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推し、燃ゆ の商品レビュー

3.3

1898件のお客様レビュー

  1. 5つ

    218

  2. 4つ

    553

  3. 3つ

    688

  4. 2つ

    247

  5. 1つ

    69

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2021/01/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

全てを投げうって推しに没頭する日々。家族がうんざりする様子も手に取るようにわかるし、だからといってこの家でこの環境で悩んで行き着いた場所が推しであるなら、誰も文句は言えない。自活を始めるも、突如推しの引退。何を支えに生きていけば良いのか、その虚無感がだらしなく赤裸々と語られる。この若さでこの短い頁に収めた宇佐美さんにはただただ感服。

Posted byブクログ

2021/01/23

自分が推しているアイドルグループのメンバーがファンを殴ったらしい。世間は炎上状態になったが、あかりはどうすることもできず、今までの状態で過ごすことに。 あかり自体は、高校を中退し、周りともあまりうまくいかなかったが、「推し」やブログ上での推し仲間がいることで、生きている実感があっ...

自分が推しているアイドルグループのメンバーがファンを殴ったらしい。世間は炎上状態になったが、あかりはどうすることもできず、今までの状態で過ごすことに。 あかり自体は、高校を中退し、周りともあまりうまくいかなかったが、「推し」やブログ上での推し仲間がいることで、生きている実感があった。一つの騒動をきっかけにあかりは、どう向き合っていくのか?あかり自身はどう成長していくのか? 芥川賞受賞作と2021年本屋大賞ノミネートされていますが、独特な文章で純文学を読んでいるようでした。読みやすさでいえば、ちょっと読みづらかったです。しかし、言葉の表現が美しく、良かったです。約120ページという少なめの量ですので、あっという間でした。 推しというと、ファンとどう違うのか?調べてみたら、特に明確な違いというものが提示されていませんでしたが、個人的にファンよりも深く「愛」を感じているかなと思いました。推しが選ぶもの、推しが考えていることなど共有したい気持ちに駆られるのではないかと思いました。そうなると、ストーカーとも感じてしまいますが、「推し」の方が推しの事を神々しい存在で、そばにいなくてもいい、「アイドル」として見たい気持ちなのかなと思いました。 この作品では、アイドルグループのメンバー・上野真幸を「推し」として表現しています。名前にしないことで、近すぎず遠からずの存在感を表現している印象があり、面白かったです。騒動が起きながらも、平常心で保とうとするあかりの心情が淡白ながらも繊細で、独特な世界観がありました。 「推し」としての理解は、なかなか分からないこともありましたが、何かの推しがいることで生きている実感が湧くということで考えると、共感するところもありました。 「推し」側の環境が変化したことで、あかりの方の環境は特に変わりません。あかりの心情は、今後どう接していくのか。家族や友人、自分の進路。これから、少しずつでもいいから、一歩一歩前進してくれたらなと思います。

Posted byブクログ

2021/01/23

『病めるときも健やかなときも推しを推す』 『肉体は重い。水を撥ね上げる脚も、月ごとに膜が剥がれ落ちる子宮も重い…推しを推すときだけあたしは重さから逃れられる』 『一時間働くと生写真が一枚買える、二時間働くとCDが一枚買える、一万円稼いだらチケット一枚になる』 『推しを推すとき、あ...

『病めるときも健やかなときも推しを推す』 『肉体は重い。水を撥ね上げる脚も、月ごとに膜が剥がれ落ちる子宮も重い…推しを推すときだけあたしは重さから逃れられる』 『一時間働くと生写真が一枚買える、二時間働くとCDが一枚買える、一万円稼いだらチケット一枚になる』 『推しを推すとき、あたしというすべてを懸けてのめり込むとき、一方的ではあるけれどあたしはいつになく満ち足りている』 『あたしから背骨を、奪わないでくれ。推しがいなくなったらあたしは本当に、生きていけなくなる…推しのいない人生は余生だった』 『推しは人になった』 『あたしにはいつだって推しの影がかさなっていて、二人分の体温や呼吸や衝動を感じていた』 『なぜあたしは普通に、生活できないだろう。人間の最低限度の生活が、ままならないだろう。初めから壊してやろうと、散らかしてやろうとしたんじゃない。生きていたら、老廃物のようにたまっていった。生きていたら、あたしの家が壊れていった』 第164回芥川賞受賞作 ずっと推しと一緒に生きてきた。全てを推しに捧げできた。その推しが人になった時、あたしにとって『推し、燃ゆ』 「すべての推す人たちにとっての救いの書であると同時に、絶望の書でもある本作を、私は強く強く推す」豊崎由美〜帯より〜

Posted byブクログ

2021/01/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

推しは何故ファンを殴ったのか? あかりの病名はなんだったのか? 疑問を残したまま世界は進んでいく。 そういうことなのだろうか。 生々しい描写で表現される数々の出来事、バイト先の固有名詞を持った客、ブログの購読者。 登場したことに、彼らの言動に何か意味はあるのか。 全てのことに意味を求めるのは現代病なのだろうか。 答えは分からないけれど、あかりのように解釈し、自分なりの生き方をしなければならない。 そういうことなのだろうか。

Posted byブクログ

2021/01/23

芥川賞受賞紹介するどこかの記事で、「文学的偏差値の高さ」と言うちょっと意地悪な表現を見かけたが、確かに、よくも悪くも「いわゆる純文学」の枠に高いレベルでしっかり「収まっている」感じはする。決して嫌いでは無いけれど。

Posted byブクログ

2022/03/28

推しに対する姿勢がなんとなく宗教っぽいと感じた 単純に好きではなく解釈したいというのがまさに 推しという概念にも宗教にも詳しくないがこの二つは現代ではかなり近い物と思った 心の拠り所が神なのか人間なのかだけの差なのかな 昔より宗教にも信仰を置かなくなった分現代ではアイドルや芸能...

