アノニム の商品レビュー
ジャクソンポロックの作品は好きだし、オークションの世界も面白そうだし、エンタメ的に気楽に読めそう、とあまり期待する事なく読み始めたが、意外や意外、とても良かった。 アート義賊?集団アノニムの仕事ぶりは爽快。ルパン三世を見る時の様な面白さがあったし、オークションでポロックの『ナンバ...
ジャクソンポロックの作品は好きだし、オークションの世界も面白そうだし、エンタメ的に気楽に読めそう、とあまり期待する事なく読み始めたが、意外や意外、とても良かった。 アート義賊?集団アノニムの仕事ぶりは爽快。ルパン三世を見る時の様な面白さがあったし、オークションでポロックの『ナンバーゼロ』が記録的落札価格をつける瞬間に至るシーンは最大の見せ場として臨場感を味わえた。 これだけで十分楽しめるエンタメ小説なのだが、そこにアートを愛する香港の一高校生が関わる事でこの小説にもう一つの面白さとメッセージが込められている事に気づく。 アートが世界を変えられるかもしれない、アートの力を信じると言う作者の強い思い、揺るぎのない信念。マハさんがこの小説を書かれたのは香港の大規模な反政府デモの真っ最中の頃だったかと思うが、よもや今のコロナ禍にも同様に通じるメッセージと捉えたい。どんな困難な時代にも揺るぎのない信念と希望を持ち続けようと語りかけてもらったみたいで、こんな世の中だからこそなのかもしれないが、とても心に響く読後感だった。 アートが好きな人にもそうでない人にもお勧めしたい。
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原田マハさんの作品は登場する美術品を実際に調べて観ながら読むスタイルをとっています。今回もジャクソン・ポロックの作品を観ながら読みました。ピカソを乗り越えるために新しい技法に情熱を注いだ姿とアートの力で現状に一石を投じた姿が重なって描かれて、純粋な“熱”に胸が熱くなりました。 ...
原田マハさんの作品は登場する美術品を実際に調べて観ながら読むスタイルをとっています。今回もジャクソン・ポロックの作品を観ながら読みました。ピカソを乗り越えるために新しい技法に情熱を注いだ姿とアートの力で現状に一石を投じた姿が重なって描かれて、純粋な“熱”に胸が熱くなりました。 アノニムのメンバーも個性的でみんな格好良くて、メンバーが活躍する別の作品もこれから書いてもらえると嬉しいなぁと思いました。
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アートを金や権力の手段から守るべく、チーム<アノニム>がポロックの「ナンバー・ゼロ」を巡り奔走する、007のような疾走感ある小説。 アートの可能性を感じながら、なかなか活動を形にできずにいる香港の17才、張英才を鼓舞するーー「アートの力を信じろ」と。 どの作品にも底通する作者の...
アートを金や権力の手段から守るべく、チーム<アノニム>がポロックの「ナンバー・ゼロ」を巡り奔走する、007のような疾走感ある小説。 アートの可能性を感じながら、なかなか活動を形にできずにいる香港の17才、張英才を鼓舞するーー「アートの力を信じろ」と。 どの作品にも底通する作者のアートへの愛情と尊敬を、ハラハラドキドキのエンターテイメントで表現した本作。 作品が元あるところへ戻る深い感動、深い納得感は「暗幕のゲルニカ」には及ばずかな。
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アートには世界を変える力は無いのかもしれない。けれど、ひょっとすると、アートで世界を変えられるかもしれないと思うことが大切なんだ。英才 アートに限らず、「自分の信じる何か」で世界…とまでいかなくても身近な何かから変えられるかもしれないと言う思いが大切だと思う。 実際変えられると...
