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たかが殺人じゃないか の商品レビュー

3.6

149件のお客様レビュー

  1. 5つ

    22

  2. 4つ

    54

  3. 3つ

    43

  4. 2つ

    16

  5. 1つ

    2

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2021/02/22

著者は、NHK勤務後、アニメや特撮の脚本家として活躍してきた愛知県生まれの88歳。本作は著書が経験した戦後の混乱期にある故郷を舞台にした推理小説である。 学生改革で633制になった昭和24年、名古屋市内の旧制中学を卒業後、たった一年だけの男女共学の高校生活を送ることになった風早勝...

著者は、NHK勤務後、アニメや特撮の脚本家として活躍してきた愛知県生まれの88歳。本作は著書が経験した戦後の混乱期にある故郷を舞台にした推理小説である。 学生改革で633制になった昭和24年、名古屋市内の旧制中学を卒業後、たった一年だけの男女共学の高校生活を送ることになった風早勝利。彼はミステリー作家を目指し推理小説研究部の部長を務めていた。顧問の勧めで勝利たち推研部は映画研究部と合同で修学旅行代わりの小旅行に湯谷温泉へ出かけるが、そこで、密室殺人事件が起きる。さらに名古屋に帰った夏休み最終日の夜、彼らは、キティ台風が襲来する中で学園祭に向けた準備中、首切り解体殺人事件に巻き込まれる。警察もお手上げの難事件解決に向け、途中から探偵役が現れ、最後に犯人を含む全員を一堂に集めて、トリックをひとつひとつ解き明かしていく。この点は極めてオーソドックス、古典的であり新味はない。また、学生たちのあっけらかんとした軽い言動にいささか違和感も感じた。だが、犯行動機が明らかになる場面では、背景として、戦時下、人命認識についての悲しくも重い現実がひしひしと伝わり、重みのある作品であることを実感した。タイトルの意味するところも正しくここにあるといえる。 初めての男女共学、進駐軍と売春婦、闇市、皇国教育から突然の民主化への切り替え、学校での硬派と軟派など混乱の中で、新旧の価値観があちこちで衝突する当時の様子がよく描かれているのもさすがである。

Posted byブクログ

2021/01/07

この作品がミステリー3冠達成って言うのはどうだろう。そんなにミステリーを読んでいないから何とも言えないけど、悪くはないけどこの作品でいいのだろうか? 辻真先さん88歳、私の父親と同年代の方がその青春時代を描いた作品で、外国映画や推理小説が好きだった父親が生きていたら、その話題が...

この作品がミステリー3冠達成って言うのはどうだろう。そんなにミステリーを読んでいないから何とも言えないけど、悪くはないけどこの作品でいいのだろうか? 辻真先さん88歳、私の父親と同年代の方がその青春時代を描いた作品で、外国映画や推理小説が好きだった父親が生きていたら、その話題がいっぱいのこの作品を喜んで読んだだろう。推理小説としてのトリックなど、なんとなく突っ込みどころ満載のような気もするけど、88歳の方が昭和24年という時代を描いた風俗小説としては、光が当たってもいい作品かも。 最後まで読み終えると、「たかが殺人」の意味を知ると共に、もう1度最初の1ページを読みたくなりますね。

Posted byブクログ

2021/01/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

新年一冊目。第二次世界大戦後に男女共学がスタートした直後の話。当時を知る作者ならではのリアリティがいい。それだけでも一読の価値あり。 上記のリアリティと対極的にトリックや密室を作った理由が荒唐無稽なところが好き嫌いの分かれるところだと思う。(特にトリックは二つとも実行不可能と思われる要素が含まれていたように思う)大がかりなトリックは好きだが「本陣殺人事件」のように、恐ろしさの中に美しさ雅さが漂うものであれば星五つだった。

Posted byブクログ

2021/01/03

年またぎはさておき、今年の1冊目はこれと決めていた。昨年、国内主要ミステリ部門3冠達成の本作品。作者はレジェンド、辻真先先生である。 単体でも読めるが、シリーズ2作目なので1作目を読んでおくと、より深く楽しめる。前作から引き続き登場するのは、探偵役の那珂一兵。他の辻作品でも活躍...

年またぎはさておき、今年の1冊目はこれと決めていた。昨年、国内主要ミステリ部門3冠達成の本作品。作者はレジェンド、辻真先先生である。 単体でも読めるが、シリーズ2作目なので1作目を読んでおくと、より深く楽しめる。前作から引き続き登場するのは、探偵役の那珂一兵。他の辻作品でも活躍するキャラクターだが、前作から12年後の本作では大人になった姿を見せてくれる。さらに、別宮操も再登場。お騒がせキャラだった前作から、彼女もまた大人になり、なんと教職に就いている。そして、今回は彼女の教え子たちが事件に巻き込まれてしまう。愛知県警からは犬飼も再登場し、文字通り、咬ませ犬役を演じている。 舞台は昭和24年の高校。GHQの学制改革により義務教育が9年、高校が3年の六・三・三制となり、新制度下で1年だけ高校に通うこととなった風早勝利ら推理研究部、映画研究部の高3メンバーが主人公である。男女共学制度も同時に始まり、当時の大混乱ぶりが伝わってくる。この時代の、この学生たちにスポットを当てた辻先生、すごい。 本シリーズの特徴は戦前・戦後の昭和を描いていることであり、その時代を御歳88歳の辻先生は実際に経験しているということ。これは他の追随を許さない辻作品の強みだろう。ボーイミーツガールなジュブナイルものは先生の得意とするところだが、他の辻作品同様、本作も甘い結末とはならないのである。 第一の殺人は密室もの、第二の殺人はバラバラものと、まさにミステリの王道。何気なく散りばめられた小道具が伏線となり、それらが解決に結びつく様は見事。実現可能かと言われれば正直「?」だか、ミステリという様式美に則った傑作である。そして、最後の一行で読者は思わず声を上げるだろう(だから間違ってもパラパラと開かないように)。 よいミステリが一冊でも多く読める年となりますように!

