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一人称単数 の商品レビュー

3.5

381件のお客様レビュー

  1. 5つ

    46

  2. 4つ

    116

  3. 3つ

    138

  4. 2つ

    31

  5. 1つ

    8

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2024/05/09

魅惑的な筋立ての中に心に刺さる会話やフレーズ

表題に暗示されているとおり、本書は、「僕」あるいは「私」を主人公、語り手とした、自伝的作品を含むバラエティーに富んだ8作品からなる短編小説集である。最後の表題作のみ書き下ろしであるが、他は2018年から2020年に「文學会」に掲載された作品であり、多くは、語り手が自身の10代や若...

表題に暗示されているとおり、本書は、「僕」あるいは「私」を主人公、語り手とした、自伝的作品を含むバラエティーに富んだ8作品からなる短編小説集である。最後の表題作のみ書き下ろしであるが、他は2018年から2020年に「文學会」に掲載された作品であり、多くは、語り手が自身の10代や若かりし頃の出来事を回想し述懐するスタイルとなっている。使われている言葉も文体も難しくはないが、著者の作意や寓意の難解な作品が並ぶ。それでも、読み手をその物語世界に引き込む筋立ては魅惑的であり、どの作品にも心に刺さる会話やフレーズがある。

fugyogyo

村上春樹らしさ

久しぶりの村上春樹の作品を読んだ。言葉の使い方がおしゃれな感じだけど、音楽のことが全然わからないから面白さを完全に理解することができなかった。 こんな感じだったかな? 短編なのでそれぞれの村上春樹らしさがでていて面白かった。 猿の話は、懐かしさを感じる作品だった。 読んで...

久しぶりの村上春樹の作品を読んだ。言葉の使い方がおしゃれな感じだけど、音楽のことが全然わからないから面白さを完全に理解することができなかった。 こんな感じだったかな? 短編なのでそれぞれの村上春樹らしさがでていて面白かった。 猿の話は、懐かしさを感じる作品だった。 読んでない本があるのでまた読みたくなった。

ゆう

2024/09/15

やっぱり村上春樹の短編集は良い 何故こんな邂逅に溢れた人生なのか もしくはある話を物語にすることが途轍もなく上手なのか 多分どちらもだけど、始まりは純粋であった頃の出会いなんだろうな

Posted byブクログ

2024/08/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

短編集。 同じアルバイト先の女性と夜を共にして、彼女が好きだという、自分ではない相手の名を呼んだこと。 彼女が書いて作ったという短歌集を、今でも手元に置いていること。 ピアノの演奏会に招待され会場に向かったものの、どういうわけかかつがれて、途方に暮れているところに姿をあらわした老人の言葉。 ジャズ演奏家に思いを馳せたこと。 学生の頃に付き合っていた彼女との日々。 彼女の兄と一度だけ話して、芥川の歯車を朗読したこと、何年か経って彼女の兄と偶然再会し、彼女が死んだと言うこと。 ヤクルトスワローズファンとしての日々。 醜いけれど堂々としていた女性と、音楽について語り合った思い出と、その彼女が犯罪者として逮捕されたこと。 寂れた宿で働く猿との出会い。 好きになった女性の名前を盗んだことのある猿と、自分の名前を思い出せなくなった女性のこと。 慣れないスーツを着て、初めて入るバーで見知らぬ女性に嫌悪を向けられたこと。

Posted byブクログ

2024/06/29

ときどき村上春樹が読みたくなる。なんでもない話しが面白くなる。普段は気づかないことにも意味があることを教えてくれる。

Posted byブクログ

2024/06/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「ヤクルト•スワローズ詩集」に、父親との思い出が描写されています。『半ばあきれたみたいに、半ば感服したみたいに』言うのが癖みたいです。 同時期に出た「猫を棄てる」も父親との関係をかいた読み物なので、父親の死のおおきな影響が窺い知れます。 相変わらず短編一つ一つの読後感はよいんだけれど、書き下ろしで表題作の「一人称単数」の後味の悪さよ…これを最後に持ってくる意味を考えますが、なかなかしっくりする答えは出てきません。 ただ、帯にかかれた言葉から類推するなら、世界のひとかけらを切り取る「単眼」が増えていくほど、自分が失われていく。その中での、自分の在り方を考えようというところでしょうか。

Posted byブクログ

2024/04/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

独特な世界観で、私には難しかったです 『品川猿の告白』は面白かった 「品川猿と呼ばれています」というこの猿は、なぜか働いていて状況がとてもシュールで笑けてきます。 アイラブNYのTシャツとハーフパンツ姿の猿と筆者が晩酌しながら恋バナしている光景が何度も思い返すと可笑しくて、楽しめました。

Posted byブクログ

2024/03/18

どういう目線で読み進めていけば良いかわからなくなる時があったけど、品川猿の告白は一番面白かったです。 石のまくらにも比較的好きなお話でした。

Posted byブクログ

2024/02/09

物性研の所内者、柏地区共通事務センター職員の方のみ借りることができます。 東大OPACには登録されていません。 貸出:物性研図書室にある借用証へ記入してください 返却:物性研図書室へ返却してください

Posted byブクログ

2024/01/18

全体を通して、ぼく、僕、私などの一人称単数の登場がある。しかし、村上春樹は〈私〉ではない一人の人間とすれば、〈私〉にとっては、三人称単数になるはずだ。 ところが、不可思議な世界に没入すると、〈私〉の経験のように感じてしまう。どこか上手いテクニックがあるのだろう。 そしてまた、...

全体を通して、ぼく、僕、私などの一人称単数の登場がある。しかし、村上春樹は〈私〉ではない一人の人間とすれば、〈私〉にとっては、三人称単数になるはずだ。 ところが、不可思議な世界に没入すると、〈私〉の経験のように感じてしまう。どこか上手いテクニックがあるのだろう。 そしてまた、どこまで村上春樹の体験なのかわからなくなる。単なるエッセイとも読めるからだ。しかし、文章の構造が精密になっているので、そこはテクニシャンたる村上春樹の世界だろうことは疑えない。

Posted byブクログ