たかが殺人じゃないか の商品レビュー
時は戦後間もない昭和24年。進駐軍の命による学制改革で六三三制となり、最初の男女共学になった高校生が主人公。ミステリ作家を目指す主人公の風早勝利は、昭和7年生まれの著者と同年代であり、帝国主義と民主主義がせめぎ合うその当時の時代背景がリアリティ色濃く描かれているのが特長。従来“探...
時は戦後間もない昭和24年。進駐軍の命による学制改革で六三三制となり、最初の男女共学になった高校生が主人公。ミステリ作家を目指す主人公の風早勝利は、昭和7年生まれの著者と同年代であり、帝国主義と民主主義がせめぎ合うその当時の時代背景がリアリティ色濃く描かれているのが特長。従来“探偵小説”と呼ばれていたのが“推理小説”に言い換えられるようになったのもこの頃。理由の説明は本書に委ねる。 思春期ならではの男女高校生達の甘酸っぱい青春群像劇として面白い。本格ミステリとしては、ハウダニットは破天荒で無理があるものの、ホワイダニットは刺さった。読み終えて初めて心に響くタイトルが良い。またラストにあかされる、大胆かつ稚気あふれる仕掛けはさすが! 週刊文春ミステリーベスト10 1位 このミステリーがすごい! 1位 本格ミステリ・ベスト10 4位 SRの会ミステリーベスト10 7位 ミステリが読みたい! 1位 〈昭和ミステリ〉シリーズ 1. 深夜の博覧会 昭和12年の探偵小説 2. たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説 3. 馬鹿みたいな話! 昭和36年のミステリ
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
昭和の と言うより戦後ミステリ 戦中や敗戦直後、それから復興計画 地方都市の様子 貧しくなった国、その中でも必死に生活し社会と文化を保つ人々 子供が映画や小説に触れられる文化的社会だったかどうかは分からない 祖父母に聞いてた感じではもっと貧しかったイメージだったから 随分愛知の都市部はお金があったんだなーと言う印象だった 明るく楽しい思い出ばかりじゃなかっただろうし 令和向けにかなり緩く書いてある気もする そのお陰か十分にイメージして雰囲気や空気を味わう事ができた 高校3年生って古今東西やっぱり「若者」なんだなーと思えた 色んな事に一生懸命で、友達と語り、家族に庇護され、自分の未来を選ぼう、切り開こうとする若者 主人公が異性を意識する時の表現が「昭和24年」とされればすんなり読める 平成や令和の高校生だと思うとちょっと気持ち悪いと言うか、浮いてる感じ なので主人公の感覚も昭和24年だし、その表現も24年 とても良い 読み進めるにつれてその「昭和24年」の小説と言うのも忘れてしまうくらい そして最後の最後に「そっか……戦後すぐの話だったのか」と現実に引き戻された 多分このミステリが評価されるのってここだと思う 戦中の常識をやっぱり令和には持ち込み切れない その感覚を物凄く上手く利用した叙述ともいえるミステリだと思った しかもこれシリーズでもう次まで出てるとかマジか 勿論読みたい 一兵探偵の少年時代も、勝利たちのその後の話も楽しみ
Posted by
おもろしかった 犯人はすぐに分かる 謎解きは「名探偵コナン」くらいの説得力 いろんな小道具、伏線を張ってきれいに回収するストーリーはとても楽しめた ロッキングチェアは関係なかったのか。。。 終戦4年後の戦後の雰囲気はよく分からないけど、こんな感じだったんだろう 横溝正史、...
おもろしかった 犯人はすぐに分かる 謎解きは「名探偵コナン」くらいの説得力 いろんな小道具、伏線を張ってきれいに回収するストーリーはとても楽しめた ロッキングチェアは関係なかったのか。。。 終戦4年後の戦後の雰囲気はよく分からないけど、こんな感じだったんだろう 横溝正史、江戸川乱歩、松本清張などの作品の雰囲気よりも明るく感じられた
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
犯人は割とすぐに分かったけど、タイトルの意味と、書き出しの意味が分かった時、思わず「おお!」となった笑 時代設定ならではの動機、そしてこんな時代にも、いきいきと学生生活を送る5人の様子、新鮮だった。
Posted by
昭和、終戦前後を舞台とした話。犯人も、話の流れも何となく分かってしまうので、推理小説としては少し物足りない印象。また、昭和が舞台となっているので、現代の感覚で読むと一部不快に感じる表現もあるかもしれない。ただ、それはある意味、「古き良き」とされる昭和を美談のように語らず、当時の腹...
