1,800円以上の注文で送料無料

推し、燃ゆ の商品レビュー

3.3

1881件のお客様レビュー

  1. 5つ

    213

  2. 4つ

    552

  3. 3つ

    681

  4. 2つ

    245

  5. 1つ

    68

レビューを投稿

2021/01/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

第164回芥川賞受賞、2021年本屋大賞ノミネート。 周りの本読みさんたちが絶賛していたので読まなきゃな、と思いつつ後回しにしていた。 もともと物にも人にもあまり執着しないたちなので全身全霊で「推しを推す」人たちのことを少し離れたところから「すごいなぁ」と眺めていた。どうしてそこまで「推」せるのか、と。 ファンの子を殴って炎上してしまった「推し」を、最後まで見届ける高校生女子。ライブに行ったりCDを買ったりするだけの普通のファンではなく、発言の一言一句を書き起こして自身のブログに記録する、自身のブログのファンまでいるという、全くもってその労力たるや。 けれど、その「推し活動」を続けるために、日常生活が破綻していく。 病名を二つ持つ彼女は、勉強もできない、バイトもうまくいかない、基本的生活ルールさえ守れない。そして普通の高校生の生活から脱落していく。それでも推しを推し続ける。 なんなんだろう、彼女のこの燃料は。 親の目線で眺めたら、怒れて仕方ないだろう。自分の生活さえままならないのに、なにがファン活動だ!と言いたくもなる。それでも自分の全てで推しを推し続ける、それはどこから湧いてくるチカラなのか。 生きる意味とか、日常のうるおいとか、そういう表面的なものではない、自分の背骨であり、皮膚であり、血である、そのチカラはどこから湧いてくるものなのか。 そして、推しを推せなくなったとき、彼女はどうやっていきていくのだろう。 憑き物が落ちたようにあっさり日常に戻れるのか。それとも別の推しを見つけるのか。あるいは推せなくなっても推しを推し続けるのか。 推し活とか、ヲタ活とかいうのだろうか、自分ではない誰かを自分の真ん中に置いて生きていく形。 推しを推した経験がないと全くわからない感覚。共有も共感も求めない、推しを推したいひとにだけ伝わる何かがあるのだろう。

Posted byブクログ

2021/01/21

作者の宇佐美りんさんが同い年の21歳という事を今日新聞で知り実際に購入し読みました。 端的に言うと彼女の21歳とは思えぬ観察眼の鋭さ、ドロドロどした家庭の中で踠き苦しむ中での姿がとても鮮明に描かれていました。 今の自分が感じる事が出来ない感情が文中にはあり、また推しの生きがいを除...

作者の宇佐美りんさんが同い年の21歳という事を今日新聞で知り実際に購入し読みました。 端的に言うと彼女の21歳とは思えぬ観察眼の鋭さ、ドロドロどした家庭の中で踠き苦しむ中での姿がとても鮮明に描かれていました。 今の自分が感じる事が出来ない感情が文中にはあり、また推しの生きがいを除けば厭世している彼女に少しだけ同情してしまう自分自身が酷く惨めに見えました。 深みとメッセージ性がある現代を象徴した作品なので関心のある方は是非読んでみて下さい!!!

Posted byブクログ

2021/01/21

正に等身大の体験、この本には人間一人分の人生が入ってる。数多ある小説体験のうちの一つに「誰かの人生を体験できる」というものがあると思いますが、この小説ほどピッタリ人間一人分の等身大を体験したのはあまり記憶にありません。 この小説に救われる人、苛立つ人、理解不能な人、色々な人がい...

正に等身大の体験、この本には人間一人分の人生が入ってる。数多ある小説体験のうちの一つに「誰かの人生を体験できる」というものがあると思いますが、この小説ほどピッタリ人間一人分の等身大を体験したのはあまり記憶にありません。 この小説に救われる人、苛立つ人、理解不能な人、色々な人がいると思う、それはこの小説が脚色無く人間一人分だから。

Posted byブクログ

2021/12/23

二つの体験をする。 一つは、誰かを「 推す」とはどのようなことか。主人公が、大自然の中で日の光を全身に浴びながら空気を肺いっぱいに吸い込むように、推しから溢れるものを何もとりこぼさずに自分の中に取り入れておこうとする感覚が、心地よくて切ない。推しがいる楽しみよりも、その儚さや脆さ...

二つの体験をする。 一つは、誰かを「 推す」とはどのようなことか。主人公が、大自然の中で日の光を全身に浴びながら空気を肺いっぱいに吸い込むように、推しから溢れるものを何もとりこぼさずに自分の中に取り入れておこうとする感覚が、心地よくて切ない。推しがいる楽しみよりも、その儚さや脆さが強烈に残る。 もう一つの体験は非定型発達の人間として「普通」の社会を生きること。主人公と恐らく同じ診断名を持つ私にとっては、サブリミナル的に差し込まれる他人がリマインドしてくるあれこれや、マルチタスクの全てが停止してしまうときの思考回路、「またそのせいにするんだ」という家族からの言葉、全部恐ろしくよみがえってきた。アルバイトのシーンは、主人公の鼓動の速さまで体験させられるような辛い場面だった。 二つの体験が呼応し合って「誰にも私の気持ちはわかるまい」という諦観の念と、その諦めを拠り所として誰かと自分を重ねる気持ちと、「なぜわからないものをそのまま受け入れて許してくれないのだろう」という悲しみがたくさん押し寄せてくる。 苦しかったけど、良い体験だった。

Posted byブクログ

2021/01/22

芥川賞を受賞したとニュースになっていて、インパクトのあるタイトルと「推しが炎上した、ファンを殴ったらしい」という紹介文の一説が気になって電子版を即購入しました。 ページ数は140ページ程と差程多くはなく、数時間で読むことが出来ました。 アイドルファンの女の子が生活に悩み推し事に時...

