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推し、燃ゆ の商品レビュー

3.3

1924件のお客様レビュー

  1. 5つ

    223

  2. 4つ

    556

  3. 3つ

    695

  4. 2つ

    254

  5. 1つ

    73

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2021/01/20

空虚な自己にとって「背骨」たる「推し」。 絶え間ない動揺と衝動は、「推し」が燃えたから、そしてその後の顛末ゆえなのか、自己の内面から発するものか。 息苦しさを感じるような鬼気迫る文章。どこまでいっても「自分自身」と「推し」という狭い世界が、この主人公にとってはまさに「全て」なのだ...

空虚な自己にとって「背骨」たる「推し」。 絶え間ない動揺と衝動は、「推し」が燃えたから、そしてその後の顛末ゆえなのか、自己の内面から発するものか。 息苦しさを感じるような鬼気迫る文章。どこまでいっても「自分自身」と「推し」という狭い世界が、この主人公にとってはまさに「全て」なのだ。それが説得力を持って迫ってくる。令和ならではの物語。

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2021/07/17

推し、燃ゆ 著作者:宇佐美りん 発行者:河出書房新社 タイムライン http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698 ままならない人生を引きずり、祈るように推しを推す。そんなある推しがファンを殴った。

Posted byブクログ

2021/01/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

推しがいる身として気になっていた作品を一気読み。 「或るアイドルを推す話」って以上に、あかりの生きづらさがずしりと迫ってくる話だった。たとえば「携帯やテレビ画面には、あるいはステージと客席には、そのへだたりぶんの優しさがあると思う。」という部分。私も似たようなことを感じることがあるけど、あかりの生きづらさを絡めるとまた違った響きが出てくる。 推しへの感情の表現とか、途中で出てくるブログの文章とか、リアルだなこういうファンの子いそうだなと感じつつ、そこからあかりのアンバランスさが透けてくる具合が絶妙だと思った。

Posted byブクログ

2021/01/23

芥川賞ノミネートということで強烈なタイトルに釣られて読んでみた。 正直印象は薄い。読み終わった当日にこれを書いているからかろうじて内容は覚えているものの、1ヶ月も経てば全容は恐らく思い出せないと思う。 主人公が作中に話していた通り“ヲタク”にも様々な種類がいて、私の“ヲタク”...

芥川賞ノミネートということで強烈なタイトルに釣られて読んでみた。 正直印象は薄い。読み終わった当日にこれを書いているからかろうじて内容は覚えているものの、1ヶ月も経てば全容は恐らく思い出せないと思う。 主人公が作中に話していた通り“ヲタク”にも様々な種類がいて、私の“ヲタク”スタンスと主人公の“ヲタク”スタンスは別種類なので主人公に共感というよりも「あーこういうヲタクいるいる。」といった主人公の存在に対する共感を私は感じた。 ♡ 読了:2021.1.18 ♡

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2021/01/23

わずか21歳の女性が書いたにしては厚みのある生々しい作品。 主人公は推し活しか生きる理由のない女子高生。 ひたむきなのだけども、自分に無関心すぎる。 読んでてその危うさにモヤモヤした。

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2021/01/18

まず、「推し、燃ゆ」というタイトルが強烈で見事だ。 私自身も小さい頃から今でいう「推し」のような、大好きな存在がずっとあるような人間だった。その対象は少しずつ変わっていったけれど、その存在からもらったパワーは計り知れない。「炎上」という言葉は好きではないけれど、自分の大好きな対...

まず、「推し、燃ゆ」というタイトルが強烈で見事だ。 私自身も小さい頃から今でいう「推し」のような、大好きな存在がずっとあるような人間だった。その対象は少しずつ変わっていったけれど、その存在からもらったパワーは計り知れない。「炎上」という言葉は好きではないけれど、自分の大好きな対象がそれに近い状況になったこともあった。それでも、一緒に生きている、ということはいつだって自分の力になっていた。それが「推し」という存在なのだと思う。 アイドルや芸能界を中心に置いた小説は、どこかリアルさが足りないと思うことも多いが、この小説はとてもリアル。 あくまで「押しを推す」普通の一人の人間の細やかな心理描写や情景描写がとても素晴らしい。こういう人物を描いてくれたことに、安心感と、ありがとう、という気持ちを感じた。

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2021/01/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

