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灯台からの響き の商品レビュー

3.9

69件のお客様レビュー

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2024/08/11

中華そば屋「まきの」。妻に宛てられたハガキに隠されていた事実を知ること。灯台巡り。友人から勧められた本の数々。友人や息子、娘、友人の子どもの存在。これらは、妻を亡くした康平が徐々に立ち直っていくまでに必要だったものだ。 読了後、夫婦だからといって、すべてを知る必要はないれども、...

中華そば屋「まきの」。妻に宛てられたハガキに隠されていた事実を知ること。灯台巡り。友人から勧められた本の数々。友人や息子、娘、友人の子どもの存在。これらは、妻を亡くした康平が徐々に立ち直っていくまでに必要だったものだ。 読了後、夫婦だからといって、すべてを知る必要はないれども、思いがけないよさを改めて知ると、嬉しいだろうなと思った。また、人を本当に助けることとはどういうことかも考えさせられた1冊だった。

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2024/07/20

久々の宮本輝。 中華そば屋を営んでいた康平は、妻が亡くなった後店を閉めていた。未読の本から妻宛のハガキを見つけ、妻との会話を思い出す。 なぜ、妻はこのハガキをとっていたのか、妻が隠していたことはなんなのか。康平は、その謎をたどることを決め、徐々に妻の過去をさかのぼっていく。 登場...

久々の宮本輝。 中華そば屋を営んでいた康平は、妻が亡くなった後店を閉めていた。未読の本から妻宛のハガキを見つけ、妻との会話を思い出す。 なぜ、妻はこのハガキをとっていたのか、妻が隠していたことはなんなのか。康平は、その謎をたどることを決め、徐々に妻の過去をさかのぼっていく。 登場人物一人一人の書き方が丁寧でよかった。

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2024/06/27

久しぶりに書く。 「お前と話しているとおもしろくなくて、腹がたってくるんだ。」 「諧謔、ユーモア、議論用語、アルゴリズム、、、。それら『雑学』、愚にもつかない幼稚な話。でも、それによって各人が読んだり聞いたりして得た『雑学』の程度の差が露呈するんだ。お前にはそれが全くないんだ。」...

久しぶりに書く。 「お前と話しているとおもしろくなくて、腹がたってくるんだ。」 「諧謔、ユーモア、議論用語、アルゴリズム、、、。それら『雑学』、愚にもつかない幼稚な話。でも、それによって各人が読んだり聞いたりして得た『雑学』の程度の差が露呈するんだ。お前にはそれが全くないんだ。」 〜〜 これに似た様な言葉を、相手の顔に見た時から私は本を読む様になった。 このような気付き、気付かされで読書を始めた人は少ないはず。  24歳からの牧野康平が、見つめた世界『一瞬の中の永遠』を出雲日御碕灯台に味わいたい。 妻の5周忌も近い。

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2024/06/24

人々の関係性、そこに込められた意味、全てが最後につながり読者の心を動かす。そんな本なのかなと感じました。宮本輝さんの作品はこれがはじめてですが、最初にこれを読めて幸せだだと思いました。目に見えているものがすべてではない、ふとそう思いました。

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2024/06/01

妻と二人三脚で中華そば屋を切り盛りしてきたが、2年前に妻に先立たれたことで店も休業し無気力になっていた62歳の主人公。 彼が趣味の読書をしている時に偶然見つけた妻あての葉書。。それをきっかけに灯台巡りの旅に出るお話です。 妻の過去を探る灯台巡りはやがて、彼自身の過去を見つめなお...

妻と二人三脚で中華そば屋を切り盛りしてきたが、2年前に妻に先立たれたことで店も休業し無気力になっていた62歳の主人公。 彼が趣味の読書をしている時に偶然見つけた妻あての葉書。。それをきっかけに灯台巡りの旅に出るお話です。 妻の過去を探る灯台巡りはやがて、彼自身の過去を見つめなおす旅となります。 娘、息子達との親子の会話で救われ、幼馴染の親友に助けられ、自身の父とコツコツつくったスープの滋味深い味わいに背中を押され、亡き妻に語りかけながら前進してゆく様は明るく、歳を重ねた人間ほど共感するところが多いことと思います。 妻の秘密は、え?そんなこと?!というレベルでしたが、そんな些細なことを生涯隠し続けて、それが一人の少年を救い、彼の生涯の灯台となり続けているのだからとても尊いことですね。 派手な事件は起きず淡々と物語は進みますが、どんなに平凡な人生にもその人だけの物語がある、と思わせてくれる心温まる作品でした。 人は、生きている間にどれだけの人に影響を与え、影響を受けるのでしょうか。恥ずかしくない生き方をしなければなりません。

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2024/03/13

前回の読書会でなんとなく借りて帰った、わたしにとって初めて読む宮本輝作品。お名前と著者名は数冊知っていたけど、今まで手に取ることはなかった作家さん。漠然と美しい日本の小説を書く人(知っていたタイトル名からの推察)と思っていたが、そのイメージはあっていた。 主人公は、板橋の商店街...