アートには世界を変える力は無いのかもしれない。けれど、ひょっとすると、アートで世界を変えられるかもしれないと思うことが大切なんだ。英才 アートに限らず、「自分の信じる何か」で世界…とまでいかなくても身近な何かから変えられるかもしれないと言う思いが大切だと思う。 実際変えられると思う。
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著者にしてはエンターテインメントに振った感のある1冊。 絵画ビジネスやオークションの雰囲気も味わえ、まだ若者の民主化に対する勢いがあった頃の香港もきれいに切り取られている。 かの地の現状を思うと暗澹となってしまうが。
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アートは富裕層の嗜みだと僕も思っていた。 でもそれは思い込みだったみたい。 これまでは美術館にいったとき、今そこにある絵一枚だけを目に入るままに数秒でさーっと流し見をしてしまっていた。大体の人はそうじゃないだろうか? でも本書を通して例えばジャクソン・ポロックってそんな試行錯誤...
アートは富裕層の嗜みだと僕も思っていた。 でもそれは思い込みだったみたい。 これまでは美術館にいったとき、今そこにある絵一枚だけを目に入るままに数秒でさーっと流し見をしてしまっていた。大体の人はそうじゃないだろうか? でも本書を通して例えばジャクソン・ポロックってそんな試行錯誤をして作り上げた作品なんだ!って知った途端に同じ絵が違って見えた。 この本を通しての気づきは、傑作と言わしめるものが生まれた時代ってどんなだったんだろうとか、アーティストがそれをどう感じてどんなふうに考えて作ってたんだろうって想像しながら観たことはこれまでなかったから、そういった本当の意味で「鑑賞」するとアートってものすごく楽しめるんだろうなということ。 原田マハさん、そんなキッカケをくれてありがとうございます。 この本の舞台は富裕層の集まるアートオークション会場だけど、富裕層以外にもアートをもっと開きたい、そんな意気込みを勝手に感じることができる良書でした。
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ポロックの掘り下げを期待したが、エンターテイメントに軸足を置いていて、残念な気がした。読み物としては面白いのですよ。
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主要人物の紹介が漫画仕立てになっていたので、読んでいても何となく漫画チックに感じてしまった。 読みやすく面白いが、結末が予想通りでもう少し捻りが欲しかったと思う。 現在の香港の実情を憂うとギャップがあって気分が落ち込んでしまう。 ただ美術関連についてはズブの素人であるので、知識と...
主要人物の紹介が漫画仕立てになっていたので、読んでいても何となく漫画チックに感じてしまった。 読みやすく面白いが、結末が予想通りでもう少し捻りが欲しかったと思う。 現在の香港の実情を憂うとギャップがあって気分が落ち込んでしまう。 ただ美術関連についてはズブの素人であるので、知識としての吸収がある事はこの作家のこの手の作品の魅力だ。
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アート関連の小説を多く書く、原田マハさんの1冊。 舞台は香港。 1枚の傑作絵画を、オークションで争う内容。 1枚の絵画に対して、背後には様々な思惑や才能があり、面白く読める1冊。 自分が世の中を変えられる、と信じる大切さがメインテーマとなり、改めて自分は何をしたいのか、何か影...
アート関連の小説を多く書く、原田マハさんの1冊。 舞台は香港。 1枚の傑作絵画を、オークションで争う内容。 1枚の絵画に対して、背後には様々な思惑や才能があり、面白く読める1冊。 自分が世の中を変えられる、と信じる大切さがメインテーマとなり、改めて自分は何をしたいのか、何か影響を与えたいのか、を考えさせられる1冊。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
2021.7.30 マハさんの作品は大好きなものが多いけど、これはちょっとがっかりしてしまった。 ミリが英才の手を見てアートが好きな少年と認識したのは理解できるが、キャンバスも買えない貧困家庭で、新聞に描き殴って自己満足してるような英才の才能をどうやって見つけたのか謎。 難読症が簡単に解決するとも思えず。 ゼウスが何者なのか、ヘロデはその後どうなったのかも気になる。 アノニムのメンバーも個性的なキャラクターが多いにも関わらず、ほとんど出てこない人も多いし、 もったいないなあって思う。 後半の流れも予想通りというか、一切ハラハラすることもなく。笑 淡々と読み終わったな。残念。
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