昭和、終戦前後を舞台とした話。犯人も、話の流れも何となく分かってしまうので、推理小説としては少し物足りない印象。また、昭和が舞台となっているので、現代の感覚で読むと一部不快に感じる表現もあるかもしれない。ただ、それはある意味、「古き良き」とされる昭和を美談のように語らず、当時の腹黒い側面をよく描いているとも言える。話としてはよく纏まっている。
Posted by
戦後間もない昭和24年に起こった2つの殺人事件の話。読者への質問状もあって、色々考えたけど犯人もトリックもさっぱり分からんかった。タイトルもなるほどってなったし、何よりラスト、鮮やかで思わず読み返した。
Posted by
最初の殺人現場に行く件で、犯人がなんとなく推測できて、これは作者のワナかと思いきや、結局その人が犯人というなんとも肩透かしな内容。 戦後直後の社会やそれに対する若者の意識はとても興味深かったが、10代が主人公の割にはドロリとした大人の嫌らしい部分もあって、そのギャップについていけ...
最初の殺人現場に行く件で、犯人がなんとなく推測できて、これは作者のワナかと思いきや、結局その人が犯人というなんとも肩透かしな内容。 戦後直後の社会やそれに対する若者の意識はとても興味深かったが、10代が主人公の割にはドロリとした大人の嫌らしい部分もあって、そのギャップについていけない所があった。 登場人物の1人、名字が『別宮』で華族様の運転手の男装の麗人の様な女性って、北村薫のベッキーさんシリーズとよく似てる。 2021年の各ミステリー賞でも高い評価を得ていて、正直「そんなに?」という感想。
Posted by
昭和24年、男女共学の新制高校3年生になった主人公が殺人事件に巻き込まれる。 当時の時代感が伝わってきて、とても好み。そしてラストの回収、悔しいと思いつつ最後まで引き込まれて楽しめた。 前作は未読なので読んでみたい。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
見事な伏線回収だった。さすが大御所作家。80代後半とか。それにしては文章に古臭さのようなものが感じられなくて、高校生たちの会話もコミカルで青々としてた。 戦後まもない時代設定で、住むところがなくなったりこれからなくなったり嗜好品なんてなかったりと決して楽ではない生活なのに、主人公たちからは悲報感は全くなくて、でも現実もこんな感じで当然のこととしていろいろ受け入れてたのかなあと思った。 タイトル回収や、最後のページは思わず唸った。 正直犯人はもう解体のあたりで察しがついてたし、生首のとこでトリックもわかってたので星は3くらいかなー、と思ってたのに、最後の章でもってかれた。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
昭和シリーズ2作目。 *第1位『このミステリーがすごい! 2021年版』国内編 *第1位〈週刊文春〉2020ミステリーベスト10 国内部門 *第1位〈ハヤカワ・ミステリマガジン〉ミステリが読みたい! 国内篇 とかなり賞を取ったから、これきっかけでこのシリーズを知ったんだろう。しかも3部作で次も出ていたとは知らなんだ。でも予約できたからすぐ読めるだろう。前作より一気読みできたのもあり、読みやすかった。操さんが教師になっててびっくり。そして前回主役というか、語り手だった那珂一兵が探偵役とはいえ、全くの部外者的な扱いなのはびっくりだった。そして操さんを犯人にするとは。今回の昭和24年は戦後の混乱期。男女共学もすんなり受け入れられた人と、やっかみ半分、受け入れられない人がいたのも容易に想像できる。そもそも、すんなり受け入れられた人の方が、やっぱ精神的にどうかしてると思っちゃう。しかしクーニャンこと咲原鏡子の話は切ない。運よくいい人と出会って結婚できたのはほんと幸運なんだとは思うけど、結局この時代でも若いうちから売春しなきゃなんて。でも前回も今でも立ちんぼがあると書いたんだから、昔からずっと続いているものなのか。しかし操さんが捕まったのもそうだし、最後恩地先生を助けようとして死んでしまったというのも悲しかった。素敵な人だったのに。タイトルも秀逸だし、出だしも秀逸。面白かった。
Posted by