破局 の商品レビュー

遠野遥(著者)

2022/12/30

直接的には描かれてないけど、主人公は厳しい父にレールを決められて生きてきたんだろうな。
だから、他者とのコミュニケーションは、ルールや常識に則ったものでしか行えない。しかも、自分の気持ちまでもそれに則って考える怖さ。

不気味で、恐ろしかった。

2022/12/29

「私」の一見、好青年のような振る舞いをえがきなから、高い表現力で端的に気持ちわるさを描いていて良い。
即物的にしか物を見れないのを批判的に描いている？
相手の女の人は逆にリアルをセックスで感じるように生身で感じてるってことなんかな

2023/01/21

2人の女性に「してやられたな～」という感想。
主人公・陽介は、人間味が欠けていながらも、人としてあり得ようとした。女性は大切にすべきと考える陽介に、2人の女性は寄り添えない。
彼女らは変化していく。陽介にはそれはわからないだろう。
男性を知って変わる灯。社会と関わり大人になっていく麻衣子。
上手くいえないが、変わりゆく女性に翻弄(又は傷つけられる)されるお話だと思った。

主人公が苦手という感想が多かったが、個人的には特に不快感は感じなかった。感じるべきなのかもしれないが。人としての負の部分がないが、うっっっすらと人への情はある人だと思った。
この主人公の性格を受け入れてしまうことで、読後が他人と変わっている気がする。

2022/12/16

いまいち盛り上がりどころはよく分からなかったけど、だんだんと途中からおかしくなり始めてるのは感じた。
みんななんかつまらない人みたいに登場人物の魅力が全く感じないのは陽介のフィルターを通しているからなのかな、陽介は見える限り求められたら答えるし、道にそれたことはしない、ちゃんといい大学にいって、彼女も今までも何人もいて、勉強もスポーツも挫折したことのない人。なにもない穴を覗き込んでいるような、なんかずっと違和感のある小説でした、

2022/12/14

思っていたよりずっと読みやすく、好感の持てる作品でした。 いわゆる今時のまっとうな感覚を持っているはずの青年にうっすら不穏な影がよぎる。 おそらく何もかもうまくいくよう、慎重にことを進めていたはずだ。なのに、、、なぜなんだ？ かつてのアメリカン・ニューシネマのように突然「破局」は訪れる。とても現代的なテーマが内包されているし、それは原因がよく分からないリセットしないと回復しないようなプログラムのバグみたいなものだろうか？

2022/11/29

個人的に主人公みたいな人間は割と好きだ。
規律やこうするべき思考に取り憑かれた自己研鑽エイリアンみたいな人間は本当に時折いる。

登場人物だいたい少しずつ邪悪な点も良かった。

性欲と愛情と父親への憧れが混ざりあってしまっているのもマージナルマンである大学生の時期特有の悩みらしさがあって良かった。

灯と付き合っているのにも関わらず麻衣子を家に入れてしまう際、麻衣子が言った言葉（灯がしてた事を私がしちゃいけないのはずるいという話）が陽介の中の理論と性欲に合致したんだろうなという点がありその辺りもこだわり行動が強めなのに快楽に流されやすい人間っぽさがあって面白かった。

2022/11/15

無機質な性格の主人公。コーチや友人、恋人に対しても心を許していたとは思えない。
ただ父から''女性には優しくしろ''との教えがあったから守ってるだけ。
ラグビーチームの準決勝進出をかけて、その目標だけを追って盲目に指導してるだけ。選手の気持ちも考えずに。
そんな空回りをする主人公の結末はなんとなく想像もついたけれど、そこから何を読み取ったらいいのか分からなかった。

2022/10/22

文章一つ一つに宿る魂がすごいって感じ。

内容としては、恋も、セックスも、友人も、ラグビー部での出来事も、自分が確立されてないからゴタゴタ、破局という感じ。
「自分」をもつって大事。

2022/10/11

かなり前に読みおえて、個人的には特に物語が面白く感じれなく、なんとも言いがたい気持ちになったため、感想を書かず、他の人のレビューも読ま無いまま長い期間長い期間置いてしまっていたため、具体的に何が自分には合わなかったのかが漠然で言い表し難いから、いつかもう一度再読してみる。

2022/10/06

慶應生は必読。
体の相性、夜の頻度がいかに大事かを考えさせてくれた。話しづらい部分だけど、2人のためには不可欠。
ストーリー云々というより、言い回しや文章構成に村上春樹みを感じた。