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一人称単数 の商品レビュー

3.5

381件のお客様レビュー

  1. 5つ

    46

  2. 4つ

    116

  3. 3つ

    138

  4. 2つ

    31

  5. 1つ

    8

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2020/08/01

1週間位かけてゆっくり読んだ。何というか自叙的、回顧的な内容が多かったな。With the Beatlesも良かったけど個人的なベストはチャーリーパーカープレイズボサノヴァ。風の歌を聴けを思い出した。

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2020/08/01

何編かの自伝のような小説を含む。「品川猿の告白」がいいな。久しぶりの品川猿。そして、「ヤクルトスワローズ詩集」のようにカープを書いてくれる人はいないか・・・。

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2020/07/31

 ひとつひとつの話は好きじゃない。1話目で読むのを辞めようか迷う。  しかし、『短編集』というジャンルの使い方は凄まじい。  例えるなら、『スイミー』みたいな。それでその目(スイミー)はきっと最終話なんだと思う。

Posted byブクログ

2020/07/31

 なぜか村上春樹の短編小説が好きである。むしろ長編小説よりも好きかもしれない。ちなみにエッセイも好きである。思考回路が少し常人と違うのではなく、きっとイメージ力が常人より優れているから、個性的で愉快なメタファーが、長編小説よりも頻出するんだろうと思う。  短編小説は長編小説のよ...

 なぜか村上春樹の短編小説が好きである。むしろ長編小説よりも好きかもしれない。ちなみにエッセイも好きである。思考回路が少し常人と違うのではなく、きっとイメージ力が常人より優れているから、個性的で愉快なメタファーが、長編小説よりも頻出するんだろうと思う。  短編小説は長編小説のようには主人公との付き合いが長くないし、物語もあっという間に終わってしまう。なのでその分だけ、少し頑張らないと記憶に残らないし、面白くないとエッセンスとしての小説が味わえない。短いけれど濃縮されているから、きっと短編小説は面白いのだ。いや、どの作家の短編小説も面白いというのではなく、むしろほとんどの作家については、長編小説より短編小説のほうが面白いなんて思いもしない。  でもよく言う<短編小説の名手>とは、小説作りがとても上手いのだろう。そういう作家は多くはないけれど、そんなに少なくはない、というのがぼくの印象だ。  『石のまくらに』は、『ノルウェイの森』の流れのような不思議な出会いと別れの小説だ。ヒロインの性格を印象的に見せるのが、彼女の創る和歌なのだが、村上散文ワールドには珍しい一面である。  『クリーム』は、新手のハードボイルド・ワンダーランドかもしれない。不思議な出来事を体験する主人公は、その意味を考え込まざるを得なくなる。その考えこむ不思議そのものがテーマとなっているような一篇だ。  『チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノバ』は作者の好きなジャズがテーマ。バードが1955年に亡くなっていることや、ボサノバが初めてブレイクしたのが1962年という情報は個人的に勉強になったが、だからこそ生まれる矛盾のテイクが、あり得ないレコードがファンタジックな道具となった一篇。  『ウィズ・ザ・ビートルズ』は本書中一番長い作品。ぼくの少し上のベビーブーム世代はビートルズのヒット曲に「壁紙のように囲まれて」育ったのだそうだ。ぼくがビートルズを聴き始めた途端に解散してしまった。そういう音楽の話から物語は懐かしい恋愛体験と、その現在へと時の流れを感じさせながら移行する。読出しと読み終わりの印象が全然異なる作品だ。  『ヤクルト・スワローズ詩集』では「ぼく」が村上の姓で登場。ジャイアンツ戦以外はいつでも空いている神宮球場のスローな野球観戦が好きで、スワローズ詩集を自費出版して遊んでいたという。散文作家による韻文の少し首を傾げたくなる(笑)詩が沢山登場するサービス篇。  『謝肉祭』では、醜い、と明確に形容する女性との出会いと別れを語りつつ、人間の本質や魅力の謎に迫る、少し哲学的な作品は、驚きのラストで終焉する。  『品川猿の告白』はこの作家によくあるSF的で変な話。こういう面白さに引きずられて次々と読み進んでしまうのが、村上ワールドなんだろうな。現代の寓話というにはリアルすぎて、ひょっとしたらあり得そうな感覚に陥ってしまうのだ。  『一人称単数』は、ことによると本書中、不思議さではナンバーワンである話かもしれない。本作だけは書き下ろしだそうで短編集のタイトルにもなっている話で、しかも落としどころが掴みにくい作品。作者は読者を化かして、この一冊を切り上げたかったんだろうか? だから最後に持ってきたのだろうか? 一番化かされているのは、化けたつもりだった主人公であることに間違いはないのだけれど。

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2020/07/31

村上春樹の短編集。自伝のような内容からエッセイのような内容まで幅広く、この何とも言えないグラグラとした感じが村上春樹っぽいな、と感じたりもしました。 一方、村上春樹特有の比喩(たとえ)に、私自身、あまり切れ味の良さを感じる事が出来ませんでした。これは、自分の感受性が変わったのが...

