破局 の商品レビュー

遠野遥(著者)

2023/09/05

島田雅彦の「おそらくこの不愉快な読後感は、無知とゆがんだ正義感と過剰な体力でスクラムを組まれたら、絶対押し切られるという不安とセットになっている」という選評に共感。

2023/07/21

主人公には意思がなく、中身のない人間。謎の違和感を感じながら読んでいたが、読了してから主人公の感情表現が作中にないのがその原因であることを知った。
母校でのラグビー部のコーチを行っているときの主人公が気味悪い。相手のことが考えられない人間なのか、過度なトレーニングを部員に強要する主人公。
一見、いい人なのかと思ったが、よくよく考えるとただのつまらない人間という印象。
読了してから違和感に気づいて、気味の悪さを覚える小説はなかなかないかも。
結局、この作品は何を言いたいのかが分からなかった。セックスばかり出てくるが、深い表現もなく作中においてはセックスそれ自体に意味はない。ただ性欲にまかせてする行為なだけ。そこには共感はできなかったかも。

2023/09/13

読んだ直後は、殆ど共感出来ない（長所を書き並べるエントリーシートに対して気持ち悪いと表現する所はめっちゃ共感できたが）薄気味悪い主人公と、一体何が言いたいのかわからくて、なにこれ？って感じでした。
でも後からじわじわきます。主人公はラグビー部のコーチをし、公務員試験も順調でしかも彼女もいる、外から見ると申し分のない人なんです。でも内面はロボットの様に人間味が無い。周りからの評価と内面が一致してなくて、主人公のことをおかしいと思う私がおかしいのか？と思えてしまい、読み返したくなりました。
そしてとにかくロボット人間ぶり面白いです。特に主人公が"笑った"という所が、感情的でなくただの行為でしかなくてすごい違和感。そしてあらゆる判断が、世間のルールや父親がそう言っていたからとか、自分の意思が無い所も。ラグビーの特訓中に本気でゾンビの話をしている所も面白かった。

2023/06/26

面白くて一気に読んだ。
内容は良く分からなかった。
身体が一つのテーマなのかな？
一人称なのに、他者視点のような状況説明や、感じるべき感情や相応しい振る舞いに自分を対応させる所、「私はこう思ったか？」などの描写があり、身体的な実感だけ疑わずに持てているような主人公。
女性たちの恐怖心、後輩との関係

2023/06/14

ペットの名前、友人の名前が個性的すぎる。&言葉の選び方(特に肉)が変わっていてストーリーが入って来ない部分も多かった。
読み進めているうちに、理解できる様になりラストと、冒頭、タイトルに納得した。

2023/06/04

ちょっと前に読んだ。
面白かったかと聞かれたら面白いと答えるけど、なんだろう、すごく不思議な気持ちになるような話。でもそれで良かったんだろうなと納得せざるを得ないようなそんな物語。

2023/05/31

読み終えた後の余韻が楽しめる。外部的規範に従がい続ける主人公。そこに自らの考えは見当たらない。主人公の破局に安堵すら感じる不思議な作品。

2023/05/30

芥川賞受賞作だからと言って、小難しくなくさらったと読めた。何だか大学時代に戻った感じもあって、作品としては、良いと思いました。
著者、遠野さんの別作品も読んでみたいと感じた。

2023/05/08

奥が深い作品なのだと思う。ただ、自分の読書力のなさゆえ難しい。もっと力をつけてから改めて読み返したい。

2023/03/19

ラグビー、筋トレ、セックス。
自分の大学生活を構成する要素を己自身の行動によって全て失う主人公。
所々にあった「かくれんぼが得意」や「見つけるのが得意」という描写、ゾンビのくだり、ストーカーの話などは自分には何の暗喩か理解できなかったので考察の余地あり。