前回の読書会でなんとなく借りて帰った、わたしにとって初めて読む宮本輝作品。お名前と著者名は数冊知っていたけど、今まで手に取ることはなかった作家さん。漠然と美しい日本の小説を書く人(知っていたタイトル名からの推察)と思っていたが、そのイメージはあっていた。 主人公は、板橋の商店街で父の代から続く中華そば屋の店主。2年前に長年一緒に店を切り盛りしていた妻に先立たれ、それ以来現在までお店をお休みしている。30年前に届いた妻宛ての謎の葉書が蔵書している本の間から出てくるところから物語は始まるのだが、 …いやぁ…味わい深い物語だった。 一見するととても地味なんだけど、 読んでいる間中、なぜかふんわり幸せな気分になる小説。 これってわたしだけかな? なんでもなさそうな日常の中から、小さなさざなみが立ち上がって消えて、悲しんだり、傷ついたり、喜んだり、怒ったりしながら日々を紡いでいく。 ひとりひとりの人生は、ささいな出会いや別れ、小さなアクシデントから積み重ねられてその人なりの味になるんだなぁ…と当たり前ながら改めて思わされる内容だった。 それにしても去年出雲に行った時に、日御碕灯台に行かなかったことが悔やまれるな。 まあでも、この小説を読んで、あの時行かなかったことを悔やむこの経験も、 今から先、もしかしたらまた訪れるかもしれない可能性を孕んだわたしの人生のわずかな彩りになるのかも、と思えばちょっと痛快。

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2024/01/29

宮本輝の本をこの歳になって初めて読みましたが、今だからこそ、ゆっくり味わうように読める時間のなかで読んだからこそ、そのよさをじわじわと感じることができました。 この人の本をまた読みたいなと純粋に思えた、そんな本でした。

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2023/12/31

ホーキング博士の言葉、「地球での100年は宇宙では一瞬の事」。 その中で我々は生きて笑ったり怒ったりしている、なんて些細な事なんだろうか。 でもその積み重ねが大事なんだと思う。 亡くなった妻、蘭子を妻にして正解だったと康平は思ったんだろう。 そういう意味ではハッピーエンドな物語だ...

ホーキング博士の言葉、「地球での100年は宇宙では一瞬の事」。 その中で我々は生きて笑ったり怒ったりしている、なんて些細な事なんだろうか。 でもその積み重ねが大事なんだと思う。 亡くなった妻、蘭子を妻にして正解だったと康平は思ったんだろう。 そういう意味ではハッピーエンドな物語だった。

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2023/12/28

60歳を手前に妻の蘭子を亡くして二年、主人公の康平は営んできたラーメン屋を休業。30年以上ともに働き、歳を取ったら働いてためたお金で二人で旅をしよう。そう約束をしていた矢先に蘭子を亡くしたことで、康平は失意の日々を送ってしまいます。そんな時に読んでいた本から落ちてきた20年前に蘭...

60歳を手前に妻の蘭子を亡くして二年、主人公の康平は営んできたラーメン屋を休業。30年以上ともに働き、歳を取ったら働いてためたお金で二人で旅をしよう。そう約束をしていた矢先に蘭子を亡くしたことで、康平は失意の日々を送ってしまいます。そんな時に読んでいた本から落ちてきた20年前に蘭子あてに届いた灯台が描かれた1通の手紙。蘭子は差出人の小坂真砂雄のことは知らないと言っていたものの・・・。康平は灯台巡りのため、人生初の一人旅をはじめますが、その旅の中には他にも色々な初体験があって、康平の心には変化が。個性のある魅力的な登場人物たちとの関わり方も旅を開始してから変わっていき、謎も徐々に解けていって、、、。主人公と一緒に各地を巡っているような、追体験をさせていただけたかな、と思います。

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2023/09/30

長年連れ添った夫婦と言っても、お互いの知り得ない秘密や過去の出来事があったりする。 夫婦じゃなくても、友達や自分の親だったり、お世話になった先生、近所のおじさん、おばさん、おじいちゃん、おばあちゃん。 何かのきっかけでそういう部分に触れて、その人の印象が変わったり、認識を改める...

長年連れ添った夫婦と言っても、お互いの知り得ない秘密や過去の出来事があったりする。 夫婦じゃなくても、友達や自分の親だったり、お世話になった先生、近所のおじさん、おばさん、おじいちゃん、おばあちゃん。 何かのきっかけでそういう部分に触れて、その人の印象が変わったり、認識を改める事になると思う。 主人公の康平は、若い頃に奥さん宛てに届いた年賀状を、読んでいた本から発見する。 そこから康平の灯台巡りの旅が始まる。 普段何気なく付き合っている人の中にも、様々な人生を経て今があるんだろうと思いが巡る。 個人的には、自分もお店を経営している事もあって、康平が「まきの」という中華屋の店主である事に親近感を持てた。

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