推しに対する姿勢がなんとなく宗教っぽいと感じた 単純に好きではなく解釈したいというのがまさに 推しという概念にも宗教にも詳しくないがこの二つは現代ではかなり近い物と思った 心の拠り所が神なのか人間なのかだけの差なのかな 昔より宗教にも信仰を置かなくなった分現代ではアイドルや芸能人にその役目を代替させているのか? 宗教家でアイドルを熱烈に推している人は存在しないのではないか

Posted byブクログ

2021/01/23

一気に読み切ってしまった。 私はライトな層だけど、アイドルファンのひとりなので、周りの人たちの「推し」への思いや、行動と重なる部分も多く共感しながら読みました。

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2021/01/23

この本を読むことで現代の"推し"という実体がわかりづらいものの一つの解釈が分かるのではないか。物や情報が溢れかえるがゆえの充足感が生まれにくい生きにくさというのを感じた。この閉塞感を打破するには生きる目的、没頭できるものが必要だ。それが彼女にとっての推しだった...

この本を読むことで現代の"推し"という実体がわかりづらいものの一つの解釈が分かるのではないか。物や情報が溢れかえるがゆえの充足感が生まれにくい生きにくさというのを感じた。この閉塞感を打破するには生きる目的、没頭できるものが必要だ。それが彼女にとっての推しだったのだ。これはSNSなどを原因とした今までとは違う推しの形なのではないか。大人達はアイドルというのは画面上の神々のような存在では我慢できないのでないだろうか。彼らはきっとアイドルを自分のものにしたい願望がある。それが現実へと近づいていくと成美のような推しの形がうまれる。彼女は能動的に推しになったのだと感じる。しかし、私は社会の隅に追い込まれた結果、推しという生き方を選ばざるを得なかったのではないか。ゆえに、彼女は身体を削りながらも、憑依していく。最後には"人"では無くなってしまう。 宇佐美先生の世界の見方というのが、秀逸な文から感じる。特にp76の「自分で自分を支配するのには気力がいる。〈中略〉何もしないでいることが何かをするよりつらいということが、あるのだと思う。」がお気に入りだ。

Posted byブクログ

2021/01/22

私も推しがいる一人として読んでいて考えさせられる部分が多かった。 今の時代頑張るための目標だったり活力が必要不可欠で、それが推しを応援することである人はとても多いと思う。自分の推しとの向き合い方や自分の心の整理の仕方を改めて見つめ直すきっかけになったように感じた。 合わせて、主人...

私も推しがいる一人として読んでいて考えさせられる部分が多かった。 今の時代頑張るための目標だったり活力が必要不可欠で、それが推しを応援することである人はとても多いと思う。自分の推しとの向き合い方や自分の心の整理の仕方を改めて見つめ直すきっかけになったように感じた。 合わせて、主人公の学校や家族、バイト先で感じるもやもやや鬱陶しさのようなものがしっかり言葉になっていて私も高校生のころに抱えていたよく分からないもやもやが思い出された。

Posted byブクログ

2021/01/22

推しがいる身として、共感する心情があった一方で、主人公の推しへの依存が見ていて心痛む場面もあった。 今の時代を象徴したようなテーマ。 推しの存在って、パワーでありながら、破滅へ導く凶器にもなりえるんだなぁ。 ▼印象的だったフレーズ ① 「推しは命にかかわるからね」 家族も友...

推しがいる身として、共感する心情があった一方で、主人公の推しへの依存が見ていて心痛む場面もあった。 今の時代を象徴したようなテーマ。 推しの存在って、パワーでありながら、破滅へ導く凶器にもなりえるんだなぁ。 ▼印象的だったフレーズ ① 「推しは命にかかわるからね」 家族も友人も先生達も、 近くにいて何も分かっちゃいない。 脳に、心に、肉体に、 私の「生」丸ごとに 推しは入り込んだのだ。 病める時も 健やかなる時も 推しを推す。 それ以外の人生は、余生なのだ。 もう、背骨なのだ。 ② 本当に愛くるしくて、あたしは胸の奥のほうからきつくしぼり上げられるような気がする。 ③ これ、分かるなぁ。だから移動時間って案外好き。 電車の座席に座っている人たちがどこか吞気で、のどかに映ることがあるけど、あれはきっと「移動している」っていう安心感に包まれてるからだと思う。自分から動かなくたって自分はちゃんと動いているっていう安堵、だから心やすらかに携帯いじったり、寝たり、できる。 ④ 逃げ恥でも似たようなセリフをみくりちゃんがしてたのを思い出した。かっこいい、はカッコ良くないと幻滅してしまうけれど、可愛いは、何があっても覆されることのない絶対服従。可愛いは正義。 守ってあげたくなる、切なくなるような「かわいい」は最強で、推しがこれから何をしてどうなっても消えることはないだろうと思う。

Posted byブクログ