破局 の商品レビュー
感情があるのかないのか,心の壊れた主人公のロボットのような人間像.どんな生い立ちだったのだろうとそこが気になった.また,現代の病,依存症,特にセックス依存症がこんなに怖いものだとは知らなかった.とにかくひたすら暗いトンネルの中でただ前に進んでいるような息苦しい小説だった.
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これ新時代の虚無というほどのものなのか?全てを持っているようで何もないように感じる、ってわりと古典的な自己規定の闘いな気がする。勉強やラグビーなど資本主義社会の縮図で自己が空洞化していき、支配とコントロールに対する信望(亡き父が残した「強い男」像?)しか残らない陽介。レールにうまく乗れず一見不器用に身えるも、自己の保持と探求に正直な膝。(膝って無防備のシンボルとかなのかな…)灯は性欲という生理現象に対して陽介より感情的、つまり精神を肯定してる。麻衣子は…レール上に自己規定することで過去のトラウマからの回復を目指してる?彼女の視点から読んでみたい気がした。陰毛の擬人化が見事で笑っちゃったw
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評判を聞いてなんとなく、主人公がヤリチンで片っ端から女とやりまくる話を想像していたら全然ちがった。体育会系のリア充で、自分本位なところはあるけど女性に対して優しくてよく気を使っている。彼女もちょっと変なところはあるけど二人ともかわいらしい。ちんちんが元気でうらやましい。 元彼女が子どもの頃に家に侵入者があったという話がとてもスリリングで、途中で終わってしまって続きが気になる。大して何も起こらなかったであろうことは想像できるのだけど、もうちょっと続きを知りたい。 最後の場面はめちゃくちゃで最高。
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新時代の虚無というパワーワードに撃たれて読みました。この言葉めちゃくちゃ好きです。 あらすじの「私を拒むものは、私自身にほかならない」 は読んだあともよく分かってません。みなさんの感想をまた読んで深めたいです。 天井から主人公を見てる人みたいな気分で読んでいました(私に霊感はない)。人の人生の一節を見ているような。本ってそういうものといえばそうだけれど、この本は街歩いてる人とかもこんな人だよって教えてくれるから細かく脳内再生できた。 終わりが急だと感じたので、しばし放心した。 た、たしかに破局だわと。
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芥川賞の選評にもあったが、カミュの異邦人を彷彿とさせられ、”現代日本的な文脈”での異邦人だと感じた 他者への共感と、マナー ラグビーとセックス お笑いに命を懸け、何かをつかむ友人 どうしようもない人間だと思いながら、どこかでこれは自分の物語ではないか、という思いが終始頭から離...
芥川賞の選評にもあったが、カミュの異邦人を彷彿とさせられ、”現代日本的な文脈”での異邦人だと感じた 他者への共感と、マナー ラグビーとセックス お笑いに命を懸け、何かをつかむ友人 どうしようもない人間だと思いながら、どこかでこれは自分の物語ではないか、という思いが終始頭から離れない この欠落と虚無の行き先のあまりの”平凡さ”に奇妙なまでのばからしさと切なさを感じた
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新時代の虚無。一見充実しているようにも、していないようにも見える普通の大学生の内面を余すことなく書けばこうも猟奇的にみえるのかと。 一文一文で主題に近づくと言うよりは一見何の意味もない描写を重ねて多面的に虚無を縁取るといった印象。 元カノの幼少期のトラウマ、いつの間に家にいた知ら...
新時代の虚無。一見充実しているようにも、していないようにも見える普通の大学生の内面を余すことなく書けばこうも猟奇的にみえるのかと。 一文一文で主題に近づくと言うよりは一見何の意味もない描写を重ねて多面的に虚無を縁取るといった印象。 元カノの幼少期のトラウマ、いつの間に家にいた知らない男に追いかけられる話は緊迫感がある。それにしてもあの男、ガタイが良くて半ズボンでハイソックスで、、どことなく、ラガーマンを思わせるがあれは一体誰なのだろうか。
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人間はいくつもの「私」を持っている だから、自分が何か失敗をやらかしてしまったあと ネガティブな感情に引きずられないためには やらかした「私」を切り捨ててしまえばよいのだ そうすれば気持ちよく日々を過ごしていけるだろう、なんて そんな思考パターンをデフォルト化した男が 見ようによ...
人間はいくつもの「私」を持っている だから、自分が何か失敗をやらかしてしまったあと ネガティブな感情に引きずられないためには やらかした「私」を切り捨ててしまえばよいのだ そうすれば気持ちよく日々を過ごしていけるだろう、なんて そんな思考パターンをデフォルト化した男が 見ようによっては欲望まかせの 行き当たりばったりを繰り返したあげく 最終的に、刑事事件をおこしてしまうという話 一人称ゆえの不条理というか 説明不足に不満の声があがるのも無理はないと思うけど
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これが芥川賞受賞作?と、疑いと驚きをもって読み終えた。リアリティのある私小説にも見えるし、情緒不安定な青春小説にも見える。主人公の外面に現れる人物像を、歪んだ暗さが垣間見える内面から説明する、気味の悪さが漂う。主人公の周りに、突飛な人物を登場させ、語らさせることで、常識感に反する...
これが芥川賞受賞作?と、疑いと驚きをもって読み終えた。リアリティのある私小説にも見えるし、情緒不安定な青春小説にも見える。主人公の外面に現れる人物像を、歪んだ暗さが垣間見える内面から説明する、気味の悪さが漂う。主人公の周りに、突飛な人物を登場させ、語らさせることで、常識感に反するようなストーリーが展開されていると思わせる反面、かくなる現実もあり得るかと考えさせられる。不透明感の中、最後に訪れる破局で、主人公が辿り着く安心感、それを情景で表現するところに、作品に対する安堵感を感じる。
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(「内容紹介」より) 私を阻むものは、私自身にほかならない――ラグビー、筋トレ、恋とセックス。ふたりの女を行き来する、いびつなキャンパスライフ。28歳の鬼才が放つ、新時代の虚無。 読了する3時間が無駄なじかんとなりました。まさに虚無な作品。
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こんな作家が出てきたのかと、驚きながら読んだ。オシャレだし、これ読んだ高校生は慶応に行きたくなるんじゃないかな。あんな結末にしなくてもとびっくりしたけど、あれも良さかな
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