村上春樹の短編集。自伝のような内容からエッセイのような内容まで幅広く、この何とも言えないグラグラとした感じが村上春樹っぽいな、と感じたりもしました。 一方、村上春樹特有の比喩(たとえ)に、私自身、あまり切れ味の良さを感じる事が出来ませんでした。これは、自分の感受性が変わったのが一番大きいとは思います。言い換えるなら村上春樹が研ぎ澄ました感性と、私の育ててきた感性がズレているんだろうな、と思います。 本の内容自体は非常に面白く、読み始めればグイグイと文章に引き込まれてしまい、村上春樹の筆の強さ(豪腕ぶり)を存分に味わえますね。そう言う意味では、今作も非常に楽しめました。 長編も含めてあと何作品、新作が読めるのか分かりませんが、引き続き村上春樹の新作を楽しみに待ちたいと思います。

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2020/07/30
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細かな描写で、春樹節が冴える。 モチーフは、今までも見たことがあるタイプだが、 洗練度はさすがと言わざるを得ない。 今回も、楽しめました。

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2020/07/30

普段の暮らしのなかで一人称の語りにじっくり耳を傾けることってどれくらいあるんだろう.SNSに垂れ流される何人称かもわからない記号の羅列に晒されてで生きる私にとって,ひさびさに読む村上春樹の語りからは違和感を感じ続けて読み終えた. そろそろ長編が読みたい.

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2020/07/29

一見脈絡の無さそうな8つの物語からなる短編集ですが、緩やかに全体を結びつけるキーワードは「記憶」になるのかな、と感じました。 全体的に「渾身の一冊!」といったような重さは無く、いい具合に力が抜けており、村上さんの数多い作品の中で見ると「佳作(=できばえの良い作品)」という言葉本...

一見脈絡の無さそうな8つの物語からなる短編集ですが、緩やかに全体を結びつけるキーワードは「記憶」になるのかな、と感じました。 全体的に「渾身の一冊!」といったような重さは無く、いい具合に力が抜けており、村上さんの数多い作品の中で見ると「佳作(=できばえの良い作品)」という言葉本来の意味がぴったり合いそうな、そんな感じの一冊です。

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2020/07/29

「異性との刹那的な出会い。」 「小洒落た固有名詞の引用。」 「主人公の平凡さの強調と、対をなす様な「陰」の世界。」 「性描写の美的感覚。」 どの文章も映画を読んでいるように頭にありありと情景が浮かぶ。好きとか嫌いとかじゃなくて純粋に表現力と感性に感動する。 たまたま谷崎潤一郎...

「異性との刹那的な出会い。」 「小洒落た固有名詞の引用。」 「主人公の平凡さの強調と、対をなす様な「陰」の世界。」 「性描写の美的感覚。」 どの文章も映画を読んでいるように頭にありありと情景が浮かぶ。好きとか嫌いとかじゃなくて純粋に表現力と感性に感動する。 たまたま谷崎潤一郎のあとに、この短編集を読んだけど、勝手に似てる感じがした。 そこそこハイソな人間の書く、人間的だけど非現実的で現実的な世界。 後で自分の小ささを恥じるとして、今の直感的には「なんかうざい」

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2020/07/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

石に漱ぎ流れに枕す。 夏目漱石の由来となったと言われる故事ですが、 本書一つ目の「石のまくら」は少し漱石と猫を想起させる表現がまぎれてる気がした。 名前はまだないと言うより、「もうない」と言う表現の方があってるような気もするが、それはちょっと言い過ぎかな。 それに他の短編が漱石かと言うとそうでもないし、なんとなくなんとなくだった。 猿並みのブスと人より人をしてる短編があったり構成自体も、どこか身近な異界に優しく身を委ねさせてくれる。その時の気分で気になる話が変わるのかな? 個人的に神戸に住んでいたことがあり、高校は大阪にあったので、「クリーム」や「ヤクルトスワローズ詩集」の舞台はすごく面白い。「色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年」「騎士団長殺し」もそうだったけど、少し境界的な、特殊な土地柄の舞台設定を偲ばせるのは村上春樹の上手いところと思っていて、僕自身が水墨画家なんて余白を扱う人間からするとマージナルやらリミナリティやらの文章に触れるとテンションが上がってしまう。 ファッション的にもキャラクター的にも「一人称単数」のスーツをたまに着る設定もまさにと肌感覚だし、最近じゃバーで酒嗜む程度になってきたし本も開いたりもするので、もはや恥ずかしくなる。女に絡まれたことはないけど、絡まれないようにウォッカギムレットは人がいないときに頼むとしようか。

Posted byブクログ