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一人称単数 の商品レビュー

3.5

381件のお客様レビュー

  1. 5つ

    46

  2. 4つ

    116

  3. 3つ

    138

  4. 2つ

    31

  5. 1つ

    8

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2020/08/11

一人称単数 つまり 僕が語る8話の話し まるで事実のように思わされるのは流石 でもやはり事実? 表紙が印象的 そして猿がLPレコードをかけようつぃている絵も うんうんと ちょっとかっこつけすぎだけど 文が流れるようでひきこまれる 面白かった デス ≪ 短編を あるかのごとく...

一人称単数 つまり 僕が語る8話の話し まるで事実のように思わされるのは流石 でもやはり事実? 表紙が印象的 そして猿がLPレコードをかけようつぃている絵も うんうんと ちょっとかっこつけすぎだけど 文が流れるようでひきこまれる 面白かった デス ≪ 短編を あるかのごとく 語る君 ≫

Posted byブクログ

2020/08/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

読書に興味を持ち始めた若い頃に何を読めばいいのか分からずとりあえず手に取ったのが村上春樹だった。正直なところ面白さの半分どころか3分の1ほどしか理解できていなかったが、当時の自分は周りの人たちに村上春樹が好きだと公言していた。 有名な人だし、毎年のようにノーベル文学賞の話題に挙がる人だから面白くないわけがないと思っていた。だから初期の作品から割と新しめの作品まで片っ端から読んだ。1973年のピンボール、ねじまき鳥クロニクル、ノルウェイの森、どれも面白いと思うことにしていた。 それから20年近く経ち、さまざまな小説を読んできて漸く分かったことがある。 それは、村上春樹の小説はメタファーに隠された意味を深く読み解くところに楽しみを見出すことができないと、魅力は半減してしまうということだ。 言葉をそのままの意味で捉えても、前後の文章と繋がらず、意味が分からないことが多い。ダブルどころかトリプルミーニングにもなっているのではないかと思われるような言葉や仕掛けがそこら中にあるのだ。何か意味があるように見せかけて実は何も意味がないのかも知れない。そんなことを読者に考えさせるのも村上春樹の力なのだろう。 勿論、中にはあまり深読みしなくても抜群に面白い作品もある。例えば「海辺のカフカ」の上巻(下巻は深読みが必要だ。)や「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」は最高におすすめだ。 今回の短編集に関して言えば、深読みが必要な作品は半分程度の割合だ。ふとした成り行きで一夜を共にすることになった、短歌をつくっている女性とのエピソードである「石のまくら」、ある女の子から招待されたピアノ演奏会の、会場近くの公園で出会った奇妙な老人が印象的な「クリーム」は、さまざまな解釈で読むことができそうだ。 もう一つの魅力は文章から醸し出される独特の雰囲気だろう。現実と非現実が交差する幻想的且つ、ノスタルジアを感じさせる文章。いつの間にかクセになってしまい、ページを繰る手が止まらなくなるのだ。世の中にハルキストと呼ばれる人たちが沢山いることに納得できる、不思議な魅力がある。 この感覚は先ほどの二作と、若き日にジョークで書いた架空の批評と同じタイトルのレコードを、中古レコード店で見つけてしまう「チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ」、ビートルズのLPを大事そうに胸に抱えていた1人の女の子と、人生で初めて付き合った女の子とその兄との思い出を語る「ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles」から特に感じられるだろう。 僕の記憶に残っている女性たちのなかでいちばん醜い女性との交流と、大学時代のダブルデートで知り合ったあまり容姿がぱっとしない女の子とのエピソードを描く「謝肉祭(Carnaval)」の最後にはこんな一文がある。 「それらは僕の些細な人生の中で起こった、一対のささやかな出来事に過ぎない。今となってみれば、ちょっとした寄り道のようなエピソードだ。もしそんなことが起こらなかったとしても、僕の人生は今ここにあるものとたぶんほとんど変わりなかっただろう。」 これは今回の短編集のすべての作品に共通する本質を捉えた一文でもある。村上春樹自身の人生におけるさまざまな体験に、あってもおかしくない、でも、現実にはあり得ない虚構を混ぜ込んだ8作。(小説というよりもエッセイに近い「ヤクルト・スワローズ詩集」は除くべきかもしれない。) 村上春樹の魅力を存分に堪能出来る一冊である。

Posted byブクログ

2020/08/10

村上春樹というヤマカッコ付きの〈私〉の物語。「ヤクルトスワローズ詩集」は、ニヤニヤしながらときには吹き出すほどのハルキ文学には珍しいほど肩の力が抜けた愉快さがあったし、純粋に面白かった!かつては「事実」であったはずの出来事を〈語る〉私小説には〈騙り〉の要素があるのだ、なんてしかつ...