推しのいる人にとって、(推し方にもよるが)深い絶望を感じると同時に救われる話だと思った。 読んだ後、推しに会いたくなった。 「ステージと客席には、そのへだたりぶんの優しさがあると思う。」「一定のへだたりのある場所で誰かの存在を感じ続けられることが、安らぎを与えてくれる」 推しがいる自分にとって、とても身近な感情と状況は震えるほど怖く、あかりの清々しいほど推しにひたむきな姿は眩しくて同時に絶望であった。 いくつもの推しを語る言葉は美しく、それによりあかりの感情や行動が美しく感じられるが、あかり自身に何も救いは訪れない。がんじがらめになり、吊るされる表紙のイラストはまさに本書そのものだった。 推しへの想いが揺らぎそうになったとき、絶望したいとき、私はこれから何度もこの本を読み、そして推しを推し続けるのだろう。

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2021/01/14

推しへの感情に思い悩んでいたさなか、タイトルとダイスケリチャードさんの表紙に惹かれて購入しました。 推しを徹底的に解釈することで、推しに”生かされている”人間のお話。 大仰な表現を用いがちなアイドルオタクのSNSを完璧に再現しているにも関わらず、読後の味わいは間違いなく文学で。...

推しへの感情に思い悩んでいたさなか、タイトルとダイスケリチャードさんの表紙に惹かれて購入しました。 推しを徹底的に解釈することで、推しに”生かされている”人間のお話。 大仰な表現を用いがちなアイドルオタクのSNSを完璧に再現しているにも関わらず、読後の味わいは間違いなく文学で。特に主人公が推しに対して捧げる言葉がどれも美しく、同じオタクとして羨ましくなってしまう程。そしてそれに抗うように険しくなっていく現実。 「推しを推すことでなんとか自我を保っている人間」に心当たりがありすぎるため、他人事ではない感情に迫られながら一気に読みました。 燃えた後の白い灰がさらさらとこぼれ落ちていくような物語、でした。

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2021/01/14

あかりにとって世界の中心だった推しが、ファンを殴って炎上した。 あかりは推しの一言一句をすべて記録して解釈して、推しのすべてをわかろうとするのが日課だった。それをブログに書き連ね、同じファンとSNSで交流し、分かち合うことが日々の小さな楽しみだった。 生きる上で必要な諸々のこと...

あかりにとって世界の中心だった推しが、ファンを殴って炎上した。 あかりは推しの一言一句をすべて記録して解釈して、推しのすべてをわかろうとするのが日課だった。それをブログに書き連ね、同じファンとSNSで交流し、分かち合うことが日々の小さな楽しみだった。 生きる上で必要な諸々のことが「ちゃんと」こなせないあかりにとって、推しに注ぐ活動は唯一頑張れることで、唯一の情熱で、生きるためのすべてだった。 そんなあかりでも、読み取れなかった(読み取るのを避けてきたのかもしれない)推しの真意。 やがて「転機」が訪れ、あかりは今まで見ないようにしてきた現実の重さに向き合わざるを得なくなる。 弱冠21歳が、こんなに詳細にオタ活について書き連ねられるのかと驚いた。 推しへの切実な感情が、痛々しいほど伝わる。 推しのいる人にはすごく刺さると思う。 読み終えて、表紙の、糸に絡まって宙ぶらりんになっている女の子の絵を思わずじっくりと見つめた。 これが、令和の純文学か。 純文学なのにイマドキで読みやすかった。すごい。

Posted byブクログ

2021/01/11

推しという人によっては一種の宗教の様な偶像崇拝って、それに対するスタンスは人それぞれだが、何かしらちょっと現実逃避が含まれているのではないかと思う。 主人公の診断結果の病名はわからずじまいだが、読んでいるとこれであろうというものが頭に浮かび、生き辛さに息が詰まりそうになる。日常生...

推しという人によっては一種の宗教の様な偶像崇拝って、それに対するスタンスは人それぞれだが、何かしらちょっと現実逃避が含まれているのではないかと思う。 主人公の診断結果の病名はわからずじまいだが、読んでいるとこれであろうというものが頭に浮かび、生き辛さに息が詰まりそうになる。日常生活に於いては、世間一般でいうところの普通の生活を普通にこなす事が困難だが、ブログの文面や、情報の収集分析など自分の熱意をかけるものに於いての才が確かにあると感じた。ラスト自分の人生に少しだか歩みだそうとしてる主人公が嬉しかった。

Posted byブクログ