芥川賞を受賞したとニュースになっていて、インパクトのあるタイトルと「推しが炎上した、ファンを殴ったらしい」という紹介文の一説が気になって電子版を即購入しました。 ページ数は140ページ程と差程多くはなく、数時間で読むことが出来ました。 アイドルファンの女の子が生活に悩み推し事に時間を費やしという、どこか泥臭さを感じる作品だと思います。 私にも推しがいるので、作品の主人公と応援スタイルは違いますが共感できる部分も多かったです。 また主人公の生活に関する描写が妙に生々しく、私もあまりまともな生活を送って居ないので胃が痛かったです。 しかし同時に今推しが存在していることと、家があり寝床があり仕事があり迎え入れてくれる家族がいることに感謝しようとも思えた作品です。 -追加- 幼少から本が好きで図書館を利用したり自分で購入したりもしましたが、近年は読書は好きだけど反面億劫にもなっていました。 買うにしても「推しが舞台をやったから」とか理由が無いと買えない感じで…タイトルに惹かれて衝動買いし、ほぼ1日で読み切ったのなんて久しぶりです!!

Posted byブクログ

2021/01/21

祝、芥川賞。 宇佐見りんさん、史上三番目の若さでの受賞とのこと。 芥川賞作品は短いので、何がしかの待ち合いに読むのにマッチする(笑) この本の場合は歯医者さんの診察待ちで読んだ。 「推し」についての小説。 全般に不安定でスマートには進まない。 つまづきながら歩む。 時に二本...

祝、芥川賞。 宇佐見りんさん、史上三番目の若さでの受賞とのこと。 芥川賞作品は短いので、何がしかの待ち合いに読むのにマッチする(笑) この本の場合は歯医者さんの診察待ちで読んだ。 「推し」についての小説。 全般に不安定でスマートには進まない。 つまづきながら歩む。 時に二本足歩行もできなくなる。 主人公のあかりはそんな女の子だ。 あかりの推しのアイドル真幸は、ある時ファンを殴って炎上する。 そんな行動に幻滅するファンも多い中、あかりは真幸を解釈し続ける。まるで、自らが生き続けるための証を探し続けるかの如く。 というお話だが、 うーん、 「推し」のことはよくわからない! なんだか、新しい世界に出会ってしまいました。 とても若い作家さんなのに、主人公も若いのに、小説から若い熱量を感じないのが不思議(笑)

Posted byブクログ

2021/01/20

推しという存在が主人公にとっての背骨、という文に感服しました。 普段気軽な気持ちで推しという言葉を使いますが、自分にとっての推しとは、ということを考えさせられました。生活の一部であったり、心の支えであったり、大事なものであることは変わりませんがここまで探求するほどの熱意はきっと自...

推しという存在が主人公にとっての背骨、という文に感服しました。 普段気軽な気持ちで推しという言葉を使いますが、自分にとっての推しとは、ということを考えさせられました。生活の一部であったり、心の支えであったり、大事なものであることは変わりませんがここまで探求するほどの熱意はきっと自分にはないだろうな、と感じました。 全身全霊をかけて推しに捧げる精神は周囲から理解されがたいものでも生きている瞬間を与えてくれるのだと思いました。

Posted byブクログ

2021/01/20

空虚な自己にとって「背骨」たる「推し」。 絶え間ない動揺と衝動は、「推し」が燃えたから、そしてその後の顛末ゆえなのか、自己の内面から発するものか。 息苦しさを感じるような鬼気迫る文章。どこまでいっても「自分自身」と「推し」という狭い世界が、この主人公にとってはまさに「全て」なのだ...

空虚な自己にとって「背骨」たる「推し」。 絶え間ない動揺と衝動は、「推し」が燃えたから、そしてその後の顛末ゆえなのか、自己の内面から発するものか。 息苦しさを感じるような鬼気迫る文章。どこまでいっても「自分自身」と「推し」という狭い世界が、この主人公にとってはまさに「全て」なのだ。それが説得力を持って迫ってくる。令和ならではの物語。

Posted byブクログ

2021/07/17

推し、燃ゆ 著作者:宇佐美りん 発行者:河出書房新社 タイムライン http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698 ままならない人生を引きずり、祈るように推しを推す。そんなある推しがファンを殴った。

Posted byブクログ

2021/01/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

推しがいる身として気になっていた作品を一気読み。 「或るアイドルを推す話」って以上に、あかりの生きづらさがずしりと迫ってくる話だった。たとえば「携帯やテレビ画面には、あるいはステージと客席には、そのへだたりぶんの優しさがあると思う。」という部分。私も似たようなことを感じることがあるけど、あかりの生きづらさを絡めるとまた違った響きが出てくる。 推しへの感情の表現とか、途中で出てくるブログの文章とか、リアルだなこういうファンの子いそうだなと感じつつ、そこからあかりのアンバランスさが透けてくる具合が絶妙だと思った。

Posted byブクログ