはよほど、難なく言えて先に湯船から出られて、母に褒められているひかりのほうがうらやましく思えた。" (pp.53-54より引用) 家族だけでなく本人までも、病気についてはこの頃は気づいていなかったが、高校生になって診断をもらいようやく気付いた、ということのようだ。 あかりは、勉強ができないだけでなく、アルバイトで次々と迫りくる注文や要望・対応にすぐさま応じることができない。アルバイト先の大人たちも、優しいまなざしを送るふりをしてあざ笑われているのではないか、ということにあかりも気づく。 日常生活でも忘れ物は多く、後半行われる一人暮らしも悲惨な状況だ。 しかし唯一、推しのことになると、相当の専門性が発揮され、記憶することができ、界隈では有名なブログで意見発信の投稿ができるほどである。 そんな中、推しがそういうことになってしまう結末は、あまりにも悲しく、またあかりのよりどころになるものが全くなくなってしまうことを、残酷にも表してしまってていた。 筆者は帯文に「圧巻の」と書いてあるように、すさまじい勢いで、あかり他登場人物の心情を丁寧な言葉で、しかし投げ続けてくる。次々と容赦なく浴びせられる衝撃的な言葉の数々を、筆者がどんな気持ちで書いたかは知らない。しかし、21歳でないと紡げない言葉であるようにも、思う。 こういう純文学を読むと、近くの知り合いのあの子を思い出しがちである。 どんなに勉強ができなくても、没頭できることがあるなら、それがなくなりさえしなければ。なくならないうちに生活の基盤を固めつつ、彼女の人生が、少しでも、一歩でも、前に進んでいってほしい。この本を読んでそう思わされるとともに、そんな知らず知らずのうちに苦しみ自らに抑圧してしまっている若い子たちに、優しくできる大人でありたいものだ、と思う。

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2020/11/02

「推し」これがある無しでは生活ががらりと変わる 私自身オタク気質なので主人公の気持ちは非常に良くわかる、当方おばさんですけど 今高校生の娘がまさにこんなんで、普通の生活もままならなくなる時があって推しにだけカロリー使ってる感じ 娘のこと書いてるのかと思った 非常にリアルな物語でし...

「推し」これがある無しでは生活ががらりと変わる 私自身オタク気質なので主人公の気持ちは非常に良くわかる、当方おばさんですけど 今高校生の娘がまさにこんなんで、普通の生活もままならなくなる時があって推しにだけカロリー使ってる感じ 娘のこと書いてるのかと思った 非常にリアルな物語でした

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2020/12/31

若き才能の2作目。アイドル・グループの1人に心血を注ぎ、彼の言動を“解釈”する女子高生の姿を描く。ぼくは特定の芸能人にそこまで入れ込んだことはないし、いわゆる“推し”の概念もいまいちわからないが、彼女がそうならざるを得なかった理由は理解できる。痛みや苦しさを緩和するために“推し”...

若き才能の2作目。アイドル・グループの1人に心血を注ぎ、彼の言動を“解釈”する女子高生の姿を描く。ぼくは特定の芸能人にそこまで入れ込んだことはないし、いわゆる“推し”の概念もいまいちわからないが、彼女がそうならざるを得なかった理由は理解できる。痛みや苦しさを緩和するために“推し”が必要であるなら、誰にもそれを非難することはできないだろう。

Posted byブクログ

2020/10/20

ラジオで源一郎さんが宇佐見さんを紹介してた。 その時はデビュー作をだったけど、なんとなくこっちの方が読みやすいかなと思って借りたけど、そんな事なかった。 なかなか文芸作品だったかも。 内容はアイドルを推してるって事なんだけど、 文章の運び方が私には難しい=文芸と解釈してます(笑)...

ラジオで源一郎さんが宇佐見さんを紹介してた。 その時はデビュー作をだったけど、なんとなくこっちの方が読みやすいかなと思って借りたけど、そんな事なかった。 なかなか文芸作品だったかも。 内容はアイドルを推してるって事なんだけど、 文章の運び方が私には難しい=文芸と解釈してます(笑) まだ大学生という事で先が楽しみな方なんじゃないでしょうか。 やっぱり「かか」も読まないと。

Posted byブクログ