村上春樹というヤマカッコ付きの〈私〉の物語。「ヤクルトスワローズ詩集」は、ニヤニヤしながらときには吹き出すほどのハルキ文学には珍しいほど肩の力が抜けた愉快さがあったし、純粋に面白かった!かつては「事実」であったはずの出来事を〈語る〉私小説には〈騙り〉の要素があるのだ、なんてしかつめらしい講釈はいらないし、国語の授業みたいに象徴なんて探さなくっていいのだ。ビールみたいにあとは何にも残らない、おしっこみたいな短編集!しかも黒ビールな!(最大の賛辞です)

Posted byブクログ

2020/08/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

村上春樹の八編の短編集 不思議な本、というのが読み終わっての感想です。 語り手が村上春樹そのものに思えるような書き方のものもあり、フィクションなのか、ノンフィクションなのかわからないような曖昧な印象の短編集でした。 一つ一つがばらばらの短編で、読み切るまでに時間を要しました。 「石のまくらに」☆ 「クリーム」☆ 「チャーリー・パーカー」☆ 「ウィズ・ザ・ビートルズ」☆ 「ヤクルトスワローズ詩集」☆☆☆ 「謝肉祭」☆☆☆ 「品川猿の告白」☆☆☆ 「一人称単数」☆ 音楽にあまり詳しくなく、人生経験が足りないので、あまり入り込めなかったのかもしれないですが、以前にも村上春樹さんの本を読んで、わからない、となったのを思い出しました。抽象的な考えをするのが苦手なのでこの評価ですが、好きな人は好きなのかもしれません。 「もちろん負けるよりは勝っていた方がずっといい。当たり前の話だ。でも試合の勝ち負けによって、時間の価値や重みが違ってくるわけではない。時間はあくまで同じ時間だ。1分は1分であり、1時間は1時間だ。」 「時間とうまく折り合いをつけ、できるだけ素敵な記憶をあとに残すことーそれが何より重要になる。」 「幸福というのはあくまで相対的なものなのよ。違う?」

Posted byブクログ

2020/08/09

村上春樹の文体は好きだ。 ただ今回は2つほど、今の時代でその表現は…と感じる事があった… その表現こそが村上春樹ではあるんだけども。

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2020/08/09

8作から成る短編集であるが、8作を貫く統一的なテーマのようなものを見出すのは難しい。もちろん、短編集だからといってそうしたテーマが必要だということは決してなく、本作はそれぞれの短編の世界を存分に味わえば良い。 そう考えると、チャーリー・パーカーがボサノバを演奏していたら、という...

8作から成る短編集であるが、8作を貫く統一的なテーマのようなものを見出すのは難しい。もちろん、短編集だからといってそうしたテーマが必要だということは決してなく、本作はそれぞれの短編の世界を存分に味わえば良い。 そう考えると、チャーリー・パーカーがボサノバを演奏していたら、という架空のレコードについて語る「チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノバ」なんかは音楽ファンにとっては堪らない魅力がある。音楽のイマジナティブな側面を考えると、このような架空のレコードの存在を考えるのは、純粋に楽しい行為というのもあるが、新たな音楽を生み出す触媒にもなり得る。そもそもこの短編は本作で最も小説っぽくな作品であるが、それが故に強く印象に残った。

Posted byブクログ

2020/08/08

村上春樹は最も好きな作家だが、流石に面白くなすぎる。年々面白くなくなっていき、もはや底をついた感じである。歳を重ねて、時代の変容の中でも描くテーマを変えられないということなのかもしれない。彼は東日本大震災も描かなかったし、コロナも描かなかった。今この世界が激動するコロナ禍にあって...

村上春樹は最も好きな作家だが、流石に面白くなすぎる。年々面白くなくなっていき、もはや底をついた感じである。歳を重ねて、時代の変容の中でも描くテーマを変えられないということなのかもしれない。彼は東日本大震災も描かなかったし、コロナも描かなかった。今この世界が激動するコロナ禍にあって書いたのがこの本と父親の確執という個人的な話かというのが正直な感想。昔の素晴らしい作品群からの広がりや成長は見られない。天才でも歳には勝てないということかな。このネットの時代にあって、文学は世の中と乖離するのではなく、形を変えないと、こんな閉じこもった自己満足の日記みたいなの書いてたら廃れるのも然るべきだと思う。

Posted byブクログ

2020/09/14

4.0村上春樹の文のリズムが好き。スラスラ読める。品川猿みたいにプラトニックに生きたい。ウィズザビートルズみたいな話が好き。すべてがあり得ることのように思える。

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2020/08/06

いつもの村上春樹という感じ。最近書く側視点で読んでしまうところがあり,そこから見るとやっぱり上手いなぁとは思う。「品川猿」が妙に心に残る。

Posted byブクログ

2020/08/06

実は、村上春樹の本はそんなに得意ではなかった。たびたび性的な描写が出てきたり、登場人物の言動が洒落すぎていて少し鼻につくからだ。 しかし、この『一人称単数』は、いわゆる村上春樹的な作品と比較するととても自然体で書かれていて読みやすかった。 実際にいくつかの話では、主人公も20...

実は、村上春樹の本はそんなに得意ではなかった。たびたび性的な描写が出てきたり、登場人物の言動が洒落すぎていて少し鼻につくからだ。 しかし、この『一人称単数』は、いわゆる村上春樹的な作品と比較するととても自然体で書かれていて読みやすかった。 実際にいくつかの話では、主人公も20-30代の若者ではなく、現在の村上春樹と同じくらいの年齢の目線で描かれている。なかでも『ヤクルトスワローズ詩集』は主人公の名前も「村上春樹」で、ほぼフィクションと実話の境目が曖昧になっている。 どの話もテーマ性があるわけではないが、不思議と読み終わった後に心を動かされる。理屈ではなく五感で感じる、まるで心地よい音楽を聴いているかのような体験ができる。 ただ、『謝肉祭(Carnaval)』だけ少し表現がキツく、読むのがしんどかった。読む人を選ぶだろう。 一番のお気に入りは『チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ』だ。最後の一行に衝撃を受けた。

Posted byブクログ