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たかが殺人じゃないか の商品レビュー

3.6

146件のお客様レビュー

  1. 5つ

    22

  2. 4つ

    53

  3. 3つ

    42

  4. 2つ

    16

  5. 1つ

    2

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2021/01/03

年またぎはさておき、今年の1冊目はこれと決めていた。昨年、国内主要ミステリ部門3冠達成の本作品。作者はレジェンド、辻真先先生である。 単体でも読めるが、シリーズ2作目なので1作目を読んでおくと、より深く楽しめる。前作から引き続き登場するのは、探偵役の那珂一兵。他の辻作品でも活躍...

年またぎはさておき、今年の1冊目はこれと決めていた。昨年、国内主要ミステリ部門3冠達成の本作品。作者はレジェンド、辻真先先生である。 単体でも読めるが、シリーズ2作目なので1作目を読んでおくと、より深く楽しめる。前作から引き続き登場するのは、探偵役の那珂一兵。他の辻作品でも活躍するキャラクターだが、前作から12年後の本作では大人になった姿を見せてくれる。さらに、別宮操も再登場。お騒がせキャラだった前作から、彼女もまた大人になり、なんと教職に就いている。そして、今回は彼女の教え子たちが事件に巻き込まれてしまう。愛知県警からは犬飼も再登場し、文字通り、咬ませ犬役を演じている。 舞台は昭和24年の高校。GHQの学制改革により義務教育が9年、高校が3年の六・三・三制となり、新制度下で1年だけ高校に通うこととなった風早勝利ら推理研究部、映画研究部の高3メンバーが主人公である。男女共学制度も同時に始まり、当時の大混乱ぶりが伝わってくる。この時代の、この学生たちにスポットを当てた辻先生、すごい。 本シリーズの特徴は戦前・戦後の昭和を描いていることであり、その時代を御歳88歳の辻先生は実際に経験しているということ。これは他の追随を許さない辻作品の強みだろう。ボーイミーツガールなジュブナイルものは先生の得意とするところだが、他の辻作品同様、本作も甘い結末とはならないのである。 第一の殺人は密室もの、第二の殺人はバラバラものと、まさにミステリの王道。何気なく散りばめられた小道具が伏線となり、それらが解決に結びつく様は見事。実現可能かと言われれば正直「?」だか、ミステリという様式美に則った傑作である。そして、最後の一行で読者は思わず声を上げるだろう(だから間違ってもパラパラと開かないように)。 よいミステリが一冊でも多く読める年となりますように!

Posted byブクログ

2021/01/01

アニメ名探偵コナンの脚本を書いている大ベテランの方だと初めて知った。 どんでん返しがあるとか、あっと驚くトリックがあるというよりも超王道派のミステリー。 学生、青春、ミステリー。 戦後の日本のことも合わせて書かれていて、そうなんだ・・・と思うことも。 探偵小説が推理小説になってい...

アニメ名探偵コナンの脚本を書いている大ベテランの方だと初めて知った。 どんでん返しがあるとか、あっと驚くトリックがあるというよりも超王道派のミステリー。 学生、青春、ミステリー。 戦後の日本のことも合わせて書かれていて、そうなんだ・・・と思うことも。 探偵小説が推理小説になっていく時代というのは名言だと思った。

Posted byブクログ

2020/12/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

戦後数年経った時代背景を思わせないような、登場人物の活き活きとした様を感じた。爪跡は至る所に残ってはいるが、確実に前を向いて生きている。そんな中での殺人事件。タイトルの「たかが殺人じゃないか」が、思わぬところで出てきて、感服した。読み進めていると、何となく犯人もわかってきたが、動機やトリックもしっかり納得できるものだった。そして、冒頭のセリフと文末のセリフ。無限にループにして読めるな、と思った。こんな終わり方、初めて出会って感動。

Posted byブクログ

2020/12/27

本格ミステリーとはこういう話なんだと、最後のページに書かれています。読み終わってから最初のページに戻ってまた読み始める…なんて今までありませんでした。 しかしながら、今まで人気のある読みやすいミステリーばかり読んできたので、最後の謎解きまでは読み進めるのになかなか時間がかかりまし...

本格ミステリーとはこういう話なんだと、最後のページに書かれています。読み終わってから最初のページに戻ってまた読み始める…なんて今までありませんでした。 しかしながら、今まで人気のある読みやすいミステリーばかり読んできたので、最後の謎解きまでは読み進めるのになかなか時間がかかりました。笑

Posted byブクログ

2020/12/20

ミステリランキング3冠ということで、つい購入。 タイトル通り、戦後間もない昭和24年に起きた2 つの殺人事件を描く。できたばかりの共学。その推理研究会と映画研究会のメンバー5人と顧問の先生が遭遇したのは、1つは密室殺人、もう1つはバラバラ殺人。どちらも不可能犯罪に見えたのだが…。...