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2021/01/01

アニメ名探偵コナンの脚本を書いている大ベテランの方だと初めて知った。 どんでん返しがあるとか、あっと驚くトリックがあるというよりも超王道派のミステリー。 学生、青春、ミステリー。 戦後の日本のことも合わせて書かれていて、そうなんだ・・・と思うことも。 探偵小説が推理小説になってい...

アニメ名探偵コナンの脚本を書いている大ベテランの方だと初めて知った。 どんでん返しがあるとか、あっと驚くトリックがあるというよりも超王道派のミステリー。 学生、青春、ミステリー。 戦後の日本のことも合わせて書かれていて、そうなんだ・・・と思うことも。 探偵小説が推理小説になっていく時代というのは名言だと思った。

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2020/12/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

戦後数年経った時代背景を思わせないような、登場人物の活き活きとした様を感じた。爪跡は至る所に残ってはいるが、確実に前を向いて生きている。そんな中での殺人事件。タイトルの「たかが殺人じゃないか」が、思わぬところで出てきて、感服した。読み進めていると、何となく犯人もわかってきたが、動機やトリックもしっかり納得できるものだった。そして、冒頭のセリフと文末のセリフ。無限にループにして読めるな、と思った。こんな終わり方、初めて出会って感動。

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2020/12/27

本格ミステリーとはこういう話なんだと、最後のページに書かれています。読み終わってから最初のページに戻ってまた読み始める…なんて今までありませんでした。 しかしながら、今まで人気のある読みやすいミステリーばかり読んできたので、最後の謎解きまでは読み進めるのになかなか時間がかかりまし...

本格ミステリーとはこういう話なんだと、最後のページに書かれています。読み終わってから最初のページに戻ってまた読み始める…なんて今までありませんでした。 しかしながら、今まで人気のある読みやすいミステリーばかり読んできたので、最後の謎解きまでは読み進めるのになかなか時間がかかりました。笑

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2020/12/20

ミステリランキング3冠ということで、つい購入。 タイトル通り、戦後間もない昭和24年に起きた2 つの殺人事件を描く。できたばかりの共学。その推理研究会と映画研究会のメンバー5人と顧問の先生が遭遇したのは、1つは密室殺人、もう1つはバラバラ殺人。どちらも不可能犯罪に見えたのだが…。...

ミステリランキング3冠ということで、つい購入。 タイトル通り、戦後間もない昭和24年に起きた2 つの殺人事件を描く。できたばかりの共学。その推理研究会と映画研究会のメンバー5人と顧問の先生が遭遇したのは、1つは密室殺人、もう1つはバラバラ殺人。どちらも不可能犯罪に見えたのだが…。 しかし思わせぶりなところが随所にあるなと思ったら、これシリーズの第2弾なのね。本筋に関係ないところで翻弄された。笑 ラスト1ページを読んだときは思わず顔がニヤけた。これだよなー、ミステリのすてきなところは! 3冠をとるほど大好きかと言えばそこまでではないけど、でもシリーズ前作も買う!

Posted byブクログ

2020/12/20

息をもつかせぬ、という感じではないが隙のないストーリー展開、謎解き、そして最後3行の意表を突いた伏線回収。 このミス一位も納得。

Posted byブクログ

2020/12/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

昭和二十四年の名古屋が舞台。敗戦に伴い旧制中学が新制高校になり、一年だけ共学の高校三年生になった5人の男女。突然「共学」なんて環境に置かれた彼らの戸惑いや、それにすぐになじめる人となじめない人のバランス。生きるための悲しい選択…そんなあれこれが丁寧にけれど過度にあおらずに描かれていてさらりと物語に同化していく。 個人的に好きなのは元華族の通称姫のしゃべり方。いいねぇ、上品で。 修学旅行代わりの旅先で起こった密室殺人事件、文化祭で披露するための撮影現場で起こったバラバラ殺人事件。二つの事件に遭遇した高校生たちと、部活の顧問の先生。 二つの殺人事件の犯人、その理由。タイトルが効く、静かに怒りがわく。 そしてラスト。思わず「ひゅっ」と息をのむ。 いやぁ、これミステリランキング三冠も納得。納得以外の何物でもない。 書いたのが八十八歳の辻御大。あの戦争を、そして戦後を経験したからこそ、の一冊。 昭和二十四年の物語だけど、いやこれ今でも起こりうるよね、と。いろんなことが頭によぎる。 ネタバレ怖くて何も書けないけど、 面白い本を探してるって?そりゃこれを読むしかないでしょ。

Posted byブクログ