ミステリランキング3冠ということで、つい購入。 タイトル通り、戦後間もない昭和24年に起きた2 つの殺人事件を描く。できたばかりの共学。その推理研究会と映画研究会のメンバー5人と顧問の先生が遭遇したのは、1つは密室殺人、もう1つはバラバラ殺人。どちらも不可能犯罪に見えたのだが…。 しかし思わせぶりなところが随所にあるなと思ったら、これシリーズの第2弾なのね。本筋に関係ないところで翻弄された。笑 ラスト1ページを読んだときは思わず顔がニヤけた。これだよなー、ミステリのすてきなところは! 3冠をとるほど大好きかと言えばそこまでではないけど、でもシリーズ前作も買う!

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2020/12/20

息をもつかせぬ、という感じではないが隙のないストーリー展開、謎解き、そして最後3行の意表を突いた伏線回収。 このミス一位も納得。

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2020/12/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

昭和二十四年の名古屋が舞台。敗戦に伴い旧制中学が新制高校になり、一年だけ共学の高校三年生になった5人の男女。突然「共学」なんて環境に置かれた彼らの戸惑いや、それにすぐになじめる人となじめない人のバランス。生きるための悲しい選択…そんなあれこれが丁寧にけれど過度にあおらずに描かれていてさらりと物語に同化していく。 個人的に好きなのは元華族の通称姫のしゃべり方。いいねぇ、上品で。 修学旅行代わりの旅先で起こった密室殺人事件、文化祭で披露するための撮影現場で起こったバラバラ殺人事件。二つの事件に遭遇した高校生たちと、部活の顧問の先生。 二つの殺人事件の犯人、その理由。タイトルが効く、静かに怒りがわく。 そしてラスト。思わず「ひゅっ」と息をのむ。 いやぁ、これミステリランキング三冠も納得。納得以外の何物でもない。 書いたのが八十八歳の辻御大。あの戦争を、そして戦後を経験したからこそ、の一冊。 昭和二十四年の物語だけど、いやこれ今でも起こりうるよね、と。いろんなことが頭によぎる。 ネタバレ怖くて何も書けないけど、 面白い本を探してるって?そりゃこれを読むしかないでしょ。

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2020/12/16

終戦後4年の昭和24年。学制改革により突然男女共学の高校三年生となり出会った推理研究部、映画研究部の男女5名は、共同で合宿にでかけ、殺人事件に巻き込まれる。ミステリとしての細やかな伏線のはりかたや回収の鮮やかさは辻さんらしいと思えるもので、時代を反映していても読みやすく楽しめる。...

終戦後4年の昭和24年。学制改革により突然男女共学の高校三年生となり出会った推理研究部、映画研究部の男女5名は、共同で合宿にでかけ、殺人事件に巻き込まれる。ミステリとしての細やかな伏線のはりかたや回収の鮮やかさは辻さんらしいと思えるもので、時代を反映していても読みやすく楽しめる。読者への質問状や思わず最初に戻る終章、推研映研というメンバーから繰り出される多くの知識は純粋に楽しかった。一方でこの時代の過渡期の人々の、特に少年少女の心の揺れと葛藤がリアルで重く切ない。途中に現れた題名の意味と背景に息をのんだ。

Posted byブクログ

2020/12/16

2020年のミステリ3冠ということで期待して読んだが、ハズレ。 88歳の作家に花を持たせる狙いか、最高齢者の受賞という話題作りか、選考者の懐古趣味なのか、戦後の名古屋の記録文学としての価値ありとの判断なのか謎だが、面白みに欠ける。 作者が自分の体験を元に、ミステリ小説という形を借...

2020年のミステリ3冠ということで期待して読んだが、ハズレ。 88歳の作家に花を持たせる狙いか、最高齢者の受賞という話題作りか、選考者の懐古趣味なのか、戦後の名古屋の記録文学としての価値ありとの判断なのか謎だが、面白みに欠ける。 作者が自分の体験を元に、ミステリ小説という形を借りて、自らの記録として残しておきたかったのかもしれないが、いかんせん時代遅れも甚しい。戦後のどさくさを生きてきて、それはそれで大変だったと思うが、小説となると話は別。今年の選考員の見識を疑う。

Posted byブクログ

2020/12/11

このミスや早ミスで一位になっているのを見て読んでみた。戦後の時代背景が詳細にわかりやすく書かれていてその時代を経験していない私でも物語の世界に比較的容易に入り込むことができた。戦後の日本人の価値観や考え方は今とは全く違っていてそこも興味深かった。犯人はなぜ殺人を行なったのか…悲し...

このミスや早ミスで一位になっているのを見て読んでみた。戦後の時代背景が詳細にわかりやすく書かれていてその時代を経験していない私でも物語の世界に比較的容易に入り込むことができた。戦後の日本人の価値観や考え方は今とは全く違っていてそこも興味深かった。犯人はなぜ殺人を行なったのか…悲しかったー最初と最後の遊び心もマル。

Posted byブクログ